キーボード
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キーボードは、鍵盤(けんばん)と訳され、道具や装置を操作するために、手、手の指、足、または棒などで動かす取っ手やボタン、踏み板(それらをキー、鍵(けん)という)を並べたもの、ないし、それを備えた入力装置や楽器を言う。
一般に、日本語においては、楽器の部位としてのそれを「鍵盤」といい、それ以外のものについては「キーボード」ということが多いが、本質的な差異があるわけではない。
これらを列挙すると次のようになる。
- 鍵盤 鍵盤楽器の操作部。
- 鍵盤楽器 鍵盤をそなえた楽器。ピアノ、オルガン、ハープシコードなど。
- 鍵盤打楽器 ピアノの鍵盤のように並べた音板をそなえた楽器。
- キーボード 電子楽器や電子発音装置を操作するための、ピアノの鍵盤状の入力装置。
- キーボード キーボードを備えた(簡便な)電子楽器。
- 鍵盤 印刷電信機の送信部。
- 鍵盤 タイプライターの操作部。
- 鍵盤 テレタイプ端末の操作部。
- キーボード コンピュータの、タイプライター状の文字入力装置。
以下、それぞれについて述べる。
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[編集] 鍵盤
今日、一般に鍵盤という場合、黒鍵と白鍵が半音ごとの半音(12音階)に従って配置されたものをいい、各鍵を打鍵することで対応する音を鳴らすことができるようになっている。
ピアノでは長い鍵を白色、短い鍵を黒色とし、それぞれ白鍵、黒鍵と呼ぶが、ハープシコードなどでは白黒反転したものも多い。この場合、それぞれを長鍵、短鍵と呼ぶ。オルガンなどは、足鍵盤を持つ。これは手鍵盤と配列は同じであるが、足で演奏するためにひとつひとつの鍵盤が大きく、間があいていて、また、色は同じように塗ってあるとは限らない。なお、電子オルガンにあっては左足のつま先で演奏するようになっているものが多いが、伝統的なオルガン(パイプオルガン)では、両足のつま先とかかとで演奏する。
現代音楽などでは1/4音音階の特殊な鍵盤を持った楽器を使用することがある。
[編集] 鍵盤楽器
鍵盤楽器とは、鍵盤を持つ楽器の総称である。西洋音楽の鍵盤楽器のほとんどは同じ鍵盤配列を持つため、発音原理が全く異なっていても、ひとつの楽器に習熟することで他の楽器を同じように演奏することができる。ただし、それぞれの楽器の特長を十分に生かした演奏を行うためには、それぞれの楽器について習熟する必要があることはいうまでもない。また、バンドネオンやアコーディオンのボタン型鍵の伴奏鍵盤などには、ピアノの鍵盤と全く異なる配列を持ったものも多い。
[編集] 鍵盤打楽器
鍵盤打楽器とは、打楽器の内、ピアノなどの鍵盤と同じ配列に音板が並べてある楽器を言う。これらは高音で短く、低音で長いが、「黒鍵」が「白鍵」に比べて短く作られることはない。このうち、消音装置を持つヴィブラフォンなどは「黒鍵」と「白鍵」が同一平面に置かれるが、そうでなければ普通、「黒鍵」が「白鍵」より高い位置に置かれる。
[編集] 電子楽器や電子発音装置を操作するためのキーボード
電子楽器や電子発音装置を操作するためにはさまざまなものが作られているが、多くの場合、在来の楽器の奏法により演奏できるようになっている。これらの内、最も多いのは、ピアノやオルガンの鍵盤を模したものである。初期のものでは、鍵を押すか、離したかだけを関知し、音高を電圧などによって情報を送っていたが、後のものでは鍵を降ろす速度や降ろした後の押す強さを関知し、また鍵盤にさまざまなボタン、レバーを付属させて、それらの情報をあわせて電子的な信号として送るものが一般的になった。それらのほとんどは、MIDIと呼ばれる情報形式によっている。
[編集] 電子楽器としてのキーボード
上記キーボードを備えた机上型の電子楽器を、俗にキーボードと呼ぶことがある。これらは、価格や制作者のコンセプトにより様々であるが、一般には次のような楽器である。
- さまざまな音色を備え、簡単に伴奏を行うことができるようなシステムと、ドラムセットの演奏を自動で行う機能を持つ。
- 廉価なものを除けば、鍵盤を押す速度を関知して、強弱を表現することができる。
- 単体で演奏できるようにスピーカーを備える一方、MIDI入出力を持ち、他の電子楽器と協調することができる。
