JR西日本223系電車
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223系電車(223けいでんしゃ)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)の直流近郊形電車。
現在のJR西日本アーバンネットワークを代表する車両である。
本項では同型の車体を持つ鉄道総研R291形試験電車についても記述する。
共通事項 | |||
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減速度 | 4.3km/h/s(通常) 5.2m/h/s(非常) |
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全長/全幅/全高 | 20,000mm/2,950mm/3,640mm | ||
軌間 | 1,067mm(狭軌) | ||
電気方式 | 直流1,500V | ||
歯車比 | 1:6,53 | ||
駆動装置 | WN平行カルダン歯車形たわみ軸継手方式 | ||
電動機 | かご形三相誘導電動機 | ||
ブレーキ方式 | 回生併用電気指令式空気ブレーキ |
目次 |
[編集] 概要
221系に続く自社設計の近郊形電車として開発された車両。全長20mの車体に片側に3個の乗降扉、転換クロスシートの座席という設計思想はそのままに、207系で培った軽量ステンレス車体とかご形三相誘導電動機・VVVFインバータ制御が新たに採用された。
221系では性能調整を2種類の電動車ユニットを用意することで行っていたが、本形式では機器類を1両の電動車に集中させて、それを3両に1両程度の割合で連結するとして編成組成の自由度を向上させている。
1993年(平成5年)から現在まで製造が続けられており、仕様の違いで2006年9月現在0番台、1000番台、2000番台、2500番台、5000番台の5グループが存在する。製造が長期に亘ったことから、各部の構造は番台ごとに異なっており、特に制御器は0番台が東芝製のGTO、1000番台、2000番台が三菱電機・東芝・日立製作所製のIGBT、2500番台が東芝・日立製作所製のIGBT、5000番台が三菱電機製のIGBTと異なったものを搭載している。
屋根上機器は前作の221系を踏襲した、集約分散式クーラー2台(形式:WAU705)と電動車のみ下枠交差型パンタグラフが1基配置されている。電動車にはパンタグラフの増設準備として台座の設置もなされている。
行先・種別の表示は221系、207系でも採用された回転幕(種別)とLED(行先)の併用を採用している。回転幕の文字色は「普通」が白、「快速」(「関空快速」「紀州路快速」含む。関空の場合は飛行機のマークが付く)はオレンジ、「新快速」が青である。ちなみに「快速マリンライナー」は普通同様に白であるが、他の種別と違いフォントはゴシック体である。
また、本形式をベースにローカル線向け電車の125系が小浜線・加古川線・北陸本線の直流区間・湖西線の一部区間、JR四国向け電車の5000系が瀬戸大橋線に投入されている。
[編集] 運用線区
- 0・2500番台(日根野電車区)
- 紀勢本線(きのくに線)
- 和歌山~海南間。土休日朝に片道1本のみの設定。南紀熊野体験博期間中は、白浜まで運転されたほか、「熊野古道レジャー号」や「熊野古道ハイキング号」として紀伊田辺まで、「紀三井寺桜まいり号」や「ぶらり海南号」として海南駅まで運転された実績がある。これらはいずれも紀州路快速の延長運転としてのものであり、すべて3両編成での運行であった。団体列車としては2005年10月に白浜駅まで8両編成での入線実績がある。
- 1000・2000番台(網干総合車両所)
- 東海道・山陽本線と直通し、播州赤穂~姫路~神戸方面を通し運転される。
- 「嵐山もみじ号」などの臨時列車として園部駅まで入線した事がある。また、1000番台はかつて臨時快速「レインボー号」として福知山駅を経由して北近畿タンゴ鉄道宮津線天橋立駅まで乗り入れたこともある。
[編集] 上記以外においての1000番台・2000番台の運用
-
