郵便局
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郵便局(ゆうびんきょく)は、日本において郵政3事業の現業事務を行う事業所。一般の企業でいう支店や営業所に当たる。 旧逓信省、郵政省、総務省郵政事業庁を経て2003年4月1日以降は日本郵政公社が管轄している。 郵便配達・収集の地区拠点であり、簡易保険や郵便貯金の業務にも当たる。郵便局の設置基準は日本郵政公社法に基づく総務省令により規定されており、日本郵政公社は、同法の施行の際現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とすることとされている。
特に注記がない場合、以降の記載はすべて日本国内の郵便局についての記述である。
郵便局に関する文化的側面については郵便趣味を参照。
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[編集] 日本の郵便局の定義
日本の郵政事業は時代とともにその事業主体がさまざまに移り変わり、その変遷とともにそれらの根拠法が示す郵便局なるものの定義や設置趣旨なども多少異なっている。
[編集] 郵政省
郵政省設置法では国家行政組織法にもとづき、いわゆる郵政事業を一体的に遂行する責任を負う唯一の政府機関として郵政省が設置された。郵政省設置法に基づき、郵便局は郵政省の事務の一部を分掌する地方支分部局の一つとされ、その名称、管轄区域、所掌事務及び内部組織は、郵政大臣が定めることとされた(廃止前の郵政省設置法第六条)。
[編集] 郵政事業庁
郵政省が廃止され、同時に総務省がおかれると、あらたに郵政事業をおこなう総務省の外局として郵政事業庁が設置された。郵政事業庁設置法においても、郵便局は郵政事業庁におかれる地方支分部局の一つとされ、郵政事業庁の所掌事務のうち、現業事務の全部又は一部を分掌するものとされた。また、その名称、位置、管轄区域、所掌事務及び内部組織は、総務省令に委ねられることとされた(廃止前の郵政事業庁設置法第十一条)。
[編集] 日本郵政公社
プログラム法である中央省庁等改革基本法に基づき日本郵政公社法が定められ、日本郵政公社が郵政事業を実施する国営の新たな公社として発足した後は、郵便局の設置主体も公社に移った。同法では、郵便局を、総務省令で定めるところにより、あまねく全国に設置しなければならないものとして定めており、その省令を定めるに当たっては、地域住民の利便の確保について配慮することとされている(日本郵政公社法第二十条)。
[編集] 郵便局株式会社
郵政民営化法により、日本郵政公社は解散し、郵便窓口業務及び郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務を引き継ぐものとして、郵便局株式会社が設立される。郵便局株式会社法では、会社の営業所であって、郵便窓口業務を行うものであればすべて郵便局であると定義しており、また、営むことができる郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務として、銀行業及び生命保険業の代理業務が例示されている。同法における郵便局の設置基準としては、「総務省令で定めるところにより、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならない」と規定されており、日本郵政公社法に規定する「地域住民の利便の確保についての配慮」とは文言上異なる規定がなされている(郵便局株式会社法第五条)。
[編集] 郵便局の業務
郵便局では以下の業務を取扱う。
- ※郵便貯金業務に関連する「取扱局番号(マルチ)」の一覧表が、郵便貯金#取扱局番号にある。
- 簡易保険業務:簡易保険、郵便年金(現在は簡易保険に統合)
どの郵便局でも、原則として上記の全ての業務を行う。国体・博覧会会場などに設けられる臨時出張所や、自衛隊の艦船内などに開設される船内郵便局などには、郵便業務のみを行うものもある。
富士山頂局(静岡県富士宮市)や上高地局(長野県松本市)などは、開設が季節限定ではあっても設置自体が「常設」のため、定期開設局と呼ばれる。郵便業務のみを行う。
また、農業協同組合・漁業協同組合が受託する簡易郵便局の中には、郵便貯金・簡易保険を取扱わない局もある。貯金業務においては、小切手法により銀行と同視されている。簡易郵便局は、郵便業務は必須、郵便振替・郵便為替は大半の局で取り扱うが、それ以外の業務は取扱わない局がある。
