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料理の鉄人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

料理の鉄人りょうりのてつじん)は、1993年10月10日から1999年9月24日までフジテレビにて放送された人気料理バラエティ番組。日本テレワーク制作。

放送終了後もCS放送「フジテレビ739」やBSフジにて幾度か再放送された(2006年現在は休止中)。BSフジでは放送時間を1時間半に拡大し、従来の放送では放送されなかった未公開シーンも含めた『料理の鉄人 完全版』として放送された。

また、北米でも本番組のフォーマットを使用した“USA版”が制作されており、その内のひとつである『Iron Chef America』が2006年初頭よりフジテレビ739・BSフジにて放送中。 (“USA版”詳細については別項を参照のこと)

目次

[編集] 概要

[編集] 番組内容

「キッチンスタジアム」と呼ばれるステージで、毎回1人の「挑戦者」と「鉄人」が料理対決する料理の異種格闘技戦。「美食アカデミー」主宰に扮した鹿賀丈史が番組の基本的な進行を行った。

主宰の「私の記憶が確かならば…」「甦るがいい、アイアンシェフ!」「さあ、存分に○○するがいい」「アレ・キュイジーヌ!(Allez cuisine! 「行け!料理人!」→「料理始め!」の意)」などの特徴的な台詞を始めとした番組全体の派手で仰々しい演出、オープニングタイトル等で鹿賀主宰がパプリカをかじるシーンでも話題となった。

なお、試合中のカメラワークや演出手法は同じくフジテレビが手がけているF-1中継のフォーマット・ノウハウが導入されている。 (例:ピット前リポート→冷蔵庫前リポート、オンボードカメラ→オンボード(まな板)カメラ)

また料理対決では高級食材がふんだんに使用され、6年間で使われた食材の総額は実に8億4335万4407円にも及んだ。これには最終回に出演した元総理大臣・橋本龍太郎も驚嘆の意を示した。

  • 鹿賀主宰がパプリカをかじるオープニングは1995年11月~12月の間だけCGバージョンのものに変更されたことがあったが、従来のものとは比べ物にならないクオリティだった為、すぐに元のものに戻った。

番組のテーマ音楽は、映画『バックドラフト』のサウンドトラックのものが使用され、他にもマイケル・ナイマンの作曲した映画の曲や、『エアフォース・ワン』『アルマゲドン』『信長の野望シリーズ』などの曲も使われた。

この番組の放送枠は、長く日産自動車の一社提供枠である。そのため、番組中に流れる日産自動車のCMでは鹿賀主宰や鉄人達が出演していた。

通常とは別に、正月などには特番として「完全なる料理の鉄人」が放送された。その舞台は日本国内に留まらず、香港フランス北京ニューヨークなど世界各地で開催された。チャンピオンシップ大会とも言える特別企画「鉄人ワールドカップ」は1995年の第一回大会が東京都有明で、1997年の第2回大会が京都府嵐山で、1999年には東京お台場で(坂井宏行vsアラン・パッサールの一騎討ち)それぞれ開催されている。なお第1回大会では、放送中にオウム真理教幹部上祐史浩が逮捕されたため、一時その中継に差し替えられた。

1995年にはエミー賞ポピュラーアーツ部門にノミネートされた他、同年のATP賞グランプリを受賞している。

番組終了時には番組改変期での特番や、さらにレギュラーでの復活もほのめかされていたが、特番こそ2002年1月まで行われていたものの、レギュラー復活実現には至っていない。これは、メイン出演者だった鉄人たち、また、主宰・鹿賀が終了後に番組への不満を漏らしていたこと、製作側がメンバーチェンジの意思を見せる特番を作ったこと(『鉄人候補』を立てて勝負させた→本木雅弘版)、それの評判が芳しくなかったこと、などが理由として考えられる。

[編集] 放送時間変遷

放送開始当初の半年間は、実験的番組が放送されることが多い毎週日曜日の22時30分からの30分番組であった。しかし予想以上の人気のため1994年4月改編では、毎週金曜日の23時00分からの日産自動車一社提供45分枠に移動。この措置は、当時放送されていた番組(『ワーズワースの庭で』枠移動時に『ワーズワースの冒険』に番組名・内容変更)との入れ替えにより行われ、異例の全国ネット進出へとなった。ただし、最後のCMパートでは日清製粉(当番組では粉類は同社のものを使用していた)、花王のCMを流していたこともある。

