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銀河英雄伝説の戦役一覧 - Wikipedia

銀河英雄伝説の戦役一覧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

[分割]
項目分割の提案:この項目は、記事の一部を「銀河英雄伝説の事件一覧」に分割することが提案されています。議論はノート:銀河英雄伝説の戦役一覧を参照してください。なお、分割作業を行う際には履歴不継承にならないように注意してください。

銀河英雄伝説の戦役一覧(ぎんがえいゆうでんせつのせんえきいちらん)は、田中芳樹の小説、およびそれを原作としたアニメ『銀河英雄伝説』に登場する、架空の戦役及び戦闘の一覧である(一部非戦闘の項目を含む)。

目次

[編集] 概要

本項は、銀河英雄伝説の本編及び外伝で執筆された「創作上のリアルタイム」に登場する戦役、及び独立した戦闘を、原則として時系列に沿って記述している。戦役の中に含まれると思われる戦闘も、特記すべき戦闘に関しては別項を設けて記述した。一部戦闘とは呼べない事件(キルヒアイスの死亡等)を、物語上重要な場面であれば項目として含めている。


注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。


[編集] 本編開始前の主な戦役/戦闘

[編集] 13日間戦争

[編集] シリウス戦役

[編集] M・シュフランとC・ウッドによる宇宙海賊平定

[編集] ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムの宇宙海賊平定

[編集] ルドルフ死後の反乱と鎮圧

[編集] アーレ・ハイネセンの長征一万光年

[編集] ダゴン星域会戦

宇宙暦640年/帝国暦331年7月14日~22日。帝国軍と同盟軍の、初めての本格的な艦隊戦闘。なお、この戦いを描いた原作小説は、当初は通常の単行本に収録されていなかったが、西暦2002年3月発行の徳間デュアル文庫「銀河英雄伝説外伝1・黄金の翼」に収録された。

2月頃に本戦の前哨となる遭遇戦が発生し、帝国軍が初めて同盟(帝国は叛徒と呼称)の存在を認識、時の皇帝であるフリードリヒ3世の3男ヘルベルト大公が司令官となって討伐部隊が結成された。帝国軍の兵力は艦艇52,600隻/将兵4,408,000人。ただし司令官のヘルベルト大公は軍事の素人であり、彼が選んだ上層部の半数も非軍人であるヘルベルトの取り巻きの貴族。残り半数はインゴルシュタット中将など相応の軍事能力を備えた幕僚。一方の同盟軍はその半数の兵力ながら、軍事/指揮能力の優秀さだけは誰も疑わなかったリン・パオ中将を総司令官に、ユースフ・トパロウル中将を総参謀長に据え、迎撃の準備を整えた。

7月8日、同盟軍の駆逐艦ヤノーシュがイゼルローン回廊の出口付近を哨戒中に帝国艦隊を発見、同14日に先鋒の分艦隊どうしがダゴン星域で戦闘状態にはいったが、お互い逃げ腰で長距離砲撃を行ったのみで双方とも損害無しだった。その後、インゴルシュタットはダゴン星域の不安定な状態を見越して密集隊形で相手の戦力を消耗させる事を考えた。16日の戦闘で同盟のオレウィンスキー艦隊が戦術的敗北を喫して3割の損害を出すと、リン・パオは帝国軍に相応の戦術能力がある事を認め、戦闘の勝利より相手の疲弊と撤退を優先させる事を考えた。

一方、この勝利に気を良くしたヘルベルトはインゴルシュタットの戦法を無視して17日に攻勢を命じ、艦隊を放射状に分散させた。18日に帝国軍が動いたという(常識外の)報告を受けたリン・パオとユースフ・トパロウルは、最初は敵の周到な作戦かと疑い、同日の戦闘でも後手に回ったが、19日になって帝国軍が「あほう」である事に気がつき、当初の宙域に残っていた帝国軍本隊を全兵力で攻撃する事を決断した。16時、リン・パオは攻勢に転じ、一旦は止められたが、18日に特命を受けて後方のかく乱を勤めていた同盟軍エルステッド艦隊の活躍がこの頃から功を奏し始め、翌20日に帝国軍バッセンハイム中将の艦隊が崩壊、同中将が戦死した。それで激怒したヘルベルトは分散した艦隊に再結集を命じたが、同盟軍はそれを傍受し、敵が集結したところを一挙に包囲殲滅する事を命じた。21日0時40分、同盟軍ウォード中将の艦隊が帝国軍左翼を攻撃し、さらに反対方向からアンドラーシュ艦隊が突進。帝国軍のハーゼンクレーバー提督は乗艦もろとも四散した。この攻撃によって更なる密集隊形を取らざるを得なくなった帝国軍に対して同盟軍は全面攻撃を敢行、22日4時30分、帝国軍はほぼ消滅した。生存率は8.3パーセント。ヘルベルト大公は、生きて帰ることができたが、この敗戦のため皇位を継ぐことができなくなった。またインゴルシュタット中将は敗戦の責任を取らされて銃殺となった。

[編集] 第2次ティアマト会戦

宇宙暦745年/帝国暦436年12月5日~11日。帝国軍と同盟軍の戦い。

同盟軍の兵力は6個艦隊/艦艇48,000隻/363万6000人。総司令官は当時の同盟軍宇宙艦隊司令長官であるブルース・アッシュビー大将、35歳。艦隊司令官はウォーリック、ジャスパー、コープ、ファン、ベルティーニの各中将。総参謀長のローザス中将を含め全員が730年マフィアであり、各人の艦隊指揮能力は非常に高かったが、今回は何故かアッシュビーが異様に高圧的な態度であった為、各提督(特にコープ)から不平の声が挙がっていた。これが後にヤンが調査を担当するアッシュビーの謀殺疑惑に繋がっていく。なお、当時軍曹だったアレクサンドル・ビュコックが砲術下士官として戦線に参加している。

帝国軍の兵力は7個艦隊/艦艇56,000隻/将兵650万人(アニメ版のデータ。原作小説では同盟側のデータとしてややあいまいな幅が記述されている)。総司令官は当時の帝国軍宇宙艦隊司令長官であるツィーテン元帥、55歳。艦隊司令官はシュリーター、コーゼル(以上大将)、ミュッケンベルガー(グレゴールの父親)、シュタイエルマルク、カイト、カルテンボルン(以上中将)。ミュッケンベルガーは叔父(或いは伯父)である故・ケルトリング軍務尚書の弔い合戦を将兵に訓辞したが、シュタイエルマルクはこれに批判的だった。なお、コーゼル艦隊の情報参謀として、クリストフ・フォン・ケーフェンヒラー大佐が参加している。

両軍とも兵力展開は12月4日に行われ。翌5日9時50分から砲撃戦が開始された。艦隊運用による一進一退の激戦が続く中、6日14時30分、コープの同盟第11艦隊の攻撃によりミュッケンベルガー中将が戦死。その後も各提督の指揮能力が発揮されて戦果を上げていったが、8日から10日にかけて戦況は膠着し、11日16時40分、帝国軍は繞回運動によって同盟に対し2倍の戦力を集中させる事に成功した。しかし18時10分、アッシュビーの艦隊が帝国軍の左側面から突入して帝国軍を壊乱させた。ここから50分までが、いわゆる軍務省にとって涙すべき40分となり、帝国軍はシュタイエルマルク艦隊を除いて戦線崩壊、勝敗が決した。

だが同日19時7分、同盟総旗艦「ハードラック」が流れ弾で被弾し、艦橋まで被害が広がった。アッシュビーは爆発によって飛来した破片で腹部を切り裂かれ、19時9分に死亡した。

[編集] エル・ファシルを巡る戦い

宇宙暦788年/帝国暦479年5月~9月。同盟外縁部のエル・ファシル星系において発生した帝国軍小艦隊と同盟守備部隊との戦いと、その後に生じた一連の出来事を指す。なお、それまで断片的にのみ語られていた本エピソードは、アニメ外伝「螺旋迷宮」第1話「エル・ファシルの英雄」で話としてまとめられた。

