さくら (サザンオールスターズ)
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さくら | ||
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サザンオールスターズ の アルバム | ||
リリース | 1998年10月21日 1998年10月28日 (LP盤) |
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録音 | 1997年2月13日~ 1998年9月28日 VICTOR STUDIO 猫に小判STUDIO |
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ジャンル | ロック | |
時間 | 78分27秒 | |
レーベル | ビクタータイシタ | |
プロデュース | サザンオールスターズ | |
チャート順位 | ||
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ゴールド等認定 | ||
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売上枚数 | ||
サザンオールスターズ 年表 | ||
海のYeah!! (1998年) |
さくら (1998年) |
バラッド3 ~the album of LOVE~ (2000年) |
『さくら』(Sakura)は、サザンオールスターズの12枚目のアルバム。1998年10月21日発売。発売元はビクターTAISHITAレーベル。
目次 |
[編集] 解説
サザンオールスターズのデビュー20周年の年に発売されたオリジナルアルバム。全体のテーマとしては「ネオジャパネスク」が元となっており、「NO-NO-YEAH/GO-GO-YEAH」「CRY 哀 CRY」など日本語に拘って拘り抜いた作品が多い。
この作品は総レコーディング時間が3000時間にも及んだが、桑田佳祐曰く発売前には「30万枚売れれば満足」、発売後には「やりたいことを好き放題やったらほとんど売れなかった」と語っており、全体的に毛の先まで手をかけるような製作となっているのが特徴。同年発売のベストアルバム『海のYeah!!』が250万枚を超えるビッグセールスとなりサザン人気の高さを思わせたが、本作のセールスは『海のYeah!!』『Young Love』と比べ1/3程度のセールスであり、桑田佳祐自身の製作への自信と裏腹だったことに落胆したとも言われる。ちなみに初動売上はオリコン集計で約42万枚。
本来のロックバンドらしい曲が多いが、それでいてサザンらしくない、サザンのイメージである「夏」という明るい曲などが無く、暗く重い曲調が目立ち全体的に濃い曲が多い。そのためライトファンには人気が低く、オリジナルアルバムとしては『KAMAKURA』以来のミリオン割れとなった。ただ、意外にも前作『Young Love』では成し遂げていないオリコンアルバムチャート2週連続1位になった。
収録時間は78分27秒と12cmCDの最大収録時間である80分に近いものとなっているが、その為に時間面での制約が出てしまい、曲が終わったと同時に次の曲が始まったり、本来は収録予定だったシングル「BLUE HEAVEN」c/w「世界の屋根を撃つ雨のリズム」がアルバムの収録曲から漏れるなどの事態が発生した。
初回限定版は専用スリーブケース付き。なお、少数ながらMD盤も存在する。アナログ(LP)盤も追って10月28日にVINYL版として発売された。
クレジットにあるように実際1年半以上の期間をかけて製作した意味を込め、録音期間及び録音スタジオの記載の後には“So long long time!”との表記がある。その他SPECIAL THANKSとして製作に関わった人物に対し、それぞれ感謝の言葉が記されている。小林武史と小倉博和には「For Your Advice and Warmest Friendship (あなたのアドバイスと暖かい友情のおかげです)」と記載されている。
本作のテレビCMは、収録曲を一部をいくつか流した全体的なアルバム宣伝向けのものと、タイアップの付いた「素敵な夢を叶えましょう」のみを流した2つのバージョンがある。この2つのCMは、共に2004年のDVD『ベストヒットUSAS (Ultra Southern All Stars)』に収録されている。
そして2001年にギタリストの大森隆志が脱退したために、このアルバムがサザン6人編成時最後のオリジナルアルバムとなった。この後各メンバーのソロ活動などを経て、2005年に発売された『キラーストリート』まで約7年間オリジナルアルバムのリリースが途絶えることとなる。
[編集] 収録曲
シングル収録曲は各シングルで説明しているため、ここでは説明を省略する。
- NO-NO-YEAH / GO-GO-YEAH
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ)
