フリーメイソン
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フリーメイソン(Freemason、英語表記の場合)とは、会員同士の親睦を目的とした友愛団体。イギリスで発生し世界中に派生した男性の入社的秘密結社(自身は非公開団体といっている)である。「フリーメイソン」は厳密には各個人会員の事を指しており、団体名はフリーメイソンリー(英語表記Freemasonry、フランス語表記Franc-maçonnerie(フランマソヌリ)、ドイツ語表記Freimaurerei(フライマウレライ))である。以下、英語的な発音である「フリーメイソンリー」と記載する。なお本項目は「フリーメイソン」と記述しているが、日本グランド・ロッジの記述は「フリーメイスン」となっている。
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[編集] 概要
[編集] 特徴
フリーメイソンリーは、原則として国や州を単位とする、グランドロッジと呼ばれる本部があるものの、全体を統制する総本部はない。グランドロッジはプロビンシャルグランドロッジ(Provincial Grand Lodge)やディストリクトグランドロッジ(District Grand Lodge)と呼ばれる県・地域支部、および直轄に管理されるロッジで構成され、県・地域支部はロッジと呼ばれる支部から構成される。ただし、活動規模の小さい国や地域では、グランドロッジは県・地域支部を置かず、ロッジを直接管理している場合もある。 ロッジは他のロッジから認証されることで、フリーメイソンのネットワークに加入できる。あるロッジの振る舞いがフリーメイソンリーとして不適切であった場合、他のロッジはそのロッジへの認証を取り消すことで排除する。正式名称がFree and Accepted(承認された) Masonsであるのはそのためである。
[編集] 入会条件
入会資格として何らかの真摯な信仰を要求しており、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教(以上アブラハムの宗教)の信徒はもちろん、仏教徒などであっても入会できるが、無神論者は入会できない。また、そのほかの入会資格としては、成年男子で、世間での評判が良く、高い道徳的品性の持ち主であり、健全な心に恵まれ、ロッジ会員の投票によって承認されることが必要である。
自分が会員であることを隠す必要はなく、会員であることを公言している人もいる。ただし、自分以外の会員について、その者が存命中に会員であることを公表することは禁じられている。入会勧誘も内規で禁じられている為、興味を持った人が自発的に門を叩いてくれるのをひたすら待っている状態だという。
女性は入会することができないが、第3階級マスター・メイソンの妻、母、姉妹だけが入会できる外郭団体イースタン・スター(The International Order of Easten Star)が存在する。女性が入会できない理由は、石工職人団体時代において、女性が男性と同様の作業を行うことが困難であったことに起因しているのではないかとされている。
[編集] 誤解
よく誤解されることだが、フリーメイソンリーはユダヤ系の団体ではない。確かに旧約聖書が儀式に用いられ、ソロモン王など古代ユダヤ系の人物が儀式に登場するが、それだけでユダヤ系、ユダヤ教的とは言えない。また、ユダヤ人の参加も当然あるが、それは団体の理念が人間の理性や博愛にあり(超宗教的思想)、特に近代以前の社会において、日常におけるポグロムの恐怖からの解放を願うユダヤ人にとっては、積極的に参加する動機が十分にあったことによると考えられる。
[編集] 起源
- 中世イギリスの石工職人のギルド説
- テンプル騎士団説
- ソロモン神殿建築家説
- ソロモン神殿の建築家を起源とする説はフリーメイソンリーの自称である。ソロモン神殿建築の際の建築家棟梁ヒラム・アビフが建築家集団を「親方」「職人」「徒弟」からなる集団に分け、それぞれに秘密の合言葉や符牒を定めて仕事に当たらせた。神殿伝説を参照。
- 近代設立説
[編集] 歴史
ゴシック建築のブームは400年ほどで終わってしまい、石工職人団体としてのフリーメイソンリー(実務的メイソンリー)は衰えたが、イギリスでは建築に関係のない貴族、紳士、知識人がフリーメイソンリーに加入し始めた(思索的メイソン)。それと共に、フリーメイソンリーは職人団体から、友愛団体に変貌した。石工団体であった頃の名残りとして、内部の階位制度には「徒弟 (Entered Apprentice)、職人 (Fellow Craft)、親方 (Master Mason)」の呼称が残っている。