[編集] 印刷電信機の鍵盤
1850年代にDavid Edward HughesとGeorge May Phelpsが実用化した印刷電信機では、ピアノ状の2段鍵盤が採用されており、上段(黒鍵側)にはA~Nが、下段(白鍵側)にはZ~Oが配置されていた。各キーがスイッチとなっており、電流のON/OFFの長さを変えることで、受信側での印字を変化させる仕組みであった。(United States Patent No.26003)
1870年代にJean Emile Maurice Baudotが実用化した印刷電信機では、キーの数は5つに減っており、その組み合わせで31種類の信号(いわゆるBaudot Code)を発生する仕組みとなっていた。この後、1905年にDonald Murrayがタイプライター型キーボードを使った印刷電信機(のちのテレタイプ)を完成し、印刷電信機のキーボードはタイプライターと同じ並びとなった。
[編集] タイプライターの鍵盤
歴史的には前史として、活字を直接押す構造の物などが作られ、一文字単位での印刷ができるようになるが、操作性が悪く一般化はしなかった。 現在の手動機械式タイプライターへの流れは、鍵盤楽器の構造を応用する事により操作性を向上し、広く使われるようになった。 開発初期にはピアノに近い二段のみでABC順として作られた。 それを横幅を狭め四段にしたQWERTY配列が作られ、ラテン文字大文字のみで商品化。更にシフト切り替えで小文字も使える現在の形となる。
[編集] テレタイプ端末の鍵盤
電動タイプライターの操作部が元になっているテレタイプ端末の操作部。 電子回路が低価格化するまで、キースイッチで作られた電気回路で文字コードを作っていた。 そのため、シフトの違いが文字コードの1ビットの違いのみになる、ロジカルペアリング配列となっている。 制御文字を送信するため、コントロールキーなどが加えられている。
[編集] コンピュータのキーボード
コンピュータへの入力装置の一つ。文字の入力、項目やカーソルの移動、特定の操作の実行など、ユーザからの直接的な入力を担う。ポインティングデバイスが存在する場合は、特に文字入力に使われることが多い。
元来は、電動タイプライターの操作部をそのまま借りてきたものであり、最初期のコンピュータで用いられたパンチカードやロジック配線パネルに代わるものである。その後、端末動作用のコントロールキー、ファンクションキー、オルタネート(ALT)キーなどが加えられて、現在の形になっている。これらは内部に電気的スイッチをもち、場合によってはそれをキーボードの内部的に処理して、各々のキーに設けられた単純なスイッチの開閉という信号から、より少ないケーブルで入力情報を伝えるための電気信号に変換する集積回路を持っている。
コンピュータ用キーボードは、キー配列でいくつかの種類に分類できる。日本では日本語入力のために漢字変換用キーが追加されたJISキーボードが主に使われているが、親指シフトキーボードなど、特に日本語入力を工夫したキーボードもある。なお、使用字種の少ない米国の英語入力のためには、欧州より文字キーの少ない米国配列のキーボードが使われている。
米国配列のキーボードでは、記号の配列がJISキーボードとは一部異なる。ちなみに米国配列の英語キーボードでも日本語の入力は十分可能である。文字キーの個数がJISキーボードより少ないため、仮名の配列も一部異なる。
また、KINESIS ERGONOMICS KEYBOARD のように、人間工学に基づいてタイプする人の負担を減らすことを重点に置いたキーボード、Cut Keyのように片手での入力を行なうことを前提としたキーボードもある。特殊な物では、特定のキー入力のみをコンピュータゲーム用のコントローラーから行えるソフトウェアキーボードのほか、Microsoftの「Strategic Commander」のように、OS側からは一般のキーボードとして認識されながらも、その外見はゲームコントローラーに近い物も見られ、また身体障害者向けに一部キー機能を抜き出した入力装置も見られる。
JISキーボードでも、テンキーが右側に別にある物をスタンダードキーボード、テンキーがアルファベットの文字列中にある物(テンキー部のない物)をデータエントリーキーボードと呼ぶ事もある。 前者は、主にデスクトップ型パソコンやコンピューター端末などで使用され、後者はノートパソコンや省スペースを目的とする一部のデスクトップパソコン、データ入力を専門とするパソコン、コンピュータ端末などで使用される。
