陸羽東線
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陸羽東線(りくうとうせん)は、宮城県遠田郡美里町の小牛田駅から山形県新庄市の新庄駅までを結ぶ東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線(地方交通線)である。
愛称奥の細道湯けむりライン。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別):東日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 区間・路線距離(営業キロ):小牛田~新庄 94.1km
- 駅数:27(起終点駅を含む)
- 軌間:1067mm
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:特殊自動閉塞式(軌道回路検知式)
新庄駅から南新庄駅の南側付近までは奥羽本線と並行して線路を敷設している。複線路線のように見えるが、奥羽本線は山形新幹線走行のため標準軌に改軌しており、双方の線路は完全に独立している。南新庄駅も地図上は奥羽本線上にあるように描かれているが、陸羽東線上だけに設けられており同線の列車しか停車しない。1915年の陸羽東線開業以来このようになっているが、1944年~1960年の間は陸羽東線の線路を撤去し奥羽本線と共用していた。
[編集] 運行形態
基本的に普通列車のみの線内運転で、系統としては鳴子温泉駅を境に東西に分割されているが、少数ながら全線を通して運転される列車も設定されている。かつては、全線を通して走る普通列車は珍しくなく、また、陸羽西線余目駅、石巻線女川駅への直通列車も存在したが、次第に運転区間の細分化が進んで現在の形態に至る。この他、小牛田駅~古川駅間の区間列車(うち1本は、石巻線からの乗り入れ)が設定されている。
1998年12月8日からは、普通列車の一部でワンマン運転が実施されており、専用の塗装を施されたキハ111形・キハ112形気動車(2両編成)が使用されている。
1999年の山形新幹線新庄延伸に伴い新庄駅構内の配線が変わり、陸羽東線の列車が新庄駅で交換できなくなった。途中駅では最上駅でしか交換できないため、鳴子温泉駅より西へ臨時列車を入線させるのが難しくなっている。
[編集] 過去に陸羽東線を走った優等列車
- 快速「いでゆ」「湯けむり」
- かつて陸羽東線を走っていた快速列車。快速「いでゆ」は、女川~鳴子(現:鳴子温泉)、仙台~新庄等の区間を走っていた。最多の時期で6往復の設定があった。1998年に仙台直通運転が廃止され、さらに翌年の山形新幹線新庄延伸にあわせ「湯けむり」に改称された。
- 快速「湯けむり」は2003年頃まで新庄~小牛田を1往復運行し、2004年春からは土日に新庄~仙台の列車も増発(ただし下りは新庄~鳴子温泉間普通列車扱い)していた。しかし同年秋のダイヤ改正で新庄~小牛田の1往復が普通列車化し、2005年春の改正では土日の快速が鳴子温泉~仙台に短縮になり、さらに同年冬の改正で土日のみ運行の普通列車になり、快速運転は臨時を除いて消滅した。なおこれには普通列車ながら「湯けむり」という愛称が付いている。また、2004年からは臨時ながらもジョイフルトレイン「こがね」による快速「湯けむりこがね」が仙台~鳴子温泉まで運行されている。
- 急行「もがみ」
- 急行「千秋」
- 準急「たざわ」
- 寝台特急「あけぼの」
[編集] 歴史
東北本線の仙台から奥羽山脈を越えて日本海側に至る鉄道で、旧鉄道敷設法に規定する「宮城県下石ノ巻ヨリ小牛田ヲ経テ山形県下舟形町ニ至ル鉄道」の一部である。1913年、小牛田~岩出山間が陸羽線(りくうせん)として開業したのを皮切りに、1915年に鳴子(現在の鳴子温泉)まで延伸。新庄側も新庄線(しんじょうせん)として新庄~羽前向町(現在の最上)間が開業した。全通は1917年で、その際新庄線を陸羽線に編入して陸羽東線と改称した。
太平洋戦争中の1944年には、新庄付近の奥羽本線との並行区間の線路が不要不急線として撤去されたが、戦後の1960年に原状に復している。
近年では、沿線に湧出する温泉を核にした地域振興策が実施されており、1997年には奥の細道湯けむりラインの愛称が与えられるとともに、一度に6駅にも及ぶ駅名改称が実施された。さらに1999年にも3駅の改称が実施され、実に6駅もの「温泉駅」が誕生している。
