奈良市
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奈良市(ならし)は、近畿地方の中部、奈良県の北部に位置する都市で、同県の県庁所在地である。旧添上郡。国から中核市に指定されている。
平城京が置かれた古都として有名。シルクロードの終着点として天平文化が花開いた。年間観光客は約1300万人に及ぶ。
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[編集] 地理
奈良県の北部一帯を占める広域市で、同時に奈良盆地の北端にも当たる。市東部は大和高原にあたり、標高300mから600m級の高地が続く。北境は古代に平城山(ならやま)と呼ばれた丘陵地帯で京都府と接している。平城山を越えて山城と通じる奈良坂は古来より有名であった。
市域は東西に広く、(1)東部の山間地、(2)文化財を多数抱えて、国際観光文化都市としての顔を持つ中東部の市街地、(3)住宅地として開発が行われてきた西部と、複数の顔を持ち、同市内でありながら、街の雰囲気、住民の指向は違いを見せる。
[編集] 都市名の由来
市街地が広がる一帯は平坦な地形で、この均したような地形が、「奈良」の都市名の由来となったのではないかとする説が有力である。
現在の漢字表記は「奈良」だが、古文書等の中では、「那羅」「寧楽」「平城」(読み方はいずれも「なら」と思われる)とも表記されている。
朝鮮語の「ナラ」(国、里の意味)から来たという説は、学会では一般に否定されている。
[編集] 歴史
※ 市制施行以前の奈良市については、「奈良」のページも参照。
奈良市街地の西には、ウワナベ古墳など5世紀の巨大古墳が築かれ、佐紀古墳群を形成している。和名抄に見える大和国添上郡山村郷、楊生郷、八島郷、大岡郷、春日郷及び添下郡佐紀郷、鳥貝郷の地であった。
現在の奈良市に位置する地域が日本史の舞台に登場するのは、710年に都が藤原京から平城京に遷ってからのことである。その後、何度か短期間の遷都があったものの長岡京に遷る784年まで、この地が日本の中心となっていた。長岡京への遷都後も東大寺や興福寺などの仏教寺院勢力がこの地域に残り、「南都」と呼ばれた。
中世になってからも、興福寺が大和守護職に任じられるなど、広大な荘園を有する仏教寺院勢力は依然として影響力を保持していた。むしろ大寺院の勢力は戦乱の時代においてこそ影響力が大きく、そのために何度か戦火に見舞われた。二度の大仏焼失事件などはその象徴といえる。
室町時代から戦国時代にかけて、他国の所領は勿論の事、近在の物も在地の大和武士団が実効的な支配を行うようになったために、大寺院の勢力は衰えた。
江戸時代には奈良奉行が設置され、江戸幕府の直接支配下に置かれた。この時代の雰囲気を残すのが奈良町である。又、市北東部には柳生藩が置かれた。
[編集] 明治維新以後
- 明治維新から第二次大戦まで
- 1876年4月18日:堺県に属する。
- 1887年11月4日:奈良県が堺県から分離され、奈良県に属する。
- 1889年4月1日:町制施行で奈良町が発足。
- 1898年2月1日:市制施行で奈良市が発足。
- 1923年4月1日:添上郡佐保村を編入。
- 1939年4月1日:添上郡東市村白毫寺を編入。
- 1940年11月3日:生駒郡都跡村を編入。
- 1945年奈良空襲
- 第二次大戦以後
- 1951年3月15日:添上郡大安寺村、東市村、生駒郡平城村を編入。
- 1955年3月15日:添上郡辰市村、五ヶ谷村、明治村、帯解町、生駒郡富雄町、伏見町を編入。
- 1957年9月1日:添上郡田原村、柳生村、大柳生村、東里村、狭川村を編入。
- 2002年4月1日:中核市に指定。
- 2005年4月1日:山辺郡都祁村、添上郡月ヶ瀬村を編入し、現在の市域が確定する。
[編集] 行政
- 市長:藤原昭(2005年8月 -)
- 助役:福井重忠(同前収入役、2006年7月 -)
- 市議会:定数46(奈良選挙区:44、月ヶ瀬選挙区:1、都祁選挙区:1)
[編集] 市庁
奈良市では市役所を「奈良市庁」と称する。但し、市庁に併設された郵便局は「奈良市役所内郵便局」と名乗る。
[編集] 国の機関
[編集] 施設