当初は単なる小競り合いと思われていたが、守備部隊の司令官であるアーサー・リンチ少将が指揮と運用を誤って帝国軍に背後から急襲される事態となった。リンチはエル・ファシルへの撤退を命じたが、この時艦列のたて直しを怠った為、約半数の艦艇が撃沈もしくは投降した。惑星エル・ファシルには艦隊約200隻/兵力50,000人が逃げ込んだが、帝国軍はエル・ファシルを占拠しようと増援を繰り出して来た。

帝国の支配に怯えるエル・ファシル在住の民間人は脱出と保護を軍に求めてきたが、それを重視出来ないリンチは、警備艦隊幕僚の中で一番暇そうなヤン中尉に任務を命じた(アニメ版では手の空いている者に対応させろと命じ、命じられた士官が周囲を見回して、手持ち無沙汰のヤンに目を止めたという形になっている)。命令を受けたヤンは、その年齢と階級、そして後にも度々ヤンの個性として登場する「外見の頼りなさ」から、民間人の代表者達に担当官としての技量を不安視されたが、艦船の手配を初め必要な準備は整えた。この時、当時14歳だったフレデリカサンドイッチコーヒーの差し入れを受けたが、ヤン自身は再会した時全く覚えていなかった。

その後、提出した脱出計画書に見向きもしないリンチの態度を見て司令官の思惑に気が付いたヤンは、密かに別の計画を立て始めた。やがてリンチ及び一部幕僚が民間人を見捨てて脱出(リンチ本人は後に救援を呼んでくる為に先発しただけと主張。ただしそれを事前に告知していないなど矛盾が多い為、誰も信じていない)。だがこの事を予測していたヤンはかねてより考えていた計画を開始。混乱する民間人をまとめ、リンチ達が帝国軍に追跡・拿捕される時間を利用して別の方角から逃走、敢えて帝国軍のレーダーに捕らえさせ、隕石群であると勘違いさせて脱出に成功した。ヤンはこの功績によって同年9月19日に中尉から大尉、さらにその6時間5分後に少佐に昇進し、「エル・ファシルの英雄」として同盟全土に名前が知れ渡った。

[編集] 惑星エコニアの騒乱

[編集] 惑星カプチェランカの戦闘

宇宙暦791年/帝国暦482年7月、ラインハルト(少尉)とキルヒアイス(准尉)が惑星カプチェランカの帝国軍前線基地BIII(ベー・ドライ)に赴任した時の戦闘および関連した事件(ただしこの星の天然資源の争奪戦そのものは二人が赴任してくる以前から恒常的に発生していた)。なお、この戦闘を描いた「白銀の谷」の原作小説は、当初は通常の単行本に収録されていなかったが、西暦2002年3月発行の徳間デュアル文庫「銀河英雄伝説外伝1・黄金の翼」に収録された。

ベーネミュンデ公爵夫人及びグレーザー医師の意を受けた基地司令官のヘルダー大佐が、部下で共謀者のブーゲンベルヒ大尉を通じて、ラインハルトとキルヒアイスの二人に機動装甲車による敵情視察を命じた。この車には途中で水素電池のエネルギーが不足する様に細工がなされ、厳寒のカプチェランカで立ち往生する様に仕向けられていたが、二人は現場を哨戒していた同盟軍の装甲車3両を襲撃して電池(及びデータ)を奪い窮地を脱した(これがラインハルトとキルヒアイスにとって最初の実戦と戦果になった)。

さらにラインハルトは、ヘルダーに命じられて謀略の成果を確認にきたブーゲンベルヒに対して困窮した様子を演じ、真意を聞き出した後射殺。逆に同盟軍から得たデータを使ってヘルダーを罠にかける事を考えた。BIIIを攻撃している同盟軍に偽の作戦中止命令を送って攻撃をやめさせる、という武勲を立てた後に帰還したラインハルトは、ヘルダーの謀略に気が付いていないふりをしながら敵基地の所在報告と攻撃の提案を行い、ヘルダーに疑心暗鬼を抱かせながら戦場に連れ出す事に成功した。戦闘経験で一日の長があるヘルダーに一旦は追い込まれたが、キルヒアイスの援護によってヘルダーの捕獲に成功した。だが一瞬の隙にヘルダーは自殺し、現場に居合わせて真相を知ったマーテル副司令官は証言を拒否。その代わりラインハルトに艦隊勤務に就ける様推薦する事を約束した。ラインハルトは不満ながらも諦め、戦場を離れた。

道原かつみ版コミック、黄金の翼では、ラインハルトの命を狙うクルムバッハ少佐は同盟軍との戦いで戦死したことになっているヘルダー大佐は実はラインハルトに殺されたのではないかと疑っている。また、同じくコミック本編では惑星カプチェランカと環境が酷似した戦場でミッターマイヤーとロイエンタールが地上戦を行なっていることが描かれている。

[編集] ハーメルンIIの戦闘

宇宙暦791年/帝国暦482年8月イゼルローン要塞第237駆逐隊所属の駆逐艦ハーメルンIIが参加した戦い。惑星カプチェランカの戦闘後に宇宙艦隊勤務になったラインハルト(中尉)が航海長として、キルヒアイス(少尉)が保安主任として勤務していた。なお、このエピソードを描いた「叛乱者」はアニメ版がオリジナル。

8月27日、駆逐隊に命じられたイゼルローン回廊哨戒任務遂行の為要塞を進発。9月2日、同盟側約6光年の距離にあるアルトミュール恒星系の小惑星帯で同盟軍の奇襲に遭遇。ハーメルンIIは左舷下部に被弾し艦長のアデナウアー少佐が負傷。指揮不能となった為、その時点で艦橋にいた最高位のラインハルトが指揮を引き継いだ。この時僚艦は通常の行動規定に添って面舵を取ったが、ラインハルトは敵の伏兵の存在を見越して取舵を命じた。後から艦橋に着いた副長のベルトラム大尉がそれを承知せず、指揮権を奪って航路の変更を命じたが、ラインハルトは艦長の命令を盾に指揮権委譲を拒否した。両者が言い争っている最中に、面舵をとった僚艦が待ち伏せに遭遇して全滅した事が判明し、艦橋要員は自然にラインハルトの命令に従った。これによってハーメルンIIは危機を脱したが、ベルトラムはラインハルトを拘禁した。

その後、ハーメルンIIが機関部の損傷によって脱出に必要な速度を出す事が難しい事が判明。天体物理学に長けたシュミット一等兵が恒星アルトミュールの表面爆発を利用して加速を得る方法を上申したが、ベルトラムは却下し、さらに軍規に乗っ取り自沈を主張した。水雷長のデューリング中尉は同意出来ず、キルヒアイスを通じてラインハルトの叛乱を促した。キルヒアイスはアラヌス・ザイデル伍長を説得して味方につけ、ラインハルトを解放。ラインハルトは艦橋を制圧して指揮権を奪取し、シュミットの案を採用して脱出作戦の立案に入ったが、検討の結果様々なリスクが予測され、士官の中からも不安の声が挙がった。それでもラインハルトは他に選択肢が無いと判断し作戦の実行を決定した。

この決定に不安を抱いた通信主任のフレーベル少尉が、ベルトラムと内通して逆叛乱を起こした。だが論争の過程で本音が露呈したベルトラムは孤立し、半ば自暴自棄になってラインハルトを射殺しようとしたが、ロルフ・ザイデル二等兵が身代わりになって死亡。一触即発の状態になったが、本来絶対安静だったアデナウアー艦長が医務室から戻ってその場を取り仕切り、ラインハルトが正式に艦長代理に任じられた。ベルトラムはラインハルトの指揮下に入るよう命じられ、苦渋の表情で承知した。作戦は実行に移され、ハーメルンIIはアルトミュールへ自由落下を始めたが、機関部の修理は尚も続いていた。この時、アルトミュールの観測の為に艦橋に就いたシュミットに代わってベルトラムが機関部に赴き、アラヌス・ザイデル達の負の感情に満ちた視線を浴びながら修理を手伝っている。また、途中で作戦に不安を抱いたデューリングが脱出ポッドに乗り込んだが、ラインハルトの機転で事無きを得ている。