この他、ブックを搭載し、ページをめくる事でキーボードキーの意味がプログラムにより変わるインテリジェントキーボード(鉄道駅などのみどりの窓口の発券端末など)、特殊なペンによりキー入力を行うペンタッチキーボード(PDAなどで使用)などがある。
キーボードは、コンピュータ用語では「 KB 」と略される場合も見られるが、同じくコンピュータ用語である「キロバイト(記憶容量単位)」と混同を避ける上では、使いどころが肝要である。
[編集] キーボードの機能
今日、一般に普及しているキーボードには、タイプライターには見られない各種機能を備えている。
[編集] オートリピート
キーを押しっぱなしにした場合、そのキーに対応するコードが連続して入力(送信)される機能である。最初に押した時点からn秒後、m秒間隔で繰り返しするというような設定を行なえるキーボードもある。ソフトウェア的にシミュレートしたり、ソフトウェア側から(キーボード単独でなく)設定できるものもある。
[編集] シフトロック
シフトキーを押したままの状態にする特殊なキーである。機械式のタイプライターでは見かけたが、コンピュータ用のキーボードでは通常用意されていない。そのかわり、次項のキャップスロックキーが用意されている。ただし、同時に押すことが出来ない状況はあり得るので、例えばMachintoshやWindowsではユーザ補助の固定キーの機能がソフトウェア上で用意されている。
コンピュータ用のキーボードであっても一部の言語用には、タイプライターとの互換性を重視して、キャップスロックではなくシフトロックが用意されている。
[編集] Caps Lock
Caps Lock(キャップスロック)キーはシフトキーを押したままの状態にするのはシフトロックと同様だが、その効果が英字キーのみに限定されるところが違う。CapsとはCapital lettersの略、すなわち英字の大文字の意味である。なお、キャップスロックキーを押した状態でシフトキーを押すと、英小文字が入力されるようになっていることが多い。
このキーのon、offの状態の保持は、キーボード側で行う場合と、ソフトウェア側で行う場合がある。また、前者の場合、onの状態で、キー自体が押し下がった状態で固定する場合と、キー自体は元の位置に戻り、パイロットランプなどでその状態を表示する場合とがある。バネが他のキーに比べ、固めに作られる場合がある。また、このキーを操作するのに、同時にシフトキーを押す必要のある場合がある(PCのキーボード)。
[編集] Num Lock
PCのキーボードでは、NUM Lock(ナムロック)というキーがある。この場合のNumはNumeric(ニューメリック、数字の)の略であり、これをオンにした場合には
- テンキー付きキーボードでは右側のテンキーによる数字入力が可能になる(オフ状態ではカーソル上下動などの働きをする)。
- ノートパソコンなどのテンキーなしキーボードでは、右半分の一部のキーが数字入力モードに変わる。(オフ状態では通常どおり文字が入力できる)
[編集] Scr Lock
Scr Lock(スクロールロック)キーは、2005年現在でも未だにPCのキーボードに存在するが、IBM製の大型汎用コンピュータの昔の専用端末機「3270」での画面のロールアップ・ロールダウンの互換性を持たせたものらしい。(オン状態で矢印キーを操作すると一画面ごとの画面スクロールができたらしい。現状で言うと「Pageup」「Pagedown」キーに近い)現在のWindows環境では機能するソフトはほぼ皆無であるが、Excelではカーソル位置を固定してシートの方をスクロールする切り替えとなっている。
[編集] SysRq
SysRq(システムリクエスト)キーは、未だにPCのキーボードに存在するが、本来は「3270」などのIBM製の汎用機の昔の専用端末機に付属するキーボードにおいて、37xx型通信制御装置に対してホストへの接続要求(VTAMリクエスト)を送信するためのキーで、後に初期のPCを汎用機のインテリジェント端末として使用する際にキーボードの互換性を保つために持たせたものらしい。現在のWindows環境では機能するソフトはほぼ皆無である。
[編集] PrtSc
