冬
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冬(ふゆ)は四季の一つで、一年中で最も寒い季節である。北半球では1月が一番寒さが厳しい。南半球は季節が逆になるので7月が冬となる。
日本の気象庁では一日の最低気温が0℃以下の日を冬日(ふゆび)、また、その日の最高気温が0℃未満の日を真冬日(まふゆび)と呼んでいる。およそ四国九州以北では、このような日は一月を中心に十二月から三月にかけて生じるから、このあたりが冬の範囲にはいる。なお、南半球では6月・7月・8月
冬にとれるものは旬を参照。
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[編集] 気候と自然
冬という季節が生まれるのは、太陽高度の差によって気温が変わることが大きな原因である。地球が地軸を傾けて公転しているために、同じ地点でも季節により太陽高度が変わり、太陽高度が低くなると冬になる。北半球が冬のときは南半球は太陽高度が高くなるため夏となり、南半球が冬のときは同様に北半球は夏となる。
赤道に近い低緯度地域では、季節による太陽高度の差が小さいので冬に目立った気象の変化はない。また、極地や高緯度地域では冬に太陽が昇らない極夜という現象が起こる。
また、その土地の標高や気団、海流、風などが冬の気候に影響を与えるため、同じ緯度にあっても冬の気候に差が出る。例えば、北緯43度付近にあるモナコでは1月の最低気温は8度前後だが、同じ緯度にある旭川では同じ月に-12度前後まで下がる。
日本では秋から次第に寒くなり、やがて野外で霜や雪など氷に関わる現象が見られるのが冬である。また、冬至までは昼間の時間は短くなり、夜が長くなる。
シベリア高気圧が張り出し、西高東低の気圧配置になると、これを冬型の気圧配置といって、北西の季節風(北風)が強く吹き、日本海側では雪、太平洋側では空気が乾燥して晴れとなる。
それにつれて生物は活動を控え、冬眠や越冬にはいる。落葉樹は葉を落とし、宿根草は地上部を枯らす。人間は防寒を主目的とした冬服に着替え、さらに襟巻きなどの防寒具を着用する。それでも弱い人は霜焼けを起こす。暖房器具を出すのも冬のこと、こたつやストーブに体を寄せ合う楽しみもある。それに起因する一酸化炭素中毒も冬によく発生する。
冬に寒さが弱い場合は暖冬(だんとう)という。また、逆に寒さが厳しい場合は厳冬(げんとう)という。
日本で暖冬になる原因は、(エルニーニョ現象)という。逆に厳冬の場合は、(ラニーニャ現象)という。
[編集] 生物
生物にとって、冬は直接に命の危険にさらされる季節である。越冬や冬眠には様々な方法が採られる。シカやサルなどのように、冬眠はしないものもあるが、それらの場合、餌に苦労することになり、他の季節には見向きもしない木の芽や樹皮などを食べてしのぐ例も知られる。これらの動物では、冬季の死亡率が個体数に大きな影響を持つとも言われる。
冬に特別な活動が見られる例もある。サンショウウオやアカガエルにはほとんど真冬に繁殖活動をおこなうものがある。おそらくは天敵の動けない時期であるためとも考えられる。イヌワシなども冬に繁殖を開始する。これは、雛が食べ盛りになるのが、他の鳥の繁殖時期に重なるようにとの適応とも言われる。
春になると様々な生物の活動が始まるが、その開始時期はそれぞれで、中にはほとんど冬に始まる場合もある。フクジュソウやウメは往々にして花が雪をかぶる。
[編集] 冬の行事
冬は年の変わる時期でもある。北半球においては、農業では春から秋にかけて生産が行われ、冬は次の生産への準備に当たるからであろう。その年の締めくくりや年を改めるための行事が多い。
- 神戸ルミナリエ・東京ミレナリオ(イルミネーション)
- クリスマス:日本においては、本来の宗教的意味は薄れ、キリスト教徒であるかどうかに関わらず、クリスマス会をし、プレゼント交換をするものが多い。街はイルミネーションに彩られ、クリスマスソングが街のあちこちで流れる。
- お歳暮
- 忘年会
- 誓文払い
- 冬至
- 年越し
- 大晦日
- 正月
- 新年会
- 七草粥
- 左義長
- 節分 - 恵方巻
- バレンタインデー
冬という厳しい季節を乗り越えるための準備や手当の行事もある。
また、冬の気候を生かしたウィンタースポーツも行われる。冬のレジャーとして楽しまれたり、競技として行われたりする。
[編集] 天文・自然
沖縄や九州四国の南端部を除いては、冬は雪や氷に象徴される季節である。南の方では時折生じる物として珍しがり、北の方では常に存在する物として共存する。
雪は降雪量の少ない地域では子供のお楽しみであるが、多い地域では大変な問題を起こす。特に日本の本州日本海側は世界的にも多雪地帯である。地域によっては平気で数mも積もってしまうから、家はもちろん埋まってしまう。いわゆる雪国あるいは豪雪地帯であって、他の地方にはない様々な危険があり、人々の生活や建築などに様々な対策が練られる。
天文の上では、冬は星空がもっとも美しい季節である。非常に星の数が多く明るい星も多く星雲などの数も多い。特に冬の大三角形をとりまく星々が有名で、誰でも知っているような星座が多い。
[編集] 冬を題材にした作品
[編集] 文学
[編集] 音楽
- 「ウィンター・ワンダーランド」(作曲:フェリックス・バーナード、作詞:ディック・スミス)
- 「冬がはじまるよ」「STRIPE!」等、多数(槇原敬之)
- 「冬のファンタジー」(カズン)
- 「冬のうた」(Kiroro)
- 「冬のリヴィエラ」(森進一)
- 「冬のオペラグラス」(新田恵利)
- 「津軽海峡冬景色」(石川さゆり)
- 「冬の窓」(キャンディーズ)
- 「冬景色」(童謡)
- 「冬の夜」(童謡)
- 「冬の星座」(童謡)
- 「White Love」(SPEED)
- 「Winter,again」(GLAY)
- 「Winter Bells」(倉木麻衣)
- 「winter fall」(L'Arc~en~Ciel)
- 「WINTER SONG」(DREAMS COME TRUE)
- 「Winter Kiss」(デュアルドリーム)
- 「Winter Comes Around (冬の一日)」(TM NETWORK)
- 歌曲集「冬の旅」(フランツ・シューベルト)
- 交響曲第一番「冬の日の幻想」(ピョートル・チャイコフスキー)
- 「White Light」(安室奈美恵)
- 「メリクリ」(BoA)
- 「プロポーズ」(TUBE)
- 「冬のエトランジェ」(MISIA)
- 「柊」(Do As Infinity)
- 「BELIEVE (Seasons 「冬」Ver)(渡辺美里)
[編集] 映像作品
- ウィンター・ゲスト(the Winter Guest、1997年、英) - 監督:アラン・リックマン、出演:フィリダ・ロー、エマ・トンプソン
- ウィンター・スリーパー(Wintersleepers、1997年、独) - 監督:トム・ティクヴァ、出演:フロリアン・ダニエル、ハイノ・フェルヒ