サザンの曲ではないと一瞬思いそうな程の、サザンのイメージとかけ離れたハードロック。歌詞中にはSGT. Doraemonが登場するが、内容との関連はない。歌詞は英語と日本語の口語表現を掛けたものが多数登場する。ちなみにこの曲のサビにどうコーラスを付けようか迷った挙句、たまたま同じくビクタースタジオにいた小林武史にアドバイスを受けたという話があり、そのため歌詞カードのクレジットに小林の名前がSPECIAL THANKS表記で載せられている。ドラムスは途中でミュージックシーケンサーによる打ち込みと生音を切り替えるなど斬新な音の取り方となっている。間奏のシャウトでは、アルバムタイトルでもある「“さくら”が咲いた」と言っている。 - YARLEN SHUFFLE ~子羊達へのレクイエム~
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ 管編曲:山本拓夫)
直後に行われたインターネットでの人気投票で1位になった曲。 - マイ フェラ レディ
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:島健 & サザンオールスターズ 管編曲:山本拓夫 弦編曲:島健)
タイトル通りフェラチオについての歌。歌詞にも性的意味を彷彿とさせる言葉が多数登場する。こちらは日本語とフランス語で口語表現を掛けている。桑田佳祐はタモリに「マイ フェア レディ」という楽曲を提供しているが、本曲はタモリを喜ばせるために作ったとも言われる。 - LOVE AFFAIR ~秘密のデート~
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ 管編曲:山本拓夫)
サザンとしては久々のスマッシュヒットとなった41stシングル。アルバムではシングルと違い、イコライザーで高域の音量を軽く下げ、ステレオ感を狭め、古い音源をイメージしたマスタリングがなされている。 - 爆笑アイランド
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ)
歌詞は政府や内閣などについて唄われており、間奏のラップは1998年の小渕内閣発足時に小渕恵三首相が演説で実際に使った言葉である。このラップ部分を担当した渡辺理恵と山門雅代の2名は、スタジオミュージシャンではなく、レコーディングスタジオのスタッフである。この曲でテレビ朝日系音楽番組『ミュージックステーション』に出演し、演奏していないことをアピールするかのようにメンバーが動き回るパフォーマンスを見せた(この番組に限らず、ほとんどの音楽番組で演奏はカラオケ状態である)。本作でも特に演奏終了とともに次曲が流れるパターン。 - BLUE HEAVEN
(作詞・作曲:桑田佳祐 英語補作詞:Tommy Snyder 編曲:サザンオールスターズ)
ファンに比較的人気が高い40thシングル。 - CRY 哀 CRY
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ)
シングル「PARADISE」c/w。三菱電機「モバイルキャンペーン」CMソング。この楽曲も演奏がフェードアウトでないため、終了の瞬間に次曲に移行する。 - 唐人物語 (ラシャメンのうた)
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ)
原由子ボーカル曲。テレビ朝日系「驚きももの木20世紀」のテーマソングでもあった。ライブでは桑田のボーカルで披露された事もある。歌詞は江戸時代末期に実在し、芸者として人気を馳せ自殺した人物“唐人お吉”こと斉藤きちについてであり、舞台となった下田港やペリーも来航した浦賀が中心となっている。吉田拓郎や弘田三枝子などの実在する人物を歌詞で取り上げた作品はあったが、こうした歴史上の人物をテーマにするのは珍しい例である。 - 湘南SEPTEMBER
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ 弦編曲:島健)
桑田自身は“湘南”という言葉を嫌っているが、逆にサザンの湘南というイメージを皮肉って作った曲でもある。タイトルの通りサザンのイメージである夏(7月~8月)ではなく、夏が過ぎた9月がテーマである哀愁漂うナンバー。PVは製作されていないが、2003年のDVD『Inside Outside U・M・I』にイメージビデオが収録された。 - PARADISE
(作詞・作曲:桑田佳祐 英語補作詞:Tommy Snyder 編曲:サザンオールスターズ)
42ndシングル。シングルA面曲では最も演奏時間が長い曲である。なお、間奏部分で「いとしのエリー」をボコーダーを使って歌っている。 - 私の世紀末カルテ
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ)
シングル「LOVE AFFAIR~秘密のデート~」c/w。『孤独の太陽』に代表される桑田佳祐ソロのイメージが強く、サザンファンにとっては複雑な1曲。 - SAUDADE ~真冬の蜃気楼~
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ 管編曲:山本拓夫)
タイトルの「サウダージ」をはじめ、歌詞の中にも「イエマンジャー」「アフォシェ」などが使われている。普段のサザンと違った哀愁、郷愁といった内容がテーマ。 - GIMME SOME LOVIN' ~生命果てるまで~