初期は日産自動車一社提供であったが、日産の社内改革問題により後期は同社を含む複数スポンサーとなった。一社提供時代のオープニングでは「私の記憶が確かならば、この番組は日産自動車の提供でお送りします」という鹿賀主宰の提供読みが流れていた時期もあった。また、放映される日産自動車のCMにも、鹿賀が主演する同番組専用版がいくつか存在し、やはり「私の記憶が確かならば」のくだりを使用している。

[編集] ルール

  1. 挑戦者は番組レギュラーの一流料理人である「鉄人」の中から1人を指名する。
    • 「鉄人」は料理のジャンルが異なる3人+1人で構成される。(後記)
    • 挑戦者/鉄人ともに2人まで助手をつけることができる。助手は美食アカデミーから選ばれる。
    • 挑戦者/鉄人を問わず、出汁またはスープ1点を除き食材の持込はできない。器具などは可。
    • 番組開始当初(~1993年11月)は挑戦者を決定するための予選が存在した(本戦とは別のテーマ食材が与えられ、勝ち抜くことで鉄人への挑戦権が得られるという、候補者にとっては厳しいルールであったが、戦いが2つに分散するため本戦の印象が弱くなるなどの事象を考慮し、僅か数回で廃止された)。
  2. テーマ食材が発表される。テーマはヒントのみの呈示で、開始直前まで明かされない。
    • テーマ食材の魅力を引き出し、より多い票数・点数を獲得した側の勝利。
    • 番組後期には事前にテーマ食材候補として5つの食材のリストが鉄人・挑戦者の双方に渡されるようになった。
  3. テーマ食材をもとに調理を開始する。制限時間は原則として60分(1時間)であるが、食材によってはこれを超える制限時間(90分等)となることがある。
    • その他の食材および器具は、キッチンスタジアムにあらかじめ大量に設置されたものを使用する。
    • その他の食材に何を用意するかは鉄人、挑戦者共に予めリクエストが可能。
    • テーマ食材を使っていない料理は採点の対象にならない。
  4. 試食。3人(1995年10月より4人)の審査員の投票で勝敗を決定する。当初は採点の詳細は未発表であったが、視聴者からの強い要望で、後に審査員個々の採点結果が開示されるようになった。
    • 試食は挑戦者先攻。
    • 採点は20点満点で、どちらかに1点差以上をつけなければならない。点数の高い方に1票を投じる形となる。
    • 投票で2-2だった場合は採点差で決定。それでも決着がつかない場合は延長戦を行う。(延長戦は審査員4人制開始に伴い導入)
    • 延長戦は新しいテーマ食材で行われる。最初の食材に関連があるものが選ばれることが多い。(ジャガイモ→サツマイモ)制限時間は30分。出演者には延長戦は嫌われており、陳建一は「もちろん勝つことが最高。その次は負けること。最悪は延長戦になること」と言ったことがある。
    • 延長戦でも決着がつかない場合、その試合は完全に引き分けとなる。両者勝利。
    • 一度だけ鉄人、挑戦者双方の料理の出来が悪く「評価に値せず。再試合」とされたことがあった。

[編集] 特別ルール

  • 寿司」対決では、シャリの下準備だけ事前に行っても良い。
  • うどん」「そば」等の麺類対決では、試食中の麺の伸びを防ぐため、鉄人側は50分+小休止(挑戦者側料理試食の時間)+10分で進行する。
  • 花見」「ひなまつり」対決では、テーマ食材は設けない。それぞれの催事を料理に顕す事に主眼を置く。
  • バレンタインチョコレート」対決では、テーマ食材が2つある。
  • 「鹿賀主宰試食2000皿記念対決」では、対決一週間前にテーマ食材を発表した。
  • フランス決戦」第二試合では、調味料を含めた食材を全て自分で購入してから開始。
  • 大晦日お節決戦」では、100人前を1時間40分(この時は生放送であったため、タイムアップ=新年突入という演出でもあった)で進行。助手は双方の店より10名を選出。
  • ウェッジウッド」対決では、全ての料理をウェッジウッドの食器に盛り付ける。
  • 「リターンマッチ」では、挑戦者はA~Dの4つのテーマ食材が入ったボックスのうち1つを選ぶ。
  • 「タッグマッチ」では、助手は各1人ずつとなる。

[編集] 出演者

[編集] 美食アカデミー主宰

挑戦者の紹介(オープニングでは多少のコントともにナレーションにて。本編時では、簡単な形容と所属店舗の紹介の後、勇ましく呼び寄せる)、鉄人を甦らせ、挑戦者に指名させる、テーマ食材発表、調理の開始号令をかける、審査時の進行、勝者発表などを行う。

