はやて (列車)
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はやては、東日本旅客鉄道(JR東日本)が東北新幹線で運転する特別急行列車の内、東京駅~盛岡駅・八戸駅間を運行する最速達列車につけられている名称である。一部の列車を除いて基本的に全車指定席である。
目次 |
[編集] 運行概況
[編集] 運転区間等
東京駅-八戸駅間の運転であるが、朝晩には仙台駅-八戸駅間各駅停車の列車もある(95・98号)。また、盛岡駅→八戸駅間も平日の朝1本だけであるが運転されている(93号)。また、2005年12月10日のダイヤ改正より東京駅-盛岡駅間の列車が2往復設定(5号・11号・4号・26号)されている。
平均的には同区間を3時間4分から10分程度で運転するが、最速達列車は3時間を切る2時間56分で運転する(2・33号)。
「はやて」は東京と仙台、東京と盛岡、さらに東京と八戸以北間の長距離輸送を目的とする列車であるため、大宮-仙台間は通過となる。従って、大宮-仙台間の各駅(小山、宇都宮、那須塩原、新白河、郡山、福島、白石蔵王)から盛岡以北に行くためには1回以上の乗り換えが必要である。
ほとんどの列車は、盛岡駅以南で、秋田新幹線直通の「こまち」号を併結する。
八戸駅で青森駅・函館駅方面行きの特急「白鳥」・「スーパー白鳥」号または、青森駅・弘前駅方面行きの特急「つがる」号に連絡する。
[編集] 使用車両
- E2系の10両編成が使用される。はやて号は宇都宮~盛岡間で時速275km/hの高速運転を売りにしているが、仙台以南になると列車本数が多いため、臨時列車では240km/h頭打ちの列車もある。またE2系1000番台か従来のE2系のいずれかが共通運用されており、1000番台が中心に使用されているわけではない。
- 5号は東京-盛岡間のみの運行であるため、通常は「こまち」で発券されるE3系の座席も「はやて」の座席として発券される(但し、臨時で「こまち」秋田行となる日を除く)。
[編集] 列車編成
<10両編成(E2系)…1~4・6~34・93・95・98号>
東京← | →盛岡・八戸 | ||||||||
1 指× |
2 指× |
3 指○ |
4 指× |
5 指× |
6 指× |
7 指× |
8 指○ |
9 指× |
10 指× |
- ※:11、26号(盛岡止まり)を除いて、東京-盛岡(一部仙台)間で「こまち号」を八戸寄りに連結
<16両編成(E2系+E3系)…5号>
東京← | →盛岡 | ||||||||||||||
1 指× |
2 指× |
3 指○ |
4 指× |
5 指× |
6 指× |
7 指× |
8 指○ |
9 指× |
10 指× |
11 指× |
12 指× |
13 指× |
14 指× |
15 指○ |
16 指× |
[編集] 停車駅
●:停車 |:通過(↑もしくは↓は、その方向に向かって通過)▲▼:その方向に向かって停車。
- 5・11・93・4・26号以外はすべて「こまち」と盛岡で分割併合。22号のみ仙台で併合。(停車駅については、こまちの項を参照)
駅名\停車パターン | 盛岡駅 ・八戸駅間 |
仙台駅発着 | 東京駅発着(1) | 東京駅発着(2) | 東京駅発着(3) | はやて2号 | はやて33号 | はやて31号 はやて4号 |
盛岡駅発着(1) | 盛岡駅発着(2) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
東京駅 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||
上野駅 | ● | ● | ● | ↑ | ↓ | ● | ● | ● | ||
大宮駅 | ● | ● | ● | ↑ | ● | ● | ● | ● | ||
仙台駅 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
古川駅 | ● | | | | | | | ↑ | ↓ | ● | ● | | | |
くりこま高原駅 | ● | | | | | | | ↑ | ↓ | | | | | ▲ | |
一ノ関駅 | ● | | | | | | | ↑ | ↓ | ● | ● | ● | |
水沢江刺駅 | ● | | | | | | | ↑ | ↓ | | | | | ● | |
北上駅 | ● | | | | | | | ↑ | ↓ | ● | ● | | | |
新花巻駅 | ● | | | | | | | ↑ | ↓ | | | | | ● | |
盛岡駅 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
いわて沼宮内駅 | ↓ | ● | ● | | | | | ↑ | ↓ | ● | ||
二戸駅 | ● | ● | ● | ● | | | ↑ | ↓ | ● | ||
八戸駅 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
[編集] 沿革
- 2002年12月1日 東北新幹線の八戸延伸に伴い運転を開始
- 2003年 盛岡駅→八戸駅間運行の「はやて271号」運行開始
