つばさ (列車)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
つばさとは、東日本旅客鉄道が主に東京駅~新庄駅間を東北新幹線・山形新幹線(奥羽本線)経由で結ぶ特別急行列車の愛称。
目次 |
[編集] 運行概況
一部を除き東北新幹線区間ではE4系「Maxやまびこ」号と併結して運転している。ただし奥羽本線内で上り列車が大幅に遅れた場合、「やまびこ」併結列車でも福島~東京間単独で運転することがある。また、逆に下り場面で大雨・大雪などの気象状況により奥羽本線を運転できなかった場合は、「Maxやまびこ」の終着駅である仙台駅まで連結されたまま運行される。
「やまびこ」は最初、8両編成だったため号車番号は9~14号車(7両化されて9~15号車)だったが、やまびこ号が10両編成となり11~17号車となった。併結するやまびこ号がE4系に替わり8両編成に戻ったが、最初は200系との併結列車が混在したことと、E2系(J編成)との併結を考慮してか9,10号車は欠番となっている。
「つばさ」はJR東日本の新幹線の中で最も混雑が激しい。年末年始などの繁忙期を迎えると、ニュースで混雑率が報じられるが、東北新幹線関連で混雑率の高い列車として真っ先に報じられるのが盛岡行き「やまびこ」と新庄行き「つばさ」である。これは「はやて」・「こまち」が全車指定席なのに対し、「つばさ」には自由席が設けられておりそこに乗客が集中するのと、「つばさ」用の編成が少ないため、利用客に見合った本数を増やせないためだと考えられている。
また、下記の通り、自由席の割合が低い。このため、特に土曜・休日は自由席で座るために東京・山形・新庄の各始発駅で1時間以上も並んでいるという場合もある。その為、上りの立席利用客の一部には福島駅において併結される相手車両の「Maxやまびこ」に乗り換えを行う人もいる。
[編集] 停車駅
- ■:「Maxやまびこ」+「つばさ」運転区間。 ■:「つばさ」単独運転区間。
- ●:停車 ▲:一部列車通過 |:通過(↓または↑:その方向に向かって通過)
停車パターン \ 駅名 |
171号 | 101号 | 132号 | 102号 | 104号 | 122号 | 109号 | A | B | C |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
東京駅 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
上野駅 | ● | ● | ● | ↑ | ● | ↓ | ● | ● | ● | |
大宮駅 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
小山駅 | ↓ | ↑ | ● | ↑ | ↑ | ↓ | | | | | | | |
宇都宮駅 | ↓ | ● | ● | ↑ | ● | ↓ | ● | ▲ | ▲ | |
郡山駅 | ↓ | ● | ● | ↑ | ● | ↓ | ● | ▲ | ▲ | |
福島駅 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
米沢駅 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
高畠駅 | ● | ↑ | ● | ↑ | ↑ | ↓ | | | ▲ | ▲ | |
赤湯駅 | ● | ● | ● | ↑ | ↑ | ↓ | | | ● | ● | |
かみのやま温泉駅 | ● | ● | ● | ↑ | ↑ | ↓ | | | ● | ● | |
山形駅 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
天童駅 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||
さくらんぼ東根駅 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||
村山駅 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||
大石田駅 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||
新庄駅 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
[編集] 使用車両
