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アダルトゲーム - Wikipedia

アダルトゲーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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アダルトゲームとは性的表現があるために成人向けに販売されているコンピューターゲームソフトのことを指す。通常、18歳未満の者の購入が禁じられている(まれに18歳以上推奨、16歳未満禁止のものもある)。特に断り書きがない限り、日本での事例について述べる。

なお、暴力的・反社会的な表現などがあるために一定の社会規範性をユーザーに求めるゲームについては成人向けゲームの項を参照。また、過度の暴力表現などを含む成人向けゲームについては、残酷ゲームを参照。

目次

[編集] 呼称

年齢制限に着目して「18禁ゲーム」、あるいは性的表現があることに着目して「H(エッチ)ゲーム」、もっと俗に「エロゲー」とも呼ばれる。近年では「エロゲ」と呼ばれることが多いが、「エロゲー」・「エロゲ」という表現には自虐的ながらも侮蔑的な響きがあるため、この呼び方を好まない人もいる。

英語では「Adult computer and video games」(成人向けのコンピューターゲーム)の中の「Nudity in games」(ヌード画像が含まれるゲーム)というが、このうち「日本漫画アニメの絵を基調にしたCGヌードが表現される成人向けコンピューターゲーム」を特に「Eroge」もしくは「H-game(Hentai-gameの略)」と呼んでいる。 つまり、「Eroge(エロゲ)」は「Manga(マンガ)」・「Anime(アニメ)」・「Seiyuu(声優)」・「Otaku(おたく・オタク)」と並んで英語化された日本語である。

一方、アダルトゲームのほとんどが、男性プレイヤー向けに女性キャラクターが登場するものなので、アニメやマンガなどのそれに合わせ「美少女ゲーム」という呼び方もある。ただし「美少女ゲーム」には性的表現のないギャルゲーが含まれるという見方もある。

しかし最近では、男性プレイヤー向けに少年愛を描いた「ショタゲー」や、女性プレイヤー向けに男性キャラクターの同性愛を描いた「ボーイズラブゲーム」も増加傾向にあり、「アダルトゲーム=美少女ゲーム」の図式は必ずしも当てはまらなくなっている。

[編集] 概要

今日のアダルトゲームのほとんどは、Microsoft Windowsをプラットフォームとするパーソナルコンピュータ(以下パソコン)向けソフトとしてリリースされている。

グラフィックは、マンガアニメ調の平面的な2DCGによる静止画像が主流で、海外に多い実写映像や3DCGをもとにした作品は少ない。これは、32ビットゲーム機戦争以降3DCGの動画による表現が増加した日本のコンピューターゲームでも独特な存在となっている。このことが、マンガ・アニメのサブカルチャーと結びつき、オタク文化の一翼を形成するに至った。

ゲームジャンルは、育成シミュレーションゲームシミュレーションRPGアクションゲームRPGもあるが、アドベンチャーゲームビジュアルノベルが圧倒的に多い。一方、シューティングゲーム等は珍しく、WindowsOSが普及してからの市販ソフトに限定すると、『とびでばいん』(アボガドパワーズ 2001)、『ソニックプリンセス』シリーズ(PARSLEY 2001~)がある程度である。

対象プレイヤーは男性が中心だが、女性向けアダルトゲームも存在する。ただし、女性向けゲームは全年齢向けゲーム(主に家庭用)が主流のため、『王子さまLV1』(Alice Blue 2001)等のようにソフト本体は全年齢対象で作成し、18禁要素を追加する拡張ディスクを発売する方式もある(女性向けについては、ボーイズラブも参照)。男性向け作品を作るアダルトソフトメーカーが、女性向けのゲームを積極的に開発、販売してきたこと等が、アダルトゲームの市場規模拡大に影響している。

製作については、主なプラットホームがPC上の一般的なオペレーティングシステムであるため、家庭用ゲームと違い高価なライセンス権や開発専用機器(例:ゲーム開発専用ワークステーション)等を購入する必要が無く、ゲーム本体は一般的なソフトウェア開発ツールが使用可能であり、画像や音声も一般的なツールを使って作成することが可能なため、資金が少ない小規模会社でも参入しやすい。

販売に当たっては、メーカー間の自主規制や各都道府県の青少年保護育成条例等により、18歳未満の人物が購入することのないよう販売店における陳列の分離や販売時の年齢確認を徹底するよう通達されている(実際には従っていない販売店も少なくない。書店における成人向け冊子と同様の問題を抱えている)。

※性的描写の規制そのものの問題に関しては、日本における性的描写を含むゲームの規制に関する議論を参照のこと。

もっとも、2006年4月より経済産業省の指導でCESA、ソフ倫、日本アミューズメントマシン工業協会映倫管理委員会日本ビデオ倫理協会映像コンテンツ倫理連絡会議(仮称)において審査基準・表示の一本化を協議することが決定しているため、大幅に変わる可能性はある。

[編集] 歴史と作品の傾向

[編集] 創生期(1980年代)

1982年に販売された光栄マイコンシステム(現コーエー(KOEI))が8bitパソコン用ソフトとして発売した『ナイトライフ』が「性」を取り扱った最初のソフトウェアとなる。翌1983年には10本以上のアダルトゲームが販売された。

初期には、前述の光栄マイコンシステム、エニックス(現スクウェア・エニックス)など後にコンシューマーゲームで名をはせるソフトメーカーや、PSK(パソコンショップ高知)、九十九電機のような現在のパソコンショップも、アダルトゲームの製作・販売を行っていた。また、1980年代半ばからアダルトゲームの制作販売を専門とするジャスト、エルフチャンピオンソフト、キララ(現F&C)等のソフトメーカーが現れ始めた。1980年代はPC-9801シリーズを初めとする国産パソコンによってパソコン市場が拡大しており、拡大する市場を狙ってアダルトゲームが数多く製作された。

現在主流のアドベンチャー形式のアダルトゲームは、『天使たちの午後』(JAST 1985)に始まる。当時はまだ話の途中でゲームオーバーになり、話の流れはだれしも一様であった。

その後、一般のゲームでも当たり前にビジュアルシーンが導入されるようになり、アダルトゲームも絵だけではなくゲーム性を重視する作品が次第に増えてきた。1980年代後半には、RPGでは『カオスエンジェルズ』(アスキー 1988)、アドベンチャーでは『殺しのドレス』(フェアリーテール 1987)などが登場する。

ゲームセンターにおいて、業務用ゲーム『スーパーリアル麻雀PII』(セタ 1987)がヒットし、「脱衣もの」というジャンルが確立されたのもこの頃である。

[編集] 1990年代前半

非アダルトのゲームに、『プリンセスメーカー』(1991年 ガイナックス)と、『卒業 ~graduation~』(1992年 ジャパンホームビデオ)が登場した事で、パソコンゲームに育成シミュレーションという新たなジャンルが加わり、「美少女が題材でも面白いゲームが作れる」・「CGでもマンガ・アニメに劣らない魅力的な美少女が描ける」ことが提示された。この事がアダルトゲームにも大きな進歩をもたらした。

この流れの中で頭角を現したのがエルフで、1992年12月にリリースされた『同級生』は10万本を越えるベストセラーとなった。この作品は、当初はシミュレーションゲームの要素を取り入れたナンパゲームとして企画されていたが、女性キャラクターがただヌードになってセックスするだけでなく、詳細な設定とHシーンに至るまでのドラマが描かれ、後の『萌え』に繋がる「個性」が盛り込まれた。結果恋愛ゲームという概念を市場に提案し、それまでのアダルトゲームのイメージを覆す作品となった。

そして非アダルトゲームサイドに『同級生』のドラマ性を参考にして開発された『ときめきメモリアル ~Forever with you~』(1994年 コナミ)が大ヒットし、美少女を題材にしたゲームが次第に市場に認知されてゆくようになった。

