鹿児島ラーメン
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鹿児島ラーメン（かごしまらーめん）とは、鹿児島県や宮崎県都城市周辺の専門店で供されるラーメンである。
スープは豚骨ベースで、鶏ガラや野菜も使う半濁スープである。地理的・歴史的な要因から、九州のラーメンの中では唯一久留米ラーメンの影響を受けていないと言われる。麺はかんすいを使わない白い直流の中太麺が多い。また他のご当地ラーメンに比べ、横並びにパターン化しておらず店ごとにスープやスタイルが大きく異なるのも特徴と言える。また、九州では珍しく古くから「味噌ラーメン」をメニューに加える店も多く、メニューの目玉にする店や専門店が多く存在するのも特色と言えよう。その姿は定番の札幌味噌ラーメンとは大きく異なり、独自のスタイルで土着化した言わば「鹿児島流味噌ラーメン」といえる程のものである。ラーメンには関係ないが、注文すると漬物（大半は、甘酢大根の千枚漬け）が出されるという特徴がある。
鹿児島ラーメンの元祖と言われる店は『のぼる屋』（下記参照）と言われ、1947年開店である。博多ラーメンや熊本ラーメンに比べると全国的な知名度はやや劣るが、九州を代表するご当地ラーメンの一つである事は揺ぎ無い事実であろう。
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[編集] 代表する店
[編集] 鹿児島市（天文館～中央駅）
鹿児島の有名店は必ず天文館の中心部に店舗を出す傾向にある。しかしながらラーメン横丁のようなところは存在しないのも事実。地元以外にも長浜豚骨ラーメンや札幌味噌ラーメンの店も混在して立地するのも特長。
- のぼる屋：鹿児島市大黒町。一杯1000円のラーメン、現存する鹿児島ラーメンでは最古参といわれ、鹿児島ラーメンのルーツ店の一つと考えられている。歌手の森進一が学生時代に出前持ちした店、ラーメン好きだった故・伊丹十三監督が絶賛した店として有名で、彼の代表作の一つである映画『タンポポ』の女主人が切り盛りする貧乏ラーメン店は、当店の創業者をモチーフにしたともいわれている。店の起こりは創業者の女性が横浜で看護婦をしていたときに中国人の患者からお礼として教わったラーメンの味が忘れられず、帰郷後、試行錯誤の後に完成させた。店は天文館中心部のはずれで離島航路の港に近い場所にある。有名店にもかかわらず未だに古い店構えで厨房内には創業当時から女性しかおらず、羽釜のような鍋で麺を茹でる様は壮観。
- こむらさき：1970年代頃の第一次ご当地ラーメンブームの時から、のぼる屋並び全国的な知名度を得たラーメン専門店。鹿児島ラーメンというより「こむらさき風ラーメン」というぐらい独特なので好き嫌いが分かれる。他の鹿児島ラーメン店と異なり、まるでそうめんのような柔らかい麺、具としてのせられている糸切の葉キャベツ・煮豚・干し椎茸、そしてほぼ塩味に近いスープが特徴。創業者は台湾華僑といわれている。以前はまむしエキスをスープに溶かした名物ラーメンがメニューあったが現在は存在しない。同店は長年、天文館の本店のみで営業してきたが、2004年鹿児島中央駅のアミュプラザ鹿児島（駅ビル）の地下に出店した。東北の仙台市国分町の天下一品「こむらさき店」の店主が最初に職人として修行した店としても有名。県出身タレント恵俊彰の行きつけの店でもある。
- くろいわ：地元民には好評の平均的な鹿児島ラーメン。天文館の本店を中心に鹿児島市内に支店が数店ある。2003年フジテレビ系メントレレストランで、女優のはしのえみが行きつけの店として推薦していた。店舗のみで購入できる持ち帰りセットは好評。ただし、強烈な匂いを持つため、贈答品としての使用は難しい。