- 2004年9月、台風16号による高潮の影響で宇野線宇野駅構内に留置していた105系(岡山F8編成)と115系(岡山D18編成)がそれぞれ浸水して故障した。105系は和歌山地区への転用で予備が全くなく、115系も短編成化と車両のリニューアル工事、213系もワンマン化改造工事で115系、213系共に岡山を離れていた編成が多かったことで車両が不足した。その際、岡山電車区電車センターに留置されていた本系列(網干J1編成)が急遽宇野線岡山~宇野間で9月末まで使用された。
- 2004年3月13日の天神川駅開業を記念して、本系列を使用した祝賀列車が広島地区で運転された事がある。
- イベントの臨時列車として、下関駅や高松駅まで入線した事もある。
- 2004年10月16日ダイヤ改正で113系に代わって大垣駅乗り入れを開始するのに伴い、JR東海に貸し出されて名古屋駅まで乗務訓練として乗り入れた事もある。
- 過去には113系や221系とともに、青春18きっぷの期間を中心として姫路~岡山間の臨時普通列車(あるいは定期列車の代走運用)や新快速を臨時に岡山までの延長運転で運用されたこともある。
- 5000番台(岡山電車区電車センター)
[編集] 0番台・2500番台
0番台・2500番台 | |||
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起動加速度 | 2.1km/h/s | ||
営業最高速度 | 120km/h | ||
設計最高速度 | 130km/h | ||
定員 | 座席30・立席100(2500番台・トイレ付き先頭車) 座席38・立席96(2500番台・トイレ無し先頭車) |
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重量 | 27.7t(サハ223) 31.1t(クハ222-0番台) |
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モーター出力 | 180kW×4=720kW | ||
制御装置 | 1C1M3レベルGTO-VVVFインバータ制御(形式:WPC1) | ||
保安装置 | ATS-SW,ATS-P |
1994年9月4日の関西国際空港(関空)開港に合わせ、同空港へのアクセス列車である関空快速に使用するために1993年から1994年にかけて6両編成9本・2両編成7本の計68両が新造されたグループである。1994年度グッドデザイン賞受賞。
車体はビード(棒状の補強構造)のないステンレス製(当時としては221系と同様の連窓やビードのない外観を確保しつつ、車体強度・剛性を維持する為、若干厚めの外板が用いられてる)。
前面は新設計の半流線形となり、塗装も銀の金属地に窓下に関西国際空港のイメージカラーである青のグラデーション帯のステッカーというものが採用された。海上に掛けられた関空連絡橋通過時の横風対策として、車高は221系より6cm低く抑えられている。JRマークは前面のみに貼付されている。
室内は221系に準じた転換クロスシートであるが、ノルウェーからの輸入品である。座席配置も空港利用客の大型荷物の持ち込みに備えて、座席は車端部を除いて2+1人の3人掛けとされ、1人掛け座席の肘掛け下には荷物を固定するためのワイヤーが備えられた。221系で車体妻面に設置されていた案内用電光掲示板は客用扉上(1両あたり6箇所)に変更された。車内配色は壁は白色、窓の仕切りは銀色で、座席は淡い青である。
207系で採用されたドアチャイムやミュージックホーンといった装備は引き続き設置されている。ドアチャイムは製造当初は207系前期製造分と同様に閉まる時のみ鳴っていたが、現在では開く時もなるように改良されている。また、ミュージックホーンは他形式車と同様に、運転席下部のペダルを軽く踏むとミュージックホーンだけが、強く踏むと通常の空気笛が同時に鳴る仕組みとなっている。
完成が関空開港よりも早かったため、当初は1994年4月1日に阪和線の快速・B快速・区間快速・普通の運用に暫定的に投入された。この時期は和歌山行きの運用もあった。同年6月15日の関空開港準備のダイヤ修正で、関空への乗り入れを開始。その後の関空開港に伴う同年9月4日ダイヤ改正で本格的に空港連絡を開始した。当初、一部の列車では京橋駅発着の6両編成とJR難波駅発着の2両編成が天王寺駅で分割併合を行う運用が行われた。この時点で、阪和線日根野駅以南へ乗り入れる列車は平日朝の和泉砂川駅発着の区間快速1往復を除き消滅し、和歌山乗り入れは一旦無くなった。