[編集] 1990年代中頃

この頃の作品は様々なジャンルのゲームが試行錯誤された時期であった。その中で、プレイヤーの選択によって異なる物語と結末が訪れるマルチシナリオ・マルチエンディング形式のゲーム『弟切草』(チュンソフト 1992)がスーパーファミコンで発売されヒットする。この作品のシステムはアダルトゲームにも大きな影響を及ぼした。

アダルトゲームで初のマルチシナリオ作品は『河原崎家の一族』(Silky's 1993)である。その後、菅野ひろゆきにより、1つの物語を2人の主人公の視点から別々に進めるゲーム「マルチサイトシナリオ」の『DESIRE ~背徳の螺旋~』(C's ware 1994)・『EVE burst error』(C's ware 1995)、マルチシナリオのフローチャートを図示し、プレイヤーがアイテムによってその時系図上を自由に行き来出来るゲーム『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』(エルフ 1996)と発展してゆく。

また、マルチシナリオ以外ではファンタジーアドベンチャーとウォーシミュレーションの融合『ドラゴンナイト4』(1994年 エルフ)と、本格的ダンジョンRPGの『闘神都市Ⅱ』(1994年 アリスソフト)がリリースされ、以降1995年にエルフが迷宮脱出推理アドベンチャーの『遺作』、アリスソフトがマルチシナリオの『夢幻泡影』をリリース、1996年にはエルフが前掲の『YU-NO』を、アリスソフトが地域制圧型SLG『鬼畜王ランス』をリリースと、エルフとアリスソフトの2社による開発競争が繰り広げられ、「東のエルフ、西のアリス」と呼ばれるようになった。

しかし、この中で発展を遂げてゆくのは、より恋愛物語色を強めた『同級生』の後継作『同級生2』(1994年)で、以降のアダルトゲームはセックス描写を含む恋愛物語要素やシナリオを重視した、選択肢とイラストが付いた読み物とでも言うようなトレンドに傾いてゆく。

[編集] 1990年代後半

技術面では1995年のWindows95シリーズのヒットやパソコンの低価格化によるパソコンユーザーの増加と、技術開発や記録媒体の大容量化による画像、音楽表現能力の著しい向上が見られるようになる。市場面では、テレビアニメ『美少女戦士セーラームーン』・『新世紀エヴァンゲリオン』の大ヒットと、いわゆる「オタク」と呼ばれる成人男性向けの、漫画・アニメ市場が拡大した時期でもある。アダルトゲームが「オタク文化」と呼ばれる文化の一翼を担い、純粋に性的興奮を目的としたアダルトビデオ等とは異なる道を進むようになるにはこの頃である。

この流れを作った初めの作品は『Piaキャロットへようこそ!!』(1996年 カクテルソフト)である。ゲームシステムは『ときめきメモリアル』の簡易・縮小版とでもいうべきものであったが、徹底して「美しさ」より「可愛らしさ」を追及したキャラクター作りと、等身大のラブストーリーが話題を呼び翌1997年に発売された続編『Piaキャロットへようこそ!!2』で10万本以上のセールスを記録した。また、この作品を創り出したスタッフの多くが同人作家でもあったことからコミックマーケットを中心とした同人の人気を集め、コスプレイヤーを初めとした女性の支持を取付けることに成功した。この作品の人気は後に秋葉原から始まったオタク文化・アキバ系の代名詞というべき存在、『メイド喫茶・コスプレ喫茶』のアイディア母体にもなっている。

ゲーム性をばっさりと切り捨て、ビジュアルとストーリーに特化した「ビジュアルノベル」と呼ばれる形式の作品が出るのもこの頃である。Leafによる 『』・『』(ともに1996年は、初め『弟切草』の流れを汲み、狂気や怪奇をテーマとする重い作品であったが、翌1997年に出た3作目の『To Heart』 が、日常を舞台とするラブコメにひとつまみのファンタジーと涙を入れた爽やかな作風で大ヒットを記録し、以降のアダルトゲームのシナリオに大きな影響を与えた。特にキャラクターに『萌え属性』と呼ばれるいくつかの法則・パターンが固まった元になった。

Leafとは別の方向でストーリー重視を打ち出して成功したのが『ONE~輝く季節へ~』(1998年 Tactics )で、ラブストーリーに感動できる要素と泣ける要素を盛り込み、それを音楽によって高める演出の秀逸さで人気を集め、俗に「泣きゲー」とも呼ばれる「純愛系」のジャンルが形成されていく。

後に『Piaキャロットへようこそ!!』のスタッフの一部がLeafに移って『こみっくパーティー』(1999年)を、『ONE~輝く季節へ~』のスタッフの一部がビジュアルアーツに移り新ブランドKeyを旗揚げして『Kanon』(1999年)や『AIR』(2000年)のヒットを飛ばし、Leaf・Keyはエルフ・アリスソフトに並ぶ大手ブランドに成長した。

一方で、ポルノ業界への風当たりが強くなった頃でもあり、アダルトゲームが有害図書に指定される事態も起こった。こうしたことから、業界による自主規制団体が立ち上げられることとなり、コンピュータソフトウェア倫理機構が設立された(後述のアダルトゲーム#性表現への規制も参照)。

[編集] 2000年代前半~現在

2000年代にはいると、主題歌がつくものが一般的となったことにより歌手がアルバムを発売したり、映画やラジオ、カードゲームなど他の業態でもアダルトゲームを元にした商品が製作されることになる。(後述のアダルトゲーム#メディアミックス展開も参照)。また、日本国外への進出も、姫屋ソフトStudio e.go!など一部メーカーによって、早い段階からアメリカ、台湾等日本国外の市場を意識した商法も行われている。

よりリアルな愛憎劇を描いた『水夏』(CIRCUS 2001)や、実写ドラマのようなドロドロの三角関係を描いた『君が望む永遠』(アージュ 2001)といった作品も登場した。このような作品は本来の意味でアダルト(成人の経験と感性を持ったプレイヤーを対象とした)ゲームと呼べるものであり、それがユーザーに受け入れられたことをアダルトゲーム市場の成熟と捉える向きもある。

ストーリー描写を重視していった結果、ゲームの中にセックス描写が占める割合は相対的に低くなり、ユーザーの側もセックス描写に期待しない傾向すら現れてきた。そのため、昨今の市場では、セックス描写をカットした上で家庭用ゲーム機への移植やメディアミックスが活発に行われており、一般向けに企画されたギャルゲーとの区別がつかなくなってきている。

他方では、この業界では元祖とも言える鬼畜と称された『鬼畜王ランス』(アリスソフト 1996)を代表とした強姦SM、『SEEK』(PIL、1996)『Natural』(フェアリーテール、1998)『PIGEON BLOOD』(アボガドパワーズ、2003)に代表される調教を用いたエロチズムや、ゲーム性を追求する勢力もあるが、売上という点では、現在のアダルトゲーム業界の流れの中においては非主流にあるといえよう。


また、鬼畜系の中でも空想生物による陵辱表現を用いる「触手」ものも現れ、『妖獣倶楽部』(ディーオー 1990)を元祖として『妖獣戦記』シリーズ(ディーオー 1993~)等が登場し「非主流の中の非主流」として勢力を伸ばしていった。

純愛路線が飽和状態になったとの指摘もあることから、鬼畜その他のジャンルへの再評価の動きが高まっている。しかし、ハードさも凄まじく進行しており、近親相姦を主体としたゲームが増加し、更にハードな物では近親相姦での妊娠を目的としたゲームまで出てきており、社会に与える悪影響は大きいのではないかという意見もある。

