ラーメン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ラーメンとは、中華料理を元とした、中華麺と汁(スープ)を主体とした日本の大衆食、及びそこから派生した麺料理の総称。「拉麺」とも記す。
目次 |
[編集] 概要
鹹水(かんすい)を使った中華麺をゆで、豚骨や鶏がら、野菜、煮干しなどを煮込んで取った出汁でかえしを割ってスープを完成させ、焼豚、メンマ(支那竹)、葱などの具を載せる形が多い。ただしこれはあくまで基本であり、大衆食であるが故、ほとんどの制約のない状態で発達をし、多くの例外や派生形が存在する。この為、今日のラーメンの全体像を正確に定義する事は非常に難しい。
日本においてはB級グルメの代表的な物の一つであり、かつ非常に人気の高いメニューであり、学食などの様な多くのメニューを扱う食堂ではメニューに含まれる事が多い。
中華料理を源流とはしている物の、日本で独自に発達した麺料理であり、香港や台湾においては「日式拉麺」(日本のラーメン)と呼ばれる日本の料理である。
[編集] 麺
ラーメンに使われる麺は中華麺と呼ばれ、小麦粉(強力粉)に鹹水を使用してつくる、黄色い物が基本となる。鹹水は、炭酸カリウムと炭酸ナトリウムの混合物(リン酸塩が含まれる場合もある)であり、そもそもは、内モンゴルにあるかん湖の水を用いると、おいしい麺が作られることが発見されたことから、中華麺の製造に使用されるようになった。鹹水がアルカリ性であることにより、小麦粉の蛋白質グルテンの性質を変化させ、麺にコシとつやを与え、小麦粉に含まれるフラボノイドを黄色化し、独特の麺の色をあたえる。加水率(麺を作る際に小麦粉に混ぜる水の割合)が高いほど麺は柔らかくなり、通常は35%程度である。
[編集] 無鹹水麺
現在はJASによりその成分が規定され、安全面での問題はないとされているものの、戦後しばらくの間粗悪品が出回ったこともあり、鹹水の健康面への安全性に対し疑問を持つ声もある。また鹹水は人によっては強い拒否感をしめす独特の匂い持っている。こうした鹹水に対する否定的な立場を取る人達の為、鹹水の代わりに卵などを用いた無鹹水麺が存在している。
[編集] その他の麺
今日のラーメン店は激しい競争関係にある事から、他店との差別化の為に様々な種類の麺が存在する。例としては小麦粉に蕎麦粉を混ぜ合わせて蕎麦に近づけた物や、唐辛子などを混ぜ込み麺自体に味を付加したものなどがある。
[編集] スープ
ラーメンのスープは基本的にタレ(かえし)を出汁で割る事によって完成する(出汁の事をさしてスープと呼ぶ事も多いが、混同を避けるため本稿では出汁と記述する)。近年はこれに加え油を浮かせる所も多い。
タレの種類によって醤油・塩・味噌の3種類を提供するラーメン屋が多かったが、近年のラーメンブーム以降は1種類のみの店も少なくない。これら代表的な3種の他、トマトラーメンのように欧風の味のものや、カレーラーメンのようにカレー味のものなどもある。
ラーメンのスープには、材料から引き出された、エキスがたっぷりであり、アミノ酸、核酸、ミネラルなどの栄養分も豊富であるが、一般的に塩分も多く含むのが難点である。
[編集] タレ
醤油味・塩味・味噌味といった味の種類を決める、かえしとも呼ばれる調味料。なお味噌の場合はペースト状が多く、塩の場合は粉末の場合もあり必ずしもタレ状ではない事もある。多くの店では1種類の出汁に対して、醤油・塩・味噌といった異なるタレを使う事によって味のバリエーションを作っている。タレを出汁と分ける事には味のバリエーション以外にも味を一定に保つという重要な意味がある。常に火にかけ、煮続けている出汁に直接味付けをしてしまうと、調味料の風味が飛んでしまい味が悪くなり、また水分の蒸発により徐々に煮詰まり塩っぱくなり味を保つ事が困難となるからである。
[編集] 出汁
様々な素材を煮込む事によって作られるスープの土台。ラーメンの場合この出汁のみの事を指してスープと呼ぶ事も多い。出汁は1種類のみでタレの種類によって味のバリエーションを付ける店が多いが、近年はタレの種類に合わせて出汁も数種類とるような店も存在する。鶏ガラ、豚骨、牛骨、鰹節、サバ節、煮干し、あご、昆布、炒り大豆、椎茸、玉葱、長葱などがよく利用される。
