長崎市
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
|
長崎市(ながさきし)は、九州の北西部に位置する都市で、長崎県の県庁所在地である。旧西彼杵郡。
目次 |
[編集] 概要
鎖国体制であった江戸時代には、国内唯一の江戸幕府公認の国際貿易港(対オランダ、対中国)・出島を持つ港町であった。このため、出島跡を初めとして、異国情緒に満ちた港町として有名である。
又、広島市に次ぐ世界史上二番目の、そして最後の核兵器(原子爆弾)被災都市としても知られる。 (ただし、日本では第五福竜丸事件として知られているよう1954年にマーシャル諸島共和国などの国も被爆しており、長崎市が最後とは言えない面もある)。
[編集] 地理
長崎半島および西彼杵半島を市域とする。諫早市、西海市、西彼杵郡時津町・長与町に隣接する。
市の形状は全国的に見ても数少ない「すり鉢」状となっている。市の中心部は三方を山に囲まれており、女の都(めのと)・三原・本原・西山・片淵・小島(こしま)・稲佐・小江原(こえばる)・西町・滑石(なめし)など住宅地の多くは山の斜面を利用している。そのため「階段の街」「坂の街」として有名である。坂が多いため自転車に乗る人は少なく、他都市でしばしば問題になる放置自転車などの問題は少ない(その代わり原付バイクが多く、ナンバープレートの登録番号が5桁になっている。また、「自転車屋」を名乗りながらも原付バイクだけを扱う店も多い)。年齢層を問わず、自転車に乗れない人の割合も他の都市に比べて高い。
市の中心部を流れる川には、北部から南下し長崎港へ注ぐ浦上川と、市の北東部から長崎港へ注ぐ中島川とがある。それぞれ川沿いにわずかな平地と埋立地があり、商業地や公共施設はそこに集中する。
長崎港の外海は五島灘や橘湾に面しており、急峻な海岸線が多いが、河口部などのわずかな平地に漁港と集落が点在する。
- 東部(橘湾・天草灘) - 宮摺(みやずり)・茂木・飯香浦(いかのうら)・日見・矢上・戸石など
- 西部(五島灘) - 神浦・出津(しつ)・黒崎・三重・畝刈(あぜかり)・式見・小江・福田など
- 南部(五島灘-天草灘) - 深堀・香焼・蚊焼・高浜・野母・脇岬・樺島・川原・千々など
- 北部(大村湾) - 西海(にしうみ)・村松・大石・戸根・長浦・形上・小口など
北西部の三重・畝刈地区や東部の矢上・かき道地区などは近年開発が進み、住宅地が増えた。
2005年1月4日の市町村合併では、長崎半島西南部や有人島の離島である伊王島・高島・池島、石炭産業の衰退で無人島となった端島(通称:軍艦島)が編入合併された。さらに2006年1月4日の市町村合併では大村湾沿岸の旧琴海町が編入合併された。
2005年12月11日に、長崎港の両岸の女神地区、木鉢地区を結ぶ「女神大橋(通称:ヴィーナスウィング)」が完成した。これは中央径間長が480メートルに達し、全長は1289メートルで、斜張橋としては横浜ベイブリッジを上回って全国第6位の長さとなる。将来的に長崎自動車道と接続され、長崎市街地南部一円を循環する長崎南環状線の一部となる見通しである。
ダムは浦上水源地・本河内水源地・鹿尾(かのお)ダム・神浦ダムなどがあるが、市街地に近い水源では環境が悪く、上水道事情はあまり良くない。また斜面が多いために下水道の整備も目下進行中という状況である。
[編集] 気候
年間平均気温は17.4℃、年降水量は約1,678mmである。海と川に面しているためか、九州の他の都市に比べても寒暖の差は小さい。
[編集] 歴史
[編集] 年表
行政区域の変遷は別記。
- 1567年 宣教師ルイス・デ・アルメイダによるキリスト教の布教
- 1570年 大村純忠わずか百戸あまりの寒村であった大村領長崎を開港(いわゆる長崎開港)
- 1571年 ポルトガル船来航(~1639年)
- 1580年 領主大村純忠、長崎・茂木をイエズス会に寄進
- 1582年 天正遣欧少年使節出発
- 1592年 豊臣秀吉、長崎を直轄領とし奉行を置く
- 1597年 豊臣秀吉による日本二十六聖人の殺害
- 1604年 糸割符制度
- 1605年 江戸幕府、長崎を天領とする
- 1622年 元和の大殉教でキリシタンたちが殺害される
- 1635年 出島完成、ポルトガル人を収容する
- 1641年 オランダ東インド会社の平戸商館、出島に移転
- 1673年 英リターン号来航、通商要求は拒絶
- 1689年 唐人屋敷完成
- 1690年 エンゲルベルト・ケンペル来日
- 1698年 長崎会所設置
- 1804年 ニコライ・レザノフ来航
