特別区
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特別区(とくべつく)とは、日本においては地方自治法第281条第1項に規定する「都の区」である。以下、日本の特別区について記す。
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[編集] 概説
2006年現在、東京都に23存在する。2006年10月1日現在、23区を合計した推計人口は853万5792人、面積は621.49km²である。政令指定都市(地方自治法第252条の19第1項に規定する指定都市)に設置される区(行政区)とは違い、独立した法人であり市町村に準じた地方公共団体として機能するが、市町村よりも都が処理する事務が多い。
都道府県市町村が普通地方公共団体であるのに対して、特別区は特別地方公共団体であるため、通常の市町村とは異なった扱いを受けることも多い。地方自治法では、第281条の2第1項で「都と特別区との役割分担の原則」として、特別区のおかれている区域では、市町村の事務でも、大都市地域における行政の一体性と統一性の確保の観点から当該区域を通じて一体的に処理することが必要である事務は、都が特別区を包括する広域の地方公共団体として処理することになっている。このため、都と特別区の事務の処理については、「都と特別区」及び「特別区相互の間」の連絡調整を図るため、都と特別区によって都区協議会が設けられている。
特別区は区長を公職選挙法に基づいた選挙によって選出する。区議会もあり、区議会議員も区長同様に選挙によって選ばれる。また、各種公共施設(学校や体育・文化施設、福祉施設など)も各区で設置できる。
特別区は今のところ東京都にしか存在していない。しかし、法では「都」の定義をしていないので、法律上は東京以外の地域に都を設置し、そこに特別区を設置する事も可能である。行政のスリム化及び地域活性化の案の一つとして、大阪市及び大阪府が合併し「大阪都」を設置するという構想もある。
[編集] 特別区と市の相違点
特別区は、市が行う事務のうち「上下水道」と「消防」に関しては行えず、「都」が行う。
市にはない特例として、「都区財政調整制度」がある。具体的には、法人市町村税、固定資産税、特別土地保有税、事業所税、都市計画税、国有提供所在地等所在市町村交付金、国有資産等所在市町村交付金、特別とん譲与税、これらは一度「都」に入った上で、財政調整の原資となり、都と特別区が割合を決め、特別区の財源不足額に応じて、財源調整交付金というかたちで、特別区の収入となる。これらは「市」であれば全て市の財源となるものである。
また、社会人野球の都市対抗大会も、23特別区は各チームのホームタウンの特別区の名前ではなく、一律「東京都代表」という形で出場している。(その他の市町村はそれぞれのホームタウンの自治体名の代表として参加)
以上のことから特別区は、独立した地方公共団体でありながら、都の下部組織的な性格も併せ持っている。
また、職員採用を各区役所等ごとに行うのではなく、全区からなる一部事務組合である「特別区人事・厚生事務組合」のもとに設置された「特別区人事委員会」で一括して行っているのも特徴である(同委員会実施の採用試験に合格した者につき、各区役所等が面接などを行い、採用者を決定する。この点、国家公務員や国立大学法人等の採用手法と同様である)。
[編集] 区長公選制
1947年に施行された地方自治法では当初、通常の市町村と同様に特別区の区長も公選とされていた。 東京都の区においては、1946年9月の東京都制改正によって従来東京都長官が官吏である書記官をもって任命するとしていた区長が区住民によって公選されるものに改められており、それが地方自治法下の特別区の区長にも引き継がれた。 しかし1952年の地方自治法改正によって特別区の独立性の制限と都への従属の強化が図られた。区長公選制も廃止されて、区長は区議会が都知事の同意を得て選任することとされた(これを選任制と呼んだ)。
これに対して自治権の拡充と独立性の強化を求める区の動きや美濃部都政下の住民運動の活発化、さらに区議会での区長選任が機能しないことが続いたことなどから1974年に地方自治法が改正されて1975年から区長公選制が復活した。
[編集] 英訳表記