Prt Sc(プリントスクリーン)キーは、未だにPCのキーボードに存在するが、本来は「3270」などのIBM製の汎用機の昔の専用端末機に付属するキーボードにおいて、現在端末に表示されている情報を印刷するようにホストに対して要求する信号を送信するためのキーで、後に初期のPCを汎用機のインテリジェント端末として使用する際にキーボードの互換性を保つために持たせたものらしい。現在のWindows環境では現在画面に表示されている情報をビットマップイメージとしてクリップボードに格納する機能が割り振られている。なおALT+PrtScではアクティブなウィンドウの画像のみが格納される。
[編集] ベル音/ビープ音
機械式キーボードにおいては、右端まで来ると、その旨を通知するためのベルが鳴る。コンピュータ用のキーボードは、一部の機種(Sunのキーボードなど)において、キーボード内にベル音をならすためのスピーカーがついている場合がある。この場合、本体側からBelキャラクタ(ASCIIで07H)を送信することで音が鳴る。但し、本物のベルではないのでビープ音という場合がほとんどである。
[編集] クリック音
機械式キーボードにおいては、キーを打鍵するたびに機械的な動作に応じて音と手応えがするが、電気式のコンピュータ用のキーボードではほとんど音がしない。そのため、キーの打鍵がされたかどうかを確認するために、打鍵するたびごとに音を発生させる仕組みが用意されている場合がある。これをクリック音という。音の発生機能そのものは前述のベル音と同じである。
しかし一部の業務用やマニア向け仕様のキーボードの中には、スイッチ部分に物理的にクリック感を生み出す物も見られ、好みで選択されている。中にはこれに特化して、激しい動作音のするものも見られる。(後述)
[編集] ロールオーバー
電気式のキーボードは、内部の電気回路的な制約により、機械式キーボードとは違い、同時に複数のキーを押すことが物理的に可能である。何文字まで同時にキーを押せるかを表わすのがロールオーバーである。たとえば3キーロールオーバーなら3キーまで同時押し可能ということを指し、nキーロールオーバーというのはどのキーを同時に押しても反応することを指す。現在のキーボードはコントローラーによっていくつかの種類があり、安価なメンブレンスイッチ(圧力が加えられると導通するシート状のスイッチ)の場合には2~3キーロールオーバー、メカニカルスイッチの場合には疑似nキーロールオーバーや完全nキーロールオーバーとなっている。
[編集] 表示機能
特殊なキーボードには特殊なステータス表示機能がついている場合がある。PC用のキーボードでは、一般的には、キャップスロック状態、NUMロック状態、スクロールロック状態の3つの表示機能が付いている。これらの表示機能はコンピュータ本体から制御可能である場合がある。PC用のキーボードでは、この3つの表示機能を使い、OSからのパニック時のステータスを表示させることができるものもある(例:Linux)。
[編集] キー配列
キー配列も参照。
[編集] その他
特定の機種専用のキーボードには、特殊なキーが用意されている場合がある。たとえば
- ACPI対応キーボードや、ADB対応のMacintoshやNeXTワークステーションにおいては、電源ボタンが用意されている。
- 一部のパソコンでは、メールソフトやwebブラウザなどの特定のアプリケーションソフトを起動させるキーを持っているものがある。(このためには、キーの操作を感知してソフトを起動する専用ドライバの常駐が必要となる)
- 近年のハードウェアには、Windowsで機能するWindowsキーがついていることが多い。MacintoshではMacOSで機能するコマンドキーがついている。
- かつてパソコンが一般家庭に普及しだした頃に、コンピュータ画面に「 Press Any key to continue... 」などと表示されたのを見た新規ユーザーが、そのような“Any”と刻印されたキーがキーボード上にあるものと誤解した。(→Any key)
[編集] キーボードの機構
- キースイッチユニット
- 大まかに分類すると、メカニカル・メンブレン・静電容量無接点・パンタグラフがある。
- メカニカルスイッチ