- 宮内庁
- 正倉院事務所
- 航空自衛隊
- 幹部候補生学校、奈良基地
- 法務省
- 文部科学省
- 厚生労働省
- 奈良社会保険事務局
- 奈良社会保険事務所
- 奈良労働局
- 奈良労働基準監督署
- 奈良社会保険事務局
- 国土交通省
- 奈良国道事務所
- 奈良地方気象台
[編集] 司法機関
[編集] 姉妹都市・提携都市
[編集] 国内
[編集] 海外
- 慶州市(大韓民国慶尚北道)
- トレド市(スペイン王国カスティーリャ・ラ・マンチャ州トレド県)
- 西安市(中華人民共和国陝西省)
- ヴェルサイユ市(フランス共和国イヴリーヌ県)
- キャンベラ市(オーストラリア連邦首都特別地域 (ACT))
[編集] 経済
県庁所在地であるため、県の機関以外に、国の機関や各種金融機関、大企業の支店が集積している。地元企業としては奈良県下一円に支店を有する南都銀行や県内でバス事業を展開する奈良交通(近鉄グループ)が有名。また本社は大阪市であるが、奈良県一円に鉄道網や百貨店を展開する近鉄も奈良県の経済に大きな影響力を持つ。近鉄や奈良交通が観光産業と密接な関係があるのはいうまでもない。
奈良観光は、京都市や大阪市からの日帰りで行われることが多いため、地元資本の宿泊業は盛んではない。又、奈良公園周辺の多くの店は、午後八時頃に閉店する。
居酒屋等は新大宮駅や大和西大寺駅・奈良駅周辺に多いと思われがちだが、阪奈道路沿い(国際ゴルフ場周辺)や学研都市周辺(押熊)にも居酒屋・飲食店等が増えている。
1950年以降、学園前駅を中心とした平城宮跡以西地域(西奈良)において、近鉄グループを中心とした民間企業主導の宅地開発が行われた。採掘作業中に古代遺産が発見され作業が中止される場合がある為、都市開発は順調とはいえない。
2010年(平城遷都1300年記念事業開催年)を目処に、JR奈良駅周辺連続立体交差事業や大宮通り線(4車線から8車線に)の高架化、平城宮跡大極殿復元、唐招提寺金堂修復工事、興福寺伽藍復元などが、完成する見込みである。
[編集] 市内にあるメーカー
[編集] 商業施設
- 奈良ファミリー(近鉄百貨店・ジャスコ奈良店、専門店街)
- イオン奈良登美ヶ丘ショッピングセンター
- ビブレ奈良店
- イトーヨーカ堂奈良店
- サンタウン高の原
- ダイエー富雄店
- オークワ奈良古市店など
- イオンスーパーセンター大安寺店
[編集] 学校
[編集] 小学校
- 国立
- 奈良教育大学教育学部附属小学校(高畑町)
- 奈良女子大学文学部附属小学校(百楽園)
- 市立
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- 私立
- 帝塚山小学校(学園南)
- 奈良育英小学校(法蓮町)
[編集] 中学校
- 国立
- 奈良教育大学附属中学校(法蓮佐保田町)
- 市立
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- 私立
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[編集] 高等学校
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[編集] 中等教育学校
- 国立奈良女子大学文学部附属中等教育学校(東紀寺町)
[編集] 大学・短期大学
[編集] 交通
JR西日本線が収める地域は少なく、西部の住宅地の通勤需要は専ら近鉄が担っている。市内の道路は交通量に比べて狭い道路が見られ、高速道路がないために遠近分離が利かず、道路事情は良いとは言えない。
計画中の京奈和自動車道についても、平城宮跡付近を通るため、市内を通過する区間のルート策定ができておらず(2004年8月現在)難航している。市内北部の東西の移動は近鉄の利用がかえって便利である。奈良公園等観光スポットには、駐車場は多くなく渋滞も発生するため、公共交通機関の利用が賢明であろう。
[編集] 鉄道
- 近鉄奈良線 富雄駅 - 学園前駅 - 菖蒲池駅 - 大和西大寺駅 - 新大宮駅 - 近鉄奈良駅
- 近鉄京都線 高の原駅 - 平城駅 - 大和西大寺駅
- 近鉄橿原線 大和西大寺駅 - 尼ヶ辻駅 - 西ノ京駅
