WHITE ALBUM
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- WHITE ALBUM - コンピューターゲームの作品名の一つ。本項で後述。
- The White Album - ビートルズ (The Beatles) のアルバム名の一つ、『The Beatles』の通称。ザ・ビートルズ (アルバム)を参照。
注意: これより下の項目には18歳以上を対象としたゲームに関する記述・表現が含まれています。
WHITE ALBUM | |
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プラットフォーム | Windows95(初回版) Windows98Me2000XP (リニューアルパッケージ版) |
発売元 | Leaf |
発売日 | 1998年5月1日 |
ジャンル | 恋愛シミュレーションゲーム |
レイティング | 18禁 |
名前変更 | 可 |
エンディング数 | 7 |
セーブファイル数 | 5 |
画面サイズ | 640×480 8bit |
BGM再生方式 | CD-DA |
キャラクターボイス | なし *1 |
CGモード | あり |
音楽モード | あり |
回想モード | なし |
メッセージスキップ | あり |
オートモード | |
備考 | *1 ヒロインによる挿入歌あり 初回版はロットアップ、現在はリニューアルパッケージ版のみ |
『WHITE ALBUM』(ホワイトアルバム)はLeaf(株式会社アクアプラス)より発売された18禁の恋愛シミュレーションゲームであり、彼女がいるにも関わらず他の女性に浮気をするというシチュエーションを描く作品である。
目次 |
[編集] 歴史
[編集] 特徴
本作品はエロゲーでは珍しい「浮気」を扱ったゲームである。しかし、それ以上にビジュアルノベルで地位を築いたLeafがその路線からの転換を図って製作した最初の作品であるという大きな特徴を持っている。
[編集] システム
本作品の採用したシステムは、ヒロインの主人公に対する好感度というパラメーターが中心となっている恋愛シミュレーションゲームで、これはギャルゲーでは『ときめきメモリアル』以来のポピュラーなものである。好感度はヒロイン達との日常会話やイベントの選択によって変動し、その後のストーリーの展開に影響するようになっている。また、主人公には体力という行動制約用パラメーターも設けられていた。
一方、要所要所で発生するイベントシーンでは、多量のテキストでストーリーを大幅に進めるという形態を採用していた。また、重要なイベントでは従来のビジュアルノベルに酷似した表現を用いる場合もあった。これらの点で、本作品はビジュアルノベルと恋愛シミュレーションゲームの過渡期にあるゲームであるといえる。
ちなみに、過渡期のゲームにありがちなシステム面の未完成ぶりも本作品の特徴と言える。特にシステムの中心となる日常会話にランダムな要素が強く、イベントの発生に必要な好感度を上昇させることさえ困難な場合が多々見られ、本作品のゲーム性を著しく損なっていた。また、そもそもこの日常会話はイベントの進行に連動しておらず、ストーリーが深刻さを増していくほど、その深刻さと乖離した他愛のない会話が激しい違和感を醸し出すことになった。
ちなみにLeafは恋愛シミュレーションゲームという新システムの導入にかなり苦労しており、本作品に続く『こみっくパーティー』でもシステム面での不安定さが完全には払拭できず、一部のエロゲオタクから非難されるほどであった。
[編集] テキスト
本作品は、上記のとおり日常会話が中心となるパラメーター型の恋愛シミュレーションゲームであるにも関わらず、異様なテキストの量と濃さを誇っているという特徴も持っている。これは、シナリオライター・原田宇陀児(はらだ うだる)の強烈な個性によるところが大きい。
そのテキストは、会話中心の割には日常的とは言い難い文学的色合いの強い文体であり、かつ詩的な表現が多く、さらにライターのマニアックな趣味や衒学的な要素が端々に溶け込んでいるという独特のものであった。また、ストーリー上浮気を正当化しようとする主人公の独白が多くなっており、それらが上記のようなテキストで長々と展開されたため、テキスト全体としてはある種の哲学の発露であるかのような異様な濃さを醸し出していた。