[編集] 油
葱油や海老油と言った香り付けをした油(鶏油を使う事が多い)を表面に浮かせ風味を豊かにする。近年では油を数種類用意する事によって味のバリエーションを増やす店も見られる。用途は、口触りを滑らかにするためや寒冷地などではスープの熱が逃げないように油膜を作る効果がある。
[編集] 具
叉焼(チャーシュー)とメンマ(支那竹)と刻み葱の3種類はほとんどの場合入っている定番中の定番であり、これに続き、卵(生卵、ゆで卵、味付卵)、海苔、鳴門巻き、野菜炒め、白髪葱等も多く見られる。その他、焦がし葱やワンタン等意向を凝らした店独自の物も見られる場合がある。
具はトッピングとして追加出来る、もしくは追加された物が「味玉ラーメン」「ネギラーメン」等とメニューバリエーションとなっている事が多い。叉焼を追加した「チャーシューメン」はラーメン屋の花形メニューとして非常にオーソドックスな物であり、庶民の贅沢の象徴とされる事もある。逆に、スープと刻みねぎ程度のほとんど具の無いラーメンを素ラーメンという。
[編集] 具の種類
- 叉焼(チャーシュー)
- 本来の焼豚である事はまず無く、ほぼ煮豚。部位はモモ、バラが多い。
- メンマ(支那竹)
- 筍を醗酵させたもの。独特の食感を持つ。
- 味付卵
- 名前の通り味のついたゆで卵で、味卵と略される事も多い。煮卵と呼ばれる事もあるが実際に煮ている物は非常に珍しく、調味液に浸して味を付ける。味は醤油をベースとする事がほとんど。店によって完熟の場合も半熟の場合も見られ、また燻製にした薫玉(くんたま)を使う店もある。
- 葱
- 地域によって細かく刻んだ青葱、輪切りにした九条葱などを用いる。また、長葱の白い部分を繊切りにした白髪葱を用いる地域も東日本にかけて多い。
- 焦し葱
- 葱を油で揚げたもの。
- 野菜炒め
- モヤシが使われる事が多い。また、モヤシが単独で使用されることもある。チャーシューの代わりに豚肉を入れた野菜炒めを乗せるバリエーションも見られる。
- バター
- 味噌ラーメンのトッピングとして見られるもので、コクが増す。そのほか、ラードのような断熱効果がある。東日本に多い。
- ナルト
- 渦巻き模様の蒲鉾で、彩りを添えるために用いられる。東京ラーメンでは定番。蒲鉾を用いる地域もある。
- 海苔
- 醤油ラーメンと共に供される。東京ラーメンや横浜ラーメンでは定番で、独特の風味が加わる。蕎麦料理に由来する。
- きくらげ・高菜
- 豚骨ラーメンでは主流の具。トッピング感覚で用いられる。
[編集] 歴史
今や、日本の国民食・日本料理ともよべる位置づけを得た、日本独自の発展を遂げた麺類であるが、その原型は中華料理にある。
日本で最初にラーメンを食べたのは徳川光圀(水戸黄門)だという説がある。これは明から亡命してきた儒学者の朱舜水が水戸藩に招かれた際に中国の汁麺を献上したとの記録があり、これがラーメンであったとするものである。
本格的な日本への伝搬の起源として明治時代の神戸や横浜などの中華街で提供されたことに始まるとする説と大正時代の北海道から始まった塩ラーメンとする説がある。
日本でのラーメンの普及には大きく二つの流れが存在する。
第一に、中国からの移住者の営む中華料理屋や戦後の大陸からの引揚者を中心に営まれた日本風の中華料理屋におけるメニューとしてである。ここではもやしそばやタンメン、ワンタンメン、広東メンなどラーメンに対する調理法を主眼としてメニューが区別されている。味噌や塩ラーメンもメニューにある店舗も多い。この他、チャーハン、野菜炒め、麻婆豆腐、餃子などラーメン類以外のメニューも供されており、一般的に中華料理店の方がラーメンのバリエーションが豊富である。
第二に、夜間に屋台で販売したものの流れを継ぐことが多いラーメン専門店における販売である。