- 1808年 フェートン号事件
- 1823年 シーボルト来日、(翌年、鳴滝塾開設)
- 1828年 シーボルト事件
- 1853年 プチャーチン来航
- 1854年 長崎港を開放
- 1855年 長崎海軍伝習所開設(~1858年)
- 1859年 出島オランダ商館閉鎖
- 1865年 大浦天主堂のベルナール・プティジャン神父、隠れキリシタン発見
- 1870年 外国人居留地完成
- 1878年 長崎区役所設置
- 1889年4月1日 市制施行で長崎市が発足する。
- 1899年 居留地回収
- 1940年 三菱造船所で戦艦武蔵進水
- 1945年8月9日 午前11時2分、アメリカ軍により原子爆弾が投下される。7万人以上の住民が死亡し、市内家屋の約36%が壊滅。
- 第二次大戦後
- 1955年8月 平和祈念像完成
- 1972年10月2日 長崎トンネル(長崎本線・新線)開通
- 1977年10月15日 平戸発長崎行きの西肥バスが阿蘇赤軍を名乗る人物によりバスジャックされる(長崎バスジャック事件)
- 1977年11月 国際観光文化都市に指定される
- 1981年2月 ヨハネ・パウロ2世長崎訪問
- 1982年7月23日 最大1時間雨量が111.5mmという記録的な大雨が降り299人が犠牲となった(長崎大水害)
- 1990年1月18日 本島等市長暗殺未遂事件発生
- 1991年 東山手・南山手が、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定される
- 1997年4月1日 中核市に指定される
[編集] 事始め
- 英字新聞(日本初) ナガサキ・シッピング・リスト・アンド・アドバタイザーを参照
- 国際電信(日本初)
- 缶詰製造(日本初)
- 汽車
- 日本初の蒸気機関車が走った場所である。慶応元年(1865年)イギリス人商人のグラバーが上海から輸入した英国製蒸気機関車「アイアン・デューク」号を大浦海岸(数百メートル)で走らせたことから、長崎市梅香崎町の市民病院前に「我が国鉄道発祥の地」の碑がある。「鉄道発祥記念碑」は日本で初めて鉄道の営業運転(1872年)が行われた横浜市にある。鉄道の歴史_(日本)を参照
- 気球飛揚の地(日本初)
- コーヒー(伝来)
- ジャガイモ(伝来)
- 鉄橋(日本初) 銕橋を参照
- バドミントン(伝来)
- ボウリング場(日本初)
- ヨット(日本初) 英国人船大工が英国商人の注文で建造した。ヨットの項の歴史を参照
[編集] 行政
- 市長:伊藤一長
- (1995年4月~、現在3期目。2006年4月現在、九州市長会の会長を務める。)
- 長崎市広報課: 長崎市桜町2-22 TEL.095-829-1114
[編集] 行政区域の変遷
- 1889年4月1日 - 市制施行により、長崎市が発足する。同時に、町村制施行により、 西彼杵郡上長崎村・下長崎村・戸町村・淵村・浦上山里村・西浦上村・小ヶ倉村・土井首村・小榊村・福田村・深堀村・日見村・茂木町・式見村・矢上村・戸石村・古賀村・三重村・香焼村・伊王島村・高島村・野母村・脇岬村・樺島村・高浜村・為石村・川原村・蚊焼村・神浦村・黒崎村が発足する。
- 1898年10月1日 - 上長崎村の一部・下長崎村・戸町村・淵村を編入する。
- 1920年10月1日 - 上長崎村・浦上山里村を編入する。
- 1938年4月1日 - 西浦上村・小ヶ倉村・土井首村・小榊村を編入する。
- 1948年10月1日 - 高島村が町制を施行し、高島町となる。
- 1950年4月1日 - 福田村の一部を編入する。
- 1955年1月1日 - 福田村・深堀村を編入する。
- 1955年2月1日 - 日見村を編入する。
- 1962年1月1日 - 茂木町・式見村を編入する。
- 1963年4月20日 - 東長崎町を編入する。
- 1973年3月31日 - 三重村を編入する。
- 1973年4月1日 - 時津町の一部を編入する。
- 2005年1月4日 - 香焼町・伊王島町・高島町・野母崎町・三和町・外海町を編入する。
- 2006年1月4日 - 琴海町を編入する。
[編集] 産業
- 工業、造船業
- 三菱重工長崎造船所、三菱電機などの工場が集中。長崎が三菱の企業城下町とも言われる所以である。
- 観光業
- 鎖国時代から海外に開かれていたことから、異国情緒のある街として知られている。原爆の被害を受けていることから、平和学習を目的に修学旅行に訪れる学校も多い。
- 水産業
