熊本駅
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熊本駅(くまもとえき)は、熊本県熊本市春日3丁目15番地に所在する九州旅客鉄道(JR九州)・熊本市交通局の駅である。
熊本県の県庁所在地たる熊本市の中心駅で全列車が停車する。
2011年春に全線開業予定である九州新幹線の駅が併設される予定である。その為、現在駅の改築工事が行われている。既に準備工事が開始され、車両基地については移転を完了。新幹線開通時は高架駅となる予定である。
なお、2006年9月24日(日)より新幹線高架工事と在来線高架工事が開始されたため、のりばの変更が実施されている。詳細は下記を参照。
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[編集] 利用可能な鉄道路線
[編集] 駅構造
特急列車ののりばはほぼ決まっているが、普通列車ののりばには特に決まりが無く、折返しや出入庫等の都合による。
- 0番Aのりば
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- 鹿児島本線下り 普通
- 豊肥本線下り あそ1962・普通
- 0番Bのりば
-
- 豊肥本線下り 普通
- 肥薩線下り 九州横断特急
- 1番のりば
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- 鹿児島本線下り 特急リレーつばめ・普通
- 豊肥本線下り 特急有明・普通
- 三角線下り 普通
- 肥薩線下り 特急くまがわ
- 新2番のりば
-
- 鹿児島本線下り 特急リレーつばめ・普通
- 鹿児島本線上り 特急リレーつばめ・普通
- 豊肥本線下り 九州横断特急
- 三角線下り 普通
- 肥薩線下り 九州横断特急・特急くまがわ
- 3番のりば
-
- 鹿児島本線下り 普通
- 鹿児島本線上り 普通
- 豊肥本線下り 普通
- 三角線下り 普通
- 新4番のりば
-
- 鹿児島本線上り 特急リレーつばめ・特急有明・普通
- 三角線下り 普通
- 5番のりば
-
- 鹿児島本線下り 普通
- 鹿児島本線上り 特急はやぶさ・特急なは・普通
- 三角線下り 普通
なお、貨物駅は旅客駅より南に1キロ、豊肥本線との分岐点のさらに南側の熊本市蓮台寺一帯に広がっており、東京や福岡、鹿児島へ向けて1日5,6往復の高速貨物列車の設定がある。
3階建て(一部4階)の駅舎が線路の東側に置かれている。また跨線橋はガラス張りで、シンデレラブリッジという名前が付けられている。
- 1階はコンコース。自動改札、みどりの窓口、ジョイロードなど。コンビニ(am/pm)、土産店、駅弁屋、パン屋、飲食店、郵便局などもある。
- 2階は商店街。書店(福家書店)や洋服店、レストランなど。跨線橋に直結した改札口もある。
- 3階以上はJR九州熊本支社をはじめとするJR九州関連企業の業務スペース。
[編集] のりばの変更について
2006年9月24日(日)より新幹線高架工事と在来線高架工事が開始されたため、のりばの変更が実施されている。
※9月24日(日)から熊本駅の「のりば」を変更します(JR九州)
主な変更点は、
- 4/5番ホームの廃止、撤去
- 2/3番ホームのうち、従来の2番線を新3番線に、3番線を新5番線に変更
- 1番ホームの南側を削り、新3番線との中間に簡易ホームを建設し短編成専用の新2番ホームとする。これの設置に伴い、プレハブ造りの跨線橋が新たに建設された。
- 新3/5番ホームの南側の切り欠き部分を利用し、三角線などの短編成車両発着専用の新4番ホームとする。
- 原則として下り特急リレーつばめは1番線発着、上り特急「リレーつばめ」「有明」は新5番線の発着となる。
- 旧4/5番線にはKIOSKがあったが、新3/5番線には売店類の設置が見送られ、不便になった。
- 1番ホームに設置されていたうどん屋は9月30日を持って営業休止となった。
[編集] 発着及び停車する列車
[編集] 利用状況
平成16年度の1日平均の乗車人員は10,660人である。これはJR九州で10番目、九州の駅の乗車人員では22番目で、67万都市の玄関口にあたる駅としては利用客が少ない。
挙げられる理由として、
- 熊本市の市街地は市内中心部を軸にすると東(水前寺駅、健軍町駅方面)、もしくは北(武蔵塚駅方面)に大きく偏って伸びており、西のはずれに立地している熊本駅は大半の市民にとって不便な位置にあること
