東海旅客鉄道浜松工場
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浜松工場(はままつこうじょう)とは、静岡県浜松市南伊場町に所在する東海旅客鉄道(JR東海)の車両工場である。JR東海が所有する新幹線車両すべての全般検査およびATC特性検査等、在来線車両の一部の重要部検査、全般検査、台車検査などの各種車両検修を主に行う。
管理部門として総務科・経理科・検修管理科・品質管理科・設備科・教育センター・技術センター、検修部門として組立職場、第一電車職場、第二電車職場、部品職場、電機職場、台車職場、鉄工職場、検査センターの各セクションに分かれている。
目次 |
[編集] 検査担当形式と所属区所
2006年7月現在の検査担当形式を記す。
新幹線車両
在来線車両
- 113系 = 静岡車両区
- 115系 = 静岡車両区
- 117系 = 大垣車両区
- 119系 = 大垣車両区
- EF58形 = 静岡車両区
- EF64形 = 静岡車両区
- EF65形 = 静岡車両区
- DD51形 = 美濃太田車両区
- DE10形 = 美濃太田車両区
- DE15形 = 美濃太田車両区
その他、保守用車両、遠州鉄道、天竜浜名湖鉄道の車両の輪軸の検修を受託している。
[編集] 設備
- 検修庫・・・新幹線4線、在来線1線
- 天井式クレーン
- 車体塗装装置
- 車輪研削装置
- 台車走行試験装置
- 主電動機検査ライン
- 主変換装置検査ライン
- ATC試験装置
[編集] 歴史
- 1912年 鉄道院浜松工場として創業(沼津、新橋工場の蒸気機関車修繕を継承)
- 1920年 鉄道省浜松工場となる
- 1925年 自動連結器取り付け工事施工
- 1930年 昭和天皇来場
- 1937年 D51形蒸気機関車新製工事を開始
- 1942年 鉄道省浜松工機部と改称 ~50歳代以上の遠州人がJR時代となっても工場のことを「伊場の工機部」と呼ぶのはここから来ている。
- 1945年 工場の設備機械は数次の空爆、艦砲射撃により甚大な被害を受ける ~「なるほど発見デー」のときに車体定置場の上の鉄骨を見上げると深くえぐられた弾痕が残っている。
- 1946年 昭和天皇来場
- 1946年 労働組合結成大会を開催
- 1949年 日本国有鉄道(国鉄)浜松工場となる
- 1951年 蒸気機関車出来栄え審査第1位入賞
- 1954年 ED18形電気機関車改造工事第1号機が落成
- 1959年 国鉄十河総裁が来場
- 1959年 シキ70形大物車新製落成
- 1961年 新幹線用試作鋼体各種試験実施
- 1961年 安全帽(ヘルメット)着用開始
- 1962年 新幹線車両検修工場に指定される
- 1964年 蒸気機関車、タンク車検修終了
- 1965年 新幹線電車の全般検査開始(0系・N1編成)
- 1968年 新幹線電車の全般検査100編成達成
- 1969年 ディーゼル機関車の検修終了
- 1969年 動力設備近代化(大煙突を撤去)
- 1970年 電気機関車の検修終了
- 1974年 浜松工場新製第1号機D5186号蒸気機関車を敷地内に保存
- 1975年 博多総合車両部全検対応要員163名の実習実施
- 1976年 新幹線電車の廃車解体作業を開始
- 1976年 D5186号蒸気機関車を浜松市元城公園に移転・展示 ~のちに浜松市フラワーパークに展示
- 1982年 仙台工場の新幹線電車検修要員として38名が転出
- 1986年 こだま12両化編成出場
- 1985年 100系新幹線試作電車X0編成入場
- 1985年 VVVFインバータ制御方式の現車試験実施
- 1986年 「新幹線夏祭り」開催
- 1987年 電気機関車、ディーゼル機関車検修再開
- 1987年 国鉄分割民営化にともない、東海旅客鉄道(JR東海)浜松工場として新発足
- 1987年 第1回社員ソフトボール大会を実施
- 1988年 100系新幹線電車全般検査開始
- 1988年 0系新幹線電車の指定席車座席4列化(2&2)改造開始
- 1988年 リニアモックアップ完成式典挙行
- 1989年 100系新幹線電車の新製開始
- 1991年 「JR東海体操」指導会開催
- 1992年 ED18形電気機関車の動態修復が完成