- 和田屋：鹿児島市東千石町の天文館にぎわい通りにある。鹿児島式の味噌ラーメンが人気の店。地元民はもちろん来鹿の有名人も足しげく通う有名店である。歌手の長渕剛が鹿児島へ帰ると現在はこちらの店へお忍びでくるらしい。観光客が来店すると店のおばさんがお土産を持たせる事でも有名。本店以外で暖簾分けで鹿児島市吉野町に支店があり、以前は産業道路沿いにもあった。南さつま市に分店がある。
- ざぼんラーメン：旧西鹿児島駅構内食堂がルーツのラーメン店、平均的な鹿児島ラーメンの味。地元民の評価は普通だが観光客には好評。鹿児島中央駅サンフレスタ店（中華メニューあり）アミュプラザ鹿児島地下店。与次郎ヶ浜店。天文館店等がある。
- 我流風：天文館本通りアーケードにある。もとは薩摩川内市のちゃんぽん屋、媒体では人気店とされるが、地元民にはよそ行きの味との評価。東京の新宿に支店あり。以前は全国各地のフードテーマパークに出店していたが現在はキャナルシティ博多のラーメンスタジアムに出店中。
- 豚とろ：小金太で修行した店主が開店、天文館で新興勢力で人気のラーメン店。最近、市南部の中山バイパスに分店を出したらしい。カップラーメン化がされており、鹿児島県内のローソン各店限定の商品として販売されている。
- のり一：天文館の山之口町のスナック街の外れに40数年立地、飲みの仕上げでもさっぱり食べれるほど澄んだスープと麺で人気。一杯300円程度の値段は鹿児島では最安値。創業者は台湾華僑で鹿児島ラーメンのルーツが台湾にある根拠の一つとされている。
- 鷹：かつて本店は西本願寺鹿児島別院隣にあった。品書きは、めしとラーメンと取り放題の即席漬けのみで、昔ながらの鹿児島ラーメン専門店。本店は入居ビル取り壊しの為2006年3月末で閉店したが、二代目夫婦が切盛りするかるかんで有名な明石屋はすむかいの店を本店として存続させている。
- 三平：かつては鹿児島中央駅近くの西田橋の袂に総本店があった。近年、鹿児島の学生街である騎射場（きしゃば）・天文館、産業道路沿いにも支店を出している。本来の普通ラーメン以外に二代目の店主が創作した黒味噌ラーメンで有名。TV等では鹿児島ラーメンの代表店のように扱われる。東京新宿区大久保に支店あり。
- 三養軒：天文館の山之口町にある。玄人受けする味噌ラーメンで有名な店。
- 桃源：天文館の山之口町にある。ここも味噌ラーメンで有名あり、「三養軒派」「桃源派」と２分するほど。
- みとま：天文館の山之口町にある。鹿児島ラーメンのスープをアレンジしたトムヤンクンラーメンが隠れ名物。手作りの小さい餃子も専門店並みの美味。
- ミルクボーイ:鹿児島市新町ののぼるやの近くにある。洋食屋からラーメン屋に転業、玄人受けするこだわりの濃いがっつり系のラーメン、ランチメニューでも手抜きなし。まだ洋食メニューもあり、最近ラーメン食べ歩き人が頻繁に訪れる。
- ふくまん：鹿児島市金生町（もとは東千石町）、ラーメン通はよく推薦する店。
- 呑龍：鹿児島市山之口町。化学調味料を一切使わない後味のよいスープが人気。
- めんめん亭：鹿児島市中央町にある。市内各地にあるチェーン店。正直おいしいという声は少ないが、ほかの店と比べ安いので(今年3月に350円に値上げ)学生時代の青春の味として思いで深い人が多い。創業時は200円。
[編集] 鹿児島市郊外
- ラーメンセンターほんや：鹿児島市草牟田（そうむた）の国道3号線沿道にあるラーメン通が旨いと押す隠れた名店。
- 海軍屋：現在は住宅地の鹿児島市西伊敷にあるが、以前は天文館で人気店だった為に年配者が足しげく通う店。伝統的な鹿児島ラーメンの具で「湯通しのキャベツ千切り」は50年ほど前にこの店が始めたらしい。