特別区の「区」を表す英単語には ward(“ワード”ではなく“ウォード” 行政区)、city(市)、borough(英国の自治権を持つ特別区、米国の自治町村や行政区)、area(地区) がある。その中でも比較的ward、cityが多く使われる。日本テレビ系列の番組「ズームイン朝」のコーナー「Wickyさんのワンポイント英会話」では一貫してwardが使われていた。日本語のローマ字表記そのままに ku と表記する例もある。
「区役所」の英訳としては city office、city hall や、ward office、ward hall などが用いられる。
2005年現在において、東京都の全ての特別区は cityを公式に使用している。これは地方分権運動を推進し市と同等であることを主張するため、また wardという語が英語を母国語とする人には「独房」や「病棟」を連想させることが多いこと、などがその背景にある。よって、「区役所」の意味では、「市役所」と同じcity office、city hall(機関としての表記はcity government)などが用いられる。
公式サイトのドメインは www.city.chiyoda.tokyo.jp と多摩地域の市と同じ表記となる。道路標識など公的なものの一部には wardやkuを使用しているものも多いが、これは設置された時期が古いためと考えられる。
[編集] 特別区の一覧
これらを総称で「東京23区」と呼ぶことが多い。また政府機関や大企業の本社、証券市場などが集中している千代田・中央・港の3区を都心3区と呼ぶ。このほかに、都心5区(都心3区と新宿区と渋谷区)という表現もあり、特に国土交通省の行政資料や不動産業界で使われている。
東京23区の人口は合計約852万人で、東京都の人口の約67%を占めている。都心の区は、地価が高いだけでなく、面積が狭いことも人口が少ない要因のひとつである。周辺の区ほど人口が多いが、面積最大の大田区より面積第2位の世田谷区の方が人口は多い(大田区は羽田空港の沖合展開による埋め立ての結果世田谷区を抜き最大の区となった)。東京湾沿岸の区は、東京港港湾施設や広大な工場・流通地区を持つため、内陸の周辺区よりも人口密度が低い。人口は2006年5月1日現在のものである。
- 千代田区(4万1744 人)
- 中央区(9万6354 人)
- 港区(18万7379 人)
- 新宿区(30万6003 人)
- 文京区(18万8614 人)
- 台東区(16万7620 人)
- 墨田区(22万8463 人)
- 江東区(42万7878 人)
- 品川区(34万4002 人)
- 目黒区(25万9569 人)
- 大田区(67万5116 人)
- 世田谷区(84万7557 人)
- 渋谷区(20万4643 人)
- 中野区(31万3041 人)
- 杉並区(53万5410 人)
- 豊島区(25万3497 人)
- 北区(32万7415 人)
- 荒川区(18万9780 人)
- 板橋区(52万7962 人)
- 練馬区(68万5989 人)
- 足立区(62万5031 人)
- 葛飾区(43万2295 人)
- 江戸川区(65万0861 人)
[編集] 所属未確定地
公有水面が埋め立てられて生じた土地については、行政上の所属が未確定の場合がある。
- 東京高速道路及びその高架下(西銀座デパート等)
- 皇居外濠、京橋川、汐留川を埋め立てて作られたものであるが、外濠は千代田区、中央区、汐留川は中央区と港区の境界線になっており、東京高速道路及びその高架下は区界の上に存在する。こうした経緯により、その行政上の所属は未確定のままである。
- 中央防波堤内側埋立地、中央防波堤外側廃棄物処理場
- 中央区・港区・江東区・品川区・大田区がそれぞれ所属を主張し未確定となっている。
[編集] 特別区の電話番号について
- 市外局番としては主に03が使用される(練馬区の一部を除く。また市外局番03は、狛江市、調布市、三鷹市も一部地域でも使用されている)。
- 東京都特別区の市内局番は以前は3桁であったが、対象となる電話加入者の急激な増加に対応しきれなくなってきたため、1988年ごろから新規加入者を中心として段階的に5で始まる4桁のものが使い始められた。1991年1月1日からは、既存の3桁の市内局番の利用者についても、その前に3を加えた4桁に変更することで、全面的に4桁に切り替えられた。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 東京都の自治体
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