- 利用者が、鹿児島本線上り方面は上熊本駅を、豊肥本線肥後大津駅方面は新水前寺駅を利用するなど熊本市内のターミナル機能が分散されている
- 新幹線未開業のため本州地区からの旅客需要が乏しいこと
などが挙げられる。
また、熊本駅の東側は川(白川)、西側は山(花岡山)となっていることから大規模開発がしにくく、他都市のように駅前に商業集積がされなかったことも理由である。
[編集] 熊本駅を取り巻く問題
[編集] 駅の設置位置
熊本駅が現在地に設置されたのには歴史的経緯がある。本来当駅は、現在の新町付近に建設が予定されていた。ところが、「機関車の煙で生活環境が悪化する可能性がある」などという理由で付近の住民が反対したという逸話が残されているが、明確な記録はなく全国各地に残る鉄道忌避伝説の可能性もあるが定かではない。その他、新町付近は地価が高く大規模な用地の確保が困難であったこと、また当時百貫港の整備計画があり坪井川・白川の水運との接続を考慮したためだと考えられている(余談だが、後に百貫港の整備は困難と判断され三角港が開港。これが三角線が敷設されるきっかけとなった)。
一方、バスセンターであり市電との乗り換えも便利な熊本交通センターは市内中心部に立地し、佐賀市、鹿児島市以外の九州内全県庁所在地及び佐世保市、延岡市、北九州市へ向けての高速バスが頻発しており、こちらの方が利用客が多い状況にある。例えば福岡に行く場合、交通センター発福岡行きの高速バスが10~15分間隔で運行され、市中心部を通ってから熊本市東部を縦断する高速道路に乗るため、市中心部・東部の住民は熊本駅をあまり利用しないのが実状である。
[編集] 駅前再開発と新幹線開通
熊本駅南側には、現在熊本城の敷地内にある国の合同庁舎の移転工事が計画されている。また駅東口側には、市電の電停を含めた広場、坪井川を利用した親水公園、図書情報センターや商業施設を含めた再開発ビルの建設が検討されている。市電の電停はJRのホームに乗り入れる計画もあり、実現すれば日本初の試みである。
しかし、再開発について、再開発ビルを目指して県内外からの観光客が熊本駅で下車するとは考えにくく、また市内には既に県立図書館と市立図書館があるため、市民がわざわざ利用するかも疑問視され、その建設意義自体も問われている。駅の西側にいたっては、住民の同意が得られずに用地買収すら頓挫している場所も少なくなく、駅西口の開発は未だに白紙のままである。このようなことから、新幹線開通までに駅前の再開発が完了する見込みも立っていない。
また、前述のように、当駅は市の中心部から離れており利便性が低く、多くの熊本市民にとって必ずしもターミナル駅の役割を十分果たしているとは言えない。したがって、新幹線が開通してもどれだけ利用者が見込めるか未知数である。
一方、九州新幹線の終着駅・鹿児島中央駅のある鹿児島市は、駅前再開発を成功させ新幹線との相乗効果で観光客が大幅アップしており、熊本市は大きく水をあけられている状態である。
九州新幹線全線開業が迫っている中、熊本市は将来のビジョンを明確に示すと共に、早期に再開発事業に道筋をつけることが求められている。このままでは熊本駅は立場上、博多駅-鹿児島中央駅間の通過駅の1つに成り下がってしまう可能性も否めない。
[編集] 構内の飲食店
- ケンタッキーフライドチキン(フライドチキン、1F)
- 吉野家(牛丼、1F)
- モスバーガー(ハンバーガー、1F)
- トランドール(パン、1F)
- 音羽屋(駅弁、1F、1番ホーム)
- らん蘭(中華、2F)
- NANDEN やく蔵(2F)
- 火の国とらや(2F)
うどん・そば(駅うどん・そば、0・1番ホーム、2・3番ホーム)の営業は2006年9月30日をもって全廃された
[編集] 駅弁
- 味彩(音羽屋)
- 味の華(音羽屋)
- あやめ(音羽屋)
- おにぎり弁当(音羽屋)
- 春日野(音羽屋)
- 草枕(音羽屋)
- さつき(音羽屋)
- すいぜんじ(音羽屋)
- すみれ(音羽屋)
- 中華飯店(音羽屋)
- 殿様弁当(音羽屋)
- 肥後てまり(音羽屋)
- ふきよせ(音羽屋)
- もっこす(音羽屋)
[編集] 駅周辺
[編集] 利用可能なバス会社
現在、高速道を通る高速バス路線はすべて熊本交通センターを発着し、熊本駅前に発着するものはない。
[編集] 歴史
- 1891年(明治24年)7月1日 九州鉄道(初代)門司~熊本駅間開通し熊本駅(春日停車場)開設
- 1893年(明治26年)6月 鉄道敷設法で熊本~大分間を予定鉄道線路編入
- 1896年(明治29年)11月21日 熊本~八代駅間延伸