まさしく番組の顔。鉄人・挑戦者たちの奮闘はもちろんだが、彼の大仰な演技や振る舞いがなければ、ここまで成長しなかったはずである。ただ、あまりにも当り役だったため、本当に主宰者、または相当な美食家と思われることがあったらしく、本人としては迷惑だったようである。「鹿賀にはこれしかないと思われると困る」と嘆いていた。番組改変期における特番企画として出演する予定、また視聴者の反応いかんによっては復活・復帰も視野に入れていたはずだが、後述のように実現は難しいようである。
2002年1月の特番で、「主宰である鹿賀がフグの毒に当たって亡くなったため、その甥が後を引き継いだ」という設定で新たな主宰として登場した。
しかし本木の登場に際し、番組の冒頭でブラックジョークさながらに鹿賀を偲ぶ追悼シーンが放送されたことが(全員起立で黙祷など)、後に一部視聴者からの批判を受け、物議をかもした。本木版は一回だけ放送されたが、演出方法を変えたことなどもあり評判は芳しくなく、以後2006年11月現在まで放送はされておらず休止状態にある。

[編集] 実況席

調理の実況・解説。

特番時は太田が鉄人側を担当し、挑戦者側のレポートはフジテレビアナウンサー阿部知代が務めた(なお阿部のほか近藤サト西山喜久恵も担当)。

[編集] 鉄人

番組レギュラーの料理人で、挑戦者と対戦する役どころ。複数名で構成されるが、実際に挑戦者と戦うのはそのうちの一名。セットからスモークとともに甦る(せり上がる)設定。通常は同じVTRの使いまわしで、どうやら出場鉄人のみがセットに現れていたようだが、挑戦者によっては勢揃いの場合もある。その時は指名されなかった鉄人は戦況を見守ることもなく帰っていたようで、帰り間際のコメントが紹介されたこともある。

[編集] フレンチの鉄人

1948年神奈川県生まれ。
西麻布「クイーンアリス迎賓館」オーナーシェフ。番組では「フランス料理界のヴィスコンティ」と称されている。
コスチューム(コックコート)カラーはグリーン、登場時には主宰と同じくパプリカを手に甦る。
記念すべき第1回の対決に登場した鉄人でもあるが、経営者としても多忙を極めていた(皇室御用達になった)ため出演に事欠き、結局「店の経営と両立出来ない」さらに「1回負けてしまった」という理由で、実戦わずか5回で引退セレモニー等も無いまま早々に引退。後述の坂井に鉄人の座を譲った。
引退後は番組初の「名誉鉄人」の座についたが、1995年には挑戦者の指名に応答して2度挑戦者と対決した他、1998年の「鹿賀主宰試食2000皿記念対決」では坂井らとチームを組んで陳ら中華チームと戦っている。
現在は、東京西麻布、お台場舞浜イクスピアリ中部国際空港など、27ものレストランを展開する「クイーン・アリス」の代表兼オーナー・シェフとして活躍している。
1942年鹿児島県出水市生まれ。
渋谷「ラ・ロシェル」オーナーシェフ。番組では「フランス料理界のドラクロワ」と称されている。
コスチューム(コックコート)カラーはレッド、登場時には先代の石鍋とは異なり洋梨を手に甦る。
鉄人デビューは1994年2月。後述の道場・陳とともに番組を長く支えた鉄人のひとりでもある。
全7鉄人の中で最高勝率を誇る最強鉄人であったが、テーマ食材にフランス料理によく使われるオマールがくると三連敗した時もあったために、スタッフからは「負け犬オマール」や「そんなにオマールに弱いの?」と言われる程悔しかった時期があったという。
しかし、1999年9月に最終回スペシャルとして開催された「最強鉄人決定戦」では予選で三代目和の鉄人・森本正治を相手に5-0かつ100点満点のジャッジで決勝に進出。決勝戦では、1995年の「1995 Mr. IRON CHEF決定戦」予選で敗れた中華の鉄人・陳建一(予選ではイタリアンの鉄人・神戸勝彦に5-0の完封勝利)を相手に、三連敗中と苦手としていたオマールで3-2の接戦ながらリベンジ達成し、最強鉄人に輝いた。
更にその後、鹿賀主宰のたっての願いで実現した「世界No.1シェフ決定戦」では、「鉄人ワールドカップ」第二回の「京都嵐山決戦」で二代目和の鉄人の中村孝明とフォアグラ対決で引き分けたフランス代表のアラン・パッサールと龍崗鶏(ロンコンカイ)をテーマに対戦し3-2の僅差ながらも勝利、世界最強シェフの称号を手に入れた。