アルトミュールの表面爆発一時間前に機関部の修理は完了したが、姿勢制御スラスターのひとつが作動不能で、灼熱の船外での二人がかりによる作業でしか修理出来ないと判明した。ザイデルとベルトラムが志願したが、弟を射殺されたザイデルはそれを拒否。しかし他に作業が出来る者がいない為、ベルトラムに決定した。船外作業による修理は成功したが、途中でハーメルンIIに気がついた同盟軍が長距離ミサイルを発射、さらにアルトミュールの表面爆発が始まった。ベルトラムはザイデルを艦の脱出口に投げつけて救ったが、その反動で艦から離れたベルトラムは太陽風にさらされて焼失した。ザイデルを収容したハーメルンIIは作戦通り太陽風を利用した加速で同盟軍の包囲網から離脱に成功、救援を求める通信がメルカッツ艦隊所属の艦船に繋がり、ハーメルンIIはイゼルローン要塞に帰還した。

ラインハルトは艦を指揮して同盟軍の包囲網から離脱し、さらに同盟艦隊がアルトミュール恒星系に存在する事を報告した功績で大尉に昇進し、軍務省への内勤に転属がきまった(アデナウアーは反乱の事実を否定してラインハルトを擁護している)。なお、ベルトラムとロルフ・ザイデルは二階級特進となった。

[編集] シャフハウゼン子爵家とヘルクスハイマー伯爵家の決闘

宇宙暦792年/帝国暦483年1月。鉱山の利権を巡ってヘルクスハイマー伯爵家がシャフハウゼン子爵家に申し込んだ決闘。ただしこれはラインハルトが関わった戦闘の一種であるが、軍事行動では無いので昇進には繋がっていない。なお、このエピソードはアニメ版がオリジナル。

シャフハウゼン子爵の屋敷でアンネローゼと面会したラインハルト(大尉)とキルヒアイス(少尉)は、子爵夫人ドロテーアから、ヘルクスハイマー伯爵に決闘を申し込まれており、しかも伯爵の策謀で練達した代理人を雇う事が出来ない事を知った。ラインハルトはアンネローゼの数少ない友人の危機を看過できず代理人に立候補し、居合わせたヴェストパーレ男爵夫人マグダレーナが乗り気になって話を進め、代理人に決定した。火薬式銃の扱いに慣れていない為、当初、ラインハルトの練習は成果が上がらなかったが、その練習の音を聞きつけて射撃場に現われたルッツ(少佐)が、火薬式銃の撃ち方を指導し、ラインハルトはようやくコツをつかんで決闘に望むことが出来た。またこの時ルッツが左腕を使って右腕を固定する様アドバイスした事が、後に効果を上げる事になる。

その一方で、決闘の事を知ったベーネミュンデ侯爵夫人とグレーザー医師が、これを機にラインハルトを殺害するべく暗殺者を手配した。暗殺者は当初ラインハルトの決闘相手だったゴルトシュミットに決闘を申し込んで射殺し、代わってラインハルトの決闘相手としてヘルクスハイマーに自分を売り込んだ。ゴルトシュミットを失ったヘルクスハイマーは即座に応じ、代理人を任せた。

決闘の場所はリッテンハイム侯爵家荘園の私設競馬場。最初キルヒアイスは玄人相手の策として身体を移動させる事を進言したが、決闘本来の目的を重視するラインハルトは聞き入れなかった。だが相手の様子が尋常ならざるものと感じたラインハルトは考えを変え、キルヒアイスの進言通り右側に飛んで相手の照準を狂わせ、左腕を撃たれながらも相手の利き腕である右腕を撃ち勝利した。だが相手は剣による再戦を要求。この執拗さと、ルッツの助言通り左腕を前に突き出していなければ心臓を打ち抜かれていた事実によって、二人は相手が殺意を抱いている事に気がついた。

決闘は剣によって再開されたが、相手が利き腕を怪我しているにも関わらず一方的に押しまくり、ラインハルトは危機に陥った。だがそこに近衛騎兵が到着し、(おそらくはアンネローゼの願いによる)勅命として決闘の中止と鉱山の利権の折半が言い渡された。ヘルクスハイマーは不満を表明したが、逆らえば謀反になる可能性を示唆され、苦渋の面持ちで引き下がった。一方のシャフハウゼン子爵夫妻とマグダレーナは、利権が半分でも確保出来た事とラインハルトが負傷しながらも生き残った事を喜んだが、剣で負け、さらに皇帝に助けられた結果になったラインハルトは怒りに震えていた。唯一その事に気がついたキルヒアイスはその場を離れる様にラインハルトに促し、ラインハルトも表面上は冷静を保ちながら退去した。

暗殺者は尚も任の遂行を決め、傷が癒えるのを待っていた。だが、ベーネミュンデ侯爵夫人の短気がそれを許さず、即座に任務を遂行しない場合は抹殺する事をグレーザーに命じた。2月に入り、ラインハルトの傷は癒えたが、アンネローゼの援護と皇帝の力で助けられた事は未だ心の傷となっていた。そこに暗殺者から再戦の申し込みがあり、ラインハルトはキルヒアイスには内緒で応じる事に決めたが、キルヒアイスはラインハルトの様子からそれを察していた。なお、この時、ラインハルトが日本の剣術の資料を研究している場面があり、これが後に決闘の場で生きる事になる。

朝の森で剣と馬による決闘が開始された。ラインハルトは剣を折られたが、相手の剣を「真剣白刃取り」で奪い、決着を付けた。暗殺者はボウガンで自殺し、依頼者の名前を出さないまま絶命した。一方、物陰から見ていたキルヒアイスは、ラインハルトに銃を向ける第二の暗殺者(グレーザー医師)を発見して阻止したが、取り押さえる事は出来なかった。

[編集] 第5次イゼルローン攻防戦

宇宙暦792年/帝国暦483年5月。帝国軍と同盟軍の戦い。外伝「黄金の翼」で描かれている。ラインハルト(少佐)が初めて軍艦(駆逐艦エルムラントII)の艦長として戦いに参加した戦闘であり、キルヒアイス(中尉)も副長として同乗している。また、上司としてレンネンカンプ(大佐)が登場。さらに同盟側には作戦参謀のヤン(少佐)とアッテンボロー(中尉)が参戦している。

戦闘開始は5月6日。同盟軍の兵力は艦艇約50000隻、総司令官はシドニー・シトレ大将。帝国軍はイゼルローン要塞とその駐留艦隊約13000隻。要塞司令官はクライスト大将。駐留艦隊司令官はヴァルテンベルク大将。当初はトール・ハンマーの射程外に於ける艦隊戦で開始されたが、数に勝る同盟軍が圧倒した。ラインハルトのエルムラントIIも、巡航艦を破壊するという戦果を挙げた後に後退している。やがて帝国艦隊全体が要塞に向って後退を始めたが、シトレによる平行追撃作戦によって両軍の艦艇が入り乱れる状態になり、射程内でありながらトール・ハンマーが撃てないという事態が生じた。同盟軍は一気に要塞を攻略しようと攻勢を強めたが、進退窮まったクライストがトール・ハンマーの発射を命令、味方の帝国軍艦艇ごと同盟艦隊を砲撃した。これによって並行追撃作戦は失敗に終わり、同盟艦隊は残存兵力をまとめて撤退した。

なお、これと平行して、帝国軍務省憲兵隊から(実際にはベーネミュンデ侯爵夫人から)派遣されたクルムバッハがラインハルトを暗殺しようとしていたが、キルヒアイスの援護もあって返り討ちにされた。

[編集] ヘーシュリッヒ・エンチェンの同盟領単艦潜入

宇宙暦792年/帝国暦483年12月~翌年1月。巡航艦ヘーシュリッヒ・エンチェンによる同盟領への単独潜入とそれに関連した戦闘。

ラインハルト(中佐)が艦長、キルヒアイス(中尉)は保安主任として乗り込んでいた。また、ワーレン(少佐)が副長として乗り込んでおり、作品の中で間接的に登場したミュラー(中尉)やアイゼナッハ(少佐)とともに、ラインハルトの知己を得る機会として描かれている。なお、このエピソードはアニメ版の「外伝・奪還者」がオリジナル。