- 2005年12月10日 ダイヤ改正に伴い、東京駅~盛岡駅間運行の「はやて」運行開始
- 2007年春 全車両の禁煙化を実施予定
[編集] 愛称名について
愛称名は、八戸駅で連絡する「白鳥」・「スーパー白鳥」・「つがる」とともに公募で決定されたが、「はやて」という名称はトップ10に入っておらず、「みちのく」・「はつかり」などが上位であった。また、列車愛称を最初に採り入れた1929年の一般公募時より、東海道新幹線の愛称公募などで一般公募ランキングにたびたび浮上しながらも採用されなかった愛称を、この場に至って採用した事も論議の対象となった。これまで採用されなかったのは、「はやて(疾風)」が農作物に被害をもたらす風や疫病の異名でもあるためといわれているが、将来の新青森延伸も視野に入れ斬新でスピード感を表す名称として、敢えて採用された。
[編集] 全車指定席の背景と乗り継ぎ
現在、仙台発着及び盛岡以北のみ運行される列車以外は全車指定席(2003年10月改正までの東海道・山陽新幹線「のぞみ」と同様)とされている。
これは「はやて」登場の2002年12月からで、「こまち」と連結して東京~盛岡を結んでいた前身の列車である(通称)「スーパーやまびこ」時には自由席もあった。この当時、主に東京~仙台間のみの利用でも最速となる「やまびこ」や「こまち」がビジネスマンを中心に人気があり、本来の利用対象である北東北への(からの)利用客から「指定席が取れない」と言うクレームが続出し、JRが南東北(仙台周辺)及び盛岡以南の利用客を「はやて」ではなく「やまびこ」利用へ誘導させる為、仙台・盛岡での両列車の接続を悪くさせて短距離の客を「はやて」に乗せないように工夫し、同時に全車指定としたのである。なお、ビジネス客需要が大きい東京-仙台間のみの速達列車が設定されていないのは、東京-大宮間の線路容量が他の新幹線路線と共用の為、限界に近い事も大きな要因の一つとされる。
結果は大成功であり、盛岡止まりの列車にも客を導けたが、福島地区や山形地区、一ノ関地区の利用客から「やまびこ(つばさ)」から「はやて」を利用して北へ行く際の乗り継ぎが不便だという意見が思いのほか多かった為、2005年12月のダイヤ改正時に日中は仙台で「やまびこ」と「はやて」が乗り継げるダイヤになった(この辺の事情は東北新幹線参照)。これはJR東日本としては通過駅間での乗り継ぎとしている。なお、一般客の場合は両列車を仙台以南のみ利用することは可能(指定席の発売拒否などは無い)であり、「土日きっぷ」などを利用して南東北のみの利用客が利用している光景を見ることが多いが、団体利用に関しては現在でも盛岡以南のみの場合、「はやて」利用はほとんど認められていない。
なお、「のぞみ」と異なり、「はやて」「こまち」ではフルムーン夫婦グリーンパス(合計年齢が88歳以上の夫婦を対象とした、新幹線を含むJR全線グリーン車を利用可能な切符)やナイスミディパス(30歳以上の2人以上の女性グループを対象とした、新幹線を含むJR全線普通車指定席を利用可能な切符)、ジャパンレールパス(外国人を対象とした、新幹線を含むJR全線グリーン車あるいは普通車指定席を利用可能な切符)などのJR全線乗り放題の乗車券が利用可能である(フルムーン夫婦グリーンパスではグリーン車も利用可能)。ジパング倶楽部やレール&レンタカーきっぷなどのような、運賃や特急料金が割り引かれる制度では、「はやて」「こまち」特急料金は割引対象となる(多客期を除く)。併せて、「のぞみ」のような「ひかり」や「こだま」とは別の特急料金も設定されていない。
[編集] 関連項目
現行路線 |
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東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線(長野新幹線)/ミニ新幹線 : 山形新幹線・秋田新幹線 |
東海道新幹線・山陽新幹線・九州新幹線 |
整備新幹線 |
北海道新幹線・東北新幹線・北陸新幹線・九州新幹線 |
基本計画線 |
北海道南回り新幹線・羽越新幹線・奥羽新幹線・中央新幹線・北陸・中京新幹線 |
山陰新幹線・中国横断新幹線・四国新幹線・四国横断新幹線・東九州新幹線・九州横断新幹線 |
未成線 |
成田新幹線 |
現行列車 |
はやて・やまびこ・なすの・とき・たにがわ・あさま/新幹線直行特急 : つばさ・こまち |
のぞみ・ひかり(ひかりレールスター)・こだま・つばめ |
廃止列車 |
あさひ・あおば |
営業用車両 |
0系・100系・200系・300系・400系・500系・700系・N700系・800系・E1系・E2系・E3系・E4系 |
試験用車両 |
1000形・951形・961形・962形・WIN350・STAR21・300X・FASTECH 360 S・FASTECH 360 Z・軌間可変電車 |
事業用車両 |
911形・912形/ドクターイエロー・East i |
車両形式・記号 |
車両形式・編成記号 |
車両基地・車両工場 |
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元となる計画 |
日本の改軌論争・東海道新線・弾丸列車 |