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ)
SMについての歌。本作で最もロック調である曲とも言える。 - SEA SIDE WOMAN BLUES
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ)
シングル「01MESSENGER~電子狂の詩~」c/w。 - (The Return of) 01MESSENGER ~電子狂の詩~ <Album Version>
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ 編曲補:林憲一 & 角谷仁宣 管編曲:山本拓夫)
39thシングルであるが、ドラムンベースの要素が追加されるなど、シングルバージョンからは大幅にアレンジが加えられている。イントロのアレンジは同年8月に行われたライブ『スーパーライブ in 渚園 モロ出し祭り ~過剰サービスに鰻はネットリ父ウットリ~』でのものであるが、本作では歌入り以降にも全体的なアレンジが加えられている。他にもシングルとアルバムバージョンではアレンジなどが違う曲がいくつか存在するが、同曲は唯一別表記が制定されている曲である。 - 素敵な夢を叶えましょう
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:島健 & サザンオールスターズ)
歌詞は桑田が当時のメンバーに向けて書いたものになっており、終盤の歌詞にある「南十字」とは、直訳ではないもののサザンオールスターズを意味し、「戯れる星」とは、サザンを聴いてくれているファンを意味する。後にフジテレビ系ドラマ「こいまち」主題歌に起用された。1997年にはサザンファンを公言する爆笑問題のラジオ番組、TBSラジオ「爆笑問題カーボーイ」エンディングテーマになっている。
[編集] 参加ミュージシャン
- 桑田佳祐:Vocals, Guitars, Harmonica
- 大森隆志:Guitars
- 関口和之:Bass
- 松田弘:Drums
- 原由子:Keyboards, Vocals
- 野沢秀行:Percussions
- NO-NO-YEAH / GO-GO-YEAH
- 山本拓夫:Flute
- 角谷仁宣:Computer Operation
- YARLEN SHUFFLE ~子羊達へのレクイエム~
- マイ フェラ レディ
- 島健:Piano
- 村田陽一:Trombone
- 広原正典:Trombone
- 片岡雄三:Trombone
- 山城純子:Bass Trombone
- 角谷仁宣:Computer Operation
- LOVE AFFAIR ~秘密のデート~
- 角谷仁宣:Computer Operation
- 山本拓夫:Tenor & Baritone Sax
- 金原千恵子グループ:Strings
- 爆笑アイランド
- BLUE HEAVEN
- 角谷仁宣:Computer Operation
- CRY 哀 CRY
- 角谷仁宣:Computer Operation
- 唐人物語
- 角谷仁宣:Computer Operation
- 湘南SEPTEMBER
- 金原千恵子グループ:Strings
- 角谷仁宣:Computer Operation
- 山本拓夫:Tenor Sax
- 角谷仁宣:Computer Operation
- SAUDADE ~真冬の蜃気楼~
- 小倉博和:Gut Guitar
- 山本拓夫:Soprano Sax & Flute
- 荒木敏男:Flugel Horn
- 西村浩司:Flugel Horn
- 角谷仁宣:Computer Operation
- GIMME SOME LOVIN' ~生命果てるまで~
- 角谷仁宣:Computer Operation
- SEA SIDE WOMAN BLUES
- 小倉博和:Gut Guitar, Rap Steel
- 角谷仁宣:Computer Operation
- (The Return of) 01MESSENGER ~電子狂の詩~ <Album Version>
- 小倉博和:Electric Guitar
- 山本拓夫:Tenor & Baritone Sax
- 村田陽一:Trombone & Bass Trombone
- 荒木敏男:Trumpet
- 角谷仁宣:Computer Operation
- 素敵な夢を叶えましょう
前作 | サザンオールスターズのオリジナルアルバム | 次作 |
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Young Love | キラーストリート |
オリコン週間アルバムチャート第1位 1998年11月2日付~1998年11月9日付 (2週連続) |
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前作: 長渕剛 『SAMURAI』 |
サザンオールスターズ 『さくら』 |
次作: 松任谷由実 『Neue Musik』 |