- 1993年 新幹線車体外板塗装がアクリルウレタン塗装となる
- 1993年 300系新幹線電車の全般検査開始
- 1994年 東海道新幹線開業30周年記念工場公開実施
- 1995年 「新幹線なるほど体験デー」開催
- 1996年 「新幹線なるほど発見デー」開催 ~この年からこの名称で工場の一般公開イベントを毎年行っている
- 1997年 0系新幹線電車の全般検査終了
- 1998年 場内理髪所を営業してきた理容師が勇退
- 1999年 100系新幹線電車の廃車解体開始
- 2000年 700系新幹線電車の全般検査開始
- 2001年 100系新幹線電車の全般検査終了
- 2004年 都市計画に伴う建物支障移転が終了
- 2006年 300系新幹線電車の新ATC改造工事が終了
[編集] 一般公開イベント
毎年、新幹線こだま号の利用促進の営業施策の一環として、7月下旬から8月上旬の土日に一般開放のイベント「新幹線なるほど発見デー」が開催されている。工場内の構内、設備機械の公開のほか、新幹線運転台体験やドクターイエローの公開、大型クレーンによる車体上げ作業実演などを行い、親子連れを中心に1~2万人の見学者を集め、好評を博している。
[編集] 新幹線の踏切
工場の西側の入出庫線には公道と交差している箇所があり、第1種甲踏切(西伊場第1踏切)が存在する。鉄道ファンの間では大変有名で、フル規格の新幹線電車が自力で通過する踏切は全国でもここだけである。過去にJR東海から発売されていたビデオソフトでも、この踏切が紹介されている。
[編集] 保存車両
数両の車両が保存されている。保存車両は、上記のイベントで展示される。なお、いずれの車両も車籍はない。
以下は2006年現在の保存車両である。
- S88編成12号車だった、先頭車1両が保存されている。
- X2編成だった、先頭車、食堂車、中間車各1両が保存されている。
- A0編成だった、ラウンドウェッジ形の先頭車1両が保存されている。
- モハ110形・モハ111形 1号の2両が保存されている。なお、先頭車(クハ111形1号)は佐久間レールパークに保存されている。
- 102号が保存されている。2001年ごろまで神領車両区で使用されていた。
- トキ900形貨車
- 4837号が保存されている。戦時中に作られた無蓋車で、現存する唯一の車両である。
現行路線 |
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東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線(長野新幹線)/ミニ新幹線 : 山形新幹線・秋田新幹線 |
東海道新幹線・山陽新幹線・九州新幹線 |
整備新幹線 |
北海道新幹線・東北新幹線・北陸新幹線・九州新幹線 |
基本計画線 |
北海道南回り新幹線・羽越新幹線・奥羽新幹線・中央新幹線・北陸・中京新幹線 |
山陰新幹線・中国横断新幹線・四国新幹線・四国横断新幹線・東九州新幹線・九州横断新幹線 |
未成線 |
成田新幹線 |
現行列車 |
はやて・やまびこ・なすの・とき・たにがわ・あさま/新幹線直行特急 : つばさ・こまち |
のぞみ・ひかり(ひかりレールスター)・こだま・つばめ |
廃止列車 |
あさひ・あおば |
営業用車両 |
0系・100系・200系・300系・400系・500系・700系・N700系・800系・E1系・E2系・E3系・E4系 |
試験用車両 |
1000形・951形・961形・962形・WIN350・STAR21・300X・FASTECH 360 S・FASTECH 360 Z・軌間可変電車 |
事業用車両 |
911形・912形/ドクターイエロー・East i |
車両形式・記号 |
車両形式・編成記号 |
車両基地・車両工場 |
新幹線総合車両センター・盛岡新幹線車両センター・新潟新幹線車両センター・長野新幹線車両センター・山形車両センター・秋田車両センター 東京第一車両所・東京第二車両所・三島車両所・浜松工場・名古屋車両所・大阪第一車両所・大阪第二車両所・大阪第三車両所 博多総合車両所・川内新幹線車両センター |
元となる計画 |
日本の改軌論争・東海道新線・弾丸列車 |