[編集] 性表現への規制

[編集] ソフ倫の登場

1980年代は「成人向け」という概念も無く、性的描写を含むソフトウェア類は単純に「エロソフト」等と呼ばれていおり、年齢制限には無頓着であった。これはパソコン本体を購入する層は、一般者層より(本体自体の価格が、当時の新入社員初任給の2か月分以上程度のうえ、操作法が複雑であったため)、オタクとよばれることの多い操作技術の習得と投資をいとわない人間層が多かったことも一因と考えられる。

性の表現についてはメーカーの裁量に委ねられており、際どい部分を全く表現しないか「自主規制」という形での修正処理をするのが一般的となっていた(もっとも、これら修正処理は「裏ワザ」で外せる場合も多かった)。

だが、次第にアダルトゲームは問題視されるようになる。1986年には、刑法177条強姦罪)からタイトルを取った『177』(マカダミアソフト=デービーソフトの一部門)が、草川昭三により国会で取り上げられた。そして1988年に起こった東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件や、それに端を発した有害コミック騒動によってポルノ業界そのものへの批判が強くなっていく。

1991年、京都で中学生がアダルトゲームを窃盗した事件をきっかけに、アダルトゲームの規制の緩さが追及され、開発会社の社長が逮捕された(沙織事件)。これに対し日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会は、性的描写が存在する旨を明記したシールをメーカーに販売した。しかし、宮崎県でソフトウェアを有害図書の一種とする条例が成立するなど、アダルトゲームを槍玉に挙げる流れは続いたことから、アダルトゲームを一括して管理する団体が求められるようになる。他の分野では1990年コミックマーケット幕張メッセを使用できなくなる事件、それに伴いコミックマーケットでの性的表現自主規制が強化される事件が発生し、非実写性表現のあり方を問われた時代でもあった。

1992年、自主規制団体コンピュータソフトウェア倫理機構(以下ソフ倫)が設立された。性表現の規制については日本ビデオ倫理協会(以下ビデ倫)初期の規制を参考にしたが、実写を管理することを目的としたビデ倫の規制は、主に絵が主体であるアダルトゲームでは必ずしも実態に見合ったものとはならず、後に規制及びソフ倫に対する不信感を生むこととなった。

[編集] 審査機構の多様化

ソフ倫は業務内容が公表されず、協会に人員を提供している制作会社には審査が甘いという意見を持つ人もいたりと不透明感が高い、ユーザーサイドの求めるものとの格差が大きいことから、ユーザーやメーカーは不信感を抱いていた。その上、1999年に施行された児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の影響などにより、18歳未満の男女キャラの性的描写の禁止や、ゲーム内において使ってはいけない言葉(いわゆる「NGワード」)の規制が年々強まり(例えば「学校」という言葉を「学園」に言い換える、など)の拡充など、規制は増すばかりであった。ソフ倫はパソコンソフト卸会社との連携を重視していたため、ソフ倫に加盟し規制に従わなければ事実上アダルトゲームを売れない状況にあった。

2001年、当時人気を博していた『君が望む永遠』(アージュ 2001)が、画像の修正処理に不手際があるとして回収された。ソフ倫は部分審査の体制を取っているため、審査漏れ自体は珍しいことではなく、規制漏れによる回収もこれが初めてではない。しかし、この部分審査の体制と回収の際に何ら補助の無いこと等に不信感をあらわにしたアージュはソフ倫を脱退する。

アージュ作品を取り扱っていたソフトウェア卸売会社ホビボックスは、アダルトビデオの自主審査機構だったメディア倫理協会(現・コンテンツ・ソフト協同組合、以下メディ倫)にアダルトゲームの審査を行うように働きかける。そしてアージュは2003年にメディ倫審査のアダルトゲーム第1号となる『マブラヴ』を発売した。当時のメディ倫はソフ倫と違い、全ての素材を審査する完全審査体制を取っており、かつ規制も若干緩いもの(卑猥な用語への修正の是非等)であった(この事態に一部の店舗ではソフ倫審査作品以外は扱わない方針を取ったため、一部店舗に『マブラヴ』が入荷しないという事態も起きる)。そして2004年初頭には数々のブランドを抱える大手・テックアーツがメディ倫移行を表明、前後して主に中堅以下の数ブランドがメディ倫へ移行した。

これに対し、ソフ倫は近親の性的描写の緩和等の規制緩和を行った。このことは、以前の審査基準には何ら明確な意味が無く、顧客(メーカー)の流出を恐れる儲け優先の体質が浮き彫りとなった。そのことにより、ユーザーやメーカー等からさらなる不信感を煽る事となる。

[編集] 近親相姦描写

1980年代は業界に明確な規定は存在せず、作ろうと思えば近親相姦ゲームは作れる状況にあった。しかし、1991年沙織事件が起こった後、近親相姦に関する規制は強まった。問題となった『沙織』には兄妹と父娘の相姦画像が幻覚という設定ではあったが含まれていた。

事件後、コンピュータソフトウェア倫理機構が設立されたが、その大まかな指針として近親相姦の描写のあるゲームの規制を行っていた。しかし、この時点では正式には規定されておらず、それほど過激でなければ許されており、通過する作品も少なくなかった。当時の作品としては兄妹相姦の描写のある『夢幻泡影』(ALICE SOFT 1995)、『魅惑の調書』(BLACK PACKAGE 1996)、『アトラク=ナクア』(ALICE SOFT 1997)などの作品があるが、当時は近親相姦そのものよりもストーリーや性描写の方が重視される傾向にあった。ソフ倫を率先していたD.O.すら『雑音領域』(D.O. 1996)で兄妹相姦を扱っていた。シーンはないが『』(Leaf 1996)でも兄妹相姦は話題にされていた。

だが、1998年12月に発売された、父と息子、母と息子、妹と兄、姉と弟の相姦という過激な話を取り扱った『コ・コ・ロ・・・』(アアル 1998)が販売禁止処分を受け回収され事態は急変する。この作品は、近親相姦の相手を義理の関係にして再販され、後のゲームにおける近親相姦のパターンに大きな影響を与える事になった。義理であっても傍系血族であるから近親に分類されるが、近親婚の禁止について民法第734条の但し書きに養子の異性(傍系のみ)とはこの限りではないとあるため、婚姻は可能で公序良俗に反しないとされたのである。

『コ・コ・ロ・・・』の販売禁止の半年後の1999年6月22日、コンピュータソフトウェア倫理機構・倫理規程の改定により、近親相姦描写の禁止は成文化された。これは1999年11月に施行された児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律に対応したものであった。同時に同性愛の表現も規制されたため、弟や兄や父との近親相姦の描写も困難となった。ちなみに、近親相姦の描写については、この時点で官能小説や成人漫画においては不可ではなかったが、AVでは日本ビデオ倫理協会が禁止事項としていた。

この直後『シスター・プリンセス』のヒットによりいわゆるメディアミックスにかかる分野全般で「妹ブーム」と呼ばれる現象が起きた。しかしこの際アダルトゲーム業界ではソフ倫の審査があったため、審査を通過したゲームの中には血縁関係がある相手との近親相姦を扱ったゲームは存在していなかった。妹なら義理であろうといいという主張のある一方で、「原理主義」と呼ばれる実の妹を扱うべきと言う主張も多くあった。だが、ソフ倫の禁止する姿勢に変化はなかった。かつてはそのまま出せたゲームも移植などの再発売では規制の対象となり、父娘相姦のシーンのある『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』(elf 1996)もWindowsに移植される際に伏字だらけになってしまい、興趣を大きく殺がれるものとなってしまった。一方、ソフ倫の審査を通さずに出したゲームでは21禁の『実姉妹 ~濡れた相姦図~』(ANALOG FACTORY 2002)が存在したが、ゲーム内容もありそれほど評価は高くなく、ソフ倫非審査を理由にゲーム流通にもあまり乗れなかった事から話題性に欠ける事となった。