12月、上官のレンネンカンプ大佐を通じて紹介された統帥本部作戦3課のアーベントロート少将から、ラインハルト及びヘーシュリッヒ・エンチェンに、同盟領への単独潜入と工作が命じられた。その内容は、決闘事件で敵対したヘルクスハイマー伯爵が、軍事機密である指向性ゼッフル粒子発生装置の試作機を携えて同盟に亡命しようとしているので、密かに同盟領に潜入して航路に先回りし、その阻止と装置の奪回或いは船を撃沈せよ、というもの。任務の困難さと機密の保持という特殊な条件を承知の上でラインハルトは命令を受諾した。なお、これに関連して統帥本部から派遣されてきたフォン・ベンドリング少佐が「監察官」と称して乗り込んで来た。

命令を受けた翌日、ヘーシュリッヒ・エンチェンは訓練という名目でイゼルローン要塞を進発、回廊の同盟側出口付近で、既にしらされていたキルヒアイス以外の乗組員に事情が伝えられた。その直後、ラインハルトは同盟の哨戒部隊をおびき寄せて帝国の哨戒部隊と戦わせ、その隙に同盟領への侵入を果たすと、ベンドリングの情報をもとにフェザーン回廊の出入り口まで進み、そこでフェザーンの駐在武官(後にミュラーと判明)からの情報を受けてヘルクスハイマーの船を追跡/拿捕、護衛艦を撃沈した上で、キルヒアイス指揮下の陸戦隊が突入し、白兵戦の末ヘルクスハイマーの船を制圧、さらに船倉で装置を発見した。だが、ヘルクスハイマーの一族は脱出ポッドの事故により死亡、唯一、ヘルクスハイマーの娘であるマルガレーテという10歳の少女だけが生き残った。

指向性ゼッフル粒子発生装置の制御コンピューターには閲覧と実行を禁止するプロテクトがかけられており、通常のゼッフル粒子の発生以外は、指向性の制御もデータの閲覧も装置の移動も不可能だった。キルヒアイスとベンドリングは、プロテクトの解除方法を知っていると思われるマルガレーテからそれを聞き出そうと試みるが、父親のかたきと思い込んでいる相手から協力は得られなかった。仕方なくヘルクスハイマーの船を同行させるが、途中で同盟の追跡部隊と遭遇、ラインハルトは通常型のゼッフル粒子で撃退した。しかしそれによって包囲網は着実に狭まり、当初予定していた航路は完全に封鎖されてしまった。

ラインハルトが脱出方法を模索している間に、キルヒアイスはマルガレーテの心を解きほぐそうとし、ようやく敵対する様子を解いた。だがその時、マルガレーテは亡命の真相に繋がる話をキルヒアイスとベンドリングに告げ、この時のベンドリングの態度にキルヒアイスが疑念を抱いた。一方、フェザーンの駐在武官から新しい航路案と補給計画が示された。この時キルヒアイスがマルガレータとベンドリングの現状をラインハルトに伝えた上で、マルガレーテとの取引を提案した。熟考の末、他に選択肢が無いと結論したラインハルトはマルガレーテと取引し、船と財産の代りにプロテクト解除方法を手に入れた。だが閲覧したデータの中に、ヘルクスハイマーの一族がリッテンハイム侯爵に殺害されそうになった経緯と、その大元になったブラウンシュヴァイク/リッテンハイム両家の娘達の遺伝病の事が書かれていた。ベンドリングはこのデータの奪取或いは消去を真の目的として同行していたが、その内容と貴族の身勝手さにショックを受け、任務の放棄とマルガレーテの保護者として一緒に亡命する旨をラインハルトに告げた。相手の態度にある程度の納得を感じたラインハルトは、これを許可し、装置を移設した後のヘルクスハイマーの船を解放、マルガレーテ/ベンドリングと別れてイゼルローン回廊に向った。

回廊付近で待ち伏せしていた同盟の部隊中央部を指向性ゼッフル粒子で撃破したヘーシュリッヒ・エンチェンは、回廊内への突入を果たしたが、その時点でエネルギーが尽きた。慣性航行を続けながら機雷で相手の追撃を振り切ろうとしていたところに、ようやく帝国の補給艦が来援した。だが護衛艦無しであり、現状での補給は不可能に近かった。ところが補給艦は物資を空中に放出してヘーシュリッヒ・エンチェンに受け取らせるという補給方法を提案した。奇抜だが理に適っていると判断したラインハルトはその方法を受諾、物資の回収に成功し、同盟の追跡部隊を振り切った。なお、この時にワーレンが、補給艦の艦長が「沈黙艦長」と異名をとるアイゼナッハ(少佐)であるとラインハルトに告げている。イゼルローン要塞に帰還したラインハルトはすぐにアーベントロート少将の元に出頭し、任務の報告とともに、任務に無い裏の事情を知っている事を告げ、沈黙する事を引き換えに昇進を約束させた。

[編集] アルレスハイム星域の会戦

宇宙暦792年/帝国暦483年、帝国軍と同盟軍の戦い。なお、この戦闘及び後日談を描いた「汚名」の原作小説は、当初は通常の単行本に収録されていなかったが、西暦2002年3月発行の徳間デュアル文庫「銀河英雄伝説外伝1・黄金の翼」に収録された。

帝国軍カイザーリンク中将の艦隊がアルレスハイム星域で同盟軍に奇襲をかけようとしたが、帝国軍艦隊の一部が命令を待たずにタイミングを考慮しない形で攻撃を開始してしまった為、数で劣る帝国軍艦隊は同盟軍艦隊の反撃に遭い、6割の損傷を出して敗走、カイザーリンク中将は少将に降格された上退役処分となった。

ただしこの戦闘には後日談があり、キルヒアイスが探偵の役割でこの出来事に関わっている

[編集] ヴァンフリート星域の会戦

宇宙暦794年/帝国暦485年3月21日~ラインハルトがグリンメルスハウゼン艦隊所属の准将キルヒアイス大尉として参加。艦隊戦は膠着し、グリンメルスハウゼン艦隊は衛星ヴァンフリート4=2に向った。その後の地上戦が契機に同盟軍第5艦隊を中心に帝国軍本隊との艦隊戦が展開された。

[編集] 衛星ヴァンフリート4=2の戦い

宇宙暦794年/帝国暦485年4月6日~。グリンメルスハウゼン艦隊所属の陸戦隊将官リューネブルク准将が指揮する帝国軍陸戦隊と、衛星ヴァンフリート4=2に建設された同盟軍後方基地守備隊との戦い。

守備隊の1部隊としてローゼンリッターが所属しており、死亡したヴァーンシャッフェ大佐連隊長)の代理を務めるワルター・フォン・シェーンコップがローゼンリッターの指揮を執った。その途中でキルヒアイスとリューネブルクにそれぞれ遭遇し白兵戦を戦っているが、どちらも勝負がつく前に現場を離れている。

ラインハルト(とキルヒアイス)が、同盟後方部隊の司令官であるセレブレッゼ中将捕虜にした。この功績でラインハルトは少将に昇進。

[編集] 第6次イゼルローン攻防戦

宇宙暦794年/帝国暦485年10月~12月10日。ラインハルト・ミューゼルが少将として参加、2千数百隻の分艦隊を指揮した。所属した母艦隊は不明。ミューゼル分艦隊は前哨戦で数々の戦果を挙げ、同盟軍を悩ませた。学生時代ヤンに敗れた秀才ワイドボーンもこの時ラインハルトの奇襲で戦死している。同盟軍のグリーンヒル大将は作戦参謀ヤン・ウェンリー准将に対策を命じ、ヤン発案による時間差の包囲作戦が実行された。ラインハルトは危機に直面したが、同盟軍が戦力の出し惜しみをしたため助かった。要塞攻防戦本番では同盟軍のホーランド少将がミサイル艦の集中投入による奇襲作戦を実行して帝国軍は一時混乱したが、作戦を看破していたラインハルトはホーランド分艦隊を撃退し、戦闘は混戦へと移行した。混戦の打開を図ったラインハルトは積極的な献策によってミュッケンベルガーの了解を得て、自らの艦隊を囮としてトール・ハンマーを使える様同盟軍を要塞から引き離すことに成功し、要塞砲に撫でられた同盟軍は敗走した。ラインハルトはこの功績によって中将に昇進する。ヤンはラインハルトの意図を見抜いていたが、性格上ラインハルトのような積極行動は取れず、同盟の敗退を傍観することしか出来なかった。