[編集] 中華の鉄人

1956年東京都生まれ。
赤坂四川飯店」総料理長。コスチュームカラーはイエロー、登場時には中華包丁を手に甦る。
四川料理の神様・陳建民の息子でもあり、子供の頃は父・建民やその弟子たちが働く厨房を遊び場に育った。
玉川大学卒業後、父・建民のもとで修行を始め、現在では「四川飯店」グループの総帥である。
1996年10月に北京・文化宮で開催された「完全なる料理の鉄人・北京決戦」では四川代表として出場し決勝に進出、北京代表・孫利平(ソン・リヘイ)を相手にフカヒレをテーマに対戦し勝利、優勝を飾った。なお、最終回では番組史上初の、「80-0」の満点でパーフェクトの勝利を収めた。
出演は、審査員も務めた岸朝子の推薦によるもの。創生期から最終回まで途中で交代することなく出演し続けた唯一の鉄人である。
番組最初期は最年少で、勝率も鉄人としては不安定で負け数が他の鉄人よりもかなり多く、挑戦者間では「確実に勝つなら陳」とまで言われたこともあった。一番最初に黒星になったのも彼である(対戦相手は、関西中華料理界の重鎮程一彦)。特に女性挑戦者に弱い傾向があり、未成年の女性挑戦者に対して、2-2得点差1点でかろうじて勝利を収めたこともある(ただし、審査員の評を聞く限りこの挑戦者のレベルが非常に高かったことも事実である)。しかし経年の度に飛躍的に勝率を上げ、「強い鉄人」の象徴となった。
初期で弱かったのは、当時の彼の非常にやさしい性格からであった。女性で初めて負けた加賀田京子には「かわいい人だなあ」と思いながら漫然と料理をしてしまって詰めを甘くし、神田川俊郎には「神田川さんは主張の強い作品ばかり作るから、審査員は胃がもたれてしまうから、胃にやさしいおかゆにしよう」としておいしいながらもテーマ食材がかすむ作品を作ってしまった。
最終回の≪キッチンスタジアム・閉鎖式≫では全鉄人代表としてスピーチをした。別名「最古参」。
番組終了後、彼も相当疲れたらしく、回顧のインタビューでは番組への苦い思いを吐露したことがある。