友愛団体に変貌したフリーメイソンリーはイギリスから、ヨーロッパのフランスやアメリカ大陸に広まった。国際的な互助組織も無い時代だったので、会員であれば相互に助け合うというフリーメイソンは、困難を抱えた人間にとって非常にありがたかった。ウィーンのロッジに加入していたモーツァルトは同じフリーメイソンに借金の無心をしたり、伝を頼っている。フリーメイソンが広まった時期は、絶対王政から啓蒙君主、市民革命へと政治的な激動が続く時代でもあり、特定の宗教を持たずに理性や自由博愛の思想を掲げるヨーロッパ系フリーメイソンリーは、フランス革命の当事者達の多くがフリーメイソンであったため、しばしば旧体制側から体制を転覆するための陰謀組織とみなされた。アメリカにおいても独立戦争にかかわった多くの会員がいたにもかかわらず同様であった。なお、自由の女神像はフランス系フリーメイソンリーとアメリカ系フリーメイソンリーの間に交わされた贈り物であった。
フリーメイソンに関する歴史やテンプル騎士団との関係については、M.ベイジェント、R.リー『テンプル騎士団とフリーメーソン』(林和彦訳、三交社刊)に詳説されている。
[編集] 人物
有名なフリーメイソンとして以下のようなメンバーがいる。(生年順)
[編集] 日本
- 西周 (1829年生)
- 津田真道 (1829年生)
- 林董 (1850年生)
- 幣原喜重郎 (1872年生)
- 吉田茂 (1878年生)
- 米内光政 (1880年生)
- 鳩山一郎 (1883年生)
- 東久邇宮稔彦 (1887年生)
- 沢田教一 (1936年生)
- 坂本龍馬 (1835年生)が入会していたという説も有る。
[編集] アメリカ
- ベンジャミン・フランクリン (1706年生)
- ジョージ・ワシントン (1732年生)
- トーマス・ジェファーソン (1743年生)
- ジェームズ・モンロー (1758年生)
- アンドリュー・ジャクソン (1767年生)
- ジェームズ・ブキャナン (1791年生)
- マシュー・ペリー (1794年生)
- ジェームズ・ポーク (1795年生)
- アンドリュー・ジョンソン (1808年生)
- ジェームズ・ガーフィールド (1831年生)
- マーク・トウェイン (1835年生)
- ウィリアム・マッキンリー (1843年生)
- バッファロー・ビル (1846年生)
- ジョン・フィリップ・スーザ (1854年生)
- ロバート・ピアリー (1856年生)
- ウィリアム・H・タフト (1857年生)
- セオドア・ルーズベルト (1858年生)
- ヘンリー・フォード (1863年生)
- ウオレン・G・ハーディング (1865年生)
- ガットスン・ボーグラム (1867年生)
- ダグラス・マッカーサー (1880年生)
- フランクリン・デラノ・ルーズベルト (1882年生)
- ハリー・S・トルーマン (1884年生)
- タイ・カッブ (1886年生)
- カーネル・サンダース (1890年生)
- デューク・エリントン (1899年生)
- ルイ・アームストロング (1901年生)
- カウント・ベイシー (1904年生)
- ジョゼフィン・ベーカー (1906年生)
- ジェラルド・R・フォード (1913年生)
- ナット・キング・コール (1919年生)
[編集] ハワイ
[編集] カナダ
- ジェームズ・ネイスミス (1861年生)
[編集] フランス
- ヴォルテール (1694年生)
- ドゥニ・ディドロ (1713年生)
- ジャン・ル・ロン・ダランベール (1717年生)
- ラファイエット (1757年生)
- アンリ・ド・サン=シモン (1760年生)
- ナポレオン・ボナパルト (1769年生)
- ルイ・ブラウン (1811年生)
- フレデリク・バルトルディ (1834年生)
[編集] ドイツ
- ゴットホールト・エフライム・レッシング (1729年生)
- ヨハン・クリスティアン・バッハ (1735年生)
- ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ (1749年生)
- ヨハン・ゴットリープ・フィヒテ (1762年生)
- ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン (1770年生)
- ルイ・シュポーア (1784年生)
- ジャーコモ・マイアーベーア (1791年生)
- フェリクス・フォン・ルックナー (1881年生)
[編集] イタリア
- ジャコモ・カサノヴァ (1725年生)
- フィリッポ・ブオナロッティ (1761年生)
- ジュゼッペ・マッツィーニ (1805年生)
- ジュゼッペ・ガリバルディ (1807年生)
