赤穂線
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赤穂線(あこうせん)は、兵庫県相生市の相生駅と岡山県岡山市の東岡山駅の間を瀬戸内海に沿って結ぶ西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線(地方交通線)。相生~播州赤穂間が大阪近郊区間に含まれ、山陽本線から新快速列車などが播州赤穂駅まで乗り入れる。
相生~播州赤穂間の各駅ではJスルーカード・ICOCA、及び東日本旅客鉄道(JR東日本)のSuica、またスルッとKANSAIのPiTaPaが使用できる。また、2007年夏より長船~東岡山間でもICOCAの使用を開始する予定である。長船以西で使用開始された場合、播州赤穂~長船間に空白ができてしまうが、JRから発表が無いことから当分の間ICOCAは使えないとみられる。
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[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別):西日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者)・日本貨物鉄道(第二種鉄道事業者)
- 路線距離(営業キロ):相生~東岡山間 57.4km
- 軌間:1067mm
- 駅数:
- 旅客駅:19駅(起終点駅含む)
- 貨物駅:1駅(西浜駅)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:全線(直流1500V)
- 閉塞方式:
- 相生~日生:自動閉塞式
- 日生~東岡山:自動閉塞式(特殊)
- 運転指令所:
- 相生~備前福河間:新大阪総合指令所
- 備前福河~東岡山間:岡山輸送指令室
- 運行管理システム:JR京都・神戸線運行管理システム(相生~備前福河間)
※相生~備前福河間は西日本旅客鉄道神戸支社、備前福河~東岡山間間は同・岡山支社の管轄である(境界駅である備前福河駅は神戸支社側の管轄)。
※岡山支社管内で独自に設定されているラインカラーは黄色(これは備前福河以東の駅をはじめ神戸支社管内の駅での各種案内では使用されない)。なお、神戸支社では特にラインカラーを付与していない。
[編集] 運行形態
播州赤穂駅を境に運転系統が分かれており、全線を通して運転される列車はほとんどない。
播州赤穂以東では、全ての列車が山陽本線の西明石・姫路方面と直通運転しており、野洲・米原・長浜など京都以東と直通する新快速が終日にわたり運転されている。新快速は赤穂線内を含む姫路以西では各駅に停車する。新快速の赤穂線直通運転は朝夕のみだったが2005年3月から直通運転時間帯が拡大された。昼間時間帯は新快速のほか、普通列車が姫路~播州赤穂間に運転されている。
なお、臨時列車として、通常の新快速に名称を与える、ないしは播州赤穂まで臨時延長運転を行う形で運行される「赤穂レジャー号」がある。赤穂レジャー号は、西相生・坂越駅は通過で運転される。
播州赤穂以西では、全ての列車が山陽本線の岡山駅まで直通するほか(上りでは東岡山始発もある)、更に福山・三原・広島方面、伯備線総社・備中高梁・新見・米子方面、宇野・児島方面へと直通している。昼間時間帯は岡山以西から播州赤穂折り返し列車と長船折り返し列車が運転されている。朝・夕方以降には備前片上や西大寺などを始発・終着駅とする列車もある。2004年10月のダイヤ改正からは、一部の列車でワンマン運転が行われている。
かつては、大阪方面から備前片上駅まで直通する快速列車が1日1往復設定されていたが、2000年3月のダイヤ改正で廃止された。また、日中は京阪神方面から播州赤穂までの列車と、姫路~岡山の列車の組み合わせであった。姫路~岡山間の列車は、両ターミナル駅での誤乗を防ぐため、行先板を赤い地色としていた。
毎年秋に赤穂市内小学校連合修学旅行臨が運転され、以前は165系・167系12両編成が使用されたが、最近は117系12両編成が使用されている。なお、坂越駅ではホームが8両分の長さしかないため、後方4両がドア締切扱いとなっている。