[編集] 和の鉄人

1931年石川県生まれ。名の由来は「六番目の子供で三男坊」であったことから。
番組開始当時は銀座「ろくさん亭」主人。コスチュームカラーはブルー。
後に二代目鉄人となる中村孝明に断られたため、「1年のみ」の条件を呑む形で第2候補だった道場に鉄人就任依頼の打診が来た。ただし、この条件はちょうど1年目でアルトア・ルターに敗れた結果、道場の考え方が変わり、消滅した。(スタッフもまったく代役を考えていなかったようである)
和食の料理人でありながらジャンルにとらわれない料理を生み出し(鉄人晩期には「地球料理」を標榜)圧倒的な強さを誇った、まさに「鉄人」そのものの料理人。現役時代の対戦成績は27勝3敗1分と勝率9割を誇る。
番組では「日本料理界の異端児」と称されている。
対決中に必ず筆で「お品書き」を書くシーンがお馴染みでもあった。フォアグラを「ほわぐら」と書く独特のセンスが光った。料理・作業の方向性をアシスタントらに伝えるほか、対戦相手を呑み込もうという意図もあったという。
また、「出汁は1品だけなら持込可」というルールがあったにもかかわらず、常に対決開始時に作っていた。この鰹節、昆布をふんだんに使った出汁は福井アナに『命の出汁』と名づけられ、その作成シーンがお品書きを書くシーンと並んで道場出演時の序盤で必ず流されていた。
1995年1月の「1994 Mr. IRON CHEF決定戦」で神田川俊郎との対決に勝利、また1995年10月の「鉄人ワールドカップ'95」ではイタリア代表のジャンフランコ・ヴィッサーニを相手に対決で勝利し優勝するなどの輝かしい経歴を誇る。
しかし、高齢であるが故に病のため番組に登場できない時期もあったほか、後半は一時期精彩を欠く戦いを見せることがあった。
「素材に国境はない」「素材を成仏させる」などの名言を残しつつ、後継の鉄人に後述の中村を指名し、1996年1月に惜しまれながら引退。後に「マグロの頭を包丁で割れなくなった時、引退を決意した」と語っている。石鍋に続いて「名誉鉄人」の座についた。
2000年1月に開催された「ミレニアム・カップ」には日本代表として出場、フランス代表のドミニク・ブシェと神戸牛をテーマに対決し、見事勝利を収めた。
初期のレギュラー審査員であった高田万由子とはそりが合わず、「あんな小娘にああだこうだ言われたくないね」と語っていた。
番組出演の傍ら港区赤坂に「ブラッセリー六三郎」(現「ポワソン六三郎」)を開店したほか、2001年には銀座にもう一軒の店「懐食みちば」をオープンしている。
1947年長崎県生まれ。
番組登場時は「なだ万」理事・料理本部長(総料理長)。後に独立し、1999年10月に「孝明 ARIAKE」オーナーシェフとなる。コスチュームカラーはパープル。
番組では「料理界の諸葛孔明」「日本料理界の重鎮」と称されている。
企画時点での鉄人第1候補だったが、当時は「わけのわからない番組」であり、「なだ万」の看板のこともあって、辞退している。
番組を支え続けた道場が引退に伴って自ら指名して登場させた鉄人である。鉄人デビューは1996年3月。
道場とは違った意味で独創的な料理を見せつけ、1996年大晦日に繰り広げられた「大晦日お節決戦」においては道場に勝利したこともある。(この「大晦日お節決戦」は翌年の1997年春に正式オープンしたフジテレビ台場新社屋のV4スタジオを使って行われた。)
1997年10月に京都府嵐山で開催された「鉄人ワールドカップ'97」には日本代表として出場し決勝に進出、フランス代表のアラン・パッサールとフォアグラをテーマに闘い、審査員の判定は3-3の同点、総得点数も105-105の同点で鹿賀主宰裁定により両者共に勝者(同点優勝・優勝賞品の車も両者に1台ずつ贈られた)となった。
しかし、やはり先代の道場が持つ圧倒的な強さと独創性とを比較されることも多く、また金粉を料理にばら撒く等の独創性がかえって災いし、審査員から「下品だ」と批判されるなど審査員や視聴者から厳しい評価を受ける場面も多く、ジャガイモ対決の際に作った「銀あんのしんじょ」が、鹿賀主宰が選ぶ「最もまずかった料理」に選出されるなど不名誉な事象もまた多かった。(他に唯一の無効試合適用=両者評価に値しない、など)
こうした不安定な傾向のせいか全鉄人の中でも連敗が多く、最後は97年末に行われた神田川俊郎とのアラ対決の前に「もしこの勝負で負けたら引退する」と宣言、背水の陣で臨んだが破れ、唯一の不名誉な3連敗を喫し、公言どおりに引退となる。
1998年2月に行われた引退試合では番組解説者でもある服部とマグロ対決の末、勝利。道場と同様に「名誉鉄人」の座についた。
全鉄人の中で唯一肖像画が書き直された鉄人である。初代の画はまるで不良のように顔を曲げ、相手を睨み付けるようなガラの悪い印象であったため、登場第4回目から柔和な表情の画に修正されている。
上記のように常に道場と比較され、鉄人として評価は芳しくないが、「なだ万」という大看板を背負いながら、また、このような批判や屈辱を受け続けながら(しかも演出であった可能性が高い)、鉄人を務めたことは本業への影響を考えると賞賛に値する。鉄人から退き、本業でも独立した現在のほうが独創性に優れ、評価は高まってきているといえるだろう。
1955年広島県生まれ。
先代の中村の引退直後、1998年2月に「ニューヨークからやって来た鉄人」の触れ込みで番組に登場。コスチュームカラーはシルバーに赤線というウルトラマンのようなもので、背中には日米の国旗を結わえた絵柄が入っていた。
番組では「料理界の織田信長」と称されている。
かつては寿司職人だったが、ニューヨークへ渡り、「ソニークラブ」総料理長を経て「NOBU」総料理長を務めていた。
道場、中村とはまた違った「ニューヨーク仕込みの和食」「地球料理」を見せつけ異彩を放った。ただし、道場の頃とは違い、審査員も多様化、また評価を厳しくしており、とくにこの時期、準レギュラー的に審査員を務めていた加納典明とは審査中もしばしば料理への考え方の違いで衝突するなど、苦労させられたようである。
坂井や石鍋が、若手フレンチ集団「クラブ・デトラント」と対立したように、かつて坂井をタコ対決で倒した関西料理界の重鎮、太田忠道は森本の創作和食を激しく非難し、自身が主催する「太田天地(あめつち)の会」から次々と会員を挑戦者として送り込むなど、因縁の戦いを繰り返した。
2000年3月に開催された「ニューヨーク決戦」では現地のスター・シェフ、ボビー・フレイとロッククラブをテーマに対戦し勝利、本家鉄人の力を見せた。この際、終了のゴングと共にアピールのため土足で調理台によじ登ったボビーに激怒し、インタビューでは「対決以前に資質に欠ける」と激しく非難している。
2001年11月、フィラデルフィアに「MORIMOTO」を開店、オーナーシェフを務めている。
2005年からアメリカ合衆国で放送されている"Iron Chef America"でも鉄人を務め、同じくアメリカ版の鉄人となっている、前記のボビー・フレイと共演している。
ニューヨーク在住のため、毎週ではなく対戦する時のみ来日していた。

