歳暮
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歳暮(せいぼ)とは、文字通り年の暮れ、1年の終わりを告げる季語で12月の季語でもある。
一般には、暮れに世話になった人に対し感謝するなどの歳暮周り(せいぼまわり)と呼ばれる年中行事が行われる事が多い。 このときに贈り物がされ、この贈答品がお歳暮と呼ばれ、現在では「歳暮」「お歳暮」といった場合、この贈答品、または贈り物の習慣を指すことが一般的である。近年ではこの習慣を不要と考える人も増え、廃れつつある習慣である。
本来は直接訪問して贈り物をするものであるが、近年では百貨店などから直送(実際には宅配便のシステムを利用)で相手方に贈られることが多い。
多くの商品が贈答にされる為、この時の賑わいを歳暮商戦(せいぼしょうせん)、御歳暮商戦(おせいぼしょうせん)などと言う場合もある。 この時の贈答品は主に、新しい年を迎える為に必要な物を送ることが多かった。具体的にはある程度保存の利くアルコール飲料(ビールやウィスキーなど)、コーヒー、ハム・ソーセージといった食品が多いが、クール便の拡充によって魚介類や牛肉などの産直生鮮食品もギフト用に使われるようになった。近年では相手先での商品の選択を可能とする目的で、商品券や引換券を贈る場合もある。
この時期に贈る品物には紅白の水引と、熨斗アワビの飾りまたは代わりのマークを付けて贈る。注意しなければいけないのは、この時に付ける水引の形で、蝶結びにしなければならない。
[編集] 企業社会における歳暮
日本では、取引先の企業の担当者、その上席、担当役員などにお歳暮を贈る習慣が広く存在した。かつては、お歳暮シーズンになれば、ビジネスマンは取引先や監督官庁の職員の自宅住所のリストをFAXで送ってもらったりしてお歳暮を送付していたものであり、企業のトップの家ともなればたくさんお歳暮が届いたりしていたものである。
現在は公務員についてはお歳暮やお中元などの贈答品の受け取りは禁じられている。 民間企業では法律で規制されているわけではないが、「自宅の住所は非公開」という社が増えてきている。これは、取引先企業から自宅へ「お歳暮」「お中元」を送られないようにするほか、個人情報の保護の目的もあるためである。 但し、自宅あては受け取らないが、会社宛であれば受け取るという社もある。また従来どおり自宅あてに送る社もあるようである。中には、相手が「いらない」と言っているのに手段をつくして自宅の住所を調べて送付することも以前は珍しくなかった。
会社宛てに届けられた贈答品は、抽選で社員などに配られたりされることも多い。
[編集] 個人名で送付するケース
- ユニークな方法として、個人名でお歳暮を送付することがある。相手が公的団体(特殊法人など)の職員の場合、企業名でお歳暮を贈ると直ちに違法ではないが、なんとなく具合が悪い。そこで個人からという体裁で送付するわけである。送り状の発送者欄にも発送者個人の住所氏名しか記載されていない。しかし、受け取る側の人が見れば、どこの企業から送られてきたものかが一目瞭然というわけである。また、包み紙の発送者名は個人名にして、内部の熨斗紙だけ企業名を入れるということもよく行われていた(外見上は個人からの送付であるように見える)。