近年は減少しつつあるが、深夜時間帯を中心に流しといわれる屋台で販売される。屋台は、古くは江戸時代からの夜鳴き蕎麦屋の風習にのっとり、リヤカーの後ろに調理器具を積み、市中を回りつつ売ったものであった。チャルメラと呼ばれる一種の笛を鳴らして歩いたことから、屋台の俗称をチャルメラという。近年は軽自動車に調理器具を積み、椅子を並べて、主に繁華街などで固定販売することが行われている。
屋台で評判を得た店は固定店舗を開設していった例が多い。専門店の店舗形態としてはカウンターのみ、あるいはテーブルとカウンターからなるものが多い。 専門店では味噌や醤油、とんこつなどスープの味によって、メニューが区別されていることが多い。特定のスープの味に特化した専門店も多い。
特にこれらラーメン専門店のラーメンはスープの採り方に各店独自の工夫を凝らすことで様々な個性が生じ独自の進化発達を遂げた。多くの場合スープのレシピは門外不出とされ、暖簾わけなどをすることで広まっていった。
[編集] ご当地ラーメン
1980年代後半から各地に独特のラーメンの文化が形成されていることに注目が集まり、町おこしの手段として注目され、各地で名物ラーメンのPRが行われるようになった。これには、比較的前から有名であった札幌ラーメンなどが観光に大きく寄与していたことも与っており、喜多方ラーメンなどがその端緒となった。これらは「ご当地ラーメン」などと称され、観光資源として雑誌媒体、テレビマスコミでのPRなどに使用されることもある。その後、これらのラーメンの個性を楽しむ人たちが増え、一大ラーメンブームといった様相を呈している。ただし、いわゆる「ご当地ラーメン」には、単にラーメン店の数が人口に対して多いだけで、実際には味や接客サービスという意味での質が伴っていない場所も存在し、また「ご当地ラーメン」の全国的な乱立による、観光資源としてのインパクトの低下が近年否定できない状況もある。
[編集] 日本国外のラーメン事情
日本国外の多くの国ではラーメン=インスタントラーメンという認識が広がっており、本来のラーメンが存在する国は少ない。韓国のような距離的・歴史的に近い国においても、飲食店で出されるラーメンはほとんどがインスタントである。
現在は、中国・香港の繁華街に、日本のラーメン(日式拉麺)を提供するラーメン街が誕生し、多くの中国人客が訪れて日本食としてのラーメン・ブームが広がっている。 ニューヨーク等でも、寿司と並ぶ日本食として記事になることが少なくない。 スーパーマーケットなどで売られているラーメンはインスタント食品と見られる事が多いようだが、日本ラーメン専門店のラーメンは全く別物と区別され、日本食として評価される事が多い。
中国のラーメン(拉麺)は、南飯北麺と呼ばれるように、米の生産ができない華北地方で多く食べられており、今日の日本のラーメンとスープの味と麺の作り方に大きな違いが見られる。中国では塩味が大半。具はミンチ肉であったり、香菜(シャンツァイ)と呼ばれる香草だけの場合もある。中国で『ラーメン(拉麺)』と指すのは、本来生地をそのまま伸ばして(これを拉と呼ぶ)細長い麺にしたものを指す、他に中国の麺類は、生地を切った『切麺(チーメン)』(日本のラーメンやうどんがこれに近い)、小麦粉の塊を刀で削る『刀削麺(ダオシャンミャン)』がある。
[編集] 呼称の変遷
昭和20年代までは「支那そば」という呼称が一般的で、「チャンそば」(チャンは中国の意)、「南京そば」(南京は「中国の」あるいは「外来の」程度のニュアンスで、都市としての南京を指すものではない)、あるいは単にそば、汁そばなどと呼ばれることもあった。
戦後、一般にも食べられるようになり支那そばや中華そばと呼ばれるようになった(ラーメンという言葉もあったが、中華そばの方が一般的だった)。この為、戦後の一時期、日本では「そば」「おそば」というとラーメンを指し、蕎麦は「日本そば」と呼称していた時代がある。現在も地方の高齢者の中にはこの呼び方をする人が多く、蕎麦屋を起源としているわけではないのにラーメン屋の店名に「そば」の字がある店も存在する。また、一部の中華料理店では長年「五目そば」とも呼ばれてきた。なお北海道では中華そば、支那そばという呼び方はほとんどされない。