- キーの数だけキースイッチがあり、コストがかかるため一時期衰退した。メカニカルのキーボードはキー押下時に音がするとの誤解もあるが、音自体は別の機構によるものであり、キースイッチ自体からは音はしない。キー音の軽快さやタッチの確実性、そして独特の打鍵音を好むユーザーから見直され、最近復活の兆しがある。ドイツのCherry社(キーの機構の説明)や日本のアルプス社のスイッチが有名。スイッチがボタンの戻ろうとする力を吸収してくれるので、長時間のタイピングでも疲れにくい。
- メンブレンスイッチ
- 接点の間に穴のあいた薄いシートを挟み、キーを押すと接点が触れ合う。シートを押すための機構としては、ラバードーム、パンタグラフ、バックリングスプリングなどさまざまな種類がある。メンブレンとラバードームを使用したキーボードは安価に製造できるため、現在最も普及している。材質的に耐久性に限界がある。指先に反発の力がダイレクトに戻ってくるので長期間のタイピングには向かずタッチの固いものは腱鞘炎になる危険性が指摘されている。一部マニアの間ではミネベア社の製品が丁寧に作り込まれていることで重宝されていたが、現在そのモデルは生産されていない。
- 静電容量無接点
- 静電容量の変化でキー入力を検知する。機械接点が無いため静穏で、耐久性やキータッチを高められるが、高価になりがちで、主に証券業界などで使われる他、IBM PC、PC/XT、PC/ATの初期の83/84キーボード、Sun Type4に代表されるKeyTronic製キーボード、RealforceシリーズやHappy Hacking Keyboard Professional等がある。東プレ社のキーボードが有名。
- パンタグラフ
- 鉄道の車両のパンタグラフと同じ機構で、特徴としては面のどの部分を押しても同じ圧力でキーを押せることにある。構造的に薄く出来るので主にノートパソコンに採用されている。機構的にはメンブレンと同じで指先に反発の力がダイレクトに戻ってくるので長期間のタイピングには向ないとされているが、一方で低いキートップや短いキーストローク、そして軽い打鍵感により指を滑らせるような軽快な入力が可能として固定ファンも多い。反発力はメンブレンに比べて一般的に小さい。
- バックリング・スプリング・キーボード
- ボタンに内蔵したスプリングを歪ませることでクリック感を出す機構。IBM社が採用。あくまでアクチュエータがこのような構造になっているというだけであり、IBM社のキーボードの場合、スイッチの接点方式としては静電容量式とメンブレン式のものが存在した。
- レーザー投影式
- 机の上にレーザー投影機とセンサーが一体となった装置を置き、机の上にレーザーで直接キーを投影し、そこに指を置くことによりそれをセンサーで感知して入力とするものである。装置は非常に小型で可搬性に優れ、ある程度のスペースと反射率のある机があればどこでも使用できるが、物理的なキーが存在しないためブラインドタッチが難しく、構造上縦に並んだーキーの同時押しが検知できないという欠点がある。
- チルトスタンド
- タイプしやすいようにキーボード全体を傾けるための機構である。平たく言えばキーボードの足である。人間工学的には、奥を上げた方が良いという意見以外にも、手前を上げた方が良いなど異論もある。
- スタビライザー
- シフトキーやスペースバーのように長いキーボードのどの位置を押しても正しくまっすぐ押下できるようにするための仕組みである。これを省略している安いキーボードは、シフトキーの端の部分を押すと、引っかかってスムーズに押せないものがほとんどである。初期のIBM PCのキーボードは、そのためキーの中央のみにキートップを付け、端の部分を押せない物としていた。
- キートップ
- 主にキーの機能などが印字されている。平らな物、球面状に窪んでいる物、円筒形に窪んでいる物などの種類がある。
- ホームポジション・マーカ
- ホームポジション(人差し指を置く位置)を触って分かるようにする、キートップ上に付いている小さな出っ張りのことである。または、FとJのキートップを他のキートップよりも深くえぐってある場合もある。現在の多くのキーボードでは、人差し指のFキー、Jキーの所に付いている。Macintoshのキーボードは、古くはテンキーと同じ中指のDとKであった。これはキーボードを見ないでも、文字入力するためのものであるが、特に長い文章の作成やプログラミングをキーボード入力で行う人以外には、あまり意味の無い仕様となっている。