乗客は姫路方面と岡山方面に向かって漸増するが、播州赤穂駅への流動も見られる。日生駅などから播州赤穂へ県境を超えて買い物や通院する乗客も多い。青春18きっぷの通用期間中は山陽本線の相生駅~岡山駅が激しい混雑となるが、そのような場合でも赤穂線はあまり混雑しないので混雑回避に利用できる。なお、山陽本線経由との所要時間差は約20分で、山陽本線の相生~東岡山間の距離は、赤穂線の同区間と比べると3.2km程長くなる。関西圏~岡山の移動の補助的な役割を持った路線だが、時間帯によっては山陽線を使うよりも早く移動できる場合もある。
[編集] 歴史
かつてこの地域には、有年~播州赤穂間の赤穂鉄道と、西大寺~後楽園間の西大寺軌道(後の西大寺鉄道)という二つの軽便鉄道が存在したが、両社の路線とも赤穂線の開業に伴い廃止された。赤穂線は船坂峠(上郡~三石間)という難所を抱える山陽本線の代替線として建設された路線であり、戦前の新幹線計画である弾丸列車計画では、赤穂線に並行して同幹線を建設する予定であったといわれる。
しかしながら、赤穂線の全通時点で山陽本線の電化が完了し輸送力の増強が終わっていた一方、赤穂線自身は単線・一部非電化での全通であったため、当初想定されていた「山陽本線の輸送力を補う代替路線」ではなく、「地域住民のためのローカル線」という存在での開通となってしまった。その後赤穂線も全線が電化されたものの、現在に至るまでローカル線という存在に変わりはない。
1975年3月10日の新幹線博多開業前には、当路線を経由して大阪と呉や九州を結ぶ優等列車(急行「安芸」・「つくし」など)が存在したが、新幹線開業とともに廃止され、それ以降定期の優等列車は設定されていない。
- 1951年12月12日 国鉄赤穂線として相生~播州赤穂間開業。
- 1955年3月1日 播州赤穂~日生間延伸開業。
- 1958年3月25日 日生~伊部間延伸開業。
- 1961年3月30日 相生~播州赤穂間が電化。
- 1962年4月1日 寒河駅開業。
- 1962年9月1日 伊部~東岡山間延伸開業し全通。
- 1963年5月1日 天和駅、西片上駅開業。
- 1966年10月1日 西浜信号場開設。
- 1969年8月24日 播州赤穂~東岡山間が電化。
- 1987年3月31日 西浜信号場を格上げし(貨)西浜駅開業。
- 1987年4月1日 国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道に承継。日本貨物鉄道が全線の第二種鉄道事業者となる。
- 1996年3月16日 夕通勤時間帯にも新快速を新設。
- 1999年12月12日 西相生駅・坂越駅・播州赤穂駅に自動改札機(Jスルー)を導入。
- 2003年8月31日 多客臨で207系8連が入線。相生~播州赤穂間で運転される。
- 2004年10月16日 播州赤穂~岡山間の一部の列車をワンマン運転化。
- 2005年3月1日 昼間時間帯にも新快速を新設。
[編集] 駅一覧
- ●:停車、|:通過
- 快速列車は明石駅以西では普通列車として運転。
駅名 | 営業キロ | 快速 | 新快速 | 接続路線 | 所在地 | |
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相生駅 | 0.0 | ● | ● | 西日本旅客鉄道:山陽新幹線・山陽本線(姫路方面へ直通) | 兵庫県 | 相生市 |
西相生駅 | 3.0 | ● | ● | |||
坂越駅 | 7.8 | ● | ● | 赤穂市 | ||
播州赤穂駅 | 10.5 | ● | ● | |||
(貨)西浜駅 | 12.9 | |||||
天和駅 | 14.5 | |||||
備前福河駅 | 16.4 | |||||
寒河駅 | 19.6 | 岡山県 | 備前市 | |||
日生駅 | 22.1 | |||||
伊里駅 | 27.7 | |||||
備前片上駅 | 31.0 | |||||
西片上駅 | 32.3 | |||||
伊部駅 | 34.5 | |||||
香登駅 | 38.5 | |||||
長船駅 | 42.3 | 瀬戸内市 | ||||
邑久駅 | 45.9 | |||||
大富駅 | 48.0 | |||||
西大寺駅 | 51.2 | 岡山市 | ||||
大多羅駅 | 54.1 | |||||
東岡山駅 | 57.4 | 西日本旅客鉄道:山陽本線(岡山方面へ直通) |