こまち (列車)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
こまちとは、東日本旅客鉄道(JR東日本)が東京駅~秋田駅間を東北新幹線・田沢湖線・奥羽本線を経由して運転する特急列車の愛称。なお、JR東日本の秋田新幹線および使用されている車両(E3系)の愛称としても広く知られており、一般にはそう理解されている場合も多い。
目次 |
[編集] 運行概況
2005年12月改正ダイヤでは1日16往復。うち1往復は仙台駅~秋田駅間の運転。
東京駅~秋田駅間を最短3時間49分で結ぶ。
東京駅~盛岡駅間は「はやて」と併結し、東北新幹線上を最高275km/hで走行する。盛岡駅で分割・併合され、在来線である田沢湖線・奥羽本線上を最高130km/hで走行する。
例外的に「こまち22号」は、仙台駅で「はやて22号」に併結する(2005年12月10日改正)。盛岡駅~仙台駅間は単独で最高275km/hで走行する。
また、東京行が田沢湖線内で大幅に遅れた場合、東京駅~盛岡駅間もしくは盛岡駅~秋田駅間で区間運休する事がある。また通常連結する「はやて」とは別の「はやて」(例えば「こまち6号」が「はやて8号」)と連結することがある。また単独運転で東京駅まで運転する事もある。なお、在来線部分の区間運休をする場合は盛岡駅で切り離し、盛岡新幹線車両センターに留置される。
営業上は、在来線である盛岡駅~秋田駅間は在来線特急の扱いを受ける。
[編集] 臨時運転について
毎年8月第4土曜日に秋田県大仙市で行われる「全国花火競技大会」の臨時列車の関係で「大曲駅発着列車」も運転されることがある。
[編集] 全国花火競技大会関連
大仙市で開催される全国花火競技大会の際には、以下のように大曲駅を発着する運転が行われる。
- 盛岡発着便については、乗り場が「田沢湖線ホーム(在来特急扱い)」になるので注意が必要である。
- 秋田駅~大曲駅間
- 停車駅は設定せず。通常の「こまち」と同様無停車となる。
- 仙台駅・盛岡駅~大曲駅間
- ●:すべてが停車。 ▲:一部が停車。
停車パターン | 仙台駅 | 古川駅 | くりこま高原駅~新花巻駅 | 盛岡駅 | 出発ホーム | 雫石駅 | 田沢湖駅 | 角館駅 | 大曲駅 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1(仙台発着) | ● | ● | ▲ | ● | 11・14番線 新幹線ホーム |
- | ▲ | ▲ | ● |
2(盛岡発着) | ● | 8・9番線 田沢湖線ホーム |
▲ | ▲ | ▲ | ● |
[編集] 車両・編成等
- 使用車両:E3系0番台
- 在来線区間を走る事から車体が通常の新幹線より幅が小さいが、高さでは併結相手のE2系よりも高くなっている。
- グリーン車1両連結。
- 東京駅方向(東京駅~大曲駅間)の先頭車両11号車に連結されている。横1列2+2となっている。
- 普通車全席座席指定席
- なお、大曲駅では方向転換するため、大曲駅~秋田駅間は走行方向が逆となる。よって秋田駅発のこまちの座席は最初から進行方向逆向きにセットされている(但し、全国花火競技大会臨時運転時を除く)。座席の向きに関しては開業前、盛岡支社と秋田支社との協議が行われ、座席は秋田駅の段階での進行方向にするべきと秋田支社は要望したが、結果的に盛岡支社が主張した進行方向逆向きとなった。
<6両編成(E3系)>
東京(秋田)← | →大曲 | ||||
11 指× |
12 指× |
13 指× |
14 指× |
15 指○ |
16 指× |
[編集] 停車駅
- 2005年12月10日以降
■:「こまち」単独運転区間。 ■:「はやて」+「こまち」運転区間。
●:停車、|↓↑:通過
列車号数 \ 駅名 |
33号 | 2号 | 東京駅発着1 | 東京駅発着2 | 仙台駅発着 | 22号 | 31・4号 | 11号 |
東京駅 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
上野駅 | ↓ | ↑ | ● | ● | ● | ● | ● | |
大宮駅 | ● | ↑ | ● | ● | ● | ● | ● | |
仙台駅 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
古川駅 | ↓ | ↑ | | | | | ● | ↑ | ● | ↓ |
くりこま高原駅 | ↓ | ↑ | | | | | ● | ↑ | | | ↓ |
一ノ関駅 | ↓ | ↑ | | | | | ● | ↑ | ● | ● |
水沢江刺駅 | ↓ | ↑ | | | | | ● | ↑ | | | ● |
北上駅 | ↓ | ↓ | | | | | ● | ↑ | ● | ↓ |
新花巻駅 | ↓ | ↑ | | | | | ● | ↑ | | | ● |
盛岡駅 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
雫石駅 | ↓ | ↑ | | | ● | | | ↑ | | | | |
田沢湖駅 | ↓ | ↑ | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
角館駅 | ↓ | ↑ | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
大曲駅 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
秋田駅 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