[編集] イタリアンの鉄人

1969年山梨県生まれ。
番組も後期に突入した1997年6月に第4の料理ジャンルとしてイタリアンが採用され、その担当鉄人として登場した。襲名時は特定の店舗に属さないフリーのシェフという異例の経歴での起用だった。コスチュームは他の鉄人のように単色を基調としたものではなく、イタリア国旗がモチーフになっている。
番組では「パスタのプリンス」と称されている。
従来の3鉄人の登場する雛壇からは現れず、指名された時のみに登場(登場時は雛壇に向かって右横に掲示された絵画が突然開き、オーケストラの生演奏をバックにトマトを手に甦る)。
番組の設定上では「本来なら第一回から登場するはずだったが、主宰がイタリアへ修行に行かせた末、帰国させ満を持して登場させた」ということになっている。
当初本人は番組出演のオファーを受けたとき、てっきり挑戦者として出演するものだと思っていたところ、初回の収録直前になって実は鉄人として出演することが判明し慌てふためいたというエピソードも残っている。
デビュー戦は山田宏巳シェフとのパスタ対決であったが黒星。唯一デビュー戦が黒星となった鉄人である。
開始と共に食材のある主宰席に猛ダッシュするため、挑戦者も慌てて走る光景が毎度繰り返されていた。
現在は恵比寿に「リストランテ・マッサ」を開店、オーナーシェフを務めている。

[編集] 主な挑戦者

  • 神田川俊郎-複数回挑戦者として出場、道場と数々の名勝負を繰り広げた。弟子を中心としたグループ「神田川軍団」を毎週のように送り込んだ時期もある。これは弟子に対して、「進んで表に出てみなさい」という教育の一環であった。常に料理をしながら片付けており、制限時間が終了したときには厨房が片付き終わっていて番組スタッフは毎回うならされていたという。道場のお品書きに対抗して、仕上がり間近に半紙に書をしたため、「○○君、味は心や!」と絶叫するパフォーマンスをする。これを受けて道場は「このおっさん、おもろいやろ!」と切り返し会場を沸かせたが、坂井は「何言ってるか、わかんないよ!」と切り捨てたように、慣れない対戦相手は対処に困っていた。
  • 周富徳-番組初期に弟・富輝の敗戦のあだを討つという名目で出演。プライベートで親友である道場との熾烈な対決を繰り広げるが、やはり互いに気は進まなかったようである。道場が勝利したが、まもなくリターンマッチが組まれ、周が勝利した。これは当時人気絶頂だった周への配慮とも思われる。このシチュエーションは後にフィクション化され、小説として出版された。道場は本来、この黒星だけで番組を去る(1年間)予定だった。
  • 周富輝
  • 島田紳助-「勝てそう」と言う理由で陳を指名。だが、実力差はいかんともしがたく、あえなく返り討ち。ただ、これは挫折した板前への夢をかなえるもので、勝敗はもともと関係ない挑戦。対戦途中で、タバコを片手に競馬新聞を読む、という「板前のイメージ」をパフォーマンスして、会場を沸かせた。
  • 梅宮辰夫-審査員として何度か出演があったが、満を持して挑戦。ただし、相当な苦戦を強いられ、飾りつけの際、うまく箸が使えなかったために大声を上げる場面も。対戦した道場とは相互に敬意を持っているが、このときの道場は厳しいコメントを多々上げていた。こちらもあえなく返り討ち。
  • 小林カツ代-「家庭料理」の雄として登場。鉄人指名に対しては「恐れ多くて指名できません」と答え、鹿賀主宰は驚いたものの、自ら「女性に弱い」とレッテルを貼られていた陳を指名。対戦は終始、小林の独特のペースで進み、小林の勝利。全体に小林カラーの強い異色の回であった。のちに息子のケンタロウも挑戦する。(鉄人は陳。敗戦)
  • 田崎真也
  • アルトア・ルター-ドイツ人のフレンチシェフ。道場の2敗目の相手。道場が「1年も経過したし、やめよう」と思っていた時期に対戦。道場はテーマ食材の「ピーマン」の本質が理解できず、ルターに負けてしまう。道場に「1年のみ」の条件を捨てさせ、結果、番組躍進のきっかけとなった、隠れた名勝負。勝者発表時にルターは「道場さん、ごめんなさい」としばらく抱擁、感動的な場面だったが、実はルター自身も作品に満足がいっておらず、そんな作品で勝ってしまったことに半分自省のつもりで謝罪したのだった。
  • 程一彦-関西中華の重鎮で、薬膳中華の第一人者。関西では神田川と並んで知名度が高い。番組史上初の勝利挑戦者。(鉄人は陳)番組では食材を見ず、周りに気を配りながら手元では包丁を振るうという技を披露。他の中華料理人と違い、食材本来のおいしさを引き出すため、鍋などを激しく扱うことをしない。
  • 服部幸應-服部栄養専門学校の校長で番組のメイン解説者。彼の挑戦は2度あるが、1度目は当初予定の挑戦者が急遽出場を取りやめたため、やむを得ず引き受けたもの(対道場。敗戦)。2度目は中村孝明の項参照。実はなだ万と服部家とは古くからの因縁があり、それを理由にして挑戦する形をとった。だが、実際は屈辱にまみれた末、鉄人から降板することになった中村へのはなむけと見ていいだろう。(敗戦)