1995年4月20日、関空直行高速バスに対抗するため、編成の最後尾(検札しやすいよう上りと下りで車両を変えていた)を指定席とした特別快速「関空特快ウイング」の運転が開始された。指定席車両は種別幕下部に黄緑帯を設けられた(自由席は青色帯)が、誤乗車が絶えなかったという。
1996年3月22日、2両編成のうちJR難波寄り車両の前半分(乗務員室直後)に、JR難波駅直上に設置された大阪シティエアターミナル(OCAT)にて国際線搭乗手続きを受けた乗客の荷物搬送用に荷物室が追設された(同時に該当部分の扉は締め切りとなり、駅には「この乗車位置からは乗車できない」旨の表示があった)。荷物室は名目上「業務用室」とされていたため、荷物車を示す記号「ニ」はつかず、改番も行われなかった。
1998年OCATでの搭乗手続きの利用率低下により、荷物室が廃止。荷物室部分は客室に復元された。
1999年に阪和線の快速列車の運転系統が変更され、関空快速は和歌山駅への紀州路快速との併結運転(日根野駅で分割併合)となった。これに伴い、編成を5両(E800番台編成)+3両(E850番台編成)各9本に変更、「関空特快ウィング」の運行は廃止され、利用率がきわめて悪く、自由席が余計に混雑する原因を作っていた指定席は廃止された。
編成変更で先頭車4両が不足したので、クモハ223・クハ222それぞれ2両ずつが新造された。機器類は0番台を踏襲するが、車体は後述の2000番台車に準じた構造となり、新たに2500番台と区分された。ドア間の座席数は車体の窓配置の関係で0番台よりも1列少ない5列となり、ドア脇の補助いすも省略されたので座席定員が極めて少ない。また、電光掲示板も2000番台に準じて1両あたり3箇所に削減された。一方でトイレは車椅子対応となり、トイレ前に車椅子スペースが設けられるなど、バリアフリー対策は徹底されている。0番台に2500番台を組み込んだ編成は、クモハとクハにのみ転落防止幌がついており、ヘッドライトの形も違う(丸型2灯→四角4灯)ため一目で区別がつく。
最近では、座席や肘掛けを2000番台と共通の国産のものに取り替える改造を施したため、窓下の肘掛けと1人席の荷物固定用ワイヤーが撤去されている。
2006年に3両編成1本+5両編成1本の計8両が増備された。これにより先頭車しか製造されていなかった2500番台に初めて中間車が製造された(中間車にも転落防止幌がついている)。ちなみに、全車が川崎重工製である。
この車両には、編成によって車内放送を聞こえなくする機能(編成別放送)があり、下りの関空/紀州路快速で使用されるほか、編成を切り離しても号車番号の表示はそのままであるが(8両運転時6号車である車両は、前5両切り離し後も6号車で、1号車にはならない)、下りで8両から前5両を切り離されて3両になり、折り返しの上りで後ろに3両連結の場合は、下りの切り離し後の時点でこの車両は4号車になる。
[編集] 1000番台
1000番台 | |||
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起動加速度 | 2.5km/h/s | ||
営業最高速度 | 130km/h | ||
設計最高速度 | 130km/h以上 | ||
定員 | 座席44・立席89(トイレ付き先頭車) 座席48・立席84(トイレ無し先頭車) |
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重量 | 28.1t(サハ223) 32.0t(クハ222) |
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モーター出力 | 220kW×4=880kW | ||
制御装置 | PWMIGBT-VVVFインバータ制御 | ||
保安装置 | ATS-SW,ATS-P |
東海道本線・山陽本線(琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線)で運行される新快速の最高速度130km/h運転に対応させる目的で製造されたグループである。