- 海乃屋：鹿児島市小松原町の鹿児島ラサール学園近くにある。旧店名は「海軍屋」で現在、西伊敷にある同店が天文館にあった頃に暖簾分けしたようだ。鹿児島県立南高等学校生だった長淵剛や大阪からラサールに進学したラサール石井が学生時代に通っていた店。
- ピノッキオ：鹿児島市吉野町の住宅地にあるラーメン屋で昼間は人気の醤油ラーメンがメイン。夜は串揚げ居酒屋も同時営業しており、串揚げをつまみにお酒も飲めて、最後の閉めでラーメンまで食べれるお店。
- オーちゃん食堂：鹿児島市武岡にある。地元密着の食堂だが、ラーメンがドライバー等の間で専門店並みの美味と評判。
- くにひろラーメン：鹿児島市西陵の住宅地にある。シンプルで昔ながらの鹿児島ラーメンを丁寧につくっている為、遠方から食べに訪れる人が多い。
- みそや・堂：鹿児島流の味噌ラーメン専門店、鹿児島市の学生街「騎射場」に本店、南部の産業道路沿いに分店がある。
- 五郎家：鹿児島市中山（ちゅうざん）にある。博多と鹿児島の良いとこ採りのラーメン。鹿児島では珍しくスープなくなり次第、終わりの店のため、かなり郊外に拘わらず行列が絶えない。
柿の木ラーメン：鹿児島市谷山にある。うまい。
[編集] 鹿児島市外の専門店
- ごもんちゃん：いちき串木野市の国道3号沿いで30数年人気の店。札幌でラーメンを教わった主人が試行錯誤の末開店。長距離トラックのドライバーや近くの女子高生に人気を博し、現在では鹿児島から車をとばして来店する人もいるほど。2005年まで鹿児島市内に分店があったが最近、撤退した模様。以前は「無愛想ですが味には自信あります」と品書きの横に書いてあった。現在の店の暖簾の字は、俳優の奥田瑛二が書いたものらしい。
- 一軒目：姶良郡姶良町。最近人気店である。
- ○竹 ほんきラーメン：姶良郡姶良町、鹿児島市春日町の国道10号線沿いにあり昨年惜しまれながら閉店した通好みの銘店「ほんきラーメン」で修行した常連客が元オーナーの許しを得て2006年開店、麺、スープ、具材のすべてを昔の大将の懐かしい味に近づけるように努めているようだ。
- 番番：指宿市、県外の観光客に人気のラーメン店
- みその：いちき串木野市。くしきのマグロラーメンの火付け役。
- 香月：枕崎市。かつおラーメン、具に鰹の腹側（とろ）の素揚げ入り。
- ぶんちゃん：出水市福之江の国道3号線。大盛のねぎラーメンが一番人気。
- こしばラーメン：出水市。暖簾分けが数店ある。こってり系の味。
- はげや：出水市、薄切りチャーシュー入りで細麺、少々長浜ラーメンもどき。
- 一番食堂：鹿屋市の人気店。
- らーめん屋こうちゃん：鹿屋市市役所近く、チャーシュー麺が人気。
※ご当地ランキングを参考として上げておく。http://www3.synapse.ne.jp/daihyou/ra-menrankingu1.htm
[編集] 鹿児島県外の専門店
下記以外に、近年は全国の一部のラーメン専門のフードテーマパークに期間限定として地元より専門店が出店したり、類似店が鹿児島ラーメンを名乗り出店したりしているようだ。
- ザボンラーメン：東京の六本木や新宿の歌舞伎町他に支店がある。鹿児島出身の社長が関東で鹿児島ラーメン店をオープンした。特に新宿店は、役所広司主演の映画『半落ち』の舞台となった。尚、平仮名の「ざぼんラーメン」と勘違いしている人も多いが、資本関係は無くまったく別の会社である。自社工場で麺やスープなどを作っているのも特徴である。変わった特徴としては、六本木店や新宿店ような直営型の店と、東名高速道路海老名サービスエリア店やつくばエクスプレスの守谷駅の2Fにある守谷店のようなフランチャイズ式の店舗があるという事である。前者は、ラーメンの値段は高いがスープが多く、叉焼は肉厚（味は大味だが食べ応えがある）である。後者は、スープの量は直営に比べたら少ないが、値段が安く叉焼は薄切り（味自体はこちらの方が美味しい）である。尚、麺の量は同じである。