1990年代の一時期「シティポスト」と称し、都市部の百貨店・地下街・旅行代理店内にカウンターのみの郵便局窓口を設けることが流行したものの、現在その多くは廃止されている。分類としては簡易郵便局の一種である。
[編集] 郵便局の分類
普通郵便局と特定郵便局は、それぞれ集配郵便局(窓口業務と集配業務を行う)と無集配郵便局(窓口業務のみを行う)とに分けられる。簡易郵便局は窓口業務のみを行う。
これらの郵便局は後述の分室・出張所・臨時出張所を除き、固有の取扱局番号(5桁。為替番号とも)を持っている(後述)。
なお、平成19年10月の民営化・分社化を控え、平成18年9月以降、集配郵便局の削減(無集配局化)や、残る集配郵便局については郵便物の区分を行い時間外窓口(ゆうゆう窓口)のある統括センターと、郵便物の区分を行わず時間外窓口のない配達センターに細分化される予定である。(参考)
他に、船舶内に設けられる船内郵便局というのもあるが、普通郵便局の一種である。
[編集] 分室・出張所
郵便局の下部に属する「分室」や「出張所」「臨時出張所」も存在する。
[編集] 分室
分室は窓口分室(例:東京中央局財務省内分室)、集配分室(例:新宿北局落合長崎分室;現存せず)、作業分室(例:杉並局小包分室)や私書箱分室(例:渋谷局新大宗ビル内分室)などに分かれる。窓口分室は基本的に小規模な局舎だが、名古屋中央局名古屋駅前分室のように、元々中央郵便局だった局舎を流用したために大規模なものもある。
分室は固有の取扱局番号を持たず、属する普通郵便局の取扱局番号の後ろにアルファベット1文字を付して区別する。郵便日付印には本局名と並んで分室名が入る。これらは郵便局より下位であっても一応独立した局所としての地位を示すものである。
集配普通郵便局が集配業務を廃止した場合、以前は特定郵便局へ局種改定することが多かったが、最近は分室化する事が多い。これは、分室の方が営業時間・取扱事務を柔軟に設定できることや、郵政民営化に向けた郵便局削減圧力への対応とされている。なぜなら、郵便局長を減らせば郵便局を減らしたことになるためである。
[編集] 出張所
出張所はスーパー等に設置されたATMの正式名称であることがほとんどである。
[編集] 臨時出張所
臨時出張所は文字通り、臨時に設けられる郵便局である。ほとんど常設の窓口であったり、単なるワゴンセールだったりと千差万別である。
臨時出張所と称しながら常設の有人窓口を有する出張所があり、岡山中央局・天満屋内出張所(ポスタルショップ桃太郎)や岡山中央局・岡山市役所内出張所(市役所ポスタルショップ)が現存する。過去には日本橋局・東急百貨店内出張所(ポスタルショップ日本橋)、KDDビル内局・アネックス出張所(現在は出張所跡に本局が移転)や仙台駅内局・仙台駅東口出張所が存在した。
またかつて平野局(大阪市)や奈良西局(奈良市)、尼崎北局(兵庫県尼崎市)では、普通郵便局改築に当たっての仮局舎を「臨時出張所」と称していた(1992年当時)。
[編集] 海外の郵便局
- 日本でもかつては郵便局で電報の受付や、局によっては配達も扱っていたが、国によっては、郵便と電信電話業務を同じ組織が取り扱っているところもある。そのようなところでは郵電局と訳すこともある。
- 中国では、郵便、貯金、電話、新聞販売店舗を同じ場所で扱っている郵便局がある(窓口は業務別に分かれている)
- 台湾(中華民国)では、業務の内容が日本同様に郵便、貯金、簡易保険であり、日本でいうところの特定局のような小規模局も多数存在し、日本と似ているといえよう。
- 大韓民国では郵便、預金(貯金という用語は使用していない)、郵便局保険(簡易保険に相当)を取り扱っている。ただし郵便取扱所では預金と郵便局保険は取り扱わない。また、水協(日本の漁協に相当)、農協を含むすべての金融機関と電算網がつながっている。特定郵便局に相当する別定郵便局(별정우체국:ピョルジョンウチェグッ。別に定めたという意味)がある。
[編集] 関連項目
- ゆうメイト
- ゆうゆう窓口
- 郵便ポスト
- 郵便局止め
- 鉄道郵便局
- 郵便番号
- 郵便物
- 切手
- 消印
- 郵便趣味
- 隕石 - 隕石には郵便局の名前をつける。
- CTM - 係員操作型の貯金・保険の端末機はCTMと呼ばれる。
- 現金自動預け払い機
- Japan Post System
- ボイスコール
- 日本郵政株式会社
- 郵便局株式会社
- こども郵便局
- 野戦郵便局