他方、この頃から近親相姦を扱った官能小説のライターなどの働きかけをきっかけとして、ソフ倫加盟メーカーの間に規約改定を要求する風潮が高まってゆく。また、2003年にメディア倫理協会(メディ倫、現在のコンテンツ・ソフト協同組合の前身)との業務競合が始まると、メディ倫がゲーム向けに定めた規制内容との比較などからソフ倫は過剰規制という批判にさらされる事になった。さらには、表向きは別としても実態として顧客メーカーのメディ倫への流出を恐れたソフ倫が、それまでの規制の再検討を行う事態に発展してゆく。この結果として、規制の箍は徐々に緩み始め、仮想世界における兄妹相姦を描いた『こころナビ』(Q-X 2003)や、脳だけ姉という設定で展開される『タナトスの恋 ~淫姉弟相姦~』(Red Label 2003)が発売された。また一方で義理の弟との兄弟相姦の描写のある『恋する妹はせつなくてお兄ちゃんを想うとすぐHしちゃうの』(CAGE 2003)が発売されるなど同性近親相姦の規制も緩まっていく。一方同人でも2004年6月『夏の燈火』(Circle Mebius)などから兄妹相姦を扱うものが現れ始めた。

そして、2004年秋に規約が改定され近親相姦の描写は解禁となった。同時に獣姦描写も可能となった。その後実の妹との近親相姦の表現が出る『ALMA~ずっとそばに…~ -Complete Edition-』(Bonbee! 2004)などのゲームが公に出る事となった。

現在は近親相姦描写においてもニーズの多様化が起こっており、実の妹のみならず実の姉や実の母を対象としたゲームも存在しており、一定の売り上げを確保している。だが、義理の関係を扱ったゲームがそのストーリー性でメディアミックスが好調であったのに対し、こちらはメディアミックスに関しては低調である。近親相姦をテーマにした作品は少女漫画ではかなり著名なものが多いが(例:『天使禁猟区』『罪に濡れたふたり』『僕は妹に恋をする』)、アダルトゲームの場合は精神的葛藤や苦悩がさほど描かれず、即物的にその背徳感を楽しむのが主眼であるものが多いためか、アダルトゲームのプレイヤーたちの間すら広範な一般受けはしておらず、好き嫌いがはっきりと分かれる傾向が強い。

[編集] 技術の進歩とゲーム

コンピュータ技術の進歩がゲームに与える影響は大きく、特にグラフィック面においては顕著に見られてきた。アダルトゲームも例外ではなく、ソフトの登場と、PC-8801FM-7から見れば格段にグラフィック性能が向上した16ビットパソコンの登場はほぼ同時期であり、グラフィック性能の向上によりコンピュータによるアダルト表現が可能になったと見ることができる。

これ以後もハードの進化と共にグラフィックの向上は進み、8ビットパソコン時代の末期から16ビットパソコン全盛期には、写真などの静止画像をキャプチャーするハードウェアも出始め、従来のプログラマー兼デザイナーの描くドット絵から専門のイラストレーターが作画した物や、実写した写真のキャプチャー画像が増えた。更にはその後の32ビットパソコンが普及し、1995年Windows 95登場の際には解像度と発色数が増加したのみならず、実写や動画・3DCGによる多彩な表現が可能になった。

また、パソコン本体の価格の低下にともなうパソコンの普及と販売量の増大によって、潤沢な資金を背景に高度な映像機材が投入されるなど、製作側の設備投資関連の進歩も挙げられる。

グラフィック面以外でも、CD-ROM、次いでDVD-ROMという大容量記録媒体の登場によって大作ゲームが製作されるようになり、音声技術の向上やプロダクション制の導入に拠り、登場人物等の台詞に声をあてたりすることができるようになった。ちなみにアダルトゲームに声優が使われた当初は、有名声優も多く、他の仕事への影響を避けるために大抵は匿名か偽名であった。ちなみに、PCエンジンCD-ROM²FM TOWNSなどのCD-ROMドライブ搭載機種の登場により音声入りゲームが現れたごく初期の作品については、当時は声優も含む芸能業界がこの時点ではまだ新興の産業であったゲーム業界をこの時点で約30年の歴史があったアニメ業界よりも数段格下と見ていた、またアニメ業界でも特にゲーム世代ではない有力者にゲーム業界を格下と見下す風潮が根強かった事などの事情があって、全年齢向けのゲームでさえ匿名や偽名で声優が出演しているものが珍しくなかった。

現在はアダルトゲームを活動の中心とした声優が大勢で、アダルトゲーム・アダルトアニメを専門分野としている者も多数存在するが、メディアミックス(後述)の影響によりこれらがテレビに進出するケースも発生しており、情勢は再び変化しつつある。主題歌がつくことも一般的になった。『Kanon』(Key 1999)の爆発的な大ヒットで主題歌の編曲を手がけた音楽製作プロダクションのI'veに注目が集まった。I'veが音楽あるいは主題歌を手がけたアダルトゲームのパッケージにはI'veが音楽を担当したことを表すマークが付くことがあるなど高い人気を誇っている。2001年には音楽に定評のあるkeyのサウンドトラック等を専門に扱うKey Sounds Labelが発足した。同年に発売された『吸血殲鬼ヴェドゴニア』(ニトロプラス 2001)では主題歌を紅白歌合戦に出場したこともある小野正利が歌うなど、音楽や主題歌に力を入れる動きが顕著になった。

また、アダルトゲームの主題歌を手掛ける音楽集団や音楽担当スタッフには、古くからジャパメタのフォロワーが多い。その為、ロックよりもかなりハードなドラムギター、間奏のメロディカルなギターソロといったメタルの要素が盛り込まれた主題歌は珍しくない。その中でも特筆すべきはメーカーであるがニトロプラスで、作品によっては歌詞と曲だけ聞かされてもアダルトゲームの主題歌とは到底信じ難い様なハードなメタルテイストの曲を主題歌や挿入歌に据える事も珍しくなく、普段はアダルトゲームとは全く無縁なメタルファンの一部にまでその名を知られる事となった。他方、アダルトゲームの主題歌であるため、メーカーによってはハードでハイテンポなメタル調の曲に、本項ではさすがに掲載がはばかられる様な物凄い歌詞を組み合わせたケースもあり、たとえメタル調のハードな曲であっても歌詞のバラエティという意味では、ラブソングやいわゆる「萌え」に属する歌詞がほとんど見られない本家ジャパメタとは比較にならない幅の広さを持っている。また、先述のニトロプラスのものを例外とすれば、メタルテイストの曲であってもほぼ全ての曲についてボーカル担当が女性である事は大きな特徴である。

しかし、これら技術の進歩や業界の変化によってもたらされた様々な要素、特に声優や主題歌の起用に関する人件費を中心とする各種コストが、現在ではゲームソフトの価格に対する上昇圧力の一大要因になっている事も否定ができない。特にアダルトゲームファンの間でI'veが一大センセーションを巻き起こした2000年頃以降は、主題歌CDの初回特典としての添付がこの業界では販売促進策として至極当然のものとなっているが、これについては、多くのゲームに存在する初回特典の有無による価格差や、アダルトゲームでは初回限定版の発売後に通常版が最終的に発売されないケースが珍しくない事などを鑑みた場合、ゲームと主題歌CDの事実上の抱き合わせ販売の商法であるとして指摘する批判も少なくない。

[編集] 企業・クリエイター

2006年7月現在、ソフ倫に加盟しているブランド数は541にのぼる。近年はメディ倫での審査を行っているブランドも少なくなく、こちらの加盟ブランドも考慮すれば、およそ600から700ものブランドが現存していると推定される(※ただし、この数字についてはブランド数であり企業数ではない。またAlice Blueの様に会社組織としては存続しているが、現在は活動を休止している派生ブランドなども含まれている)。

