気温
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通常、気温は地上の気温を意味し、WMO (世界気象機関)の規則により、地上から1.25~2.0m の高さで、温度計を直接外気に当てないようにして測定する。そのために、温度計や湿度計はファン付きの通風筒や百葉箱に入れられる。
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[編集] 「気温」の概念
「気温」だけを表す単語は日本語や中国語など一部の言語にしかなく、英語では「温度」を表すTemperatureが気温の意味で代用され、厳密に「気温」を表す場合はAir temperatureなどが使用されている。
また、世界気象機関や日本などでは気温を摂氏(°C)で表すが、アメリカでは伝統的に華氏(°F)で表すことが多い。
[編集] 気温を左右する要因
気温を左右する要因のうち最も大きいのが太陽エネルギーである。昼間の太陽高度が高いほどその量が多くなり、気温の上昇が早くなる。この太陽高度の差の影響で、高緯度地域にいくほど気温が低くなる。
太陽エネルギーを受けない夜間は気温が低下するが、大都市など熱を吸収する物体が多いところでは気温の低下が遅くなる。また、夜間の雲が少ないほど放射冷却現象による気温の低下が大きくなる。
フェーンなどの風や、寒気や暖気などの大気の大きな塊も、気温を左右する。
また、雨の後は気化熱により地表の熱が奪われるため、気温が低下しやすくなるが、湿度が上昇する。このとき、風が適度に吹くと気温の低下が速くなる。
また、地形によっても地温が変化する。盆地や砂漠では前述の放射冷却が起きやすいため最高気温と最低気温の差(日較差)が大きく、海辺では最高気温と最低気温の差が小さい。さらに標高が高いほど気温が低くなる。海抜0m~2000m付近では、標高が100m高くなる毎に、気温は0.6°Cずつ低下する。
[編集] 最高気温
着目している日、すなわちその日の24時間内に観測された気温の最高値を最高気温という。最高気温はいうまでもなく、その日で一番暖かかった気温を示している。最高気温は通常(特に晴天の日)には12時から15時の間に観測されることが多いが、もちろんそのときの気圧配置によって夜中に観測されることもある。また、着目している月内に観測された気温の最高値を月最高気温と呼ぶ。
- 最高気温の記録
- 日本の公式記録における気温の最高記録は、1933年7月25日15時頃に山形市で記録された40.8°C。フェーン現象が原因とされる。非公式には、1923年8月6日に徳島県鳴門市撫養で観測された42.5°C(現在観測が行われていない地点のため公式記録から除外)や、2004年7月20日に東京都足立区江北で観測された42.7°Cなどがある。
- 世界(地球上)における公式な最高気温の記録は、1921年7月8日にイラクのバスラで観測された58.8°Cである。
NHK等の天気予報では、「日中の最高気温」という言葉が用いられるが、これは上記の意味ではなく、「9時から18時までの間に観測された最高気温」という意味で使われる。また、新聞等では「0時から15時までの間に観測された最高気温」の意味で使われることもある。
[編集] 最低気温
着目している日、すなわちその24時間内に観測された気温の最低値を最低気温という。最低気温はその日のうちでも最も涼しかった時間を示し、通常(特に晴天の日)では最低気温は午前3時から6時の間に観測されることが多いが、もちろんその日の気圧配置によっては昼間に観測されることもある。また、着目している月内で観測された気温の最低値を月最低気温という。
- 最低気温の記録
戦後では、北海道幌加内町の母子里で1977年2月15日に-40.8°C、1978年2月17日に-41.2°Cを記録している。
- この他、最低気温の記録として日本の観測史上最も高い最低気温は、2000年7月31日に富山市で記録された30.1°C。この原因もフェーン現象である。
- 世界(地球上)における公式な最低気温の記録は、1983年7月21日に南極のボストーク基地で観測された-89.2°C。
- また、人間が居住している地域での最低気温の記録は、ロシアのオイミャコンで観測された-77.2°C。
ちなみに2000年1月27日に起こった北海道東部大寒波のときには、陸別町(北海道)では-33.2°Cを観測した。そのときに道の駅「オーロラタウン93りくべつ」では、自動販売機の「あたたか~い」飲み物がすべて自動販売機の中で凍った。(故障)
NHK等の天気予報では、「朝の最低気温」という言葉が用いられるが、これは上記の意味ではなく、「0時から9時までの間に観測された最低気温」という意味で使われる。また、新聞等では「前夜21時から9時までの間に観測された最高気温」の意味で使われることもある。
[編集] 平均気温
平均気温は、一日の場合は毎時間ごとの気温の平均、一か月または一年の場合は毎日の平均気温の平均のことを指す。
- 各月の平均気温のうち、最も高い月を最暖月、最も低い月を最寒月といい、最暖月と最寒月の気温の差を年較差という。
また、年間の各月の平均気温は日本の場合、その地域などによっても差は生じるが、ほぼ通常の場合では、最寒である1・2月と、最暖である7・8月を基準に見た場合、3月と12月、4月と11月、5月と10月、6月と9月の平均気温は平年の測定値からもそれぞれ相互にほぼ同じ若しくは近い値になる場合が多いが、内陸の山間部では秋の気温降下が平野部より早い傾向にあり、10月の平均が4月のそれに近くなる場合もあり、11月にはほぼ3月の平均気温並みになる場合も多い。
[編集] 気温による一日の分類
一日の最低気温、最高気温により以下の分類がある。
- 冬日(ふゆび) - 最低気温が0°C未満の日。霜日(しもび)ともいう。
- 真冬日(まふゆび) - 最高気温が0°C未満の日。
- 夏日(なつび) - 最高気温が25°C以上の日。
- 真夏日(まなつび) - 最高気温が30°C以上の日。
- 猛暑日(もうしょび) - 最高気温が35°C以上の日。
- 真夏夜(まなつや) - 最低気温が20°C以上の日。
- 熱帯夜(ねったいや) - 最低気温が25°C以上の日。
各地でこれらの日が年間何日あるかは、気象庁が統計を取っている。 猛暑日は、気象庁が導入を検討している用語である。
- 一日のうちで、最高気温と最低気温の差を日較差という。
[編集] 関連項目
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