備考 | 下り最速列車 | 最速列車 | 一部の臨時列車も停車。また、一部の臨時列車は雫石駅停車 | はやて91・94号の1~3(一部は5)号車が自由席 | 仙台駅で はやて22号(盛岡始発)と併合。 |
4号は臨時列車。 定期のはやて4号に併結 |
臨時列車 はやて11号(盛岡止、もしくは八戸延長)と併結 |
[編集] 沿革
[編集] 田沢湖線優等列車「南八幡平」・「たざわ」
- 1966年、田沢湖線開業により、盛岡駅~秋田駅間を結ぶ急行列車として「南八幡平」(みなみはちまんたい)が設定される。設定当初は2往復。
- 1968年、「南八幡平」の名称を「たざわ」に変更。この際、仙台駅発着の列車を1往復設定。
- 1982年11月15日、東北新幹線開業に伴い、「たざわ」盛岡駅~秋田駅間を結ぶエル特急(新幹線連絡特急)に格上げ。運転本数も6往復に増加。
- 1985年、「たざわ」2往復を青森駅まで運転区間を延長。
- 1986年、「たざわ」9往復に増発。内3往復が青森駅発着。
[編集] 新幹線接続特急「秋田リレー」
- 1996年3月30日、秋田新幹線建設工事に際して、田沢湖線全線を一時運休。これに伴い、以下の運行体系とする。
- 盛岡駅~秋田駅・青森駅間を運転していた「たざわ」の盛岡駅~秋田駅間を運休。「たざわ」の運転区間は秋田駅以北のみとする。・・・「たざわ」事実上の廃止。
- 「たざわ」の代行列車として、北上駅~秋田駅間(北上線経由)で運行する特急列車「秋田リレー」を設定。なお、暫定運転の「秋田リレー」がJR東日本最後のエル特急新設となった。また2006年現在、気動車によるJR東日本の特急列車は「秋田リレー」が唯一の存在である。
- 「秋田リレー」停車駅:北上駅 - (ほっとゆだ駅) - 横手駅 - 大曲駅 - 秋田駅
- 「秋田リレー」使用車両:キハ110系300番台
- 暫定運転であったことから、普通車のみの組成であった。また編成は、北上駅発最終のみ7両編成。そのほかは3または4両編成で運行された。
- 1997年3月22日、「こまち」の運転を開始。これにより、「秋田リレー」運行を終了。
[編集] 秋田新幹線「こまち」
- 1997年3月22日より「こまち」の運転を開始。
- 列車名は、公募の結果1位であった「こまち」が採用された(2位は「おばこ」・3位は「たざわ」であった)。秋田県湯沢市小野出身とされる小野小町が由来とされる。「こまち」の名称は秋田支社のジョイフルトレインが使用していたが、こちらは「おばこ」に改名した。
- 「こまち」の名称が決定した頃、秋田県内では「新幹線という超高速列車の名前としてふさわしくないのではないか」という意見もあった。
- 当初より東京駅~盛岡駅間を「やまびこ」号と併結していた。ただし3往復は上野駅、大宮駅、宇都宮駅、郡山駅、福島駅の順に停まり、仙台駅で切り離しをしていたが、この方式では東京方面から盛岡までの客がこまちに集中して混雑するという問題があった(やまびこ号は仙台~盛岡間各駅停車、こまち号は仙台~盛岡間ノンストップ)。
- また、当初のダイヤの形態は「たざわ」をミニ新幹線化した形で設定される。
- 1999年12月4日、全列車東京駅~盛岡駅間を「やまびこ」号と併結。
- 2002年12月1日より、以下のように運転状況を変更。
- 2005年12月10日 臨時「やまびこ」併結列車を「はやて」併結に変更し1往復を定期列車に格上げ、増発する。
- 2006年1月4日 大雪の影響で田沢湖駅で「こまち31号」の運行が、赤渕駅で「こまち33号」の運転が不可能となり、立ち往生となる。
- 2006年1月5日 大雪の影響で、終日「こまち号」が運休する(秋田新幹線<盛岡~秋田間>としては開業以来初めての終日運休)。
- 2006年2月10日 志度内信号場-田沢湖駅間の第四生保内川橋梁で、こまち3号が雪崩の雪に乗り上げ、以降の列車が運休し、翌日も除雪と安全確認のため、終日運休した。
- 2007年春 全車両の禁煙化を実施予定
[編集] 関連項目
現行路線 |
---|
東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線(長野新幹線)/ミニ新幹線 : 山形新幹線・秋田新幹線 |
東海道新幹線・山陽新幹線・九州新幹線 |
整備新幹線 |
北海道新幹線・東北新幹線・北陸新幹線・九州新幹線 |
基本計画線 |
北海道南回り新幹線・羽越新幹線・奥羽新幹線・中央新幹線・北陸・中京新幹線 |
山陰新幹線・中国横断新幹線・四国新幹線・四国横断新幹線・東九州新幹線・九州横断新幹線 |
未成線 |
成田新幹線 |
現行列車 |
はやて・やまびこ・なすの・とき・たにがわ・あさま/新幹線直行特急 : つばさ・こまち |
のぞみ・ひかり(ひかりレールスター)・こだま・つばめ |
廃止列車 |
あさひ・あおば |
営業用車両 |
0系・100系・200系・300系・400系・500系・700系・N700系・800系・E1系・E2系・E3系・E4系 |
試験用車両 |
1000形・951形・961形・962形・WIN350・STAR21・300X・FASTECH 360 S・FASTECH 360 Z・軌間可変電車 |
事業用車両 |
911形・912形/ドクターイエロー・East i |
車両形式・記号 |
車両形式・編成記号 |
車両基地・車両工場 |
新幹線総合車両センター・盛岡新幹線車両センター・新潟新幹線車両センター・長野新幹線車両センター・山形車両センター・秋田車両センター 東京第一車両所・東京第二車両所・三島車両所・浜松工場・名古屋車両所・大阪第一車両所・大阪第二車両所・大阪第三車両所 博多総合車両所・川内新幹線車両センター |
元となる計画 |
日本の改軌論争・東海道新線・弾丸列車 |