アダルトゲームの制作会社は、規模の大小こそあれ、家庭用ゲームの制作会社と比較すればおおむね小規模である。自社ビルを所有する会社はほんの数社程度であり、法人格を持たず普通のマンション(代表者の自宅の一室など)を仕事場にするケースも珍しくない。また、資金繰りの為のサイドビジネスとして中小企業向けの業務用アプリケーションやウェブデザインの下請け製作などを行っているメーカーも少なくなく、この事もありコンシューマーゲームと違って法人名よりもブランド名を前面に出している事が多い。そのため、消費者が母体となる企業名を知らないことも多く、プロデュースなどと謳われていても実態としては販売代行のみ行っている事が明らかで、実際の製作会社は非公開になっているケースもある。また労働条件については家庭用ゲーム同様に、ごく一部の例外を除きほぼ一様に悪いと言われている。

ゲームソフト卸や一部のゲーム会社が自社の傘下に入る事を条件に資金援助するシステムが確立されており、新規参入に際しては比較的容易である。このため毎年数十のブランドが新たに登場する一方で、それに近い数のブランドが消滅してゆく。中には発売予告は行っていたものの実際の発売にこぎつけられずにフェードアウトしてしまうブランドも見られる。

また、近年の大容量メディア技術の進歩が招いた大作化の傾向により自社で全ての制作作業をまかなうのが難しいため、製作の一部について外部に委託することも珍しくない。特に宣伝などにも用いられるムービーは特殊な技術が要求されるため、自社制作を行えるメーカーはほとんど無い(業界大手でもムービーと声の収録はほぼ全て外注である)。そして、このゲームの大作化は製作期間の長期化を招く事が多く、今では制作コスト上昇の最大の要因となっている。このコストの上昇については、当然ながら最終的には小売価格に跳ね返って来る事になる。

グラフィックについても特に背景画については、アニメ背景を主業とする下請けプロダクションがアダルトゲーム業界にも進出してきている事と、人物を上手に描ける人間であっても背景画の技術が伴っていない事が少なくない事から、近年では外注での制作が当たり前になってきている。また、I'vefeelなどアダルトゲームの音楽を手掛ける集団が台頭し、彼らの音楽(特に主題歌)もゲームにとっては販売促進の効果を持つ話題となる事から、近年は主題歌やBGMについても内製率が低くなっている。

さらには、ここ数年の間にムービー、主題歌、台詞の音声付加、初回特典などがごく標準的な要素となり、これらが売り上げ本数に大きな影響を及ぼす様になった為、ゲームに付随する部分での製作費用も雪だるま式に増大化する傾向が見られている。それゆえにアダルトゲームの売上規模では、販売本数的に成功と言われるものであっても製作費をゲーム単体では回収しきれないものすら出てきている。この為、利益確保の為に性的要素を排除した『全年齢版』を制作し、これのコンシューマ機への移植の他、キャラクターグッズやトレーディングカードなどの版権利用のサイドビジネスを積極的に展開しているブランドも中堅以上では珍しくはない。他方、特に台詞への音声の付加に掛かる人件費や主題歌の製作などのコストはアダルトゲーム業界全体のコスト上昇の要因となっているが、かといって現在のアダルトゲームの販売価格を考えた場合、これ以上の価格転嫁は事実上不可能に近い。かと言って、逆にこれら要素をコストダウンの為に除外する事も、低価格路線のゲームですら音声入りのものが出てきている近況を鑑みた場合、極めて困難と言わざるを得ない。その為、最近では5年以上の活動実績を持つブランドですら、この際限の無い制作費の増大に経営面で耐えきれなくなり、ゲームソフトの新規開発を断念するところも現れる様になっている。

開発チームが小規模であるためゲーム制作の工程管理が難しいことから、ゲームの発売が延期されたり、発売されたゲームにバグが存在するケースも枚挙に暇がない。近年はインターネットの普及により修正差分の配布が容易になったこともあり製品品質の維持が疎かになる傾向が見られ、バグの増加も顕著になっており、いまやバグも発売延期も無いゲーム自体が稀になってしまった。バグの内容は様々であるが、ゲームの進行において動作不能になるなど致命的な問題を引き起こすのみではなく、中にはインストールの際に誤ってハードディスクの全内容を消去してしまうという深刻なバグを残したまま発売され、不具合が製品回収騒ぎに発展した作品もある。また、発売延期という点では、当初予定していたよりも構想が膨らみ過ぎ、シナリオや画像の追加を延々と繰り返すなどした挙げ句、年単位での発売遅延が発生するなど、工程管理が完全に破綻しているケースも見られる。実際、Googleで『延期』を検索すると、2006年8月現在、検索結果のトップにあるのはアージュが「マブラヴ」シリーズの発売延期に関してリリースした文面である。

また、開発チームの多くが小規模であるが故に、会社や人材の離合集散が激しいのも特徴である。会社内部での問題から開発チームが独立したり解散する場合も多く、人気のスタッフはヘッドハンティングによる他社への転籍、自主的移籍、フリーランス(外注)に転進することもある。特に人気の高い原画担当者については、その関与がゲームソフトやゲーム関連雑誌、ライトノベル(挿絵を担当)などの売上向上に大きく寄与するため、フリーランスになった途端に引っ張りだこになることも珍しくない。この事もあり、人気クリエイターの独立においては、一見した限りでは自主的な独立であるが、実態としては他社やマルチメディア系出版社が黒幕として糸を引いていたと噂されるケースも少なくない。その一方で、ライトノベルの挿絵などについて社内スタッフの副業を認めているメーカーも多い。これを認めている理由は主にスタッフの収入確保と社外への流出防止の為であるが、逆にこの副業で人気を博した原画担当者などがイラストレーターとして独立してしまったケースもある。

他方、この業界はクリエイターへの依存度が極めて高いという事も特徴としてあげられる。キャラクター原画やシナリオなどの特定のクリエイターの人気度と、ブランドの人気度が全く同義となっている開発チームは珍しくなく、このブランド人気を一手に支えてきた社員スタッフが独立や移籍目的に退職した事をきっかけとして、ブランドや開発チーム、場合によっては会社自体の存続問題が起き、消滅に至ったケースもある。また、前作の成功で一躍人気となったクリエイターがいわゆる「天狗」になってしまい、問題が起きたというケースも多い。この場合、同僚もそのわがままを抑えられない状態となり、次回作の製作に際して他のスタッフの仕事にも干渉し、結果として作品全体に悪影響を及ぼしたり、グラフィックなどの完成度にこだわり過ぎて製作期間の大幅な超過を引き起こすなど、小規模集団のクリエイター人気ゆえの問題に悩まされ、これにより終了に追い込まれた人気作品のシリーズもあると言われている。

しかし、その一方でこの業界のクリエイターについては「消耗品」、「使い捨て」と揶揄される事さえあるほどに、消長盛衰が大変激しいという一面も持ち合わせている。これについては創作活動での精神的な消耗、メインスタッフとして関わった作品の商業的失敗やインターネット上での低評価、新たな才能や表現技法の登場による淘汰が主な要因となる。その他、加齢や生活の変化による心境の変化と共に性的な場面を描きにくくなり、この業界から離れてゆく者も特に原画担当者を中心に少なからず見られる。他方、コンシューマ機のゲームよりも売上規模が小さいものがほとんどであるだけに、特にフリーランスの人気クリエイターの場合、実力は認められながらもギャランティーが上昇し過ぎた事によりメーカーが予算面などから起用を避ける様になり、かえって仕事を失うことになったと言われている者も存在する。

いずれにせよ、アダルトゲーム業界を離れたクリエイターについては、原画担当の場合には漫画家やイラストレーター、アニメーターに、シナリオライターの場合はライトノベルやジュブナイルポルノの作家、雑誌のライターに転業したり、転業を試みたケースは多数見られる。この場合、ライトノベル関係の仕事などを足掛かりにして、アダルトジャンルではない分野に活動の軸足を移してゆく者も少なくない。その一方、商業出版での創作活動について回る様々な制約や規制を嫌った者や、あるいは逆にゲームより日程管理の厳しい商業出版の世界に対応できなかった者の中には、俗に『プロ同人』と呼ばれる、コミックマーケットなどの同人イベントや、同人ショップでの委託販売などに活路を見出していくケースも見られている。

