博多駅
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博多駅(はかたえき)は、福岡県福岡市博多区博多駅中央街1番1号に所在する九州旅客鉄道(JR九州)・西日本旅客鉄道(JR西日本)・福岡市交通局(福岡市地下鉄)の駅である。
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[編集] 利用可能な鉄道路線
[編集] 駅概要
九州・福岡を代表するターミナル駅で、1日に16万人を超える利用者数がある九州最大規模の駅。当駅を拠点に、九州の主要都市とを結ぶ特急列車や本州とを結ぶ寝台列車、福岡都市圏等を走る多くの快速・普通列車が発着する。また、山陽新幹線の終着駅でもあり、広島・大阪・東京など本州とを結ぶ多くの新幹線列車が発着する。なお、新幹線の回送列車はこの駅から回送線を経由して博多総合車両所へ向かう。この回送線を旅客線化したのが博多南線である。
2011年春には全線開業予定の九州新幹線鹿児島ルートの発着駅になる予定で東海道・山陽新幹線との相互乗入れも検討されている。そのため、2006年から現駅本屋解体及び新築を含めた新幹線ホームの増設や駅周辺の環境整備等の総合再開発が始まる予定であり、九州新幹線開業と同時に現駅ビルの約7倍の広さとなる全面ガラス張りの駅ビル(地下3階、地上10階)が完成する予定である。駅ビルテナントの誘致に際して井筒屋、高島屋、阪急百貨店などのデパートが出店に名乗りを挙げたが、最終的にはJR九州との関係や条件が合致する阪急百貨店が入居する事が確定し、これが同百貨店にとっては九州初進出になる予定である。また東急ハンズもテナント出店を検討しており、もし東急ハンズが進出すれば阪急百貨店と同じく九州初進出となる。
しかし、新駅ビルテナント入居をめぐり、現在の博多駅ビルに開業時から入っていた井筒屋が難色を示し、新駅ビルへの優先入居を主張。JR九州側と福岡簡易裁判所で調停をおこなった。決裂して井筒屋側が現駅ビルからの退去拒否や訴訟を起こすようなことになれば、新駅ビル建設への影響は避けられなかったが、2006年9月15日にJR九州側が井筒屋に保証金約45億円を支払うことで、2007年3月までに現在の駅ビルから一時退店する事に合意した。しかし、井筒屋側は新駅ビル入居を断念した訳ではなく、引き続きJR九州側に対して新駅ビル入居を求めている。
2005年10月1日に実施された秋のダイヤ改正と共に九州新幹線開業準備工事(新幹線ホーム新設工事など)が開始されたため、のりば変更が実施さている。詳細は下記を参照。
[編集] 駅構造
駅西側(在来線側)を博多口、駅東側(新幹線口)を筑紫口という。
[編集] JR九州(在来線)・JR西日本(新幹線)
在来線のホームは5面10線、新幹線のホームは2面4線である。
のりば
のりば無し(旧2番線) | ■鹿児島本線 | (使用停止中) |
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1番のりば・2番線 | ■特急ソニック・きらめき | 小倉・行橋・中津・大分方面 |
■鹿児島本線 | 香椎・赤間・折尾・小倉方面(普通・快速) | |
2番のりば・3番線 | ■鹿児島本線 | 香椎・赤間・折尾・小倉方面(普通・快速) |
3番のりば・4番線 | ■特急かもめ・みどり・ハウステンボス | 佐賀・長崎・佐世保・ハウステンボス方面 |
■鹿児島本線 | (到着ホーム) | |
4番のりば・5番線 | ■特急かもめ・みどり・ハウステンボス | 佐賀・長崎・佐世保・ハウステンボス方面 |
■鹿児島本線 | 香椎・赤間・折尾・小倉方面(普通・快速) | |
のりば無し・6番線 | ■鹿児島本線 | (回送用) |
5番のりば・7番線 | ■鹿児島本線 | 二日市・鳥栖・香椎・赤間方面(普通・快速) |
6番のりば・8番線 | ■特急ゆふ・ゆふDX・ゆふいんの森 | 日田・由布院・大分方面 |
■鹿児島本線 | 南福岡・二日市・鳥栖・久留米方面(普通・快速) | |
7番のりば・9番線 | ■特急リレーつばめ・有明 | 大牟田・熊本・新八代・新幹線乗換鹿児島中央方面 |
■鹿児島本線 | 南福岡・二日市・鳥栖・久留米方面(普通・快速) | |
8番のりば・10番線 | ■特急リレーつばめ・有明 | 大牟田・熊本・新八代・新幹線乗換鹿児島中央方面 |
■特急かいおう | 新飯塚・直方方面 | |