[編集] 審査員

  • 景山民夫
  • 平野雅章-岸朝子に請われて審査員に。初期では最も多く審査員を務める。頭に「かの(北大路)魯山人、最後の愛弟子」と紹介。後に「最後の愛」の表現は削除された。
  • 秋元康
  • 栗本慎一郎
  • 梅宮辰夫-挑戦経験あり。
  • 北大路欣也
  • 里見浩太朗
  • 高橋英樹
  • 岡田眞澄
  • 神田正輝
  • 野村克也
  • 落合博満
  • 江本孟紀
  • 長嶋一茂
  • 加納典明-後期の準レギュラー審査員。辛辣なコメントが多く、特に鉄人には厳しかった。彼推薦の挑戦者を送り込んだこともある。
  • 加藤和彦
  • 片岡鶴太郎
  • 石原良純
  • 坂本龍一
  • 蔡瀾(チャイ・ラン)-香港ゴールデンハーベスト社副社長(当時)。ほとんどの作品に否定的で、「まずい」「おいしくない」も平気で言う。特番では非常に出演頻度が高かった。
  • 浅野ゆう子(スペシャルのビッグマッチに毎回の様に登場)
  • 高田万由子-初期~中期ではほとんど毎回、審査員。「おいしい」「この味、私好きです」が多く、視聴者だけでなく、鉄人たちからもその資質を疑われていたきらいがある。道場には若干厳しかった。ただし、本人は番組当初は留学先からわざわざ帰国して出演していたし、毎回審査は悩んで行っていたようである。ルール上禁止されている「両者同点」を付けたことも。
  • 斉藤慶子
  • 東ちづる
  • 萬田久子
  • 増田恵子
  • 大石恵
  • 岸朝子-番組アドバイザー。鉄人や挑戦者の紹介を数多く行っている、功労者。平野の出演が減ってから(中期~)は末席での審査員としてほとんど出演。出演の際の「おいしゅうございました」が有名になった。
  • 野村沙知代
  • 落合信子
  • 石井好子
  • 細木数子(彼女自身はこの番組に「テレビはコミュニケーションの場」と言ってノーギャラで出演していた)

[編集] 影響

  • バルサミコ酢」「セルクル」「バプール」などそれまで一般的でなかった食材や器具、調理法が多数登場した。一部は反響を呼び、専門店に行かなければ手に入らなかった食材がスーパーで購入できるようになった。他の料理番組や雑誌にまでブームが及び『SMAP×SMAP』『ジャングルTV~タモリの法則~』など、他のバラエティー番組でもタレントが料理に挑戦するコーナーが登場した。なお、演出を手がけた田中経一はその後テレビ朝日にて、この番組と同じく料理をテーマにした『愛のエプロン』や、ほぼ同じ趣向の番組『魂のワンスプーン』(TBS)の演出も手がけている。
  • 番組で使用されたBGMはほとんどが映画『バックドラフト』のサントラなのだが、番組の影響でメインテーマが「料理の鉄人のテーマ」としか多くの人からは認識されなくなってしまった。
  • 「ヴィノッキオ」のオーナーであったが、同乗者が死亡した交通事故をきっかけに消息を絶った山田宏巳が挑戦者として登場。陳との「キャベツ対決」で勝利の後メディアからの注目を浴び、「リストランテ・ヒロ」をオープンさせて料理界に復帰した。どん底からの復活として大きな話題となった。だが、山田はのちに2006年4月大麻所持で逮捕されてしまった。
  • 山田の例をはじめ、この番組をきっかけに多くの料理人にスポットが当るようになり、バブル期のグルメブームとはまた異なったムーブメントが起こった。料理人がメディアに積極的に出るようになり、格安、または上質のランチ・ディナーを提供できる環境が整った店も多い。
  • 鹿賀本人は、番組の人気と共に行き付けのレストラン等やロケ先のレストラン等の店員に鹿賀が注文したメニューの判定をして欲しいと言われ、鹿賀本人が恥ずかしい思いをしたそうだ。
  • 2006年秋には東京電力のオール電化キッチンの宣伝に陳(同年春から出演)・坂井・道場が出演し、1人ずつでIHクッキングヒーターの使い心地を試すバージョンが製作された。印刷物や看板では3人が鉄人シェフを模したコスチュームで登場している。