1958年(昭和33年)に日清チキンラーメンが発売され爆発的ヒットして以降は「ラーメン」という呼称が標準的となったが、地域によっては中華そばのほうが通りが良い場合や、ラーメンと中華そばを区別して認識される場合もある。
近年ではラーメンの多様化を受けて、懐古的な意味合いから昔風のラーメンを支那そばと呼ぶ店も増加している。
[編集] 種類
上述の通り非常に制約のない料理である事から、その種類は非常に豊富である。なお各地域毎のラーメンは別節#おもな各地方のラーメンを参照。
[編集] タレの種類による分類
- 醤油ラーメン
- 日本独自の調味料である醤油を使うことにより広まったラーメン。本州で主流となっており恐らく最もオーソドックスな味であり、鶏がらや野菜をベースとしたあっさりとした物から、豚骨をベースとしたこってりとした物まで非常に幅広い。好みにより胡椒やラー油、地域によっては玉ねぎ油、酢、黒胡椒などをかける。うどんやそばとは反対に、一般に東京ではあっさりしたものが好まれ、対して大阪ではこってりしたものが好まれる傾向がある。北陸地方や山陽地方などの御当地ラーメンでは、魚介系の出汁を採ることが多く、また高山ラーメンは醤油を味醂などと合わせて煮る、という特殊な製法を用いる。
- 塩ラーメン
- 名前の通り塩によって味付けされたラーメン。中国の麺料理は塩味の物がほとんどであり、最も原型に近い味。他の味に比べて、スープ材料の味がストレートに出る。ご当地ラーメンとして函館の物が有名。
- 味噌ラーメン
- 名前の通り味噌によって味付けされたラーメン。昭和30年代の札幌で誕生した比較的新しいラーメンで、1965年にブームが起き「ラーメンの街」として札幌を全国的に有名にした。こってりとした物が多い。
[編集] 出汁の種類による分類
- 豚骨ラーメン
- 九州で発祥したといわれる。豚骨を使用し、白濁したスープが特徴。茶色が掛かった物もある。発祥地といわれる久留米では濃厚だが、博多はそれを濾すためあっさりしている。また、熊本、宮崎、鹿児島もそれとは一線を画す。東京、和歌山などでは醤油と合わせたもの(豚骨醤油)もあり、大阪のラーメンもその系統に近い。
- 豚骨醤油ラーメン
- 白濁した豚骨スープに醤油のタレを加えたもの。上記の醤油ラーメン・豚骨ラーメンのどちらにも分類可能ではあるが別個のジャンルとされる事が多い。和歌山や徳島の物が有名。
- 魚介系ラーメン
- 鰹節を始めとした魚介類をベースとしたラーメン。近年、スープを売りにしているラーメン屋でよく見られる。
[編集] 派生形
上述の通りほとんど制約なしに発展して行った料理である為様々な派生形が存在する。以下に挙げた物は広義ではラーメン類としてラーメンの中に含まれるが、狭義では「スープに浸かった」通常のラーメンとは区別される。
- 冷やし中華
- 湯で挙げた麺を冷やし、酸味を利かせたタレをかけるのが一般的。夏限定で出される事が多く、風物詩ともなっている。
- 冷やしラーメン
- 冷やし中華とは異なり通常のラーメンを冷たくしたもの。
- つけ麺
- 麺とスープ(つけ汁)を別盛りにし、ざる蕎麦の様に一口分づつつけ汁につけながら食べる。
- 油そば
- スープのないラーメン。麺に濃いめのタレを絡ませて食べる。
- 焼きラーメン
- 焼きそばとラーメンの中間。
[編集] 近種の料理
[編集] 中華料理
[編集] 中華麺を使った料理
ラーメンと同じく中華麺を使用するがラーメンに分類される事はほとんどない料理。
[編集] その他
[編集] おもな各地方のラーメン
[編集] 北海道
- 釧路ラーメン(釧路市)
- 鰹だしをベースに、昆布、煮干しなどの魚介類、豚骨、鶏ガラなどを合わせた醤油ラーメン。味はすっきりしており、後を引かない。麺は極細の縮れ麺で、加水率が高いため、コシがある。
- 北見ラーメン(北見市)
- スライスしてジュース状にした玉葱を使いだしをとった醤油スープ。地元のラーメン屋が地産地消を目指した地域おこしのために立ち上げたブランドだが、発祥となった店は閉店している。
- 旭川ラーメン(旭川市)