[編集] アダルトゲームとコンシューマーゲーム機との関係

コンシューマーゲーム機において性表現のあるゲームの制作は、原則的に禁じられている。これは、任天堂社製家庭用ゲーム機ファミリーコンピュータ全盛時代に、任天堂のライセンスを取得しないソフト(現在同人ソフトと呼ばれるもので、当時は裏ソフトと呼ばれていた)の撲滅に関して定めた自主規制が基盤となっている。詳細は任天堂の項を参照のこと。

当時はマイコンと呼ばれていたパソコン用のアダルトゲームの制作、販売を行っていた光栄(当時)、エニックス(当時)などがそれをやめたのも、当時の任天堂の方針に合わせたためという説がある。この当時、任天堂はパソコンを含む家庭用マシンでアダルトゲームの製作を行っているメーカーの参入については一切認めず、ファミコンへの参入についてはアダルト要素を含むゲームの製作をパソコンなどでも行わないことを条件としていたと言われている。しかし後年には多少変化し、2001年にアダルトゲーム制作会社エルフゲームボーイカラーで『雀級生~コスプレ★パラダイス~』を出している(もちろん脱衣シーンは無し)。

しかし、コンシューマーゲーム機での合法的なアダルトゲームは全く無かった訳ではない。業務用ゲームに脱衣麻雀が存在するのと同様に、過去にはセガ製家庭用ゲーム機のセガサターンNEC製家庭用ゲーム機のPC-FX用のソフトで、一時期アダルトゲームの制作が認められていたことがあった。『野々村病院の人々』(エルフ 1996)等が、レーティング上18禁(X指定)のまま移植されていた。 ただし、完璧に元の作品が移植されていたわけではなく、過激な性的表現が緩和された上に年齢制限のかけられたものであった。たとえば『Pia♥キャロットへようこそ!!』(カクテル・ソフト、1996 PC-FX版は翌年自社発売)のPC-FX版ではHシーンにおいて主人公の姿を消すという修正がされた上でのリリースとなっている。

しかし、脱衣麻雀やPCアダルトゲームの緩和版ソフトといった、X指定におけるジャンルのマンネリ化があった上、アダルトのゲームを販売している事に対する風当たりが強まったこともあり、やがて性表現を排除した「18歳以上推奨」というレーティングに移行していった。それ以外の差別化が図れなかったこと等により、SCEI製のコンシューマーゲーム機であるプレイステーションに水をあけられたことも無関係ではない。

その後エルフは『同級生』や『下級生』を性的表現をかなり緩和して18歳以上推奨ソフトとしてセガサターンに移植した。『To Heart』(Leaf 1997)は、全年齢向けにアレンジした上でプレイステーションに移植され(後にPCに逆移植もされた)、大きな評価を受けた。『Kanon』(key 1999)はもともとKey自らPC向けの全年齢対象版を発売していたが、それをNECインターチャネルドリームキャストPS2へと移植し、好評を得た。

そのことから、内容が秀逸であるものは性的表現を抜いても十分に売り上げが見込めるものとして、ヒットした18禁ゲームがコンシューマーゲーム機へ移植されるという傾向が生まれた。

コンシューマーゲーム機への移植に際しては、各プラットフォームごとに許容される表現の幅に違いがある。特にプレイステーションへの移植に関しては、ソニーチェックと呼ばれるほどCGなどの表現に対する厳しい規制があり、「原作のゲームと同一タイトルをつける事を認めない」という決まりも制定されたほか、著作権表示に元のブランド表記がない作品が多かった。

参考情報
  • 1999年3月発売の『To Heart』ではタイトルが変わっておらず、同年4月1日発売の『ONE ~輝く季節へ~』は『輝く季節へ』とタイトルが変更されている
  • With You ~みつめていたい~』のPS版『絆という名のペンダント with TOYBOXストーリーズ』は、後者における例外の一つである(著作権表記に原作側「カクテル・ソフト」の表記が入っている)。
    • ただし、With You自体は以前にセガサターンで発売されており、表面上はそれの移植に追加要素を付けたとする見方も可能。
  • ロマンスは剣の輝きII』はPS版においてはサブタイトル「銀の虹をさがして」が付けられており、著作権表記にも原作のフェアリーテールの表記がある。
    • ただし、ロマ剣IIは18禁ではなくR指定(15禁)。

プレイステーション2主流の時代においては、タイトルにおいては過去に他ハードに移植されていないタイトルでもサブタイトルが付いている程度(元々サブタイトルがあるタイトルでもサブタイトル部分に変更がある)であり、原作者表記についてはブランド名でなく法人名が表記されていたケースがあったが全般的なものではなく(例えば『グリーングリーン』(WellMADE 2003)ではGROOVERではなくStarLinkの名前が記載されている。ちなみにほぼ同時期の『Pia♥キャロットへようこそ!!3』ではF&C FC02と表記されている)、PS時代に比べれば緩和されている。中にはパッケージ裏に原作者のロゴが表示されているものも存在するほどである(ちなみに、PSでも『ロマンスは剣の輝きII』ではマニュアルの裏表紙や限定版の外箱にフェアリーテールおよびF&Cのロゴが表示されていた)。だが過去の規制の名残で、プレイステーション2でもタイトルが完全に変わっている作品が存在するほか、表面上他機種からの移植といえる状況が発生しなくなった今日ではPCと同名で発売されるケースはない。

ソニーチェックが強かった当時、SCEI社製ハードと比べてある程度規制がゆるやかなセガ社製ハードへの移植が盛んだった。セガは規制を早い段階にCEROのものに合わせていた。このため、ドリームキャストの生産が終了した後も近年まで移植作品が発売され続けていた程である。しかし、SCEIの厳しかった規制が、CEROレーティングにある程度準拠したこと等により、ドリームキャストへの存在意義が薄れ、発売タイトル数が減少している。ちなみに末期ではDC版でもサブタイトルが付くなどしてPC版とタイトルが異なるケースもあった。

それらに対し、任天堂は、自社製家庭用ゲーム機における前述のような移植には現在でも消極的な態度を貫いている。ゲーム批評のような雑誌のインタビュー等から、ギャルゲーを、家庭用ゲームソフト全体の質を大きく下げた元凶と見なしており、質の低い作品が多いと考えているためであろう。実際、ごく少数あるこの手の作品も『Pia♥キャロットへようこそ!!2.2』(NECインターチャネル、2000)・『雀級生 ~コスプレ★パラダイス~』(エルフ、2000)のような外伝的作品が多く、『Natural2 -DUO-』(オメガ・プロジェクト/シャルラク、2002)のような純粋な移植作品となるとゲームボーイアドバンスの本作以外にはスーパーファミコンに若干数存在する程度である。

2006年11月現在,現行機種であるゲームキューブニンテンドーDSには移植作品が全く無く,次世代機のWiiにも販売予定はない。

ちなみにNECは任天堂とまったく逆のスタンス、即ち「ハードウェアが売れるならばソフトの質は問わない」というものであった。

2000年代に入ってからカクテル・ソフトの『Canvas ~セピア色のモチーフ~』や、Leafの『ToHeart』『こみっくパーティー』など、一度パソコンからコンシューマーに移植されたタイトルが再度パソコンにブローアップされ、2005年には元々コンシューマーで発売された『ToHeart2』が18禁タイトルとしてPCに移植されるという、従来のアダルトゲームとコンシューマーゲーム機との関係では考えられなかったケースが見られており、パソコンとコンシューマーとの垣根に変化が見られる。無論PCと家庭用ゲーム機の間に「性的表現」という最大の壁がある事実に変わりはない。