1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災後の輸送力増強のため、当初の予定よりも前倒しして同年夏に投入された。1次車として8両の基本編成(W編成)と4両の付属編成(V編成)各4本(計48両)が川崎重工業・近畿車輛・日立製作所で、1997年には2次車として同仕様の基本編成5本・付属編成1本(計44両)が川崎重工業・近畿車輛で追造され、総計92両が在籍する。
各部の構造が0番台から大幅に変更されている。前面は前照灯が角型4灯(白、黄2灯ずつ)に、側面はビートが付けられ、扉間の窓は6個から5個に減らされてこの部分の戸袋窓が無くなった。塗装は221系に似た、窓周りが茶(関西急電シンボルカラー)、その下に白、茶(窓周りと同色)、青(JR西日本コーポレートカラー)、ベージュ(新快速シンボルカラー)の4色の帯が入るというものが新規に設定された。空調装置は低重心化のため、付随車のみ機器を屋根上と床下に分散させたセパレート型のWAU304を2基搭載している。
車内は、座席が0番台の1+2人掛けから一般的な2+2人掛けに変更されるとともに、混雑対策のため扉間の列数が6列から5列に減り、出入口のスペースが拡大されている。また、各部の色が0番台の青から外部塗色に合わせた茶に変更されている。
座席数は減らされたが、代わりに転換ができない固定座席の背面に収納式の収容式座席(補助席)が装備された。全ての補助席使用で1両あたりの座席定員が221系より8席増えるので、昼間時の着席需要にも対応している。この補助席は中央扉では両側の固定座席の背面にあるが、両端の扉では中央寄りの固定座席の背面にしかない。このため、ホームで待つときに補助席の多い中央扉の乗車位置を狙う乗客も存在する。
補助席は、混雑防止のため平日ラッシュ時など多客時には車掌室からロックが掛けられ、使用ができない構造となっている。この1000番台のみ、ロックが掛かっている時は「使用不可」を表示するランプが点灯するようになっている(2000番台以降は「混雑時など、時間帯により使用できません。」と書かれたプレートが貼付されている)。
製造前には京阪神の一部の快速に連結されていたグリーン車(1980年廃止)を復活させる構想もあった(朝日新聞大阪版ではその構想が記事になった)が、関空快速の指定席の利用率低迷などもあり、最終的には見送られている。
前倒しで投入してしまったため、WN継手から騒音や振動が発生したり、車両から発生する電気ノイズで近傍を走行する201系の保護回路を誤動作させて緊急停止させてしまうなどの面があったが、現在ではこれら問題点は対策済みである。
[編集] 2000番台
2000番台 | |||
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起動加速度 | 2.5km/h/s | ||
営業最高速度 | 130km/h | ||
設計最高速度 | 130km/h以上 | ||
定員 | 座席40・立席90(トイレ付き先頭車) 座席48・立席88(トイレ無し先頭車) |
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重量 | 29.0t(サハ223) 32.4t(クハ222) |
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モーター出力 | 220kW×3=660kW(3000番台) 220kW×4=880kW(2000番台) |
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制御装置 | PWMIGBT-VVVFインバータ制御 | ||
保安装置 | ATS-SW,ATS-P |
1000番台の増備車として、コストダウンを図り大量に製造されたグループである。1999年から現在まで川崎重工業・近畿車輛で製造が続けられている。
[編集] 1次車
2000年3月11日の新快速の最高速度130km/hへの引き上げと、それに伴う使用車両の223系統一を主目的として2002年まで製造されたグループである。基本編成18本・付属編成23本(編成名は1000番台の続番)の計236両が製造された。