- 近鉄けいはんな線 学研奈良登美ヶ丘駅
[編集] バス
[編集] 道路
- 有料道路
- 京奈和自動車道(計画中)
- 第二阪奈有料道路
- 奈良奥山ドライブウェイ
- 国道
- その他
[編集] 空港
[編集] 観光
[編集] 旧跡
[編集] 主な宗教施設
[編集] 神社
[編集] 寺院
[編集] 磨崖仏
- ほうそう地蔵(国史跡)
- 地獄谷聖人窟の線刻磨崖仏(国史跡)
- 春日山石窟仏(国史跡)
[編集] 主な観光地
- 奈良公園(奈良国立博物館、東大寺、若草山、依水園、春日野園地、春日大社、興福寺、猿沢池、飛火野、浅茅が原、浮見堂)
- 高畑(志賀直哉旧居、新薬師寺 、奈良市写真美術館、白毫寺、頭塔)
- 奈良町(元興寺、奈良町資料館、史料保存館、音声館、格子の家、大乗院庭園、十輪院、御霊神社、杉岡華邨書道美術館、あしびの郷、寧屋工房、藤岡家住宅、奈良オリエント館(ならドットFM)、なら工藝館)
- 平城宮跡(朱雀門、大極殿正殿復原現場、遺構展示館、平城宮跡資料館、シルクロード博記念館、東院庭園)
- 佐保・佐紀(法華寺、海龍王寺、不退寺、興福院、秋篠寺、磐之媛命陵、佐紀盾列古墳群、奈良きたまち、般若寺、聖武天皇陵・光明皇后陵、多聞城跡)
- 西ノ京(薬師寺、唐招提寺、がんこ一徹長屋、垂仁天皇陵、菅原はにわ窯公園、喜光寺、西大寺)
- 柳生(芳徳寺、圓成寺、旧柳生藩家老屋敷、正木坂道場、柳生花しょうぶ園、ほうそう地蔵、一刀石、峠茶屋)
- その他(大安寺、田原の里、月ヶ瀬温泉、月ケ瀬梅林、都祁高原)
[編集] 祭り・行事
- 若草山山焼き(1月)
- 大安寺光仁会(1月)
- 東大寺修二会(お水取り)(3月)
- 西大寺大茶盛式(4月)
- 平城遷都祭(4月)
- 薪御能(5月)
- 唐招提寺うちわまき(5月)
- 率川神社三枝祭-ゆり祭-(6月)
- 大安寺竹供養(6月)
- 大文字送り火(8月)
- 春日大社万燈籠 (2月、8月)
- なら燈花会(8月)(なら燈花会)
- バサラ祭り(8月)
- 芝能(9月)
- 采女祭(9月)
- 鹿の角きり(10月)
- 正倉院展
- 春日若宮おん祭(12月)
[編集] 土産物
[編集] 施設
[編集] 博物館
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[編集] 文化施設
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[編集] 娯楽施設
- 奈良ドリームランド(2006年8月31日限りで閉園)
- 奈良競輪場
- 針テラスベリーファーム・・・西日本最大級の苺農園。針テラスベリーファーム
[編集] 奈良市に関連する人物
[編集] 歴史的人物
[編集] 奈良市出身の一般の有名人
[編集] 政官界
[編集] 学究
[編集] 芸術
[編集] 芸能
- 明石家さんま(タレント)
- 幾田愛子(イクタ☆アイコ、歌手)
- 堂本剛(歌手、KinKi Kids)
- 藤崎奈々子(タレント)
- 新田一郎(歌手、ミュージシャン)
- 八嶋智人(俳優)
- 加藤雅也(俳優)
- 西田幸治(笑い飯)
- 小堀裕之(2丁拳銃)
- 松永京子(タレント)
- 堀あかり(タレント)
- 中村優(タレント)
- 樋口宗孝(ミュージシャン、LOUDNESS)
- 永田良輔(俳優)
[編集] スポーツ
[編集] その他
[編集] 電話番号
- 奈良市の電話番号の市外局番は「0742」で、都祁地区及び月ヶ瀬地区は「0743」を使用しているが、双方とも奈良MAに属しており、市内料金が適用される。
- 市外局番0743の地域は、大和郡山市、天理市、生駒市、山添村および京都府相楽郡の笠置町と南山城村へは市外局番なしで通話可能である。
- 当面は市内局番の三桁化は予定されていないが、実現すれば市外局番は市内および上記の地域で「074」で統一される可能性が高い。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 日本の都道府県庁所在地
-
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