- 1899年(明治32年)12月25日 三角線全通
- 1906年(明治39年)5月10日 門司~八代駅間に九州初の急行列車運転
- 1907年(明治40年)7月1日 九州鉄道会社(初代)が国有化され帝国鉄道庁所管
- 1908年(明治41年)1月 門司~人吉駅間に食堂車が連結「日本亭」(門司)が営業
- 1909年(明治42年)11月21日 鹿児島本線(人吉、隼人経由)全通
- 1914年(大正3年)6月21日 宮地軽便線(現在の豊肥本線)熊本~肥後大津駅間開通
-
- 7月 駅本屋新築
- 1924年(大正13年)8月1日 熊本市電 熊本駅前~浄行寺・水前寺間開通
- 1927年(昭和2年)10月17日 鹿児島本線八代~水俣~川内~鹿児島駅間全通。八代~人吉~吉松~隼人駅間を肥薩線に改称
- 1928年(昭和3年)12月2日 豊肥本線全通
- 1845年(昭和20年)7月27日 空襲被災により上りホーム上家全焼するも駅本屋は無事
- 1950年(昭和25年)8月1日 熊本鉄道管理局発足
- 1958年(昭和33年)3月 駅本屋改築(現駅舎)。熊本初の特急列車「はやぶさ」運行開始
- 1959年(昭和34年)熊本市電田崎線開通。準急「えびの」」「くまがわ」運転開始
- 1961年(昭和36年) 熊本発着の寝台特急「みずほ」(東京~熊本)運転開始
- 1964年(昭和39年) 初の昼行特急「みどり」運転開始(新大阪~熊本・大分)
- 1965年(昭和40年) 鹿児島本線熊本電化。特急「つばめ」(名古屋~熊本)・「あかつき」(新大阪~西鹿児島)運転開始
- 1967年(昭和42年) 特急「有明」運転開始(門司港~西鹿児島)
- 1968年(昭和43年)10月1日 鹿児島本線熊本まで複線化。特急「明星」(新大阪~熊本)・「なは」(大阪~西鹿児島)運転開始
- 1975年(昭和50年)10月1日 山陽新幹線博多開通により熊本駅発着の特急・急行列車再編
- 1980年(昭和55年)10月1日 急行「阿蘇」・「ぎんなん」廃止
- 1986年(昭和61年)11月1日 特急「明星」廃止、「有明」が大増発され博多方面へは30分間隔の運転となる
- 1987年(昭和62年)4月1日 九州旅客鉄道株式会社発足
- 1988年(昭和63年)3月13日 「有明」に783系「ハイパーサルーン」導入開始
- 1991年(平成3年) 駅舎をリニューアル
- 1992年(平成4年)7月15日 特急「つばめ」復活、787系投入。急行「火の山」は特急に格上され特急「あそ」に変更となる
- 1994年(平成6年) 寝台特急「みずほ」(東京~熊本・長崎)廃止
- 1995年(平成7年) 鹿児島本線上り方面の普通列車の大半が銀水駅止となる
- 1997年(平成9年) 特急「はやぶさ」熊本駅で打切
- 1999年(平成11年) 豊肥本線電化完成、鹿児島本線と豊肥本線に815系が投入され大半の普通電車がワンマン運転となる。博多方面の特急列車が日中20分間隔になる
- 2000年(平成12年) 急行「えびの」(熊本~宮崎)廃止。「くまがわ」が九州最後の急行列車になる
- 2001年(平成13年) 「有明」の一部が小倉駅まで延長復活
- 2002年(平成14年)11月2日 1階改札口に自動改札機導入(5台)
- 2004年(平成16年)3月13日 九州新幹線新八代~鹿児島中央駅開業で特急列車運転系統見直。「リレーつばめ」「九州横断特急」誕生。「なは」熊本打切
- 2005年(平成17年) 817系投入、上り普通列車の半数が鳥栖駅まで延長。駅構内での九州新幹線建設工事本格化。「SLあそBOY」「SL人吉号」運行終了
- 2006年(平成18年) 「あそ1962」運行開始 新幹線工事に伴うホーム配置大幅改変
- 2010年(平成22年) 九州新幹線、博多~新八代駅間開業予定し西口完成予定
- 2016年(平成28年) 鹿児島本線・豊肥本線連続立体交差化完成予定
[編集] 備考
- 駅西側にあった熊本鉄道事業部の車両基地、熊本鉄道事業部熊本運輸センターの車両倉は煉瓦造りで有名だったが、移転に伴いこれも解体された。
- 近年まで、都道府県庁所在地駅の中で唯一、駅名標が全て旧国鉄型の駅であったが、前述の通り、2006年9月24日(日)に、のりばの変更が実施されたのに伴い、新しくなったのりばには、JR九州仕様の駅名標が設置された。したがって、JR線全ての都道府県庁所在地駅がJR仕様の駅名標となった。
- 駅名標のイラストは、当駅に設置されている駅スタンプと同様のデザインとなっている。