なお、これは明らかに従来のビジュアルノベルとは異なる路線のテキストではあったが、このテキストが感性的にフィットした一部のユーザーからは絶大な支持を受けることとなった。
[編集] 本作品の位置付け
上記のように、本作品は過渡期の、つまり極めて中途半端な作品であり、発売当初の評価は必ずしも良くなかった。特に旧来のLeafファン(従来のビジュアルノベルの支持者達)からは、路線変更により破綻した駄作だ、などと酷評されることもしばしばであった。
しかし、この評価は『こみっくパーティー(こみパ)』の出現により一変することになる。その背景には、『こみパ』がビジュアルノベル的要素を完全に廃した恋愛シミュレーションゲームとして登場し、その製作もそれまでの大阪開発室ではなく、F&Cからの移籍組が中心である東京開発室が行った、ということに対する旧来のLeafファンの激しい反発があった。この時点で、これらファンから見たLeafの純正ゲームは『WHITE ALBUM』までとなった。
さらに、続く『まじかる☆アンティーク』も、形式的には大阪開発室の手によるものであったものの、シナリオと原画のスタッフが一新され、ゲームシステムも経営シミュレーションの要素が混じるなど、旧来の路線からの乖離がますます進んだため、旧来のLeafファン達の激しい反発を招いた。よって、当然これも彼らからLeaf純正ゲームとしては扱われなかった。
このため、当初は低かった『WHITE ALBUM』の地位は相対的に上昇した。上記のような独特のテキストを持っていたこともあり、本作品はLeafの徒花からLeaf最後の純正作品として準ビジュアルノベル的ともいえる高い位置付けを得ることになったのである。なお、『まじかる☆アンティーク』に続く『誰彼』も、原田宇陀児がシナリオ製作を投げ出してLeafを退社した後はグダグダになり、結局旧来のLeafファンの心を掴むには至らなかったため、この傾向はかなり長い間彼らの間で維持されることとなった。
なおLeaf大阪開発室は、再起を期してビジュアルノベル vol.4と銘打たれた『Routes』で実力的には復活。東京開発室との共同開発である『To Heart 2』、初のサスペンス物である『鎖』で最盛期並とまでは行かないものの安定した人気を取り戻している。ただし、それによって『WHITE ALBUM』の評価が変化してはいない。結局、『WHITE ALBUM』はLeaf大阪黄金期最後の作品ではなく、1作ごとにクリエイターが変化する現在のLeafの体制による最初の作品だったとも言える。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 登場人物
- 藤井 冬弥 (ふじい とうや)
- 本編の主人公。同じ大学に通う女性アイドルの森川由綺と交際しているが、彼女が多忙なため一緒にいられないことが多く、それから逃げるように他のヒロインに浮気をしてしまう(「由綺シナリオ」以外では)。その上、別れ話は切り出せず、曖昧なままで三角関係をだらだらと続け、さらにそれを正当化しようとする言動(主に独白)を繰り返すことになる。このため、『君が望む永遠』の鳴海孝之が出現するまではエロゲーでヘタレといえば彼を指したというくらい評判が悪い稀有な主人公である。
- 森川 由綺 (もりかわ ゆき)
- 誕生日:12月24日。血液型:A型。星座:やぎ座。身長:160cm。年齢:19才。3サイズ:80/56/77。
- 藤井冬弥の彼女で人気上昇中の女性アイドル。設定では歌の才能に溢れているとされている。温厚で純朴で素直な努力家であるという欠点の見当たらない性格に加え、多忙で冬弥に会えない寂しさを人に見せない気丈なところも持っている。にもかかわらず、彼氏に浮気をされ捨てられてしまうという救われないヒロインである。(ちなみに彼女と冬弥が結ばれる「由綺シナリオ」では、逆に彼女が緒方英二との浮気未遂を引き起こしてしまう。)
- 澤倉 美咲 (さわくら みさき)
- 誕生日:4月7日。血液型:A型。星座:おひつじ座。身長:158cm。年齢:21才。3サイズ:83/58/83。