■福北ゆたか線 | 篠栗・新飯塚・直方・折尾方面(普通・快速) | |
■鹿児島本線 | 南福岡・二日市・鳥栖・久留米方面(普通・快速) | |
9番のりば・11番線 | ■福北ゆたか線 | 篠栗・新飯塚・直方・折尾方面(普通・快速) |
11~14番のりば・1~4番線 | ■山陽新幹線 | 広島・岡山・新大阪方面 |
■博多南線 | 博多南方面 |
この他、折り返しなどのための引き上げ線などの設備がある。
[編集] 2005年10月1日~2007年夏(予定)までの「のりば」について
九州新幹線開業準備工事に伴い2006年9月10日より、
- 旧1番のりば→1番のりば
- 旧2番のりば→廃止(当分使用不可)
- 旧3番のりば→2番のりばと3番のりばに分割(3番のりばの吉塚方は行き止まり。回送電車または長崎本線折り返し)
となっている。
※博多駅改良工事に伴う「のりば」の変更について(JR九州) ※1番のりば変更のお知らせ(JR九州)
[編集] 福岡市地下鉄
福岡市地下鉄のホームは島式1面2線である。東比恵方に引上線があり臨時列車運転時等に使用する。シンボルマークは博多献上模様の生地。
地下鉄駅のコンコースは博多口側と筑紫口側に分かれている。双方を直接繋ぐ通路は存在しない(JR博多駅の自由通路及び地下鉄駅プラットホームを除く)。また、地上への出口の番号は博多口側が1~7番、筑紫口側が11~17番となっているが、13番はJR九州本社ビル新築工事のため閉鎖中であり、また16番は欠番となっている。
[編集] 発着及び停車する列車
[編集] 新幹線
なお博多南線は当然新幹線電車(「こだま」用の0系または100系で朝の1本は「ひかりレールスター」用700系)で運行されている(愛称はない)が法令上は在来線扱いである。
[編集] 在来線特急
当駅は日本で最も在来線特急列車の発着数が多い駅となっている。
- L特急「リレーつばめ」
- L特急「有明」
- L特急「かもめ」
- L特急「みどり」
- L特急「ハウステンボス」
- L特急「ソニック」
- L特急「にちりんシーガイア」
- 特急「きらめき」
- 特急「ドリームにちりん」
- 特急「かいおう」
- 特急「ゆふ」・「ゆふDX」・「ゆふいんの森」
- 寝台特急「はやぶさ」
- 寝台特急「なは」
- 寝台特急「あかつき」
この他特急列車以外にも、夜行快速「ムーンライト九州」などの臨時快速列車もある。
[編集] 利用状況
1日平均の乗車人員は16万人を超え、降車人員も合わせると32万人以上となり三大都市圏以外ではトップを誇っている。
- 九州旅客鉄道(JR九州)・・・97,530人(平成16年度)
- 西日本旅客鉄道(JR西日本)・・・15,239人(平成14年度)
- 福岡市交通局・・・52,364人(平成15年度)
[編集] 駅周辺
[編集] 博多ステーションビル(駅ビル)
[編集] 博多口
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[編集] 筑紫口
ホテル
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その他 |
[編集] 歴史
- 1889年(明治22年)12月11日- 博多~千歳川仮停車場間開業に合わせ九州鉄道(初代)が開設
- 初代駅は現地点から北西に約650mの出来町公園付近に所在した。
- 1890年(明治23年)9月28日- 赤間~博多駅間開通と同時に駅を現在の地下鉄祇園駅付近に移転
- 1905年(明治38年)2月16日- 篠栗線吉塚~博多駅間延伸により同区間単線並列化
- 1907年(明治40年)7月1日- 九州鉄道(初代)が国有化され帝国鉄道庁が所管
- 1911年(明治44年)5月17日- 篠栗線1線部分を活用し吉塚~博多駅間複線化
- 1919年(大正8年)10月15日- 博多~二日市駅間複線化
- 1926年(大正15年)10月15日- 北九州鉄道南博多~博多駅間開業
- 1937年(昭和12年)10月1日- 北九州鉄道が国有化され鉄道省筑肥線が所管
- 1961年(昭和36年)6月1日- 門司港~久留米駅間電化
- 1963年(昭和38年)12月1日- 吉塚~博多~竹下・筑前蓑島駅間経路変更に伴い再移転高架化し現駅本屋完成
- 1968年(昭和43年)1月16日- 米海軍原子力空母「エンタープライズ」寄港反対運動のため夜行急行列車から下車した過激派学生が構内で機動隊と衝突(博多駅事件)