400系とE3系はグリーン車の配置が違うものの(400系は2+1配置の7列で20席、E3系は2+2配置の6列で23席で、どちらも1席が車椅子対応の座席となっている。)共通運用のため、どの車両がどの列車に使用されるかは日によって異なり、わかるのは前日である。ちなみに400系しかない7番席と、E3系にしかないC列は、前日でないと取ることができないのである。ちなみに、使用車両の一般への公開はしていない。
<7両編成(400系またはE3系)>
東京← | →山形・新庄 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
11 指× |
12 指× |
13 指× |
14 指× |
15 指○ |
16 自○ |
17 自× |
[編集] 奥羽本線昼行優等列車沿革
「つばさ」の名称は、東京対山形・秋田間を奥羽本線経由で運行した特別急行列車の名称として名付けられた経緯があることから、本節では名称の起源である在来線特急及びその周辺列車群と山形新幹線開業後に運行された列車である「こまくさ」についても記す。
[編集] 奥羽本線優等列車創始
- 1922年(大正11年)3月 奥羽本線経由で上野駅~青森駅間を結ぶ急行列車として、701・702列車を新設。
- 1940年(昭和15年)10月 701・702列車から列車番号を改めた401・402列車は、秋田駅どまりとなる。
- 1943年(昭和18年)10月 401・402列車、普通列車へ格下げ。
[編集] 戦後の展開
- 1956年(昭和31年)11月 上野駅~仙台駅間を運行する急行列車「青葉」(あおば)に福島駅まで併結する形で上野駅~秋田駅間を運行する急行列車「鳥海」(ちょうかい)運行開始。
- 1959年(昭和35年)12月 準急列車「たざわ」・「もがみ」を新設する。
- 1960年(昭和35年)6月 上野駅~山形駅駅間を運行する急行列車として「蔵王」(ざおう)の運行を開始。
- 1960年(昭和35年)11月 仙台駅~新庄駅間を仙山線・奥羽本線・陸羽西線・羽越本線経由で運行する準急列車「月山」(がっさん)運行開始。
[編集] 特急「つばさ」・「やまばと」と、その周辺列車群
- 1961年(昭和36年)10月 「さん・ろく・とお」と称されるダイヤ改正により、上野駅-秋田駅間を東北本線・奥羽本線経由で運行する特別急行列車として「つばさ」の運行開始。キハ82系気動車を使用。
- 運行当初は青森駅方面との連絡を兼ね、大阪駅発着の「白鳥」と接続し結合料金制度の適用を受けたが、趣味的には上り列車が秋田駅を同時刻で発車するため、「キハ82系気動車の同時発車」として著名でもあった。
- 1962年(昭和37年)2月 「たざわ」 仙台駅~秋田駅間1往復増発 。この列車は(下り)「たざわ2号」・(上り)「たざわ1号」を称する。
- 1962年(昭和37年)7月 「月山」、運行区間を仙台駅~鶴岡駅間に延長。
- 1962年(昭和37年)10月 「鳥海」併結相手を喜多方駅発着の「ばんだい」に変更。
- 1963年(昭和38年)10月 「蔵王」の名称をひらがなの「ざおう」に変更、同時に1往復増発する。また、新庄駅→山形駅間を運行する準急列車として、「むらやま」運行開始。
- 1963年(昭和38年)12月 「つばさ」に盛岡駅発着の列車を併結。
- 1964年(昭和39年)10月 「ざおう」1往復格上げし山形駅発着で運行する気動車特別急行列車として「やまばと」運行開始。
- 1964年(昭和39年)12月 「むらやま」、列車名を「月山(上り)1号」に変更。
- 1965年(昭和40年)10月 ダイヤ改正に伴い、以下のように変更する。
- 1966年(昭和41年)3月 準急列車制度の変更に伴い、「月山」・「千秋」・「もがみ」急行列車化。
- 1968年(昭和43年)10月 「よん・さん・とお」と称されるダイヤ改正により、以下のように変更する。
- 1969年(昭和44年)10月 「千秋(下り)1号・(上り)2 号」の運行区間を青森駅まで延長する。
- 1970年(昭和45年)2月 「つばさ」が奥羽本線板谷峠越えのパワーアップを目的にキハ181系に置き換わる。
- 1970年(昭和45年)10月 山形駅~秋田駅間を運行する急行列車として「こまくさ」が運行される。
- 1971年(昭和46年)7月 奥羽本線ダイヤ改正に伴い、「つばさ」の混雑緩和を図るためキハ181系気動車10両を新製し10両から12両に編成増強する。
- 1972年(昭和47年)3月 「千秋(下り)2号・(上り)1号」 院内駅~秋田駅間を普通列車に格下げ。
- 1973年(昭和48年)4月 東北・上越新幹線建設工事に伴い「つばさ」東京駅乗り入れ中止。
- 1973年10月 「千秋(上り)1号」の普通列車区間を秋田駅→新庄駅間に拡大。
- 1975年(昭和50年)11月 「つばさ」、485系を使用し電車特急化。また、「千秋(下り)2号」の普通列車区間を新庄駅→秋田駅間に拡大。