- 魚介類と豚骨、鶏ガラなどでダシを取ったスープに醤油を合わせたシンプルなスタイル。寒冷地であるため、熱が逃げないようにラードを使用するが、味は淡泊。麺は細めの縮れ麺で加水率が低いため、スープによく絡む。醤油が喧伝されがちだが、味噌の人気も高く旭川ラーメン=醤油という認識は正確ではない。味噌は濃厚で甘みが主張する独特な味で、札幌の味噌味とは一線を画す。近郊の上川町には「上川ラーメン」があるが、基本スタイルは旭川ラーメンのものである。
- 札幌ラーメン(札幌市)
- 塩味に始まるが、後に味噌味が有名となる。全国のご当地ラーメンの中では最も早く全国区の知名度を得た。味噌ラーメンは濃厚な味噌にニンニクと多量のラードを用いるため、独特のパンチ力がある。具の炒め野菜をスープと一緒に煮込んでしまい、味噌を溶きながら丼に盛りつけるスタイルが多い。麺は加水率がかなり高く、コシがある。味噌味以外の醤油味、塩味も大抵の店で出されているが、他の地方と比べるとやや塩辛さがある。コーンやバターを載せることも多い。バターが使われたのはラードの代わりに使われたのがきっかけ。西山製麺所で作成された麺を使用している店は特に「さっぽろ西山ラーメン」を名乗ることが多い。
- 室蘭ラーメン(室蘭市)
- 他の道内ほど地域ブランドが確立されているわけではないが、伝統的なスタイルが存在する。地元特産の根昆布、鰹節をベースにした醤油味に、太めの縮れ麺を用いる。見た目は非常に濃厚だが、昆布だしがベースなので、味は淡泊。一方、以胆振地方には一ラーメン屋が広めたカレーラーメン(あんかけ状になっている)が存在し、室蘭、苫小牧にはカレーラーメンを提供する店が多い。
- 函館ラーメン(函館市)
- 塩味のスープが主流という、全国にも類を見ないご当地ラーメン。弱火で炊き込んだ透明で薄味の豚骨がベースとなっており、そこに塩で味付けする。味はかなり淡泊。麺は道内では珍しくストレート。粉チーズを上に載せたモノもある。
[編集] 東北
- 津軽ラーメン(弘前市)
- 煮干、鶏ガラであっさりした醤油スープが多い。煮干しではなく、焼き干しを使用する店もあるが、煮干しに比較して高価なため数は少ない。
- 仙台ラーメン(仙台市)
- 仙台味噌を使った味噌ラーメンが多い。
- 十文字ラーメン(秋田県横手市十文字町《旧十文字町》)
- 巷で知られるご当地ラーメン。焼き干し、鰹節、昆布などの魚介類のみから出汁を採る透き通ったスープ。麺は極細の縮れ麺で、鹹水はほとんど用いないため白みがかっている。十文字は古くから交通の結節点にあったため、ラーメン屋が発達している。
- 冷やしラーメン(山形市)
- 氷の浮いた冷たいスープのラーメン。
- 酒田ラーメン(酒田市)
- 魚介類と豚足、鶏ガラなどでだしをとった醤油スープ。スープ作りの段階で背脂を入れるため独特のコクとまろやかさがある。麺は細い縮れ麺で、加水率が高くモチモチ感がある。自家製麺の店が多い。
- 米沢ラーメン(米沢市)
- スープの系統は喜多方と似ており、煮干し、豚骨、鶏ガラをベースにした淡泊な醤油味。麺は加水率の高い縮れ麺で、縮れ麺では珍しく細麺であるのが特徴。麺を干してから更に手揉みで拵えるため、ちりちりに縮れており、スープとよく馴染む。
- 喜多方ラーメン(喜多方市)
- スープは豚骨のベースと煮干しのベースを別々に作り、それをブレンドしたもので、淡泊だが強い醤油味。麺は太めの平打ち縮れ麺で、加水率が高くコシが強い。ラーメン屋というスタイルで店舗を構えていないのが特徴で、「○○食堂」という風に大衆食堂の店構えをしているものが多い。
- 白河ラーメン(白河市)
- 鶏ガラ、豚ガラを中心とした醤油ベースのスープだが喜多方ラーメンや米沢ラーメンと比較すると醤油味が濃厚で、東京ラーメンに似ている。麺は手打ちの縮れ麺が主流で、麺を包丁で切った後に手でほぐす。オーソドックスなスタイルを堅持しており、具にナルト、メンマなどのほかチャーシューを用いる。チャーシューは、生肉の表面を炭火で軽く燻製にした後、醤油で煮込むため、縁が赤く染まっている。白河市及びその近郊に約100軒のラーメン店がある。
[編集] 関東
- 東京ラーメン(東京都)