車体構造が従来の骨組み工法から、東日本旅客鉄道(JR東日本)などで採用されている外板自体に強度を持たせる2シート工法に変更されたのが最大の変更点である。外観の大きな変更点としては、再び側面のビートが無くなる、1000番台では車端部に残っていた戸袋窓が廃される、窓を下降式にするのが困難(不可能ではない。実際、同じ工法で製造されたE217系やE231系では窓が下降式になっている)なため、扉間の内2つの窓を非常用に開閉する内倒れ式としたなどの点が挙げられる。また、コストダウンの一環としてメーカー毎の工法の差がある程度許容されており、製造工場によって妻面のビートの有無などの細部の形状が異なっている。
将来の改造を容易にするため、車端部(側面第1ドアより前と第3ドアより後)の鋼体は別組み立てされ、本体にボルトで後付けする方式が採用されたのも特徴である。これにより、中間車⇔先頭車の改造が車端部の交換のみで簡単に行えるようになった。運転台構造は基本的に1000番台を踏襲するが、それまで車体下部に取り付けられていた尾灯が前照灯直下に移されている。
このグループでは、バリアフリー対策が従来より強化されている。トイレは車椅子対応の大型のもの(JR東日本E217系などとほぼ同一の構造)となり、トイレ向かいには新たに車椅子スペースが、車端部の連結面には落下防止幌が設置された。車椅子スペースは従来は普段は着席可能なように折り畳み式のシートが設けられていたが、その構造に気が付く人が少なく、車椅子使用者が乗車しても正しく利用される事が少なかったために当初から空きスペースにされた。
2002年の末期製造分から、運転席にパイプ型のプロテクタやガラスへの飛散防止フィルム装着などが行われた。これは大型の前面窓ガラスを採用しているために、人身事故時に窓ガラスの破損や乗務員のケガが相次いだ為で、未設置車や他の番台にも施行された。
機器類では、従来MT比1:2を基本にして性能の設定がされていたが、東海道・山陽本線の実際の編成は4両(MT比2:2)又は8両(MT比3:5)で余裕があるため、モーターを1軸未装備とした3個モーター車(本来は1両あたり4個装備)が設定された。8両編成のうち1両と4両編成の全ての電動車が3個モーターとされ、通常の電動車と区別するために2000番台の続番に1000を足した3000番台として区別された(将来、モーターを追加し4個モーター車になった場合に2000番台に戻しても番号が重複しないようにしている)。
補機類についても容量をアップし、従来の1個あたり3両対応から4両対応として個数の削減を図っている。空調も外観の形状はほぼそのままにWAU705Aに形式変更された。また、東芝製インバータ搭載車は2次車登場後にインバータ装置のソフト変更で純電気ブレーキを装備する改造を施された。
このほか、コストダウン対策として、補助席も含めて座席のクッションを減らす、座席窓側の肘掛けをなくす、窓は濃い灰色の熱線吸収ガラスとしてカーテンを省略、補助席の説明方法を変更(先述)などがなされている。しかし、カーテンについては乗客から不評だった為に後に全車取り付けられた。
このグループのクモハ223-3033には、2004年からシングルアーム式パンタグラフが試験として装備されていたが、2005年11月限りで通常型に復元されている。これは、後に125系で本採用された。
[編集] 2次車
アーバンネットワークのさらなる輸送改善と、東海道・山陽本線の快速に残っていた旧型の113系・117系の置き換えのために2003年に投入されたグループである。基本編成5本・付属編成7本と快速を中心に使用される6両編成2本(J編成)の計80両が製造された。
1次車は雨天時など、走行中に駆動輪の空転が起きる事が多く、対策として3個モーター車を廃止。全電動車が4個モーター装備となった。また、日立製作所製インバータ搭載車を除き、新たに純電気ブレーキが追加された。
補機類の配置も見直され、それまでモハ222形とされていた空気圧縮機のない中間電動車は、このグループ以降モハ223形2100番台として区別されている。運転台の液晶モニターには「M1」と表示される。
その他の構造は窓ガラスが緑色のUVカットガラスに変更され、シートが従来より若干硬くなっている以外1次車を踏襲している。最近では、1次車以前の車両も破損の復旧にこのグループと同じ緑ガラスが使われるようになった。
[編集] 3次車
JR京都・神戸線の更なる高速化と朝ラッシュ時の快速の223系統一に向けて2004年に投入されたグループ。基本編成6本・付属編成17本・6両編成8本の計164両が製造された。