- 1978年(昭和53年)10月 「つばさ」・「やまばと」それぞれ3往復ながら、合計6往復でペアによるエル特急指定。「つばさ」に初の自由席設置。また、「こまくさ」運行区間を山形駅~青森駅間とする。
[編集] 新幹線化と接続特急群
- 1982年(昭和57年)11月 上越新幹線開業に伴うダイヤ改正により以下のように運行形態を変更する。
- 「やまばと」・「つばさ」・・・大部分を福島駅発着の「つばさ」とし、同駅で東北新幹線と接続するダイヤを組む。しかし、東北・上越新幹線が大宮駅までの運行であったことから、「やまばと」・「つばさ」はそれぞれ1往復半、合計3往復が上野駅発着として残される。
- 「こまくさ」・・・「つばさ」に吸収され、愛称消滅。なお、その名残で「つばさ1号」については運行区間が山形駅→秋田駅間となった。
- 「ざおう」・・・1往復が上野駅発着で運行される。
- 「おが」・・・昼行列車については廃止。夜行列車は存続する。こちらを参照のこと。
- 「月山」・・・始発駅を仙台駅から、山形駅に変更。
- 「千秋」 廃止。代替として「もがみ」 仙台駅~酒田駅間運行の1往復増発。これにより、「もがみ」2往復となる。
- 1985年(昭和60年)3月 東北・上越新幹線上野駅乗り入れに伴い、「やまばと」・「ざおう」が廃止。これにより、上野駅発着として運行される奥羽本線方面の昼行列車は、「あいづ」の運用の関係上、「つばさ」1往復のみとなる。なお、この列車は、山形新幹線開業まで運行される。
- 1986年(昭和61年)11月 「もがみ」 廃止。
- 1991年(平成3年)8月27日 山形新幹線建設工事に伴い、「つばさ」の東北新幹線接続駅が福島駅だったものが、山形駅で方向転換して仙山線を介し仙台駅に変更となる。上野駅発着列車についても仙台駅・仙山線経由で運行された。
- 1992年(平成4年)7月1日 山形新幹線開業。以下のように以下の運行体系とする。
- 「つばさ」愛称を新幹線に移行。
- 山形新幹線連絡列車として以下の列車が運行される。
- 山形駅~新庄駅・秋田駅間のエル特急「こまくさ」。
- 基本的には、「つばさ」の山形駅以北の列車を分離した列車であったことから、山形駅における特急列車の乗り継ぎ制度が発足した。
- 「月山」快速列車化。
- 「仙山」1往復を新庄駅まで乗り入れ。
- 山形駅~新庄駅・秋田駅間のエル特急「こまくさ」。
- 1999年(平成11年)12月4日 山形新幹線新庄駅延伸に伴い、以下のように変更する。
- 2002年(平成14年)12月1日 ダイヤ改正により「こまくさ」の名称が廃止される。
[編集] 山形新幹線「つばさ」
- 1992年(平成4年)7月1日 山形新幹線の列車として東京駅~山形駅の直通運転を開始した。
- 1999年(平成11年)12月4日 山形新幹線の延伸に伴い、新庄駅まで運転するようになった。
- 2007年春 全車両の禁煙を実施予定
[編集] 関連項目
現行路線 |
---|
東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線(長野新幹線)/ミニ新幹線 : 山形新幹線・秋田新幹線 |
東海道新幹線・山陽新幹線・九州新幹線 |
整備新幹線 |
北海道新幹線・東北新幹線・北陸新幹線・九州新幹線 |
基本計画線 |
北海道南回り新幹線・羽越新幹線・奥羽新幹線・中央新幹線・北陸・中京新幹線 |
山陰新幹線・中国横断新幹線・四国新幹線・四国横断新幹線・東九州新幹線・九州横断新幹線 |
未成線 |
成田新幹線 |
現行列車 |
はやて・やまびこ・なすの・とき・たにがわ・あさま/新幹線直行特急 : つばさ・こまち |
のぞみ・ひかり(ひかりレールスター)・こだま・つばめ |
廃止列車 |
あさひ・あおば |
営業用車両 |
0系・100系・200系・300系・400系・500系・700系・N700系・800系・E1系・E2系・E3系・E4系 |
試験用車両 |
1000形・951形・961形・962形・WIN350・STAR21・300X・FASTECH 360 S・FASTECH 360 Z・軌間可変電車 |
事業用車両 |
911形・912形/ドクターイエロー・East i |
車両形式・記号 |
車両形式・編成記号 |
車両基地・車両工場 |
新幹線総合車両センター・盛岡新幹線車両センター・新潟新幹線車両センター・長野新幹線車両センター・山形車両センター・秋田車両センター 東京第一車両所・東京第二車両所・三島車両所・浜松工場・名古屋車両所・大阪第一車両所・大阪第二車両所・大阪第三車両所 博多総合車両所・川内新幹線車両センター |
元となる計画 |
日本の改軌論争・東海道新線・弾丸列車 |