- 1913年(大正2年)4月20日 【開業】陸羽線小牛田~岩出山間(24.8km) 【駅新設】古川、中新田、岩出山
- 1914年(大正3年)4月19日 【延伸開業】岩出山~川渡間(14.0km) 【駅新設】池月、川渡
- 1914年(大正3年)9月13日 【駅新設】北浦
- 1915年(大正4年)4月18日 【延伸開業】川渡~鳴子間(6.1km) 【駅新設】鳴子
- 1915年(大正4年)6月11日 【駅名改称】古川→陸前古川
- 1917年(大正6年)11月1日 【延伸開業・全通】鳴子~羽前向町間 【線名改称】陸羽東線(陸羽線に新庄線を編入) 【駅新設】中山平、堺田、富沢
- 1927年(昭和2年)2月3日 瀬見駅付近で、下り701列車に大雪崩襲来、車両転覆。3名即死。
- 1929年(昭和4年)2月13日 長沢~瀬見駅間で、吹雪のため小牛田行き列車が立ち往生。12時間後134人救出。
- 1944年(昭和19年)12月1日 【信号場新設】鳥越(鳥越(信)~新庄間(5.0km)の線路を撤去し、奥羽本線と共用化)
- 1949年(昭和24年)2月1日 【駅新設】大堀
- 1952年(昭和27年)1月25日 【駅新設】東鳴子
- 1952年(昭和27年)11月15日 【駅名改称】富沢→羽前赤倉
- 1955年(昭和30年)2月15日 【駅新設】東大崎
- 1957年(昭和32年)4月1日 【駅名改称】中新田→西古川
- 1959年(昭和34年)7月10日 【駅新設】立小路、東長沢
- 1960年(昭和35年)5月1日 【駅新設】塚目、上岩出山
- 1960年(昭和35年)8月13日 【駅新設】陸前谷地
- 1960年(昭和35年)12月20日 【信号場廃止】鳥越(単線並列に復す) 【駅新設】南新庄
- 1964年(昭和39年)2月1日 【駅新設】西岩出山
- 1965年(昭和40年)9月1日 【駅新設】鵜杉
- 1967年(昭和42年)12月12日 連査閉塞方式導入
- 1980年(昭和55年)11月1日 【駅名改称】陸前古川→古川
- 1983年(昭和58年)3月7日 CTC導入
- 1987年(昭和62年)4月1日 【貨物営業廃止】古川~新庄間 【承継】東日本旅客鉄道(全線・第1種)、日本貨物鉄道(小牛田~古川間(9.3km)・第2種)
- 1996年(平成8年)3月16日 【駅新設】有備館
- 1997年(平成9年)3月22日 【駅名改称】上岩出山→西大崎、西岩出山→上野目、川渡→川渡温泉、東鳴子→鳴子御殿湯、鳴子→鳴子温泉、中山平→中山平温泉
- 1999年(平成11年)12月4日 【駅名改称】羽前赤倉→赤倉温泉、羽前向町→最上、瀬見→瀬見温泉
- 2002年(平成14年)4月1日 【第二種鉄道事業廃止】小牛田~古川間(日本貨物鉄道)
[編集] 駅一覧および接続路線
*印の駅は列車の交換が可能。
駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|
小牛田駅* | 0.0 | 東北本線・石巻線 | 宮城県 | 遠田郡美里町 |
北浦駅* | 4.5 | |||
陸前谷地駅 | 6.6 | |||
古川駅* | 9.4 | 東北新幹線 | 大崎市 | |
塚目駅 | 12.1 | |||
西古川駅* | 15.9 | |||
東大崎駅 | 19.1 | |||
西大崎駅 | 21.9 | |||
岩出山駅* | 24.8 | |||
有備館駅 | 25.8 | |||
上野目駅 | 28.6 | |||
池月駅* | 32.4 | |||
川渡温泉駅* | 38.8 | |||
鳴子御殿湯駅 | 42.7 | |||
鳴子温泉駅* | 44.9 | |||
中山平温泉駅 | 50.0 | |||
堺田駅 | 55.3 | 山形県 | 最上郡最上町 | |
赤倉温泉駅 | 61.1 | |||
立小路駅 | 62.8 | |||
最上駅* | 65.6 | |||
大堀駅 | 69.5 | |||
鵜杉駅 | 71.5 | |||
瀬見温泉駅 | 75.0 | |||
東長沢駅 | 81.0 | 最上郡舟形町 | ||
長沢駅 | 82.8 | |||
南新庄駅 | 89.2 | 新庄市 | ||
新庄駅 | 94.1 | 奥羽本線(山形新幹線・山形線)・陸羽西線 |