このグループより排障器(スカート)が鉄板の量を増やした強化型となり、従来の車両も順次改良された。その他の構造は2次車から変化無し。
[編集] 4次車
2005年4月25日のJR福知山線脱線事故と関連してマスコミなどに車両数に余裕の無いと指摘されたことから急遽製造されたグループである。付属編成2本の計8両のみが製造された。
3次車からの変更点は、速度計が当時製造途中であった321系と同じ部品に改められている程度である。
1~4次車の488両全車が網干総合車両所に配置され、前述の1000番台と共通で新快速を中心に運用されている。6両のJ編成は3月18日改正以前は新快速運用もあったが現在は快速専用の運用となっている模様である。
[編集] 5次車
2006年の新快速敦賀延長に際して新造される予定のグループ。計画では116両と、これに加え、32両が投入される。既に何両かが落成している。
- 車内における変化は、蛍光灯カバーの形が321系とほぼ同じものになっていることである。
[編集] 5000番台
5000番台 | |||
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起動加速度 | 2.5km/h/s | ||
営業最高速度 | 130km/h | ||
設計最高速度 | 130km/h以上 | ||
定員 | 座席40・立席90(トイレ付き先頭車) 座席48・立席88(トイレ無し先頭車) |
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重量 | ? | ||
モーター出力 | 220kW×4=880kW | ||
制御装置 | PWMIGBT-VVVFインバータ制御 | ||
保安装置 | ATS-SW |
瀬戸大橋線の快速「マリンライナー」の輸送改善と、在来車の213系の置き換えるために投入されたグループ。2003年に2両編成7本(計14両・P編成)が川崎重工業で製造された。同年10月1日から運用に就いている。
基本的な構造については2000番台2次車を踏襲しているが、四国旅客鉄道(JR四国)との乗り入れ協定もあり、様々な改良が施されている。
前面は常時乗客の通行ができるように、連結運転時に編成間で貫通幌の設置が構造とされ、他番台より平面的な形状となり、側窓は瀬戸大橋走行時の展望を考慮してか1000番台とほぼ同一の下降窓構造となった。またATS-Pが整備されていない路線で運用されるため、当番台は唯一、それの設置も見送られた。北陸本線に導入された521系もこの車両をベースとしている。
室内の変化としては、LED案内装置の下の広告スペースが従来より拡大された点、乗務員室付近の意匠が125系に準じたものとなった点が挙げられる。また、LEDによる駅名表示は、スクロール式になったほか、英語の案内は英文になった(Next (駅名)→The next stop is (駅名).)。
本番台も新造後に前面のスカート部が強化されたが、運転台前面のパイプ型のプロテクタの設置は見送られている。
[編集] 9000番台
1998年11月に川崎重工業が1両のみ製造した、2シート工法の試作車である。後の2000番台と異なり、尾灯が前照灯と共用である点、冷房室外機が集中式1台である点が特徴。クモハ223-9001と車番が付けられていたものの、長らく無車籍であった。
車体製作の実験材料的な性格が強く、試運転後は特に用途も無く工場内に留置されていた。しかし、2004年8月に在来線用技術試験車を用意するにあたり、「130km/hで走行できる余剰車」ということからマリンライナーの新車置き換えで余剰となった213系2両(クロ212-1、サハ213-1)と共に試験車の種車に抜擢された。
試験車は「U@tech」(ユーテック)と名付けられ、試験の主目的である地上と車両を高速大容量通信で結ぶ「沿線無線WAN」の搭載のほか、本線走行用のATS設置、新開発の電動機、台車、シングルアームパンタグラフの搭載など様々な実験が行われた。
改造時にクモハ223はクモヤ223-9001と改称され、クロ212、サハ213はそれぞれクヤ212-1、サヤ213-1に改称された。塗装は3両とも統一の青系統のラッピングが施され、配置区所の吹田工場を示す「京スイ」の文字が入れられた。
実験は主に吹田工場内とJR京都・神戸線で行われる。高槻駅1番線には「U@tech」専用の停止位置目標(折返し用)がある。