- 冬弥、由綺と同じ大学に通う大学生。温厚かつ控え目で頼まれたら嫌とは言えない性格である。高校時代から二人の先輩であり、その頃から冬弥に横恋慕していたことがシナリオを進めるに連れて明らかとなる。彼女は、由綺に会えない冬弥と男女の関係を進展させることになるが、一方で自責の念にかられて冬弥を避けるようになってしまうような繊細な心の持ち主でもある。
- 緒方 理奈 (おがた りな)
- 誕生日:11月26日。血液型:AB型。星座:いて座。身長:165cm。年齢:19才。3サイズ:83/54/82。
- 森川由綺と同じ芸能プロダクションに所属する人気女性アイドルで、由綺の先輩。幼い頃から芸能界という孤独な環境にいたため、身近で彼女のプロデューサーをしていた実兄の緒方英二に対する情愛が強いものの、彼自身は由綺に入れ込むようになってしまい、さらなる孤独感に苛まれていた。そこに冬弥が現れ、優しく接してもらうことにより、彼に心を奪われていくようになる。なお彼女は、物言いこそキツめなものの、性格は優しく素直であり、優雅さの中に強さと弱さを秘めているという極めて魅力的なキャラクターであることから、Leaf作品屈指のヒロインであるといえる。ちなみにTo Heart及び、To Heart 2に名前だけではあるが登場している。
- 河島はるか (かわしま はるか)
- 冬弥の幼馴染で同じ大学に通う大学生。ボーイッシュな外見に加え、飄々としていて掴み所のない性格をしており、冬弥とは男友達のように付き合っている。しかし、内面では数年前に兄を失ったことからくる寂しさを抱えているため、冬弥に優しく扱われているうちに次第に彼に心を寄せるようになり、最終的には結ばれることになる。ダウナー系でLeafクロスオーバーなパロディ作品では天使のいない12月の須磨寺雪緒とも対等に渡り合える、ある意味Leaf最強キャラでもある
- 観月マナ (みづき まな)
- 由綺の親戚の高校生。親がアルバイトの家庭教師を募集したため、それに偶然応募してきた冬弥と知り合うことになる。背伸びをしたがる傾向のある生意気な性格で、最初は冬弥を振り回してばかりいるが、それにもかかわらず誠実に対応してくれる冬弥に次第に惹かれていくようになる。
- 篠塚弥生 (しのづか やよい)
- 由綺のマネージャ。冷静沈着で冷徹な性格な男性不信の女性である。その一方で由綺をトップアイドルに成長させることを生きがいとするなど、彼女に対する思い入れはかなり強い。由綺の成長のために彼女を冬弥からできる限り引き離したいと考えており、それを冬弥に迫るとともに、その代償措置として自らの体を冬弥に提供していく。
- 七瀬彰 (ななせ あきら)
- 藤井冬弥、森川由綺、河島はるかの友人。一見女性のような容姿をしている優男である。憧れの先輩である澤倉美咲に密かな想いを抱いているが、それを言い出せないまま曖昧な関係を保っている。このため、美咲シナリオでは三角関係+1の泥沼を演出するのに一役買うことになる。2ちゃんねるのLeaf,key掲示板での彼のスレッドなどでは、作品も会社も違うONE~輝く季節へ~のヒロイン七瀬留美と従妹という設定がなされている。フランク長瀬の甥なので、彼もLeafおなじみの長瀬一族の一員である
- 緒方英二 (おがた えいじ)
- 緒方理奈の兄で、森川由綺と緒方理奈の所属する芸能プロダクションの社長。かつては天才的な才能を持つミュージシャンであった。人を食ったような態度で冷たい言葉をあびせかけることが多い人物である。
- フランク長瀬 (ふらんく ながせ)
- 七瀬彰の親戚。冬弥がアルバイトをしている喫茶店のマスター。この頃のLeaf作品ではお約束の長瀬一族キャラである。
[編集] スタッフ
Leaf伊丹(現:大阪)開発室による作品。
- シナリオ:原田宇陀児
- 原画:ら~・YOU、水無月トオル(ゲスト原画)
- 音楽:石川真也、中上和英、下川直哉
- OP・挿入歌:WHITE ALBUM
- 歌:森川由綺
- 作詞:森川由綺
- 作曲:石川真也
- 編曲:石川真也、松岡純也
- 挿入歌:SOUND OF DESTINY
- 歌:緒方理奈
- 作詞:須谷尚子
- 作曲:中上和英
- 編曲:中上和英、松岡純也
- ED:POWDER SNOW
- 歌:AKKO
- 作詞:須谷尚子
- 作編曲:下川直哉
- OP・挿入歌:WHITE ALBUM
[編集] 外部リンク
[編集] 関連項目
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