- さつまっこラーメン：大阪市北区天満（てんま）の[[天神橋筋商店街]｝周辺に数軒と大阪府北部を中心に暖簾分けした支店が数ヶ所ある。現地では「元祖にんにくラーメン」として有名。大阪人が鹿児島へ来鹿すると必ず鹿児島ラーメンを求めるのは恐らく同店の影響と思われる程で根強い固定ファンが多い。タイプはべーシックな鹿児島ラーメンのスタイルの紋切り型をやや誇張した感じだが、かなり食べ応えがある。現在はミナミの理想実業が展開する神座（かむくら）などに押されてやや影が薄いが、以前は吉本興業の大物芸人が多数、夜中にタクシーを飛ばして来店した程。
- 櫻島：札幌市西区にある。県出身者が1994年に開店した。角川書店発行の東京ウォーカーの姉妹誌である北海道ウォーカー（北海道と一部大型書店で販売）のラーメン人気投票で、数あるご当地の名店を差し置いて人気上位に食い込む程の評判店。
[編集] 鹿児島エリアでのラーメンの位置付け
鹿児島では昔からラーメンは食事であり、他地域のように副食や飲みの仕上げに食べる傾向は薄いといえる。鹿児島ラーメンのルーツについては、諸説あるが、(1)のぼる屋のように中国人から習ったラーメンをアレンジした、(2)こむらさき・のり一のように台湾華僑が故郷も麺料理をアレンジして供した、等がある。ちなみに鹿児島ラーメンの専門店が出現したのは昭和30年代後半といわれ、それ以前は大衆食堂のような店で長崎ちゃんぽんやうどんなどと共にラーメンが供されていたようである。鹿児島ラーメンの大きな特長として、他の九州ラーメンと違い各店の個性が強く雛形的なラーメンが存在しない点である。従って県外から食べ歩く人にとっては店ごとにそれぞれ違う個性を見つけられる楽しみが得られるだろう。鹿児島ラーメンが供される店に範囲についてであるが、諸説あるが薩摩半島大隅半島の中南部から宮崎県都城市方面までを勢力範囲とみてよい。ちなみに鹿児島人は一度行きつけのラーメン屋を決めると、あまり他店に行かない傾向にあるとの調査結果もある。
[編集] 鹿児島のラーメン業界について
現在、鹿児島では、個人経営ラーメン専門店以外に何社かのラーメン外食チェーンがあり、また専門店以外にランチタイムやサイドメニューで取り扱う店も多数存在する。これらを全て合わせると取り扱い店は、かなりの数字になる。鹿児島は、ごく一部の地点を除き、他地域からの日常的な人の往来は少ない為、地元民を主体に限られた客を奪い合うので店舗間の競争は熾烈を極める。従って味などは他のご当地ラーメンと比較して水準以上の店が多い。鹿児島のラーメン業界は良く言えば、当地の事実上の公用語である唐芋普通語や根根強い知名度や人気を誇るMBCタレントのような土着的鹿児島文化と同様に、他の影響が少なく、独立独歩、マイペースである。博多や熊本のように中央に向けて必要以上に自己宣伝しない、フードビジネス化されていない為「暢気でおおらかさ」が好きな向きは気に入るだろう。ただし、衛生面、食の流行及びファッション性、話題性（他のご当地ラーメンのように自ら仕掛けることはない）、店舗でのサービスやオペレーション性、味や料理スタイルの完成度、では他地域に遅れを取る部分を多々あるといえるだろう。
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