東武20000系電車
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20000系電車(20000けいでんしゃ)は、東武鉄道の通勤形電車。1987年(昭和62年)に登場した。
本稿では、同じ目的で製造された5扉車の20050系電車と、3扉車の20070系電車についても記述する。
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[編集] 概要
非冷房車であり、かつ老朽化していた帝都高速度交通営団(→東京地下鉄)日比谷線直通用の2000系を置き換える目的で製造された。また軽量ステンレスの車体構造は10030系に準ずる。有楽町線直通用の9000系と同様に、主回路制御に電機子チョッパ制御を採用している。1992年(平成4年)までに8両編成13本(104両)が製造された。
1988年からは営団地下鉄もようやく車両冷房に踏み切る事になったが、日比谷線では車両の更新も兼ねており、まず東武20000系が最初に登場し、次いで営団03系、東京急行電鉄1000系の順で登場している。
その後、編成の前後各2両を5扉車とし、VVVFインバータ制御を採用すると共に、LED式行先表示器や液晶式車内案内表示器(千鳥配置)、ドアチャイムを装備した20050系が1992年に登場した。こちらは8両編成8本(64両)が在籍し、先頭車の正面には5扉車であることを示す「5DOORS」マークを掲出する。このうち液晶表示器は液晶自体の劣化が進んたため、1999年に9050系のものとともに撤去し、その位置は広告枠とした。液晶表示器はシャープ製であった。
2000年に中目黒駅構内で発生した営団日比谷線脱線衝突事故により、21852編成の中間車2両の車体が代替製造されている。これは修理扱いで事故による廃車とはしていない。
さらに編成両端の5扉車を3扉車に戻し、VVVFインバータ制御、LED式行先表示器、シングルアーム式パンタグラフ(20000系と20050系は下枠交差式)、LED式車内案内表示器(千鳥配置)、ドアチャイムを装備した20070系が1996年に登場した。8両編成3本(24両)が在籍しているが、これらは置き換えではなく列車増発用として登場した。この頃から全車両の車体側面部に「日比谷線 直通」と表記したプレートを貼付するようになった。
これら20000系列の車両はすべて乗り入れ先の日比谷線の規格に合わせて18m級車両である。
系列上の運用上の区別はなく、全車共通で東武車の運用(運行番号の末尾「T」)で使用されている。
走行区間はすべて東武線~日比谷線中目黒駅までの各駅停車であり、東急東横線へは乗り入れない。朝に日光線南栗橋駅から都心に向かう列車、同じく深夜に東武動物公園駅から南栗橋駅へ向かう列車もそれぞれ1本だけ存在する。また走行距離の調整で日比谷線内を往復し、東武線に戻らない運用もある。
ほぼすべての車両が日比谷線に直通運転するが、東京メトロおよび東京都交通局(都営地下鉄)の路線図(メトロネットワーク)の掲示がない。
[編集] 仕様
[編集] 20000系
- 制御装置:AFE式主回路チョッパ AFE2(東洋電機製造製)
- 制動装置:回生ブレーキ併用全電気指令式電磁直通空気ブレーキ(HRD-2R)、保安ブレーキ付
- 駆動装置:TD撓み板継手中空軸平行カルダン(TD-81)
- 主電動機:直流複巻電動機 TM-83(140kW×4)
- 補助電源装置:東芝製GTO素子方式静止形インバータ(SIV)INV033-A0 容量140kVA
- 起動加速度:3.3km/h/s
- 減速度:3.7km/h/s(常用)4.5km/h/s(非常)
- 営業最高速度:95km/h(日比谷線内70km/h)
- 歯車比:5.44
[編集] 20050系・20070系
- 制御装置:GTO素子方式VVVFインバータ ATR-H8150-RG642A(東洋電機製造製)
- 制動装置:回生ブレーキ併用全電気指令式電磁直通空気ブレーキ(HRD-2R)
- 駆動装置:TD撓み板継手中空軸平行カルダン(TD-88)
- 主電動機:三相交流かご形誘導電動機 TM-92(150kW×4)
- 補助電源装置:東芝製GTO素子方式SIV(INV033-A0)140kVA
- 起動加速度:3.3km/h/s
- 減速度:3.7km/h/s
- 歯車比:6.21
[編集] 関連項目
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