東京地下鉄日比谷線
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日比谷線(ひびやせん)は、東京都足立区の北千住駅~目黒区の中目黒駅間を結ぶ、東京地下鉄(東京メトロ)が運営する鉄道路線。正式名称は2号線日比谷線である。
車体及び路線図や乗り換え案内で使用されるラインカラーは「シルバー」(銀):○H。
名前の由来は日比谷公園のある日比谷から。
目次 |
[編集] 路線データ
- 路線距離(営業キロ):20.3km
- 軌間:1067mm
- 駅数:21駅(起・終点駅含む)
- 複線区間:全線
- 電化区間:全線(直流1500V架空電車線方式)
- 閉塞方式:車内信号閉塞式(営団CS-ATC、2003年10月まで同WS-ATC)
- 車両基地:千住検車区・竹ノ塚検車区(東武伊勢崎線内)
- 地上区間:中目黒駅付近・南千住駅~北千住駅付近
[編集] 概要
1962年(昭和37年)の都市交通審議会答申第6号において、東京2号線は、中目黒方面より六本木・霞ヶ関・築地・茅場町・上野及び三の輪(三ノ輪駅)の各方面を経て北千住方面に至る路線として示された。その後、北千住より竹ノ塚・松原団地・北越谷方面へと延長された。1985年(昭和60年)の運輸政策審議会答申第7号では、竹ノ塚~北越谷間の東武線複々線化が示されている。このうち中目黒~北千住間は日比谷線として順次開業した。
東京の北東の北千住と西南の中目黒を、途中銀座を中心として上野・築地・霞ヶ関・六本木など、東京の要所を経由してS字型に結ぶ路線である。北千住~南千住は隅田川を渡るため地上区間になっている。両端の駅からはそれぞれで接続する東武伊勢崎線と東急東横線と直通運転をする。ほとんどが開削工法で道路の下を通り、線形は半径200m以下で90度曲がるような急カーブが連続する。
1964年の東京オリンピックに間に合わせるため、突貫工事で建設された(ほぼ同時期に建設された都営浅草線は全線開通がオリンピックに間に合わず開催期間中は工事が休止された)。
[編集] 沿革
- 1957年5月18日 - 都市計画第2号線(日比谷線)の建設計画を決定。
- 1957年9月24日 - 日比谷線開業後に相互直通運転することを3事業者(営団・東武・東急)の合意とする。
- 1958年6月10日 - 用地交渉を開始。
- 1959年5月1日 - 工事着工。
- 1961年3月28日 - 南千住~仲御徒町間(3.7km)開業。
- 1962年5月31日 - 北千住~南千住間(2.1km)及び仲御徒町~人形町間(2.5km)開業、東武伊勢崎線北越谷駅まで相互直通運転開始。
- 1963年2月28日 - 人形町~東銀座間(3.0km)開業。
- 1964年3月25日 - 霞ケ関~恵比寿間(6.0km)開業。
- 1964年7月22日 - 恵比寿~中目黒間(1.0km)開業。
- 1964年8月29日 - 東銀座~霞ケ関間(1.9km)開業により全線開通、東急東横線日吉駅まで相互直通運転開始。
- 1966年9月1日 - 東武伊勢崎線への乗り入れ区間を北春日部駅まで延長。
- 1968年1月27日 - 神谷町駅で車両火災事故が発生、以後鉄道車両の不燃化対策が強化される。
- 1981年3月16日 - 東武伊勢崎線への乗り入れ区間を東武動物公園駅まで延長。
- 1988年7月1日 - 03系営業運転開始。
- 1988年8月9日 - 東急東横線への乗り入れ区間を菊名駅まで延長。
- 1995年3月20日 - 地下鉄サリン事件発生。
- 1997年10月12日 - 営団地下鉄で初のイベント列車「ドリームエクスプレス97」が東急東横線日吉駅~霞ケ関間で往復運行される(なお、千代田線・有楽町線でも同様のイベントが同時に行われた)。
- 2000年3月8日 - 中目黒駅付近で列車脱線事故(営団日比谷線脱線衝突事故)発生。
- 2004年4月1日 - 帝都高速度交通営団が民営化し東京地下鉄(東京メトロ)になる。
- 2006年3月27日 - 平日7時30分から9時まで北千住駅を発車する中目黒方面行(東武伊勢崎線からの直通列車を含む)で女性専用車を導入。運用は中目黒までで、9時の時点で一斉終了となる。
[編集] 運転
北千住駅で東武伊勢崎線(東武動物公園駅まで。車両運用の都合上平日朝1本に南栗橋駅始発の直通あり)と、中目黒駅で東急東横線(菊名駅まで)とそれぞれ相互直通運転を行っている。日中の東武線直通運用は10分間隔であるが(北越谷駅までの東武線内の各駅停車は全て直通列車。以遠は、新越谷駅より先は各駅停車となる区間準急があるため、直通列車の本数は減少する)、約半数は北千住駅で折り返す運用となっている。またラッシュ時には南千住、霞ヶ関、六本木行きも存在する。
東京メトロ03系以外の車両は、東武車・東急車はお互いの保安装置を持っていないため、3社直通運転は行われていない。東武線からの直通は中目黒まで、東急線からの直通は北千住までである。しかし50S以降の偶数番の車両は1日で東急線・東武線(直接ではなく東急線~北千住~中目黒~東武線)に乗り入れる運用も組まれている。