- 鰹だしをベースにした和風ダシのスープに醤油ダレを合わせる。麺は中細縮れ麺を用いる。具に焼豚、鳴門巻、ホウレン草、ゆで卵、海苔、支那竹、刻み葱が乗る。醤油ダレに工夫が施されており、店によって味の違いが出る。見かけは淡泊だが、醤油等のうま味がある。荻窪ラーメン・恵比寿ラーメンは東京ラーメンの一種。この他にも俗にいう背脂チャッチャ系など区内には様々なスタイルのラーメン店が見られる。
- 油そば(東京都)
- 煮豚チャーシューの煮汁と油を少量のスープでのばし、茹で上がった麺にからめたもの。ちぢれた中太麺がタレにからまり、こってりといただく変り種のラーメンといえる。
- 豚骨醤油ラーメン(東京都)
- 豚骨を煮出して乳化させたスープに、醤油(かえし)が多く加わる濃厚なスープ。中~太麺。大量の背油や脂身が多いチャーシューや煮野菜そしてニンニクを載せることが多い。東京が中心の独特なラーメン。
- 八王子ラーメン(八王子市)
- やや濃厚な醤油スープ。ストレートな細麺。具に刻み玉葱が乗るのが特徴で、この玉葱の辛味の調整に店独自の油が加えられる。
- サンマーメン(横浜市)
- 横浜市内および周辺の旧来の中華料理屋や中華食堂などを中心にサンマーメン(生馬麺)が普及しており、横浜周辺の地方料理として定着している。サンマーメンは、塩もしくは醤油ベースのスープに細麺を用い、もやしをベースとした炒め野菜を片栗粉でとろみをつけた餡と合わせた、あんかけラーメンの一種。横浜の中華街および近傍の中華料理屋または中華食堂などがルーツとされ、戦前から存在する。
- 家系ラーメン(横浜市)
- 濃厚な豚骨醤油がベースで、鶏油を用いる。太いストレート麺。具はチャーシュー、葱、ホウレン草のほか、大判の焼き海苔が2~3枚載る。俗に家系と呼ばれるラーメンが現在では横浜のご当地ラーメンと言われているが、これは1974年代に磯子区で開業した吉村家が開始したものである。
- 竹岡ラーメン(富津市)
- 醤油にチャーシューの煮汁を加えたスープで、味は淡泊。玉葱の細切りが具に載る。
- 佐野ラーメン(佐野市)
- 透き通った醤油スープで、非常に味は淡泊。青竹を使って打った麺で、加水率が高く、中太の縮れ麺が一般的。スープは鶏ガラ、香味野菜をベースにしており、煮立たさないため、すっきりした味が出る。滋味溢れる名水によって、独自のラーメン文化が生まれた。ラーメンによる町おこしに最も成功した都市でもある。
- 藤岡ラーメン(藤岡市)
- 鶏ガラをベースにした醤油味。香辛料をふんだんに使い、香味を引き立てる。麺は太めの縮れ麺で、コシが強い。
- スタミナラーメン(水戸市など)
- 醤油味であんかけがのっている。
- スタミナラーメン(埼玉県)
- 醤油味で豆板醤のあんかけがのっている。
[編集] 北信越
- 燕三条系ラーメン(燕市・三条市)
- 俗にいう背脂チャッチャ系の元祖。
- 便宜的に燕三条背脂チャッチャ系ラーメンともいう。
- 発祥である燕市を主として、隣接の三条市にも多く見られる。極太麺。煮干しを主とした鯖節、鰹節等の魚介スープ。大量の豚の背脂が載せられる。具に玉葱のみじん切りが載るのも特徴。
- 新潟あっさり系ラーメン(新潟市)
- この場合の新潟は新潟県ではなく新潟市の意。
- 新潟市中心部の新潟島発祥。そのため新潟島系ラーメンともいう。現在は新潟市内やその周辺にひろく広まる。
- 煮干し、鶏ガラ、豚ガラなどを使い、すっきりとした味で、塩ラーメンに近い薄い醤油色のスープ。
- 麺はちぢれの細麺~極細麺。
- 新潟濃厚味噌ラーメン(新潟市)
- 現・新潟市域の巻町発祥。
- 味噌がかなり濃厚な味噌ラーメン。味噌の濃さを調節できるよう、別丼で割りスープが付くのが特徴。
- 長岡系ラーメン(長岡市)
- 豚ガラを多く使い、比較的油っこい醤油味のスープに生姜の風味、香りがはっきりと分かるほど強く利いているのが特徴。
- 便宜的に長岡生姜醤油系ラーメンともいう。
- 富山ブラック(富山市)
- 富山県内で多い系統のラーメン。醤油をベースにしており、墨汁のように黒いのが語源。麺は少し固めの太麺。薬味として黒胡椒が振り掛けられている。