[編集] メディアミックス展開

1990年代前半からヒットしたアダルトゲームを原作としてアダルトアニメを制作し、OVAとして販売する試みは少なからず行われてきたが、1998年に『同級生2』(エルフ)のアニメ化作品がテレビ地上波で放映された事をきっかけに、独立UHF放送局での放送を中心としたアニメ媒体を利用したメディアミックス的展開が一般化することとなった。

これについては、コンシューマーゲーム機へ移植される作品が増加する中、アニメ化の素材としてこれらの作品に着目したアニメ製作会社と、経営安定の為の収益チャンスの拡大を模索していたゲーム制作会社の利害が一致したという背景がある。また、アニメ業界にとっては制作プロダクションの乱立とすら言える増加とそれに伴う人気のコミックライトノベルのアニメ化の権利を巡る競合の激化、それ以外にも自社企画によるオリジナル作品の不振などの要素により、アニメ業界のコンテンツ不足が慢性化しているという一面も大きい。さらには最近のコミックやライトノベルのヒット作にはいわゆる「作品が読者を選ぶ」ものが目立っているが、この種の作品はアニメ化してもヒットさせる為の計算が非常に困難で低予算の深夜アニメには適しているとは言い難く、これも原作付きで原作ファンの視聴がある程度期待できるアダルトゲーム原作作品にアニメ業界が期待を寄せ、依存する一因となっている。

このような流れにおいて、テレビ放送では表現できないいわゆる18禁要素ではなく、ストーリーの内容や「萌え」要素、コンセプトの秀逸さについて高い評価を受けた作品にアニメ化のオファーが行われる様になり、『To Heart』、『こみっくパーティー』、『君が望む永遠』など数多くの作品がテレビアニメ化されている。

これらアダルトゲームを原作とするテレビアニメの大部分はUHFアニメとなっている。これは、キー局よりも放映枠の確保が容易でその放映権料も安価な上に、アダルトゲームを原作とする以上、ほとんどの作品で多かれ少なかれ避けられないお色気などの表現の規制についてもキー局と比べて多少は寛容であり、さらにはDVD化して販売する収益計画も組み込みやすいためと考えられる。UHFアニメ以外ではWOWOWや、TBSのデジタル衛星放送BS-iがこの類のアニメに比較的寛容である。

アニメーション脚本家のあかほりさとるが原作脚本を担当した『らいむいろ戦奇譚』(エルフ 2002)では、あかほりの人脈を最大限に生かす形ではあったが、ゲーム製作の発表とテレビアニメーション制作を同時に発表し、アニメ版の声優に若手アイドル声優をユニット形式で組ませるといった企画が行われた様に、近年では本格的なメディアミックス展開を当初から意識して制作されたアダルトゲームも現れている。なお、この作品もUHFアニメとして放送され、少なからぬ物議を醸した。

このようなメディアミックス的展開は広がりを見せ続け、ついには『Piaキャロットへようこそ!!3』(F&C FC02 2001)が原作ゲーム発売の翌年に劇場アニメ化されるまでに至った。アダルトゲームの劇場アニメ化はこれが初である。加えて、2005年2月には『AIR』(key 2000)の劇場アニメが上映された。

さらに、2005年1月からボーイズラブ系(女性向け)のアダルトゲームからアニメ化された作品としては最初のものとなる、『好きなものは好きだからしょうがない!!』(プラチナれーべる 2000)がUHFアニメとして放映され、これに追随する形でアニメ化された、あるいは企画中のボーイズラブ系原作の作品が見られている。

しかし、その一方でアダルトゲーム(特にマルチヒロイン型のアダルトゲーム)を原作とするアニメには、粗悪なハーレムアニメになりやすい傾向が見られている。このような風潮は、近年の深夜アニメの過半が該当する「1クール12~13話、もしくは2クール26話終了を前提とし、企画立ち上げから放映まで短期間かつ低予算で制作される小規模なアニメ」の濫造に、アダルトゲームのフォーマットが適していたためという説を唱えるものもアニメファンの一部にはおり、この者たちからはアダルトゲームのアニメ化そのものについて激しい批判が起こされている。だが、そもそも、あまた存在するニーズの中からどの作品でどの程度の規模でアニメ企画を組むのか、その決定権を持っているのはアニメの販売会社及び制作会社、また彼らの背後に位置する事が多いマルチメディア系出版社であり、本来の製作能力を超えた無理のある企画をアニメ制作プロダクションが往々に抱えてしまう原因は、やはりこれらアニメ業界側の体質にあるのではないか、とも考えられる。また、特にボーイズラブ系原作の作品では、同性愛的要素はたとえ深夜の時間帯の番組であっても表現上の制約がより大きいため、男女の恋愛模様を描くアダルトゲーム原作作品以上に安易なハーレム展開を物語終盤までは行い、表面上は友情劇の様なな雰囲気を見せておいて、物語最終盤に至りようやくメインターゲットとの深い関係に物語を集中させるという展開がなされる事も少なくない。これもファンからは「物語の掘り下げ方が浅い」とされて不満要因となり、品質の低さの一因として挙げられる事がある。

また、アダルトゲームのアニメ化企画はほとんどが俗に言う低予算アニメであり、この予算の少なさも作品の品質向上にとっては障壁となっている。過去の低予算アニメの品質破綻ではライトノベル原作の『ロスト・ユニバース』で起きた画質破綻、いわゆる「ヤシガニ問題」が著名であるが、次に品質面の問題から同様の大きな騒動を発生させるのは、アダルトゲーム原作の低予算アニメではないかと危惧している者もいる。また、低予算アニメとはいっても、特に声優などの人件費は削る事が難しいため、多くのアニメでは作画や脚本の分野で予算の圧縮が行われる事になる。この影響により、アダルトゲーム原作アニメでは、低コストであるが技術力が低い海外の下請け制作プロダクションへ動画制作の大部分が委託されるケースも少なくなく、国内にメイン制作が置かれているケースでも、場数が少ないがその一方でギャラが安い若手スタッフが作画ではコンテや原画、脚本ではメインシナリオやシリーズ構成を担当する事が珍しくない。確かに若手のアニメスタッフに経験を積ませる事ができる貴重な場という見方もできるが、逆にその経験不足や技量不足によって品質面に問題が発生した作品は存在し、また脚本面では単調粗悪なハーレムシナリオや、ゲーム内の名台詞をただ丸写しに羅列しただけの無味乾燥な恋愛劇・愛憎劇だけが盛大に繰り広げられてしまったケースもある。特にアダルトゲーム原作作品はキャラクターへの「萌え」が生命線となるアニメが多いだけに、キャラクター描写の破綻が作品評価に際して致命的なマイナス要因となったケースも見られる。この様な状態に陥った作品では、原作ファンからアニメ作品についての危惧や不満が語られ、批判が噴き出す事も少なくない。

他にも、テレビ放送上の制約から行われる場合もあるが、アニメ製作サイドの中心スタッフの独断によりゲームで人気となった要因を排除・否定したり、ストーリー根幹部に関わる大幅な改変が行われたケースもあり、これによりファンの間でアニメ作品へ反発や批判が示され、アニメ制作側にとって想定外の不人気となった作品も存在する。メディアミックス作品については原作ファンからの期待値が高いものが多いだけに、この様な事柄を要因として原作ファンに拒否反応が発生した場合には一転して強烈なバッシングへと繋がる事も少なくなく、さらにはこの不評がインターネットなどを通じてファンの間に伝播してゆき、後々のDVD販売などで不振に陥ったケースも見られている。

