停電
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停電(ていでん)とは、何らかの理由で配電(需要家への電力の供給)が停まることである。
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[編集] 概要
電気は19世紀以後より非常に便利のよいエネルギー源として、多くの文明がある地域で利用されるに至っており、多くの人がこれに依存した生活を送っている。このため供給が滞れば、これらの人々の生活が混乱する。
停電では、一般市民の生活に於いて照明の他にも冷蔵庫・エアコンや暖房・洗濯機などの生活家電が使えなくなり、また高層ビルでは、エレベーターに閉じこめられたり、揚水ポンプが動かないため断水になることもある。
- これは平野に於いて上水道の加圧に電動ポンプを利用している地域も同様である。水道の加圧では一時的に高い所にある貯水タンクに揚水ポンプで水を上げている所も多いが、長時間の停電ではこの貯水タンクが空になってしまう事により、断水する。数時間程度で発生する場合もあるので、停電時は水の使い過ぎにも注意したい。なお日本では大抵、中水道と上水道と云う区分が無いため、断水すれば飲料水の供給停止と同時に、水洗トイレも使用不可能となる事から、一部では停電が予想される際に、風呂の残り湯を棄てない等で自衛する人もいる。その一方では下水道も浄水場が停止するため、大規模停電では汚水処理に問題が出る。
他にも大規模な物では交通が信号機の停止によって混乱したり、通信に支障を来たす事もある。なお電話は独自に電力を供給しているため、余程大規模な停電でもなければ、固定一般公衆回線の電話機まで使えなくなる事は稀である。(商用電源を使用する電話機においても最低限通話は可能である。ただしファクシミリ機能付き電話機は音声通話そのものも不可能となる。また内線電話等は構内交換機が停止するため、非常用の電源設備が無い物は使用不能となる。)
ただ開発途上国・貧困国では老朽化した送電設備や発電所の問題により、日に数時間停電するのは当たり前となっている地域も多く、かつてはオイルショックの時代にフランス等が早朝の送電を停止していた例のように、もはや停電が予定調和となっている地域や、計画的に実施される地域もある。
今日では病院などに於いて生命維持のための装置(→生命維持装置)が電気で駆動されている物も多いことから、独自に発電施設を備える所(病院の他に放送局〈送信所・中継局も含む〉・新聞社や官公庁など)も在れば、停電に備えて蓄電施設を持つ所もあり、近年のコンピュータ普及にも関連して、個人で無停電電源装置(UPS)のような器機を用意する人もいる。
特に停電が予想される所では、照明の代替としてろうそくやランプといった燃焼による器具や懐中電灯等の乾電池で動作する器具を備える場合があり、またこの乾電池により動作するラジオやポケットテレビを備えるケースも見られる。災害が予想される地域では、地域防災(→自主防災組織)やその用に供する防災倉庫にエンジン発電機や電力に頼らない炊き出し用の器具を備える所も見られる。
[編集] 原因
現象は同じ「停電」であっても、その要因にはいくつかの種類がある。
- 契約対象設備に起因するもの
- 発電・配電設備故障によるもの(突発故障など)
- 工事によるもの(計画停電など・あらかじめ付近住民にチラシで知らせる)
- 天災(地震・雷・火事・台風・風害・水害・雪害など)によるもの
- 人災 飛行機やクレーンが送電線に接触するなど。送電線の鉄塔に人が登ったりしたため、危険防止と保安面から急遽送電を停止したので停電する場合もある。
なお日本などでは電力供給が滞りなく行われるのが通例であるため、計画停電を除き、電力会社側が原因で長時間(おおむね1時間以上)停電した場合には、電力料金を割り引く制度がある。しかし停電するのが常態となっているような地域では、余りそのような制度は見られず、ガスのように消費電力量のみによって使用量が請求される。
[編集] 過去の大規模な停電
- 御母衣事故(1965年6月)
- 関電の水力発電所の送電鉄塔が台風により倒壊。過負荷となった需要地側の火力発電所も脱調を起こし次々と停止し大停電となった。
- ニューヨーク大停電(1977年7月13日)
- 首都圏大規模停電(1987年7月23日)
- 首都圏で280万世帯が停電。原因は電力消費量が発電所の発電能力を超えたため。経済損失は1兆8千億円と試算されている。
- 阪神・淡路大震災(1995年1月17日)
- 関西地区約500万世帯が停電。この停電は日本最大規模の停電だった。
- 新潟県中越地震(2004年10月23日)
- 福岡県西方沖地震(2005年3月20日)
- 新潟大停電、北陸地方の大規模停電(2005年12月22日)
- 首都圏大規模停電(2006年8月14日)→ウィキニュース