[編集] アンネローゼ(グリューネワルト伯爵夫人)暗殺未遂事件(原作時系列)

[編集] 第3次ティアマト会戦

宇宙暦795年/帝国暦486年2月。ラインハルトが中将として参加。同盟軍のホーランド中将率いる第11艦隊の中枢部を撃破し、ホーランドを戦死させる。この功績によって大将に昇進。また帰還後に新造戦艦ブリュンヒルトを下賜される。

[編集] グランド・カナル事件

宇宙暦795年/帝国暦486年初頭第3次ティアマト会戦が開始される直前に起こった戦闘。

同会戦の準備の為イゼルローン回廊の同盟側外縁に同盟軍が展開を開始したが、人為的ミスから物資輸送が滞り、対応しきれない軍に代って民間船約100隻が物資を運ぶ事になった。だが、当時の宇宙艦隊司令長官だったロボスが不明確な形で戦力の保護を命じた為、これに過剰に反応した護衛部隊が、巡航艦「グランド・カナル」を除いて途中で引き返してしまい、そこで哨戒行動をとっていた帝国軍の巡航艦2隻と遭遇、戦闘が開始された。1対2で勝算の無いグランド・カナルは撃沈されるひきかえに奮闘して民間船を脱出させる事に成功し、同盟軍は自らの不手際を隠す意味もあって艦長のフェーガン少佐を初め戦死者全員を英雄として祭り上げた。なお、その意図を覆す様なコメントがヤンから発せられたが、マス・メディアには載らなかった。

[編集] クロプシュトック事件(原作時系列)

[編集] ミッターマイヤー暗殺未遂事件

[編集] 惑星レグニッツァ上空の戦い

宇宙暦795年/帝国暦486年9月4日。帝国軍ラインハルト艦隊と同盟軍第2艦隊の戦い。第4次ティアマト会戦の前哨戦に位置されている戦い。ラインハルトがミッターマイヤー/ロイエンタールを配下として戦った最初の戦いであり、戦艦ブリュンヒルトが実戦に登場した初めての戦いでもある。ラインハルト艦隊の兵力は艦艇12,200隻、将兵134万7000人。同盟軍はパエッタの第2艦隊(戦力は未記載)。遭遇戦に近い形で砲撃戦が開始されたが、ラインハルトがガス惑星レグニッツァに核融合ミサイルを発射させて核融合反応を増大させ同盟艦隊を誘爆させて、同盟軍を敗走に追い込んだ。(後年、アムリッツァ星域会戦でヤンはそのお返しに恒星アムリッツァに核融合ミサイルを撃ち込んでミッターマイヤー艦隊に損害を与えた。)

原作小説とアニメ版では発令の経緯が異なる。原作小説では、イゼルローン要塞において9月1日に開かれた最高作戦会議で、ミュッケンベルガーがラインハルトに命じた。アニメ版では、帝国本土から派遣されたラインハルトの艦隊が、イゼルローン要塞に到着する前に命令を受け、要塞で休息する事も無く方向転換し現場に向っている。

原作にない余計なアドリブが入ったせいで、劇場版では両艦隊とも艦隊戦力の一部しか投入しなかったと考えないと、矛盾が生じてしまう。

  1. 戦闘時、第2艦隊はラインハルト艦隊に数倍する規模を持っていた。
  2. ラインハルトの作戦で第2艦隊の被害は4/5にも達し、ほぼ壊滅した。
  3. レグニッツァ~第4次ティアマトの遠征で同盟軍中最も損害が少なかったのは第2艦隊だった(アスターテ会戦時の説明)。

[編集] 第4次ティアマト会戦

宇宙暦795年/帝国暦486年9月11日。ラインハルトが大将/左翼部隊の司令官として参加。ラインハルト率いるミューゼル(この戦いの後に断絶していたローエングラム伯爵家の名跡を継ぐ。)艦隊の戦力は、惑星レグニッツァ上空の戦いでほぼ損害が生じていないとされているので、12,200隻、将兵130万人ほどの規模を保っていたと思われる。ラインハルトは、ミュッケンベルガーの策謀によっておとりにされるところを巧みな艦隊運用によって脱出し、逆に本隊をおとりにして功績を挙げた。

尚、劇場版アニメ第1作では、ヤンユリシーズブリュンヒルトの下方に密着して人質とし、同盟軍本隊の脱出を成功させるという演出が盛り込まれた。したがってアニメ版では、この戦いでラインハルトがヤンの存在を知った事になっている。

[編集] クロイツナハIIIの麻薬密売組織捜査

宇宙暦795年/帝国暦486年11月アルレスハイム星域の会戦の後日談。この原作小説である「汚名」は、当初は通常の単行本に収録されていなかったが、西暦2002年3月発行の徳間デュアル文庫「銀河英雄伝説外伝1・黄金の翼」に収録された。アニメは外伝シリーズの中でも比較的早い時期に制作されている。

第4次ティアマト会戦アスターテ会戦の間に、ラインハルトとキルヒアイスは休暇をとる事が出来た。ローエングラム家の家督相続の為の手続きが必要なラインハルトの勧めで、キルヒアイスは先にクロイツナハⅢに赴いたが、滞在先のホテルで老人を襲おうとする暴漢と遭遇し、これを撃退した。老人がカイザーリング退役少将だと知ったキルヒアイスは、伝えられる様な暗愚さが相手に無い事を不思議に感じる。その一方で、暴漢が正気を無くしている事に気がついたが、事情聴取の為赴いた現地警察のホフマン警視から、暴漢が現役の軍人でサイオキシン麻薬中毒であると説明され得心が行った。だがサイオキシン麻薬の取引があるという密告があったのでその捜査に協力しろという申し出には納得が行かずに断ろうとしたものの、警察と軍隊との軋轢の存在を訴えられ、さらに麻薬中毒患者から生まれた新生児の写真を見せられ、憤激にかられたキルヒアイスは協力の申し出を受諾した。

カイザーリングから招待された夕食の席で、キルヒアイスはバーゼル中将夫妻の話を聞かされ、バーゼルの妻ヨハンナの立体写真を見せられた。老人だが美しいと感じられるヨハンナに対するカイザーリングの気持ちと明哲な姿勢を知ったキルヒアイスは、なおさらアルレスハイム星域の会戦の敗北の理由が分からなくなった。店を出た帰り道、ホフマンの出迎えを受けたキルヒアイスは、麻薬中毒の暴漢がかつてカイザーリング艦隊所属の兵士だった事を聞かされた。その夜、キルヒアイスが暗殺されかかり、カイザーリングへの疑惑は一層増したが、その一方でバーゼル夫妻が予定より早くクロイツナハⅢに到着している事を知り、それがカイザーリングに伝わっていない事にキルヒアイスは不審を感じる。翌朝、カイザーリングの紹介でバーゼル退役中将と会ったキルヒアイスは、その人間性にやや不信を感じて到着日時の虚偽を改めて確認し、疑っている事を敢えてバーセルに気づかせた。その後、キルヒアイスは展望レストランで様子がおかしい男を見つけて尾行し、逆にフライングボールの競技場に誘い込まれてナイフを持った男達に襲われた。キルヒアイスは低重力のフィールドで苦心しながらも反撃し、さらにその様子を外部にさらして警察を呼び寄せ自らを救った。

その直後、ホフマンから、バーゼルがアルレスハイム星域の会戦の時にカイザーリングの下で補給を担当しており、最初にカイザーリングを襲った麻薬中毒の暴漢がその補給部隊の兵士で、しかもバーゼル自身が会戦の直前に憲兵隊から麻薬不法所持の件で取調べを受け、カイザーリングの証言で無罪になっていた事を聞いたキルヒアイスはアルレスハイム星域の会戦の真相に気がつき、その証拠を得る決意でカイザーリングを訪ねて証言を促したが、ヨハンナに対するカイザーリングの想いがそれを拒んだ。アンネローゼに対する自分の想いと重ね合わせたキルヒアイスは、それ以上は何も言えなかった。