- 敦賀ラーメン(敦賀市)
- ラーメン専門店と中華料理店の大きく分けて二つの味が楽しめる。ラーメン専門店では、鶏ガラとトンコツを合わせた醤油味。中華料理店では、中華スープを使ったあっさり味。
[編集] 東海
- 高山ラーメン(高山市)
- 飛騨ラーメンとも呼ばれる。鰹だしと煮干をベースにしたスープと醤油、味醂などで合わせたたれを直接寸胴に入れて、スープとたれを混ぜ、煮込んで作るという他に類を見ない製法。本来は醤油味のみで、かなりあっさりしている。ただ、最近は味噌味や塩味のものを出す店もある。比較的細い麺を使う店が多い。
- 台湾ラーメン(名古屋市)
- 鳥ベースの醤油味だが、具にひき肉、ニラ、唐辛子たっぷりとニンニクで炒めたものをスープにいれてかけて出すためとても辛い仕上がりである。今池の飲食店・味仙が発祥とされる。台湾ラーメンと呼ばれる所以は料理人曰く「台湾人が作ったラーメンだから」である。もやし・ニラをメインに唐辛子・ひき肉を炒めたものをのせる系統もある。
- ベトコンラーメン(一宮市)
- ニンニクをたっぷり使った栄養満点のラーメン。本来は「ベスト・コンディション・ラーメン」の略であるが、ベトナム戦争中に生まれ、ベトコンの様なパワーを感じさせるこの名が使われる様になったとの誤解も多い。
[編集] 近畿
- 京都ラーメン(京都市)
- 麺は、細めのストレート角麺で、比較的柔らかめに茹でるのが京都風(スープと馴染みやすいためと言われる)。具は、焼豚、シナチク(これに加えてもやしをのせる店も多く、俗に「もやしなちゃー」と呼ばれる)、この上に九条葱が多めに載る。上記が京都ラーメンの基本形であるが、スープに関しては、大きく分けて三つの系統がある。
- 豚骨、豚肉をベースにした醤油味の清湯スープ(「かえし」あるいは「たまり」等の濃厚な醤油を使う店もある)。酢を垂らして食べるスタイルが浸透しており、酢が調味料として置いてある。
- 二つめは、甘みの強い鶏ガラ白湯スープに背脂を載せたもの。
- 三つめは、鶏ガラをドロドロになるまで煮込んで作られるとろみの強い、こってりとした白湯スープ。
- 京都を本店とする天下一品ラーメンは、全国にチェーン店が広がり、コアなファン層をつかんでいる。天下一品のラーメンは麺、具材とも京都ラーメンの基本形に則っており、スープも上記の系統の三つ目の発展系と考えられるため、純然たる京都ラーメンと言える。
- 神戸ラーメン(神戸市)
- 京都ラーメンから派生したこってり系と、古典的な関西風あっさり中華が混在している。ストレート麺に焼豚、もやし、青葱のトッピング。メンマはあまり使われない。
- 天理ラーメン(天理市)
- 豚骨、鶏ガラをベースにした薄味の醤油ラーメンを下地に、大量の豆板醤、ニンニクを入れた辛口ラーメン。具に白菜、ニラ、炒めた豚バラ肉が載る。
- 和歌山ラーメン(和歌山市)
- 豚骨醤油スープ。ドロドロになるまで煮込んだ豚骨スープに醤油を合わせていく製法と、醤油で炊き込むことによって味を染みこませた豚骨を炊いてスープを採る製法があり、全国的なのは前者だが、地元で圧倒的に多いのは後者。特徴的な具として蒲鉾。サイドメニューとして早寿司、ゆで卵、どて焼きがある。当地にラーメン屋が多いのは、醤油造りが盛んだった背景がある。
- 播州ラーメン(西脇市)
- あっさりとした甘味の醤油味は、播州産の醤油を使い、播州地鶏・豚骨・野菜をじっくりと煮込んだものが多い。
[編集] 中四国
- 岡山ラーメン(岡山市)
- 地域内にはオリジナルラーメンも多いために岡山ラーメンという概念の定義付けは困難であるが、基本的には魚介と豚骨をベースにした醤油スープが多く、ストレートな太麺を用いる。
- 笠岡ラーメン(笠岡市)- 笠岡系を参照のこと。
- 鶏がらベースの醤油味で、チャーシューは、豚肉の代わりに鶏肉を使うのが特徴。
- 福山ラーメン(福山市)
- 尾道ラーメンと酷似しているが一般的に尾道のものよりスープが薄味でさっぱりしている。ルーツは戦前の支那そば。
- 尾道ラーメン(尾道市)
- 尾道市を発祥とした備後地方の代表的スタイル。