[編集] 鉄道総研R291形試験電車
鉄道総合技術研究所(鉄道総研)向けにR291形試験車が、223系2000番台の車体をベースに近畿車輛にて2両製造され、2005年に納入された。塗装は窓周り茶、窓下青紫の2色の帯となっている。
のちにJR東日本E231系電車用の台車、開発中の燃料電池と組み合わせて燃料電池試験車・クヤR291-1に改造された。改造後は単独でも運転可能であるが、動力車・クモヤR290-1との2両編成が基本である。ただし、車籍がないので本線走行はできない。
[編集] 今後の動向
今後、網干総合車両所に2006年10月21日に実施された北陸本線敦賀駅までの直流電化切り換え関連と221系の置き換え(その221系は嵯峨野線などに転出して113系を置き換える予定となっている)用116両以上と嵯峨野線・福知山線向けワンマン運転対応の2両16編成32両(新番台となる予定)が製造される予定となっている。阪和線には2500番台が5連+3連の8連1本が投入される(2500番台の節を参照)。
北陸線用は当初は新型車両を予定していたが実際に新型車両が投入されるのは北陸線ローカル運転用の車両(125系、521系)のみで、本線向けは既存の223系と併結運転をするため、2000番台の増備となった。
[編集] 関連商品
トレジャータウンで0・2000・2500番台がNゲージ鉄道模型キットとして、1000番台が、KATOでNゲージ鉄道模型完成品として、カツミでHOゲージ鉄道模型キットおよび完成品として商品化されている。またトミーのプラレールで新快速仕様が発売中である。
[編集] 編成
←大阪・京橋・天王寺 | 関西空港・和歌山→ | |||||||
0番台 (2500番台) |
クモハ223(Mc) (2500番台) |
サハ223(T) (0番台) |
モハ223(M) (0番台) |
サハ223(T1) (100番台) |
クハ222(Tc) (2500番台) |
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0番台 | クモハ223(Mc) (0番台) |
サハ223(T1) (100番台) |
モハ223(M) (0番台) |
サハ223(T) (0番台) |
クハ222(Tc) (0番台) |
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クモハ223(Mc) (0番台) |
サハ223(T) (0番台) |
クハ222(Tc) (0番台) |
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クモハ223(Mc1) (100番台) |
サハ223(T) (0番台) |
クハ222(Tc1) (100番台) |
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←近江塩津・敦賀・大垣 | 播州赤穂・上郡→ | |||||||
1000番台 | クモハ223 (Mc) (1000番台) |
サハ223(T) (1000番台) |
サハ223(T) (1000番台) |
モハ223(M) (1000番台) |
サハ223(T) (1000番台) |
サハ223(T) (1000番台) |
モハ223(M) (1000番台) |
クハ222(Tc) (1000番台) |
クモハ223 (Mc) (1000番台) |
サハ223 (T) (1000番台) |
モハ223 (M) (1000番台) |
クハ222 (Tc) (1000番台) |
|||||
2000番台 1次車 |
クモハ223(Mc3) (3000番台) |
サハ223(T) (2000番台) |
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[編集] 関連項目
- JR西日本の在来線車両 (■国鉄引継車を含む全一覧 / ■カテゴリ) ■Template ■ノート
- 223系ドアチャイム (説明ページ) — ブラウザで視聴 (beta)
- 223系のドア開閉時に鳴るチャイムです。
- うまく聞けない場合は、サウンド再生のヒントをご覧ください。
[編集] 外部リンク
カテゴリ: 鉄道車両 | 西日本旅客鉄道 | 鉄道関連のスタブ項目