ホフマンの手引きでヨハンナと面会したキルヒアイスは、密告したのがヨハンナで、しかも匿名でバーゼルにも忠告し、それが逆効果となってバーゼルはカイザーリングが自分を裏切ったと考えて命を狙った、という構図を聞かされた。ヨハンナにも証言を断られたキルヒアイスとホフマンは、最後の手段としてバーゼルが自白する様にしむけた。それにひっかかったバーゼルはキルヒアイスを買収しようと試み、それが失敗するとキルヒアイスを殺そうとした。だがそれがすべてホフマンによって録音されており、バーゼルは諦めた様子でヨハンナに事情を伝えたいと電話を入れた。それが証拠隠滅を命じたものだと気がついたキルヒアイスは、ヨハンナの部屋に駆けつけた。ヨハンナはバーゼルの意に逆らわず資料を暖炉で燃やそうとしており、キルヒアイスの説得にも耳を貸さなかった。ヨハンナを撃たなければ証拠が燃やされる場面でキルヒアイスは撃てなかったが、後方から現われたカイザーリングがヨハンナを撃った。自分を撃ったのがカイザーリングだと気づいたヨハンナは微笑みながら死んでいった。事件は解決したが、キルヒアイス自身には考えるべき問題が幾つか提起されたと思われる。

[編集] 本編中の戦役/戦闘

[編集] アスターテ会戦

宇宙暦796年/帝国暦487年2月。ラインハルトが上級大将に昇進し、同時にローエングラム伯爵家の名跡を継いで初めての出征。

劇場版アニメ(第2作)では、ラインハルトの実力を試すという帝国軍上層部の思惑(及びブラウンシュヴァイク公爵の策謀)によって幕僚のミッターマイヤーロイエンタール、参謀長のメックリンガー、ブリュンヒルト艦長のシュタインメッツが転属させられてしまった。唯一キルヒアイスだけは残されたが、更にラインハルトを罠に落としいれようと考えたフレーゲルによって出征の情報がフェザーンを通じて同盟にもたらされていた。したがってこの出征におけるラインハルトの幕僚はメルカッツ、シュターデン、エルラッハ、フォーゲル、ファーレンハイトとなった。兵力は艦艇約2万隻。

同盟はヤンの所属する第2艦隊(アニメ版ではアッテンボローも所属している)、第4艦隊、そしてジャン・ロベール・ラップの所属する第6艦隊の、あわせて3個艦隊(合計4万隻)。同盟軍はこの数と地の利を使ってダゴン星域会戦と同じ包囲殲滅戦を企図したが、逆にラインハルトの各個撃破の好餌となった。当初はラインハルトの幕僚たちはラインハルトの作戦を理解出来なかったが、唯一作戦に好意的印象を持ったとキルヒアイスに印象づけたファーレンハイトが先鋒となり、正面から接近していたパストーレの第4艦隊約12,000隻を最初に攻撃した。

この時点で第2艦隊の次席幕僚を務めていたヤンは、第6艦隊と合流して戦力の集中を図るべきとパエッタに進言したが、それが第4艦隊を見殺しにするという前提で成り立っている作戦である為パエッタは進言を却下し、第4艦隊の救援に向った。これによってラインハルトの勝利がほぼ確定した。

戦闘開始4時間で第4艦隊は殲滅され、対するラインハルトの艦隊はほとんど損害が生じなかった。約4時間後、時計回りに迂回したラインハルトの艦隊は、今度はメルカッツの艦隊を先鋒にして、第6艦隊の側背(4時半の方向)から攻撃を開始した。第6艦隊司令官のムーアは、この場合最もやってはいけないといわれる反転迎撃を企図し、艦が横を向くという無防備な姿をさらけ出した状態で砲撃にさらされた。ムーアは降伏勧告を拒絶して乗艦のペルガモン及びジャン・ロベール・ラップとともに戦死した。

第4/第6の2艦隊を全滅させたラインハルト艦隊は、そのまま第2艦隊との戦いに臨んだ。そして戦闘開始直後にパトロクロスの艦橋が被弾し、パエッタは重傷を負った。その為、健在な士官で最高位のヤンに指揮権が受け渡された。ヤンはこの各個撃破で不利になっている事態を見越しており、あらかじめ作戦を入力しておいたコンピュータ回路を開かせるという方法でその対応策を全艦に秘密裏に通達した。この時ヤンが使った引き分けに持ち込む作戦が功を奏し、ラインハルトはキルヒアイスと相談の上、消耗戦に引きずり込まれた以上、この上の戦闘が無意味であると結論し撤退した。帝国軍の戦死者は約20万人、同盟軍の戦死者は約200万人に達した。

[編集] 第7次イゼルローン攻防戦

宇宙暦796年/帝国暦487年5月。同盟第13艦隊の司令官となったヤンの初の任務として命じられたイゼルローン要塞の攻略戦。おとりの艦船を使って要塞内部にローゼンリッターを送り込み、内部から制圧。味方に一人の犠牲も出さずにイゼルローンを陥落させた為「ミラクル・ヤン」「魔術師ヤン」と称されるに至った。帝国の要塞司令官シュトックハウゼン大将は捕虜となり、駐留艦隊司令官ゼークト大将は幕僚であるオーベルシュタイン大佐の意見を聞き入れずトール・ハンマーで乗艦もろとも戦死。オーベルシュタインはその寸前にシャトルで脱出した。

[編集] カストロプ動乱

宇宙暦796年/帝国暦487年5月。財務尚書だった故・カストロプオイゲンの不正蓄財に対する調査と返還を、後継者である息子のマクシミリアンが拒否し、武力抵抗に及んだ。帝国はシュムーデ提督(及び艦隊)を討伐軍として派遣したが敗北(原作小説では2度目の敗北が存在する)。ラインハルトの工作によってキルヒアイスが次に派遣され、軍事的に勝利。マクシミリアンは自分の部下に殺害され、討伐作戦は成功した。この功績によってキルヒアイスは中将に昇進し、実質的にローエングラム陣営のNo.2となった。この戦いで、マクシミリアンによって監禁されていたマリーンドルフフランツがキルヒアイスによって救い出された。また、アニメではこの時ヒルダがキルヒアイスと会った事になっている。なお、カストロプ動乱は、原作/アニメ/コミックで経過が異なっている。

  • 原作では通常の艦隊運用でキルヒアイスが勝利した。
  • アニメでは「アルテミスの首飾り」と同じものをキルヒアイスがゼッフル粒子を使って破壊している(一般的には指向性ゼッフル粒子となっているが、この時に指向性を使ったとする場合、時系列に矛盾が生じる為、通常のゼッフル粒子という可能性がある)。
  • コミックではマクシミリアンの私的所有艦隊と反射衛星砲に対して艦隊運用と小惑星を隠れ蓑にした小型艇による攻撃部隊の複合作戦を用いて勝利した事になっている。

[編集] クロプシュトック事件(アニメ版時系列)

[編集] アンネローゼ(グリューネワルト伯爵夫人)暗殺未遂事件(アニメ版時系列)

[編集] 同盟軍の帝国領侵攻

宇宙暦796年/帝国暦487年8月~。アンドリュー・フォーク准将の案が採用されて実行された作戦。ヤンの第13艦隊を含む8個艦隊が帝国領に侵攻したが、オーベルシュタインが提案した焦土作戦により、当初は抵抗も無く進む事が出来た同盟艦隊が補給線の限界点で反撃を受け、ことごとく惨敗。同盟軍は最後の抵抗としてアムリッツァ星域付近に集結し再反撃を画策したが、最終的に撤退した。動員した将兵3,000万の70%近くに相当する2,000万を失った(アスターテ会戦の10倍もの損害)責任を取って、作戦総司令官のロボスと統合作戦本部長のシトレは引退。総参謀長のグリーンヒルと後方担当のキャゼルヌは左遷。同盟の最高評議会のメンバーも全員辞表を提出したが、出征に反対したジョアン・レヴェロとホアン・ルイ、そしてトリューニヒトは慰留された。