- 長崎港は、捕鯨や東シナ海を漁場とする「以西底引き網」の基地「長崎漁港」としても繁栄してきた。1989年に市北西部の畝刈・三重地区に主な漁港機能を移転した。長崎漁港以外にも多くの漁港がある。
- 畜産業
- 西彼杵半島南部では肉牛・乳牛の養育も行われている。
[編集] 本社を置く主な企業
|
[編集] 姉妹都市・友好都市
- 日本国内
- 海外
[編集] 学校
[編集] 大学
[編集] 短期大学
[編集] 高等学校
|
|
[編集] 中学校
- 国公立
|
|
|
- 私立
|
[編集] 小学校
|
|
|
- 私立
- 聖マリア学院小学校
- 長崎精道小学校
- 精道三川台小学校
- 長崎南山小学校
- このうち池島、高島、日吉、南、南陽小・土井首中開成分校は小中併設校である。
[編集] 養護学校
- 長崎大学附属養護学校
- 長崎県立長崎養護学校
- 長崎県立鶴南養護学校
[編集] 交通
- 最寄り空港は大村市にある長崎空港。
- バスは県営(長崎県交通局)と、民間バス会社(長崎自動車)が運営。長崎市が運行するコミュニティバスが8系統ある(業務は長崎自動車、さいかい交通、富川運送に委託)
- 市内を、南北に路面電車(長崎電気軌道)の線路が伸びており、市中心部と、北部の副都心、南部の観光地区(南山手など)を結んでいる。路面電車は、大部分は国道を走っており、浦上川沿いの一部区間などは路面電車専用線を走行する。
- 駅前にはバス停・電停・バスターミナルがある。
[編集] 鉄道
[編集] 高速道路
(芒塚:すすきづか)
[編集] 一般国道
[編集] 県道
|
|
[編集] 高速バス
下記各社の記事を参照。
[編集] 海運
- 長崎港
[編集] 定期航路
[編集] 観光
[編集] 名所・旧跡
※以下の「史跡」「重要文化財」は国指定の史跡及び重要文化財を指す。
|
[編集] 祭り・年中行事
|
[編集] 名産品
|
[編集] 長崎市を舞台にした作品
[編集] 映画
- いつか読書する日(ロケ地)
- 解夏
- 精霊流し
- 長崎ぶらぶら節
- 若い人(1962年日活)
- 7月24日通りのクリスマス(2006年11月3日公開)
[編集] テレビドラマ
[編集] ご当地ソング
- 長崎は今日も雨だった(作詞:永田貴子/作曲:彩木雅夫/歌:内山田洋とクール・ファイブ、1969年)
- 長崎の夜はむらさき
- 精霊流し(作詞・作曲:さだまさし/歌:グレープ)
- 中の島ブルース(作詞:斉藤保/作曲:吉田佐/歌:内山田洋とクールファイブ、1975年。※3番で長崎が登場する)
- 長崎の女(ひと)
[編集] 出身有名人
[編集] その他
[編集] ご当地検定
- 長崎検定 長崎商工会議所が実施。
[編集] コミュニティFM
- 長崎市民エフエム放送:76.7MHZ
- 長崎シティFM:81.3MHZ
[編集] 「長崎」が付く慣用語
- 江戸の仇を長崎で討つ - 思わぬ場所で昔の恨みを晴らすこと。又は、筋違いな内容で仕返しをすること。
[編集] 唱歌
1900年(明治33年)に大和田建樹によって作詞された『鉄道唱歌』第2集山陽・九州編では、長崎はこの歌の終点の地となることもあって、5番を割いて歌っている。
- 64.千代に八千代の末かけて 栄行く御代は長崎の 港にぎわう百千船(ももちぶね) 夜は舷灯の美しさ
- 65.汽車よりおりて旅人の まず見にゆくは諏訪の山 寺町すぎて居留地に 入ればむかしぞ忍ばるる
- 66.わが開港を導きし 阿蘭陀(オランダ)船のつどいたる みなとはここぞ長崎ぞ 長くわするな国民(くにたみ)よ
- 67.前は海原はてもなく 外(と)つ国までもつづくらん あとは鉄道一すじに またたくひまよ青森も
- 68.あしたは花の嵐山 ゆうべは月の筑紫潟 かしこも楽しここもよし いざ見てめぐれ汽車の友
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 日本の都道府県庁所在地
-
北海道: 札幌市 東北: 青森市 | 盛岡市 | 仙台市 | 秋田市 | 山形市 | 福島市 関東: 水戸市 | 宇都宮市 | 前橋市 | さいたま市 | 千葉市 | 東京特別区(新宿区) | 横浜市 甲信越: 甲府市 | 長野市 | 新潟市 北陸: 富山市 | 金沢市 | 福井市 東海: 岐阜市 | 静岡市 | 名古屋市 | 津市 関西: 大津市 | 京都市 | 大阪市 | 神戸市 | 奈良市 | 和歌山市 中国: 鳥取市 | 松江市 | 岡山市 | 広島市 | 山口市 四国: 徳島市 | 高松市 | 松山市 | 高知市 九州/沖縄: 福岡市 | 佐賀市 | 長崎市 | 熊本市 | 大分市 | 宮崎市 | 鹿児島市 | 那覇市