営団07系電車
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![2005年(平成17年)春には07-105Fに東京地下鉄1周年を記念したヘッドマークが掲出された(新木場~辰巳間にて撮影)](../../../upload/thumb/6/6f/07-105F%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E9%89%841%E5%91%A8%E5%B9%B4%E3%83%98%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AF%E4%BB%98%28%E6%96%B0%E6%9C%A8%E5%A0%B4%EF%BD%9E%E8%BE%B0%E5%B7%B3%29.jpg/200px-07-105F%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E9%89%841%E5%91%A8%E5%B9%B4%E3%83%98%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AF%E4%BB%98%28%E6%96%B0%E6%9C%A8%E5%A0%B4%EF%BD%9E%E8%BE%B0%E5%B7%B3%29.jpg)
07系電車(07けいでんしゃ)は、東京地下鉄(旧・帝都高速度交通営団)有楽町線・東西線用の通勤形電車。
10両編成6本の計60両が在籍する。
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[編集] 概要
1992年(平成4年)に有楽町線の増発用として10連2本が川崎重工業にて製造された。その後1994年(平成6年)12月4日の小竹向原~新線池袋間開業及び西武有楽町線新桜台~練馬間延伸に伴う増発用として10連4本が日本車輌製造で追加製造された。
「Gentle & Mild」をコンセプトに、スタイルは千代田線用の06系と同じくアルミニウム合金を用いた車体で、前面は丸みを帯びている。側面は張り上げ屋根構造になっている。
有楽町線内での運用はもちろん、西武鉄道池袋線や東武鉄道東上線にも乗り入れる。西武線直通運用では準急や快速となる場合もある。東武線内では普通のみの運用である。また、東西線では全列車種別で運用される。
[編集] 概説
[編集] 性能
主回路制御装置はIGBT素子によるVVVFインバータを採用した。
1基の制御器で1個の電動機を制御する個別制御(1C1M)方式で、出力205kWの電動機は編成中に16個装備する。
編成中の電動車(M)と付随車(T)の構成(MT比)は4M6Tながら、名目上の起動加速度は7000系と同一の3.3km/h/sを確保しており、歯車比は7.79(109:14)と大きい。電動車比率の低さからか、雨天時には空転・滑走するケースが見られる。
設計最高速度は110km/h。名目上の減速度は常用減速3.5km/h/s、非常減速4.5km/h/sである。千代田線06系の減速度は常用3.7・非常4.7であり、これは7000系と6000系でも同様に、7000系が常用3.5km/h/s・非常4.5km/h/s、6000系がそれぞれ3.7km/h/s・4.7km/h/sであり、千代田線運用車の方が減速度が高く設定されている。
[編集] 運転台
運転台はマスコンハンドルとブレーキハンドルが別個とされた縦軸回転式ツーハンドルで、デッドマン装置は装備されていない。ブレーキハンドルは固定式で、電磁直通ブレーキ車の様に自由に角度を指定するものではなく、電気指令式ブレーキを採用している事もあり、ノッチが刻んである(6000系以降は全系列ブレーキハンドルにもノッチが刻んである)。
運転台機器は余裕のある配置で、モニタ装置はブレーキハンドルの右側、計器盤とは斜めに配置されている。乗務員室と客室の仕切りには03系と同様に大窓1つと乗務員室扉があり、乗務員室扉は客室から見て右端ではなくやや中央寄りに配置されている。
乗務員室扉の窓の遮光幕は有楽町線内では使用しないため、地下鉄線内でも前面展望性が良い。大窓の方はやや色が付けられているため、地下鉄線内でこの部分からの後方展望はあまり期待できない。乗務員室の配色は薄茶色系であるが、同時期に製造された01系・02系・03系および05系の第1~24編成は緑色系のままである。
前面窓上部には遮光シートが貼られている。
[編集] 外観