[編集] アムリッツァ前哨戦

同盟各艦隊の侵攻星域と、10月10日に一斉反撃してきた帝国艦隊は以下の通り。

  • 第3艦隊(ルフェーブル)は惑星レージング上空でワーレン艦隊と交戦。アニメ版では戦闘中に乗艦のク・ホリンが隣接した艦と接触し、そのまま付近の衛星と激突して撃沈。ルフェーブルは戦死した。
  • 第5艦隊ビュコック)はビルロスト星系でロイエンタール艦隊と交戦。最初から撤退の姿勢だった為、3割の犠牲を出しながらも離脱に成功した。
  • 第7艦隊(ホーウッド)はドヴェルグ星系でキルヒアイス艦隊と交戦した。原作では第7艦隊が敗走した事になっているが、アニメでは圧倒的な数の艦隊に包囲され、一戦もせず降伏を受諾している。
  • 第8艦隊(アップルトン)はヴァンステイド星域でメックリンガー艦隊と交戦。早々に撤退しアムリッツァに向ったが、3割の犠牲を出した。
  • 第9艦隊(アル・サレム)はアルヴィース星系でミッターマイヤー艦隊に急襲され、ほとんど反撃も出来ないまま敗走。乗艦のパラミデュースが被弾してアル・サレムが重症を負った為、副司令官のモートン少将が指揮権を引き継ぎ、部隊を統率して敗走した。(この時以降、ミッターマイヤーは疾風ウォルフと呼ばれるようになったと見られる。)
  • 第10艦隊(ウランフ)は、惑星リューゲン上空でビッテンフェルト艦隊と交戦。半数が撃破され、残りは脱出。ウランフは乗艦「盤古」とともに撃沈される。コミック版では脱出した半数の指揮をアッテンボローが執っており、後にイゼルローン駐留艦隊として再編成されるヤン艦隊の戦力に登用された事になっている。
  • 第12艦隊(ボロディン)はボルソルン星系でルッツ艦隊と交戦。戦力の殆どを失った後、ボロディンはピストル自殺を遂げた。指揮権を引き継いだコナリー少将はルッツ艦隊に降伏する。
  • 第13艦隊ヤン・ウェンリー)はヤヴァンハール星系でケンプ艦隊と交戦。半月陣形を活用した艦隊運用で優位に立った後、隙をついて撤退し、第7艦隊との合流点であるドヴェルグ星域に向った。この戦いでポプラン、コーネフの同僚であるシェイクリとヒューズが戦死した。さらにドヴェルグ星系ではホーウッドに勝利したキルヒアイス艦隊と交戦したが、撤退命令を受けアムリッツァに向った。

[編集] アムリッツァ星域会戦

宇宙暦796年/帝国暦487年10月14日。帝国領に侵攻した同盟の8個艦隊の内、司令部が健在だった第5/第8/第13艦隊が恒星アムリッツァに集結して反撃を開始。対し帝国軍は同盟を圧倒する10万隻余(キルヒアイスらの別動部隊含む)を投入してきた。第13艦隊が恒星アムリッツァを利用してミッターマイヤー艦隊に速攻をかけ、多少の損害を負わせたものの、直後に戦域に到着したビッテンフェルト艦隊が第8艦隊を撃破した(アップルトンは戦死)。その隙を突いて第13艦隊がビッテンフェルト艦隊のかなりの戦力を削いだが、キルヒアイスワーレンルッツの連合艦隊3万隻が同盟軍の背後に展開されていた機雷源を指向性ゼッフル粒子で除去し、同盟軍の挟撃に成功した(記録上では、この時初めて実戦で指向性ゼッフル粒子が使われた事になっている)。これにより会戦の勝敗は決し、同盟軍の残存戦力は第13艦隊を殿にイゼルローン要塞に撤退し、第13艦隊も戦力が弱体化していたビッテンフェルト艦隊を突き崩し脱出に成功した。

[編集] リップシュタット戦役

帝国暦488年3月19日~。帝国の門閥貴族が結束してリップシュタットの盟約を結んだリップシュタット貴族連合と、帝国の権勢を手に入れたラインハルトとリヒテンラーデ侯爵(帝国宰相)の枢軸による権力争い(リップシュタットは、貴族連合の盟主であるブラウンシュヴァイク公の別荘が建っている場所であり、ここで盟約の調印式が行われた)。 貴族連合軍の拠点はガイエスブルク要塞。その他レンテンベルク/ガルミッシュ要塞が貴族連合軍の拠点として利用された。参加した貴族は3,740名。正規軍+私兵の総兵力は2,560万人。盟主はブラウンシュヴァイク公爵。副盟主はリッテンハイム侯爵。参加した主な貴族はフレーゲル、ランズベルク、ヒルデスハイム他。参加した主な貴族系の軍人はメルカッツ、シュターデン、アンスバッハ、オフレッサー、ファーレンハイト他。連合軍の総指揮官には、メルカッツが指名されたがブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯を始め自分勝手な艦隊運用を行うことが多かった。 貴族連合軍に対抗するのはラインハルトの元帥府に登用された提督で、ラインハルト自らが陣頭指揮を執り、ミッターマイヤーロイエンタールケンプミュラーケスラーメックリンガービッテンフェルト、及び参謀のオーベルシュタインが連合軍との直接対決を担当した。別働隊として辺境を制圧する役目はキルヒアイスが指揮を執り、ルッツワーレンが指揮下に入り、後にシュタインメッツが合流した。 3月19日に帝国政府は貴族連合軍の討伐命令を発した。最初の戦闘は4月19日からのアルテナ星域会戦。 8月には貴族連合軍は支配星域の殆どを失い、ヴェスターラントの惨劇によって人心も失った。貴族連合軍は最後の戦いと称して残存戦力を投入したガイエスブルグ要塞攻防戦でも惨敗し、9月にはラインハルト軍によってガイエスブルグ要塞は制圧され、貴族連合盟主のブラウンシュヴァイク公爵は部下のアンスバッハによって強制的に服毒自殺させられた。 9月9日に行われた捕虜の謁見でアンスバッハがラインハルトの暗殺を謀るが、キルヒアイスが身を盾にして防いだ為未遂に終わる。オーベルシュタインの策謀でこの事件の犯人に仕立て上げられたリヒテンラーデが排除されて、ローエングラム独裁体制が確立する。

[編集] アルテナ星域会戦

帝国暦488年4月19日~。ミッターマイヤー艦隊14,500隻とシュターデン艦隊16,000隻による、リップシュタット戦役における最初の武力衝突。ミッターマイヤーが600万個の核融合機雷を敷いて相手の心理的動揺を誘い、シュターデンが艦隊を本隊と別働隊の2手に分けて挟み撃ちにしようと動いたが、その動きを読んだミッターマイヤーが先に動いて別働隊8000隻を攻撃。指揮官のヒルデスハイム伯爵を含めて全滅させ、さらに機雷源を時計方向に迂回してシュターデン本隊を背後から急襲。半減した艦隊は背後から襲われて敗北し、負傷したシュターデンはレンテンベルク要塞に逃げ込んだ。

[編集] レンテンベルク要塞攻略戦

帝国暦488年4月~。フレイヤ星域のレンテンベルク要塞貴族連合軍)とラインハルト本隊の戦い。ラインハルトの本隊が周辺宙域の艦隊戦を制圧した後、中心部の核融合炉を奪取する為に第6通路で白兵戦が行われた。守備隊のオフレッサー上級大将(装甲擲弾兵総監)によるアンネローゼを侮辱する発言を聞いて激怒したラインハルトは、制圧を担当したミッターマイヤーロイエンタールに生け捕りを命じ、両者は罠を仕掛けて捕獲した。しかしこのまま還せば裏切り者と誤解されるだろうというオーベルシュタインの発案で無事にガイエスブルク要塞に帰還させ、思惑通り銃殺された。ラインハルト嫌いの急先鋒として有名だったオフレッサーが裏切り者とされた事で貴族連合軍内に動揺が生まれた。なお、シュターデンは要塞内の病院で捕虜にされた。

[編集] キフォイザー星域会戦

帝国暦488年7月~。盟主のブラウンシュヴァイク公爵と反目した副盟主のリッテンハイム侯爵が、50,000隻の艦艇を率いてガイエスブルク要塞から去り、辺境制圧を担当していたキルヒアイスとキフォイザー星域で対決した。相手の艦隊陣形の不備を見抜いたキルヒアイスは、ルッツとワーレンに正面対決を任せ、自分は本隊として高速巡航艦800隻を率いて相手の右側面から突入した。混乱したリッテンハイムはガルミッシュ要塞に撤退(本人は転進と主張)したが、その航路上に自軍の補給部隊がいた。リッテンハイムは躊躇なく攻撃命令を発し、補給部隊を蹴散らした。その生き残りであるコンラート・リンザー中尉が貴族連合軍を見限り、要塞に降伏を呼びかける事をキルヒアイスに申し出たが、その前に要塞の司令官室でラウディッツ中佐ゼッフル粒子によるテロが発生し、リッテンハイムは爆死。キルヒアイスはその隙を突いてガルミッシュ要塞に装甲兵を送り込み、制圧に成功した。