- この模様を撮影したテレビ局フィルムが裁判の証拠になり後に問題化。
- 1975年(昭和50年)3月10日- 山陽新幹線岡山~博多駅間開業
- 1983年(昭和58年)3月22日- 福岡市交通局(福岡市地下鉄)(仮駅)開業と同時に筑肥線博多~姪浜駅間廃止
- 1985年(昭和60年)3月3日- 福岡市地下鉄(本駅)開業
- 1987年(昭和62年)4月1日- 国鉄分割民営化により在来線部分を九州旅客鉄道、新幹線部分をは西日本旅客鉄道が承継
- 1990年(平成2年)4月1日- 山陽新幹線の回送線を旅客線化した博多南線が開業
- 1991年(平成3年)3月16日- 吉塚~博多間が鹿児島本線と篠栗線の別線化に伴い9番ホームを新設
- 1999年(平成11年)6月29日- 豪雨により近くを流れる御笠川が氾濫し駅構内が浸水し全面停電となる
- 2003年(平成15年)7月19日- 1999年と同じく近くを流れる御笠川が豪雨により氾濫し駅構内が浸水しJR九州側が全面停電となる
- 2005年(平成17年)2月27日- 西日本旅客鉄道が自動改札機を導入
[編集] 駅名の由来
博多駅は「福岡市」の代表駅にありながら「福岡駅」ではなく、「博多駅」である。これには地理的・歴史的な理由がある。
福岡は武家町、博多は商人町で栄えた別々の都市であった。1889年(明治22年)4月「市制及び町村制」の公布に基づき、県令により博多・福岡をまとめて「福岡市」として市制施行することとなった。その際に九州鉄道の駅名を「博多」とすることにより県は議論の決着を図ろうとした。その後「博多市」に市名を改称しようとする動きもあったが一票差で否決され現在に至る。
福岡と博多との関係についての詳細は、博多の項目を参照のこと。
また博多駅の立地についても、現在の福岡市の西側の地域「福岡」は福岡城や武家屋敷などが広がる政治の中心地的な場所であり、また門司・熊本方面へ鉄道を結ぶには東側の「博多」に駅を作ることが好ましかったと考えられる。なお当時の駅舎は現駅の北西に約600m先の現在の祇園駅付近に当初建設された。
しかし、「博多」の名は新幹線の開業などにより知名度が高まると「福岡」より「博多」のほうが全国に認知されるようになった。そのため、「博多市」という市が存在する、かつては福岡市と博多市に分かれていてその名残として「博多駅」が残っているなどといった誤解も存在するようである。過去に「博多市」なるものが存在しないという事情からすればかなり特殊な例といえ、駅名が都市全体の対外的印象に大きな影響を及ぼす代表的な例となっている。
近年では福岡市の主な商業施設の多くが福岡地域の天神地区周辺に集中する傾向が見られ、これに対抗すべく博多地区も再開発事業で巻き返しを図っているのが現状である。
[編集] 参考
合併により所在地の市名と中心駅名に差異の見られる例としては、北九州市の小倉駅(合併前後とも小倉駅で変化せず)、さいたま市の浦和駅(合併前後とも浦和駅で変化せず)などがある。また、県内の他市では宗像市の赤間駅、筑紫野市の二日市駅、筑後市の羽犬塚駅、豊前市の宇島駅、福津市の福間駅などがあるが、いずれの駅名も過去に自治体名として存在したものである。
市内のもう一つのターミナル駅である西日本鉄道天神大牟田線の始発駅の名称は「西鉄福岡(天神)駅」である(2001年に西鉄福岡駅から改称)。これは、国鉄が「博多」としたために、後から開業した西鉄が堂々と都市名を名乗ることができたためである。なお福岡駅はJR西日本・北陸本線の駅として富山県高岡市福岡町に存在する。
所在地の市名と中心駅名が一致しない例としては、主なものとしてこの他に東京都武蔵野市の吉祥寺駅がある。こちらも1889年(明治22年)4月の市制・町村制施行時にすでに同市の前身である武蔵野村が誕生しており、以降も吉祥寺の名称を冠した自治体は存在せず、また「武蔵野駅」も存在しない。
[編集] AED設置
- 山陽新幹線博多駅には、AEDが4台設置されている。
- 在来線博多駅にも、AEDが設置されている。
[編集] 隣の駅
[編集] 関連項目
- 日本の鉄道駅一覧
- 西鉄雑餉隈線 - 博多駅から大牟田線の雑餉隈駅を目指し計画された路線。
- 田尻敏明 - 福岡で活動するナレーター。長年駅のJR九州部分において構内自動アナウンスの音声に起用されている。
[編集] 外部リンク
博多臨港線(貨物線):香椎 - 千早(操) - (貨)福岡貨物ターミナル