座席配置上、扉間の側扉間隔が揃っていない。側窓上部と側扉上部が同じ高さである。行先表示器は3色LED式で、側面のみ英字併記である。南北線用の9000系では前面も英字併記としたが、07系などでは採用しなかった。準急・快速表示は黄緑色で、側面のみ枠付きで表示する。乗務員室扉とその後部の側扉の間にあるシンボルマークは民営化時に新たに貼付したもので、上部高さを側扉と合わせると号車表示と重なってしまう部分もあり、重ならない箇所も含めてやや高い位置に設置している。同じ座席配置でも、05系6~10次車ではこの部分の空間が07系より広いため側扉と同じ高さになっている。車端部の妻面窓はない。
車体の帯はラインカラーのゴールド(黄色)(有楽町線)・水色(東西線)の他、白と青(有楽町線)・紺色(東西線)が巻かれている。前面と側面では色の順番が逆になっており、その境目の部分はとがっておらず丸みを帯びている(白帯が黄色又は水色帯を、青帯又は紺色帯が白帯をそれぞれ巻き込む形となっている)。有楽町線用車に限り、青帯の色は一定ではなく白帯との境目付近はグラデーションでわずかに濃くなっている。なお、2006年に登場した10000系は、有楽町線新線(→13号線)のラインカラーである茶色を基調とした帯色を採用しており、新線を含めた有楽町線系統でも運用されるが、07系の配色は採用しなかった。
[編集] 運用
有楽町線用編成の所属は和光検車区である。13号線への乗り入れ予定はないが、同じラインカラーの有楽町線新線には乗り入れる。
- 有楽町線(第1・2・5・6編成)
- 有楽町新線…13号線開通後は乗り入れ終了予定。
- 西武鉄道池袋線…池袋線方面には西武有楽町線経由で飯能まで直通し、池袋線内は準急・快速となる列車もある。また、西武ドームでのイベント開催時には狭山線西武球場前まで直通することがある。
- 東武鉄道東上線…東上線方面には通常定期列車としては川越市までだが、走行キロ数調整のための精算運転の際に森林公園まで直通する。
東西線用編成の所属は深川検車区で、運用区間は以下の通りである。
[編集] 編成
←新木場・新線池袋/西船橋・東葉勝田台 小竹向原・和光市・川越市・飯能/中野・三鷹→
07-100(CT1)+07-200(M1)+07-300(T)+07-400(M2)+07-500(Tc1)+07-600(Tc2)+07-700(M3)+07-800(T')+07-900(M1)+07-000(CT2)
CTは制御車(運転台あり・モーターなし)、Tは付随車(モーターなし)、Tcは簡易運転台付き付随車、Mは電動車(モーター4個搭載)。パンタグラフは菱形のものを4基搭載。
[編集] 9000系との相違
07系登場の約2年前に登場した9000系に採用されながら06系・07系には採用されなかった設備には以下のようなものがある。
- クロスシート
- 9000系でも07系より後に製造された2次車以降では廃止している。
- 2段表示式LED車内案内表示器
- 後に08系にも採用したが、それ以外の系列には改造取付車も含め採用されていない。
- 袖仕切り内側(細くなっている部分以外)へのモケット貼り付け
- 07系2次車とほぼ同時期に製造した8000系最終増備車とその後製造された9000系2・3次車に袖仕切り形状は変更されながらも採用されているが、9000系でも大型袖仕切りとなった4次車では廃止されている。
[編集] 改造
落成後に行われた改造には以下のようなものがある。
- 西武鉄道乗り入れ改造、前面ジャンパ栓設置。西武形ATS取り付け。
- 東武鉄道の列車無線システム更新に伴い。内容は3社の列車無線装置を統合し1台に集約したタイプに交換し、同時に東武用の列車無線アンテナをI型形状からL型形状に交換。
- 新ATC改造。速度計を黒地タイプから電照式の白地タイプに交換。
- 他系列と同時に民営化に伴う表記類の交換などが行われた他、2006年(平成18年)2月後半に入って側扉貼り付けの「お願い」ステッカーの背景が透明のものから白色への貼り替えが他系列とともに急速に行われた。また、優先席部分のつり革は2005年末にオレンジ色のものに交換された。
- 劣化のひどかった側面行先表示器を7000系のものと交換した。
- 後述する東西線所属車は列車無線をJR、東葉高速鉄道対応のものに交換。
- 2006年より冷房装置の交換が開始された。詳細はこちらを参照。
[編集] 車内設備
車内は06系に準じた構成で、高級感を醸し出している。車内のカラースキームは、06系の千代田線の日暮里や千代田、赤坂、神宮前といった歴史ある格式高い街のイメージから日本庭園をイメージさせる緑系になっているのに対して、07系では池袋や有楽町(銀座)、ウォーターフロントといったカジュアルな街のイメージからピンク系になっている。
座席は車端部から順に4・6・7・6・4人掛けのバケットシートであり、JR東日本209系のような片持ち式ではない。