- ロベルト・カルヴィ (1920年生)
[編集] オーストリア
- フランツ・ヨーゼフ・ハイドン (1732年生)
- ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト (1756年生)
[編集] イギリス
- ジョージ4世 (1762年生)
- エドワード7世 (1841年生)
- アーサー・サリヴァン (1842年生)
- アーサー・コナン・ドイル (1859年生) - 『シャーロック・ホームズの冒険』の「赤毛組合」において、ホームズが依頼人をフリーメイソンだと言い当てるシーンがある。
- ウィンストン・チャーチル (1874年生)
- エドワード8世 (1894年生)
- ジョージ6世 (1895年生)
- ジェームズ・ゴールドスミス (1933年生)
[編集] スコットランド
- トーマス・ブレーク・グラバー (1838年生)
[編集] アイルランド
- ウェリントン公アーサー・ウェルズリー (1769年生)
[編集] ベルギー
- アドルフ・サックス (1814年生)
[編集] チェコ
- アルフォンス・ミュシャ (1860年生)
- エドヴァルド・ベネシュ (1884年生)
[編集] プロイセン
- フリードリヒ2世 (1712年生)
[編集] ルーマニア
- ディミトリエ・カンテミール (1673年生)
[編集] ハンガリー
- フランツ・リスト (1811年生)
[編集] フィンランド
- ジャン・シベリウス (1865年生)
[編集] ロシア
- アレクサンドル・ケレンスキー (1881年生)
[編集] 中国(中華民国)
[編集] フィリピン
[編集] ブラジル
- ペドロ1世 (1798年生)
[編集] チリ
- サルバドール・アジェンデ (1908年生)
[編集] その他
- 会員数はアメリカが世界最大である。アメリカの建国にたずさわったベンジャミン・フランクリンもジョージ・ワシントンもフリーメイソンであり、歴代アメリカ合衆国大統領のうち、ワシントンを含めて14人が会員となっている(吉村正昭『フリーメイソン』講談社)。吉村は、アメリカの本質を「道徳国家」ととらえ、フリーメイソンの理念との共通点を示唆している。
- インターネットの理念とフリーメイソンのそれには共通点がある。ネットワーク型構造・リンク型構造(Accepted)、アメリカを中心とする国際的ネットワーク、(時に)強大な影響力、個人の自由、技工・技術者中心からパブリック化、などである。また、マスメディア(第四権力などと呼ばれる)、各国情報機関(第二の政府などと呼ばれる)と合わせ世界の情報四大権力とも解釈できる。これらは負の側面にもある種共通点があるように見受けられる。
- 日本では市販の書籍で陰謀論のみが目につくが、欧米では会員である事は一種のステータスでもある。
- フランス革命と同様に日本でもフリーメイソンの影響がみられる。薩長同盟が坂本竜馬の海援隊から入手した武器は、フリーメイソンのイギリス人武器商人トーマス・グラバーが仲介していた。連合国軍最高司令官総司令部はマッカーサーをはじめ多くのメンバーがフリーメイソンであり、日本国憲法のGHQ草案の作成にあたった総司令部民政局の25人も多くがフリーメイソンであったとされ、日本国憲法第21条は集会の自由、結社の自由、言論の自由とフリーメイソンの理想が並んでいる。フランス革命の自由、平等、博愛もフリーメイソンの理念である。
[編集] フリーメイソンをテーマにした作品
[編集] 映画
- 『フロム・ヘル』2001年/アメリカ
- 『ナショナル・トレジャー』2004年/アメリカ
[編集] 小説
[編集] ゲーム
- 『メタルギアソリッド2』2001年/日本
[編集] 外部リンク
- Grand Lodge of Japan(英語)
- 日本グランド・ロッジ
- 財団法人 東京メソニック協会(Zaidan Hojin Tokyo Masonic Association、通称: メイスン財団, Masonic Foundation of Japan)
- United Grand Lodge of England (UGLE) (英語)
- Grand Orient de France (GOdF) (フランス語)
- Anti-Masonry: Points of View(英語)
- アイン・ランドとフリーメイソン
- Freemasonry.fm
- FreemasonCollection
- Freemasonry from Spain
- Freemasonry in Poland - formerly and today
- Yahoo(米国)に登録されているロッジ
- 日本ロッジ元グランドマスター インタビュー