博多南線
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博多南線(はかたみなみせん)は、山陽新幹線の回送線である博多駅~博多総合車両所間を旅客線化した、福岡県福岡市の博多駅から福岡県春日市の博多南駅までを結ぶ西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線(幹線)である。全線が福岡近郊区間に含まれる。
新幹線用の設備を使用し、運転される列車も新幹線用の車両を使用するが、法規上はあくまで「在来線」であり、厳密な意味での「新幹線」ではない。ただし、旅客への案内にはしばしば「新幹線」を使用するほか、マスコミでは新幹線として取り上げられているため、一般的には新幹線で定着している。
なお、本来は博多総合車両所への回送線であることから、博多~博多南・博多総合車両所間には東京基点のキロポストと博多基点のキロポストの2種類がある。
将来、九州新幹線全線開通時には本線として使用される区間が一部あり、全通時の扱いについては博多南線を運営する西日本旅客鉄道、九州新幹線を運営する九州旅客鉄道(JR九州)並びに沿線自治体の間で協議が行われている。
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[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別):西日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 路線距離(営業キロ):8.5km
- 軌間:1435mm
- 駅数:2駅
- 複線区間:全線
- 電化区間:全線(交流25,000V・60Hz)
- 最高速度:130km/h
- 閉塞方式:車内信号閉塞式
- 保安装置:ATC-1
- 運転指令所:東京指令所
- 平時では東京にある指令所で指令業務が行われているが、地震等で被災したときのために第二指令所が大阪に設置されている。普段から異常時訓練や東京から最新のダイヤグラムを転送して、緊急時にすぐ対応できる体勢をとっている。
[編集] 歴史
車両基地建設以後、基地のある那珂川町で住宅地が発展。当時、この地域は福岡市への交通アクセスが悪く、交通手段が費用と時間がかかるバスだけしかなかった為、福岡市内に通勤通学をする地元住民から、「回送線に乗せて欲しい」との要望がJR西日本に寄せられるようになった。しかし、国鉄改革時の「九州内の在来線はJR九州が経営する」という取り決めとの整合性が問題となり、JR西日本の路線ではあるが、結局博多南駅の営業業務をJR九州に委託することで決着した。
結果、博多駅周辺への通勤を例にすると、バスでは1時間ほどかかっていたものが10分程度へと大幅に短縮され、博多総合車両所周辺は急速に宅地化が進んだ。
[編集] 運行情報
2006年3月現在、博多南線のみを走る列車は朝の上り3本(2820A、2822A=休日運休、2824A)のみで、それ以外は博多以東の山陽新幹線に「こだま」号(448Aはひかり448号)として直通する。日中はほぼ60分に1本のペースで運行している。以前は線内運転の下り列車があり、この場合の博多駅の自動放送では「小倉方面には参りませんのでご注意ください」と注意喚起がなされていた。
新幹線用の運行設備・車両での運用だが、速度や使用車両の関係から全列車が特急扱いとされ、利用には運賃の他に特定特急料金(100円、博多~博多南間は運賃190円で合計290円)が必要である。
車両は山陽新幹線「こだま」号と同じであるが、博多南線は在来線に属するため、特急列車に分類する。そのため、最高速度も120km/hに制限されている。またJRグループの特急列車で、唯一列車愛称が設定されていない。博多駅の発車案内表示機では「623号」のように号数のみが表示されている。
[編集] 車両・編成等
- 使用車両・編成
- こだま用の0系R編成と100系K編成の6両編成、100系P編成の4両編成が使用される。
- 2006年3月のダイヤ改正で増発され、初めて700系(ひかりレールスター用8両編成)も博多南線に登場した。
- 備考
- 博多南線内は全車禁煙自由席である。グリーン車が連結されている列車は運行していない。
[編集] 類例
博多南線と同じく新幹線用設備を利用するが法規上在来線として運行する路線に、JR東日本の上越新幹線から分岐し、上越線の支線として扱われる越後湯沢~ガーラ湯沢間がある。こちらは列車に「シャトル・ガーラ」(線内のみの運転、現在は消滅)の愛称が付いている。
[編集] 駅一覧
駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|
博多駅 | 0.0 | 西日本旅客鉄道:山陽新幹線 九州旅客鉄道:鹿児島本線・福北ゆたか線 福岡市交通局:空港線 |
福岡県 | 福岡市博多区 |
博多南駅 | 8.5 | 春日市 |