袖仕切りの形状は6000系以来の面影を残す荷棚部分までつながっているタイプで、このタイプの袖仕切りを採用した車両としては末期に位置する。2次車とほぼ同時期に製造された8000系最終増備車からは袖仕切りが上部までつながっていないタイプとなった。ただし01・03系と80番台編成以外の02系はその後も旧形状の袖仕切りで製造されている。
荷棚前の手摺りは端部を袖仕切りで支持しているため、端部が曲がっている。袖仕切りに取り付けている手摺りのうち水平方向には座席モケットが巻かれており、これは同時期製造の他系列も同様である。側窓は1枚の大型ガラスで、6人掛けの箇所が下降式である。車いすスペースは2・9号車に設置。隣に2人掛けの座席がある。客用扉は同時期製造の他系列と同様に滑らかに開閉し、側扉窓は複層ガラスである。
元々の座席モケットは着席区分柄のない7000系などのものとは異なる濃ピンク色であったが、近年は05系非片持ち式バケットシート車タイプのものへの交換が行われている。東京地下鉄ではモケットの取り替えは通常の検査入場でも行われている一方、B修時にも取り替えられない事もある。交換したのは以下の編成である。
- 07-103F:2005年(平成17年)11月上旬以前
- 07-104F:2006年(平成18年)1月中旬以前
- 07-105F:2006年(平成18年)2月中旬~3月下旬
- 07-106F:2006年(平成18年)4月~5月中旬
[編集] 車内案内表示器
各ドア上に3色LEDによる1段表示式の案内表示器を設置している。この表示器は05系などと同様にドア上部に組み込まれているものではなく、単体で設置されているものだが、表示域の外側がやや曲がっている。しかし、その後製造された車両でもドア上部に表示装置が組み込まれている車両を除きやや角張った形状(07系以前の形状 但し案内表示装置の幅などは異なるものもある)を採用しているため、この形状の案内装置を持つのは06系と07系のみである。
乗り入れ先の東武・西武線内でも表示し、そこでも東京メトロからの各種案内が表示される。同様に西武6000系も東京メトロ線内では西武鉄道からの各種案内が表示される。
他の自動放送搭載車も同様であるが、平日朝夕ラッシュ時の一部時間帯は有楽町線内では英語放送や乗り換え案内放送が流れなくなる(有楽町駅基準A線(新木場方向)17時27分発1647S以降の一部列車など)。ただし日本語での次駅案内や「これから先は、カーブが多く電車が揺れますのでご注意下さい」と注意を促す放送は流れる。
西武6000系などとは違ってLED表示器の最大表示文字数が12文字ではなく11文字となっているため、西武車両ではスクロールしない部分(例:[この電車は 新木場 ゆき]、[ つぎは 新 桜 台 ]など)が常にスクロールして表示される。準急や快速などの運用の場合はスクロールせずに表示される。
[編集] 乗降促進ブザー
有楽町線用の編成については、電子音によるブザーが鳴動した後に「ドアが閉まります、ご注意下さい」の音声が2回流れる。
[編集] 転用計画
有楽町線への10000系の投入に伴い、全6編成のうち4編成が2006年秋頃から、05系を増備して5000系を取り替える計画に代わり、東西線向けに転用改造を行った後に転出した。転出するのは07-103F~07-106Fで、現在までに転出した07-103Fと07-104Fは帯色を深川工場で変更した上で、自動放送や保安設備などの変更(東西線用WS-ATCおよび新CS-ATC、JR用ATS-Pの設置)も施工した。
同年11月8日から07-103Fが東西線で営業運転を開始した。そして10日には東葉高速鉄道に乗り入れを始めた。東西線では快速などにも運用される。
ATS-Pは設置されたが、2006年11月現在では運転台に「JR乗り入れは不可」と表記されており、JR線への乗り入れは行われていない。
[編集] 変更点
- 前述したが、05系第25編成以降と同じ色の帯に変更した。帯の構成はそのままのため、前面と側面での帯の順番は有楽町線用同様逆となっている。
- ジャンパ線を撤去し、排障器(スカート)の切り欠き部をやや大きくした。
- 07-30xと07-80xの百位のみ車両番号標記を張り替えた。
- 冷房交換(前述)。
- 運転台のマスコンハンドルを2ハンドルデスクタイプから左手操作式ワンハンドル式に変更。
[編集] 関連商品
[編集] Nゲージ鉄道模型
マイクロエースから、第5編成をプロトタイプにした塗装済み完成品が販売されている(有楽町線仕様のみ)。
[編集] 関連項目
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