特に有名な実例としては『SHUFFLE!』(Navel 2004)のアニメ化作品(2005年)が挙げられる。このケースではアニメ側中心スタッフの方針により、アニメのシナリオが原作の人気要因であったコンセプトを意図的に大幅に逸脱した(というよりもコンセプトの無視否定に近い)内容で描かれたと言われており、放送直後からNavelの公式ウェブサイトのBBSは大量の書き込みの為にサーバーが一時ダウンし、2ちゃんねるなどの匿名掲示板でも猛烈な勢いで批判を中心にスレッドが乱立するというほどの大混乱に至った。これを沈静化させるために、アニメに出演中の声優が緊急コメントをブログ等で発表したり、インターネットラジオに急遽ゲスト出演するといった、異例の対処を必要とする事態にまで発展した。この作品についてはそれほどの状態であり、原作ファンからは監督や脚本家の技量不足を問う声が今なお少なくない。しかし、この作品以外でも原作ファンからアニメ化作品の品質や内容に不満や疑問を抱かれたケースは少なくなく、もはや、この様なアニメ化作品は、特に原作ゲームのファンたちにとっては、アニメファンたちが用いるスラングで言うところの「黒歴史にしたい存在」でしかなくなってしまう。

この他にも原作ゲームの持つ独特の雰囲気やコンセプトを、アニメの監督や脚本家などがほとんど理解しないままに制作し、作品のメディアミックス効果を台無しにしてしまった作品も散見されている。この様な制作者間の意識の乖離によりファンから低品質と批判を受けてしまうアニメ作品が少なからず製作されている現実に対して、最近ではメディアミックスに否定的でこそないが内々では懐疑的な見方を示している者は、アダルトゲーム業界側の当事者であるゲーム制作者にすら現れ始めている(なお、最近の『製作委員会』形式によるゲーム原作アニメの制作に際しては、ゲームメーカーも原作企業として少なからぬ金額の出資を要求される事が珍しくはない。だが、経営規模が小さいアダルトゲームメーカーにとっては、アニメ制作への出資は経営判断上も決して小さくない事実上の投機行為と言える。それを鑑みれば、最近のメディアミックス効果の創出に失敗する粗悪なアニメ作品の発生に対する、ゲーム制作者側のこの懐疑的な反応や不安は当然のものであるとも言える)。

一方、メディアミックス展開に消極的な姿勢の会社も存在する。それは「このようなソフトウェアは、たとえ内容的に素晴らしかろうとあくまで基本は日陰に存在する物であり、大手を振って認知されるべき物ではない」という思想に基づく。しかし、1990年代後半にはメディアミックスに対して消極的な姿勢を取っていた保守派ブランドの筆頭格ともいえるアリスソフトが、2002年頃より自社作品のOVA化企画を許諾したように、流れが変わりつつあるのは確かである。その裏側にはやはりメディアの大容量化、主題歌・初回特典など付随要素の増加などによる開発費の高騰を中心とした、メーカーへの各種コスト圧力要因による影響があるものと考えられている。

さらには、チャンピオンソフト(アリスソフト)、ビジュアルアーツ、アクアプラス(リーフ)、ノーツ (TYPE-MOON)、葉月(オーガスト)、オメガビジョン(Navel)(※括弧内は各ブランド名)が合同企画としてTCGリセ(lycee)を立ち上げたように、映像媒体以外にもメディアミックスは広がりを見せている。

[編集] アダルトゲームとギャルゲーの境界線

プレイステーション用ソフトとして発売された『久遠の絆』(FOG 1999)は、18禁ゲームではないながらも、実質的に『To Heart』、『Kanon』同様に高いシナリオ性を前面に打ち出した「恋愛・萌え・泣かせ」要素を組み込んだ作品で、「泣きゲー」を好む成人向けゲームユーザーからも高い評価を受けた。

また、後に一般向けゲーム(ギャルゲーと呼ばれる恋愛シミュレーションゲーム。以下そう記す)としてコンシューマーゲーム機で発売された『To Heart』、『Kanon』等は、元々成人向けとして発売されたコンピューターゲームの時においても、性的描写が希薄な作品で、ギャルゲーとの違いはちょっとした性的描写があるという点以外ではほとんど無いものであった。

このように、アダルトゲームはギャルゲーと呼ばれるゲームとも関連が深い。また原画担当スタッフなどは多くが重複している。最近では前述したコンシュマーゲーム機移植、さらにはアニメ化といったメディアミックスへの過剰な期待感から、この方面の要素を重要視したあまり、性的要素がますます希薄になったアダルトゲームも出現しており、一部過激派からはエロチズムを全面的に廃止すべきという本末転倒な話題も度々出ている。

また、『To Heart』の正統な続編にあたる『To Heart2』(AQUAPLUS 2004)がプレイステーション2(CERO15)で販売されたり、Keyブランドで発売された『CLANNAD』(2004 windows)は全年齢対象で開発されたりするなど、製作メーカーサイドにおいてもアダルトゲームとギャルゲーの境界線は益々あいまいになりつつある。

ただし、その一方でアリスソフトのように、いわゆる「実用性」を重視し、ほとんどの作品で性的な要素がゲーム内の根幹部に関わっており、ちょっとした改変によるギャルゲー化はコンセプト的に不可能という作品を作り続けているメーカーも存在する。

[編集] その他

  • 加奈 ~いもうと~』(ディーオー、1999)は病弱の義妹をヒロインに据えた作品だが、TBSの『NEWS23』の2001年2月14日放送で「美少女ゲーマーの涙」と題して、このヒロインに家族のような愛情を感じているという30代のおたく男性が取り上げられ、ネット上で大きな話題を呼んだ(2ちゃんねる内に実況中継のスレッドが残っている)(本人による、TBSの意図的な編集に対する批判も行われた)。
  • 月姫』の成功により、同人ゲーム制作サークルのTYPE-MOONは企業化し、現在は商業ゲームを製作している。TYPE-MOONの成功等により、従来のソフ倫とソフトウェアショップ流通の枠組みにとらわれない製作・販売が可能な同人ゲームへの注目が高まっている。
  • 2004年、TYPE-MOONのシナリオライター奈須きのこが『空の境界』を講談社から発表した。この他にも『WHITE ALBUM』(Leaf 1998)のシナリオを手がけた原田宇陀児が、ファウストで小説を発表した。横田守、林家志弦ひよひよのようなアダルトゲームの原画家が、少年向け文庫(いわゆるティーンズ文庫やライトノベルと呼ばれているもの)の挿絵作家や少年マンガ家を兼任する等、アダルトゲームの制作者が一般の作品に進出するケースが増えている。これがおたく層以外から受け入れられたかどうかはわからない。仕事のし易さを考え、別名義を使っている場合もある。また、逆にライトノベルの作家が筆名を変えてアダルトゲームのシナリオを書いている例もある。
  • 2006年アリスソフトが公式サイト上で『ALICEの館7』に収録されていた『しまいま。』の全編無料配布に踏みきった。新作『よくばりサボテン』の販売促進の宣伝とはいえここまで思い切った形をとるものは珍しく、新たな販売戦略としてその効果が注目された。PC NEWSによる2006年4月下半期ソフト売り上げランキングで販促対象ソフトが1位を獲得したことなどから、この無料配布は低価格路線と相まって新規購買層の開拓にある程度貢献したといえる。
  • 2ちゃんねるなどで使用されるインターネットスラングとして、アダルトゲームのシチュエーションのような体験談があったとき、返しとして「それなんてエロゲ?」「sneg?」(省略形)というものがある。

[編集] 関連項目

  • 8bit御三家
    黎明期において、日本国内のパソコン市場における覇権を争っていた8bitパソコン普及に伴い、これらのパソコンを保有するアマチュア・プログラマーが盛んに同種ソフトウェアを開発・販売していた。この中には、後に大手ゲーム・ソフトウェア企業を興した人もある。
アダルトゲームに関する一覧
その他成人向け関連項目

[編集] 外部リンク

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