[編集] 日本国外での放送

同番組は、アメリカでもケーブルTV専門局FOOD NETWORKで放送され大好評となった。吹替えで放送されたが、主宰の鹿賀丈史が喋る部分のみ字幕となっていた。また、レポーターの太田真一郎福井謙二に呼びかける際の「福井さん!」という部分はそのまま "Fukui-san!" とされた。陳建一の苗字は中国語読みが採用され "Chen Kenichi" となった。

その後、フジテレビより版権を購入した他局(UPN)が、アメリカ版 "Iron Chef USA" を制作・放送したが、再放送されていた本家『料理の鉄人』とのあまりの違いのため不評で、わずか1クールで終了の憂き目をみた。

2005年2月より、吹替版を放送していたFOOD NETWORKが "Iron Chef America"(アイアン・シェフ・アメリカ) の放送を開始。これは同局が、フジテレビ版の制作プロダクションである日本テレワークよりスタッフの派遣を受け、日本側の綿密な監修のもとに製作した、正真正銘のアメリカ版料理の鉄人である。 同番組には、Iron Chef Japaneseとして本家の三代目「和の鉄人」森本正治もレギュラー出演し、またスポット参戦的に坂井宏行も出演しており、正規の米国版の証拠として「Original Format Produced by 」の字幕と共に、フジテレビのロゴが番組最後に大きく表示される。同番組の司会者は「本家・初代主宰(鹿賀丈史)の甥」という設定になっているが、なぜか第1クールの番組オープニングでカンフーを披露していた(このシーンはもう使用されていない)。オープニングでは左手には鹿賀と同じくパプリカを持っているが、それを放り投げ右手に持っている青リンゴをかじるという本家へのオマージュも。独立した解説者はおらず、実況兼解説者という立場のMCが試合中の放送を進行する。放送開始当初は、冷蔵庫前レポーターがおらず、フロアスタッフのメモをMCが読み上げていたが、途中から本家と同じ形でケビンという冷蔵庫前レポーター(米国版ではフロアレポーターと呼ぶ)が登場している。

米国版のキッチンスタジアムは2005年製と言うこともあり、ディープフライヤーやスモーカーの設置など本家のものよりハイテク化・高機能化しており、本家が宮殿の中をイメージしたセットになのに対し、アメリカ版は近未来を意識したセットになっている。

「料理の鉄人」はオーストラリアでも、SBS(Special Broadcasting Service)で放送されている。SBSはオーストラリアの多民族・多文化主義にのっとり、海外のテレビ番組を主に放送するテレビ局で、アメリカで放送されたものをSBSが輸入した形となっている。放送時間は毎週土曜日20:30~21:15。CMをカットしているため、ノンストップで45分間放送される。オーストラリアでも料理の鉄人の知名度は高く、Iron Chef公式ブック も発売されている。

[編集] スタッフ

※番組開始当初、裏番組の構成も担当していたため「うどん熊奴」名義での参加。以降、この番組以外でも「うどん熊奴」名称を使っている。
  • 編成:石原隆
  • 演出:田中経一
  • プロデューサー:金光修、古賀憲一、松尾利彦

[編集] 関連書籍

  • 小説・料理の鉄人(扶桑社文庫、全5巻)
美食アカデミーが実在するという設定で書かれたフィクション。鉄人や挑戦者たちが実名で登場しており、番組開始直後から1995年ごろまでに実際に行われた対決を題材としている。小山薫堂が執筆。
番組開始からレギュラー放送終了までの全対戦表や様々なエピソードをまとめた一冊。


[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

前番組:
大石恵三

フジテレビ
日曜夜10時30分枠

次番組:
ワーズワースの冒険

前番組:
ワーズワースの庭で

フジテレビ
金曜夜11時枠

次番組:
11:00 メントレ
11:30 SURPRISE!

THIS WEB:

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