立春
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
立春(りっしゅん)は二十四節気の1つ。2月4日ごろ。および、この日から雨水までの期間。
太陽黄経が315度のときで、春の初め。正月節。『暦便覧』には「春の気たつをもつてなり」と記されている。 この日から立夏の前日までが春。冬至と春分の中間にあたる。九州など暖かい地方では梅が咲き始める。
立春の前日は節分である。立春から数えて88日目を八十八夜、210日目を二百十日、220日目を二百二十日と呼ぶ。
立春以降初めて吹く南よりの強風を春一番と呼ぶ。
立春の早朝、禅寺では門に「立春大吉」と書いた紙を貼る習慣がある。
目次 |
[編集] 旧暦と立春
旧暦(太陰太陽暦)では元日が立春前後に置かれる。中国暦で立春の次の雨水を含む月を1月としたのは、立春の頃を年初にし、春の始まりと年の始まりを一致させるためである。
節切りにおいては、立春が年初となる。風水を始めとする占いでは、節分までは前年に属し、立春を以て年が変わるとしているものが多い。節分の豆撒きや恵方巻といった習慣も、立春を年初として、新しい年の幸運を願って行われていたものである。
大寒から立春までは一年のうちで最も寒い季節であり、立春を過ぎると少しずつ寒さが緩み始め、春の気配が忍び入ってくる。よって東洋では『立春から立夏まで』を『春』とする。しかし西洋では暑くも寒くもない季節、つまり『春分から夏至まで』を『Spring』とするので、東洋と西洋とでは、四季の区切りはおよそ1.5ヶ月ずれている。このため、『立春は実際の春に比べてだいたい1ヶ月ほど早く感じられる』といった誤解が生まれている。西洋の『Spring』と東洋の『春』とは異なっていることを知れば、立春は正しく東洋の概念における『春』の初めであることが理解できるはずである。
[編集] 年内立春
旧暦では、年によっては年が明けるよりも先に立春が来ることがある。これを年内立春(ねんないりっしゅん)という。古今和歌集の巻頭に以下のような歌がある。
年のうちに春は來にけり 一年(ひととせ)を去年(こぞ)とやいはむ今年とやいはむ 在原元方
「年が明けないうちに立春が来てしまった。年が明けてからは、同じ一年のうちである立春から大晦日までの間を去年(こぞ)と言おうか、今年と言おうか」と いう意味である。このように歌に詠まれるくらいの年内立春であるが、実はそんなに珍しいことではない。ここ数年の立春の日附を列挙する。
新暦 | 旧暦 |
---|---|
2000年02月04日 | 1999年12月29日 |
2001年02月04日 | 2001年01月12日 |
2002年02月04日 | 2001年12月23日 |
2003年02月04日 | 2003年01月04日 |
2004年02月04日 | 2004年01月14日 |
2005年02月04日 | 2004年12月26日 |
その後は2007年、2008年、2010年、2013年、2015年(いづれも新暦)が年内立春である。だいたい2年に1回は年内立春になることになる。
これをわざわざ「年内立春」と呼ぶのは、年が明けてからの立春よりも春らしさをあまり感じないなあという感慨からであろうと考えられる。
[編集] 七十二候
立春の期間の七十二候は以下の通り。
- 初候
- 東風解凍(はるかぜ こおりを とく):東風が厚い氷を解かし始める(日本)
- 東風解凍(とうふう こおりを とく):東風が厚い氷を解かし始める(中国)
- 次候
- 黄鶯睍睆({目見}{目完})(うぐいす なく):鶯が山里で鳴き始める(日本)
- 蟄虫始振(ちっちゅう はじめて ふるう):冬蘢りの虫が動き始める(中国)
- 末候
- 魚上氷(うお こおりを のぼる):割れた氷の間から魚が飛び出る(日本・中国)