なお、行楽シーズンには北千住から横浜高速鉄道みなとみらい線の元町・中華街駅まで直通運転する臨時列車(みなとみらい号、開始当初は横浜みらい号)が運転されることがある。この列車は日比谷線内でも急行運転を行う(途中停車駅は上野・仲御徒町・秋葉原・人形町・茅場町・八丁堀・東銀座・銀座・日比谷・霞ケ関駅・六本木・恵比寿)。この列車は以前にも2003年12月に東京ミレナリオ号として急行運転を行ったことがある。
車両基地は千住と竹ノ塚にある。竹ノ塚検車区は元の東武鉄道の西新井車庫を譲渡されたものである。
なお、半蔵門線・南北線・都営新宿線とは接続駅がない(ただし半蔵門線の車両は東武に乗り入れているため東武線内ですれ違うことがあり、また南北線の車両も東横線内の田園調布~武蔵小杉間で並走する)。
[編集] 車両
日比谷線の車両は、建設当時既に20m車を標準としていた東武から20m車規格が提案されたが、東急・営団(現・東京メトロ)は18m車が標準であったため、協議の末18mが採用された。しかし現在では3社とも20m車を採用していることから、東武・東急とも乗り入れ用車両のみ18m車となり、専用車両を製造して乗り入れている。また、建設当時の東急東横線が最大6両編成であったことから当初6両編成規格で建設されたが、建設途中から8両に変更されている。車両の扉数は片側3扉が標準だが、東京メトロ及び東武の一部車両は前後2両ずつを5扉としてラッシュ混雑時の乗降時間短縮を図っている。なお、18m車8両編成のため輸送力に劣ることから東武・東急ともに各駅停車しか乗り入れない。また、日比谷線自体も混雑が恒常化しているため、東武側は半蔵門線と、東急側は南北線・都営三田線(2012年度からは13号線・有楽町線も)と、日比谷線乗り入れ区間には大型車が入線可能な別の路線とも相互乗り入れが行われるようになった。
[編集] 自社車両
[編集] 乗り入れ車両
[編集] 過去の車両
[編集] 女性専用車
平日の朝7:30~9:00に北千住駅を発車するA線(中目黒方面行き)の進行方向最後尾車両(実施区間は北千住~中目黒間)(9時を過ぎた時点で女性専用車の扱いは取りやめとなる)
[編集] 駅一覧
駅所在地はすべて東京都内。
駅番号 | 駅名 | 接続路線 | 所在地 |
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東京急行電鉄東横線菊名駅まで直通運転 | |||
H-01 | 中目黒駅 | 東京急行電鉄:東横線(渋谷方面) | 目黒区 |
H-02 | 恵比寿駅 | 東日本旅客鉄道:山手線、埼京線、湘南新宿ライン | 渋谷区 |
H-03 | 広尾駅 | 港区 | |
H-04 | 六本木駅 | 都営地下鉄:○大江戸線(E-23) | |
H-05 | 神谷町駅 | ||
H-06 | 霞ケ関駅 | 東京地下鉄:○丸ノ内線(M-15)、○千代田線(C-08) | 千代田区 |
H-07 | 日比谷駅 | 東京地下鉄:○千代田線(C-09)、○有楽町線(有楽町駅:Y-18) 都営地下鉄:○三田線(I-08) 東日本旅客鉄道:山手線(有楽町駅)、京浜東北線(有楽町駅) |
|
H-08 | 銀座駅 | 東京地下鉄:○銀座線(G-09)、○丸ノ内線(M-16) | 中央区 |
H-09 | 東銀座駅 | 都営地下鉄:○浅草線(A-11) | |
H-10 | 築地駅 | ||
H-11 | 八丁堀駅 | 東日本旅客鉄道:京葉線 | |
H-12 | 茅場町駅 | 東京地下鉄:○東西線(T-11) | |
H-13 | 人形町駅 | 都営地下鉄:○浅草線(A-14) | |
H-14 | 小伝馬町駅 | ||
H-15 | 秋葉原駅 | 東日本旅客鉄道:山手線、京浜東北線、中央・総武線(各駅停車) 首都圏新都市鉄道:つくばエクスプレス線(01) |
千代田区 |
H-16 | 仲御徒町駅 | 東京地下鉄:○銀座線(上野広小路駅:G-15) 都営地下鉄:○大江戸線(上野御徒町駅:E-09) 東日本旅客鉄道:山手線(御徒町駅)、京浜東北線(御徒町駅) |
台東区 |
H-17 | 上野駅 | 東京地下鉄:○銀座線(G-16) 東日本旅客鉄道:東北新幹線、上越新幹線、長野新幹線、宇都宮線、高崎線、常磐線(快速)、山手線、京浜東北線 京成電鉄:本線(京成上野駅) |
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H-18 | 入谷駅 | ||
H-19 | 三ノ輪駅 | 東京都交通局:都電荒川線(三ノ輪橋駅) | |
H-20 | 南千住駅 | 東日本旅客鉄道:常磐線(快速) 首都圏新都市鉄道:つくばエクスプレス線(04) ※ |
荒川区 |
H-21 | 北千住駅 | 東京地下鉄:○千代田線(C-18) 東日本旅客鉄道:常磐線(快速) 東武鉄道:伊勢崎線(浅草方面) 首都圏新都市鉄道:つくばエクスプレス線(05) |
足立区 |
東武鉄道伊勢崎線東武動物公園駅まで直通運転 |
※南千住駅:乗り換え駅としては認めていない。3社とも乗り換え案内は行っているが、連絡業務を行っていないことからともに同名の至近駅と見なすこともできる。南千住駅を参照のこと。