- 醤油味に魚介系の出汁に、豚の背油がクルトンのように浮かんでいるが主流。
- スープは透明で味は淡泊。
- 鶏ガラ醤油ベースのものもある。
- 広島ラーメン(広島市)
- 九州ラーメンのような豚骨ベースに魚介系の醤油ベースを折衷したもので、背脂を載せる。代表的な具に細もやしがある。
- 徳島ラーメン(徳島市)
- 豚骨醤油スープ。
- 味付けは甘辛く、関西のすき焼き風。
- チャーシューの代わりに載る甘辛く煮込んだ豚バラ肉のトッピングに、生卵を落とす。地元では徳島ラーメンとは呼ばずに「中華そば」と呼び、徳島ラーメンをおかずにご飯を食べるのが習慣となっている。徳島で豚骨が主流となったのは、ハム製造会社から大量の豚骨が提供されたためともされている。インスタントラーメンとして徳島製粉の金ちゃんラーメンがある。
- 鍋焼きラーメン(須崎市)
- 鶏がらをベースにしたあっさり醤油味で、琺瑯の土鍋で提供される。具に鶏肉、葱、竹輪、そして生卵を落とす。ごはんと一緒に食べる習慣があり、沢庵漬けも一緒に出される。
[編集] 九州
- 博多ラーメン(福岡市)
- さらりとした豚骨白湯スープ。味は比較的淡泊であり白ゴマ、辛子高菜、紅生姜のトッピングを用い、好みで味を調節する。ストレート細麺。替え玉は独特のスタイルだが、これは麺が細麺であるために伸びやすく、少量ずつ茹でていたためである。インスタントラーメンのうまかっちゃんも有名。
- 長浜ラーメン(福岡市)
- 基本的に博多ラーメンと同種だが味が博多ラーメンより薄い。
- 久留米ラーメン(久留米市)
- 豚骨ラーメンの発祥とされる。ストレート極細麺、多量のラードを使う豚骨スープで博多ラーメンに比べ、スープは濃厚なものが多い。薬味に紅生姜、白ゴマ、下ろしニンニクなどがある。
- 熊本ラーメン(熊本市)
戦後久留米から県北の玉名を経て伝わった。マー油と油で揚げたニンニクチップを乗せ、香味を付けるのが特徴。スープは豚骨系のなかでも濃厚で独特のコクがある。豚骨をベースに鶏ガラをブレンドした味が濃いスープ。麺は中太ストレート麺。一般的な具は煮卵、チャーシュー、メンマ、キクラゲ、海苔。ご当地ラーメンとしては比較的早い頃に桂花が東京に進出して好評を得るなどしたため知名度が高い。
- 宮崎ラーメン(宮崎市)
- 豚骨をベースしたあっさりとしたスープ。それに醤油や塩が加わる。麺は加水率が高い。薬味のニンニク醤油とラーメンと一緒に出される沢庵漬けが特徴。
- 鹿児島ラーメン(鹿児島市)
- トンコツ+鶏ガラの半濁スープに大量の野菜を使うため、独特の甘味がある。市外に行くと豚の頭骨のみでスープを取る店もある(灰汁抜きの為に卵の殻や、甘味用に玉葱が入ることもある)。店舗によっては焼豚(煮豚)を一緒に入れてる場合もあり(煮た後にごま油等入れた鍋で焼を入れるところもある)。
- 鹹水を使わない白っぽい中太ストレート麺。
- 具に焦がし葱や木耳。白い急須に入ったお茶、大根の漬物が一緒に出されることが多い。漬物やにんにく(おろし&乾燥にんにくの醤油漬け)・紅しょうを置いている店もある。
[編集] 各種ラーメンのギャラリー
[編集] 関連項目
- 丼(どんぶり)
- 散蓮華(レンゲ)
- インスタントラーメン
- バミー(タイ風ラーメン)
- サイミン(ハワイのラーメン風麺料理)
- ライスヌードル
- 日清食品
- サンヨー食品
- 明星食品
- 東洋水産
- エースコック
- 寿がきや
- 徳島製粉
- マルタイ
- 林家木久蔵(全国ラーメン党会長)
- 小池さん(藤子漫画のキャラクター。ラーメンばかり食べている。)
- ラーメン発見伝(ラーメンを主題にしたコミック)
- 美味しんぼ38巻(「ラーメン戦争」としてスープ・麺・具の基本の解説、かん水の謎を解く)
[編集] ラーメン関連のフードテーマパーク
- 新横浜ラーメン博物館
- ラーメンスタジアム2(福岡市・キャナルシティ博多内)
- 麺達七人衆 品達ラーメン
- 武蔵浦和ラーメンアカデミー
- ラーメン国技場
- ときめきラーメン万代島(新潟市・朱鷺メッセ向かい)
[編集] 外部リンク