空中線
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空中線(くうちゅうせん)は、高周波電流を電波(電磁波)として空間に放射(送信)、あるいは逆に空間の電波(電磁波)を高周波電流へ相互に変換(受信)する機器のことである。一般に、英語で空中線を意味するアンテナ(antenna:昆虫などの触角の意)と呼ばれる。
目次 |
[編集] 空中線の種類
電波の周波数や用途により、大きさも形状も異なる。
[編集] 形状による分類
[編集] 線状アンテナ
- ダイポールアンテナ
- 逆V型アンテナ
- U型アドコックアンテナ
- エクスパンディッド・クワッド
- スクエアローアンテナ
- 折返しダイポールアンテナ
- 広帯域ダイポールアンテナ
- 八木・宇田アンテナ(八木アンテナ)
- GIP八木
- 単線給電アンテナ
- ループアンテナ
- 位相差給電アンテナ
- HB9CV
- スイス・クワッド
- ZLスペシャル
- フェイズドアレイアンテナ
- アダプティブアレイアンテナ
- Lazy-Hアンテナ
- バードケージアンテナ
- ツイギー・ビーム
- 8JKビーム・アンテナ(フラットトップアンテナ)
- HB9CV
- 接地アンテナ
- モノポールアンテナ
- ロングワイヤーアンテナ
- 逆L型アンテナ
- 逆F型アンテナ(線状)
- ホイップアンテナ
- 5/8λアンテナ
- モノポールアンテナ
- 非接地型垂直アンテナ
- ブラウンアンテナ(グラウンドプレーンアンテナ)
- スリーブアンテナ
- コーリニヤ(コーリニア、コリニア)アレイアンテナ
- ヘリカルアンテナ
- バイコニカルアンテナ
- 1/2λアンテナ
- J型アンテナ
- スリムジムアンテナ
- ビームアンテナ
- 広帯域ビームアンテナ
- 水平偏波全方向性アンテナ
- ターンスタイルアンテナ
- 折返しターンスタイルアンテナ
- 多段ターンスタイルアンテナ
- スーパーターンスタイルアンテナ
- スーパーゲインアンテナ
- EWEアンテナ
- ターンスタイルアンテナ
- コーナーアンテナ
- くし形アンテナ
- ヘンテナ
[編集] 平面アンテナ
- マイクロストリップアンテナ(パッチアンテナ)
- 板状逆Fアンテナ(PIFA)
[編集] 立体アンテナ
[編集] 進行波アンテナ
[編集] EHアンテナ
- スター型EHアンテナ
- ブリッジ型EHアンテナ
[編集] 磁界アンテナ
[編集] 誘電体アンテナ
- 誘電体アンテナ
[編集] その他
[編集] 給電方式
空中線と給電線とを接続する点を給電点という。給電点の電流と電圧の関係により、次のように分類できる。
- 電流給電
給電点において電流が最大で電圧が最小となる給電方式。例) 1/2波長ダイポール・アンテナ
- 電圧給電
給電点において電圧が最大で電流が最小となる給電方式。例) 1波長ダイポール・アンテナ
[編集] 接地
接地(アース)を必要とするアンテナでは、大地に直接接続して接地するのが基本である。ただし、この場合アンテナの地上高は0mになる。地上高を高くするために、大地の代わりに1/4波長程度のラジアルを水平に張ることで、電気的に接地型アンテナと同じにできる。また、砂地や岩の多い大地では十分に接地抵抗を低くできない。そこで大地に浅く導線を埋設することがある。これをカウンターポイズ(counterpoise)と言い、大地との間にコンデンサを形成させることで、高周波的に接地と同じ効果を狙ったものである。
[編集] 利得
指向性を持つアンテナにおいては、放射が最大となる放射角におけるエネルギーの強さをアンテナの利得(ゲイン)としてデシベル(dB)で表す。表記には2通りあり、半波長ダイポールアンテナを基準とするdBまたはdBd表記と、全ての方向に均等に電波を放射する仮想的な等方向性(アイソトロピック)アンテナを基準とするdBi表記がある。dBi表記はdBd表記より2.14dB大きな値となるため、利得の比較には注意が必要である。
[編集] 指向性
電波の放射方向と放射強度との関係を指向性という。指向性は放射角と放射強度の関係をレーダーチャートにした図で表される。ダイポールアンテナは2つの円を並べた『8の字特性』、ブラウンアンテナ(垂直面内)は2つの半円を並べた特性となる。ブラウンアンテナ(水平面内)のように特定の面では360°均等に電波が放射される無指向性のアンテナもある。
利得の大きなアンテナほど指向性は鋭く、特定の方向へ強く電波を放射する。指向性は高周波電流を電波に変換する場合(送信)とも、電波を高周波電流に変換する場合(受信)でも同じ特性となる。八木・宇田アンテナなど鋭い指向性を持つアンテナでは、放射が最大となる方向(メインローブ)と逆方向の利得(F/B比)や、それに直交する方向(サイドローブ)の利得(F/S比)も性能を示す重要な指標である。