[編集] ガイエスブルク要塞攻防戦

帝国暦488年8月。敗北の連続及びヴェスターラントの惨劇による民心の遊離によって追い詰められた貴族連合軍が、半ば自暴自棄でラインハルトに艦隊決戦を挑んだ。ファーレンハイトはこの案に反対し出撃を拒否したが、メルカッツは出撃した。この時、メルカッツはファーレンハイトに自分よりまだ若いので生きよ!と別れを告げたが、後年ファーレンハイトの方が先に戦死することになる。)貴族連合軍の波状攻撃をラインハルトの陣営が要撃する形で一進一退が続き、貴族連合軍の抵抗力が限界に達した時点でラインハルトが総攻撃を命令。貴族連合軍は圧倒され、勝敗は決した。ほぼ同時に、オーベルシュタインが潜入させておいた工作員によってガイエスブルク要塞で反乱が発生、主砲室(ガイエスハーケン)を制圧し、貴族連合軍の多くは降伏か逃亡した。 ファーレンハイトは要塞内で捕虜となったが、後日の謁見でラインハルトに従う事を誓い、ローエングラム陣営に帰順した。 メルカッツは自殺しようとしたが、副官のシュナイダーに制止された。シュナイダーは同盟への亡命を薦め、懐疑的なメルカッツにヤン・ウェンリーを頼る事を提案した。それによってメルカッツは決心し、同盟に亡命した。 対ラインハルト強硬派のフレーゲル男爵は「滅びの美学」に基づいて戦艦の一騎打ちを画策したが相手にされず、最期は自分を見限った参謀のシューマッハを射殺しようとして、逆に周囲の部下に射殺された。シューマッハと部下は戦艦ウィルヘルミナでフェザーンに亡命した。また、ランズベルク伯もフェザーンに亡命した模様。

[編集] リップシュタット戦勝記念式典の悲劇

[編集] 惑星オーディン制圧作戦

[編集] 救国軍事会議のクーデター

宇宙暦797年3月30日~8月。ラインハルトがリップシュタット戦役を始めるのに際して、同盟の介入の防ぐために仕掛けた内乱エルファシルを巡る戦いで捕虜になっていたアーサー・リンチ元少将が工作員となって同盟に逆潜入し、救国軍事会議となるメンバーを集めてクーデターの実行を促した。3月30日にアンドリュー・フォークがクブルスリー大将を襲って重傷を負わせたのを皮切りに同盟内4か所で反乱が起き、さらに4月13日、ハイネセンで演習に偽装した兵力展開が行われ、そのまま決起に至った。

救国軍事会議の議長はドワイト・グリーンヒル大将。スポークスマンはエベンス大佐。主な参加者は情報部のブロンズ中将、第11艦隊司令官のルグランジュ中将など。

しかしヤンが参加を拒否し、さらに救国軍事会議に敵対を表明したため、内乱状態となる。ヤン艦隊はドーリア星域会戦で第11艦隊を全滅させ、更にハイネセンの防宙システム「アルテミスの首飾り」も撃破し、救国軍事会議を無力化させた。 これに先んじて、ヤン暗殺に失敗して寝返ったバグダッシュが、ヤンの意を受け、このクーデターが帝国の謀略によるものであると放送した。リンチがそれを認めた為、救国軍事会議は大義名分を失った。グリーンヒルは降伏を決意したが、その前にリンチを始末しようとして逆に射殺される。しかしその数秒後にリンチも射殺された。エベンスはリンチの存在の秘匿を命じた後、通信でヤンに降伏を宣言した後自決、クーデターは鎮圧された。

[編集] ドーリア星域会戦

宇宙暦797年5月18日。ルグランジュ中将の第11艦隊とヤン艦隊の戦い。相手の位置の把握に成功したヤンが先手を取って右側面から艦隊中央部を攻撃し、亀裂が生じた箇所にグエン・バン・ヒューの分艦隊が突入。第11艦隊は分断された。この分断されたストークスの前方部隊を本隊から引き離す役目は、原作ではフィッシャーが、アニメではアッテンボローが担当する。ルグランジュ艦隊の本隊はヤン艦隊に包囲されて集中攻撃を受けた。8時間に渡る消耗戦の末、戦力のほとんどを失ったルグランジュはヤンに最期のメッセージを送った後ピストル自殺。おびき寄せられていた前方部隊も降伏を拒否して全滅した。

[編集] ハイネセン進攻

宇宙暦797年8月。ヤンが考案した作戦で「アルテミスの首飾り」を破壊して救国軍事会議を無力化し、降伏に至らしめた戦い。

バーラト星系第6惑星シリーュナガレから1立方キロメートル/10億トンの塊を1ダース切り出してバサード・ラム・ジェット・エンジンを装着、光速に近い速度まで加速、相対性理論に添って重量を増した氷塊をアルテミスの首飾りに衝突させ破壊するという戦法が採られた。

[編集] イゼルローン回廊帝国側宙域の遭遇戦

宇宙暦798年/帝国暦489年1月。イゼルローン駐留艦隊の内、アッテンボロー少将が率いる2,200隻の分艦隊が、回廊の帝国領方面を哨戒している最中に、ケンプ艦隊の分艦隊であるアイヘンドルフ艦隊1,630~1,790隻(推定)と遭遇し、戦闘状態に突入した。アッテンボローの分艦隊は兵士の多くが補充されたばかりの新兵であり、その中に、軍曹待遇に昇進してスパルタニアンの搭乗資格を得たばかりのユリアン・ミンツも含まれていた。

アイヘンドルフ艦隊は当初ヤン艦隊の名前を恐れて消極的な戦い方を採っていたが、戦闘開始8~9時間後、相手の多くが素人であると気づいた為攻勢に転じようとした。しかしそれと前後してヤン艦隊本隊が援軍に駆けつけた為、急遽撤退に転じた。追撃戦は行われなかった。

ユリアン・ミンツは初陣となったこの戦いでワルキューレ3機と巡航艦1隻を破壊し、曹長待遇に昇進した。

[編集] 第8次イゼルローン攻防戦

宇宙暦798年/帝国暦489年4月~5月。帝国軍科学技術総監シャフト技術大将の「ガイエスブルク要塞イゼルローン回廊ワープさせ、イゼルローン要塞との戦いに利用する」という提案に基づいて実行された戦い。投入された艦艇は16,000隻。動員された将兵は200万人。作戦司令官はケンプ大将。副司令官はミュラー大将。ワープ装置の設置と実験も両者が行い、3月19日にワープ実験に成功、ラインハルトによって作戦が正式に承認される。

これに先立ち、フェザーンのルビンスキーとケッセルリンクの工作によってヤンがハイネセンに呼び戻され、叛乱の意思があるという口実で同盟政府の査問会にかけられた。その最中の4月10日、ガイエスブルク要塞がイゼルローン回廊に出現し、戦闘が開始された。この知らせにより、同盟政府は不承不承ながらヤンを解放し、4つの独立艦隊を援軍として救援に向わせた。到着は4週間後。

ヤン不在のイゼルローン要塞は、司令官代理のキャゼルヌが指揮を執った。実戦指揮の経験が少ない事と、ヤンの到着を待つという戦略を採った為、常に後手に回る展開となったが、幕僚の努力に加えて客員提督であるメルカッツの助言/艦隊指揮もあり、また、ヤンの不在が帝国軍には知られず、ケンプが自重した事もあって、攻略されるには至らなかった。ミュラーは捕虜からの情報と相手の様子からヤン不在とイゼルローンへの援軍を予測したが、ケンプが意見を却下したため確認と待ち伏せが出来なかった。

5月に帝国の偵察部隊が同盟の援軍を発見した。ケンプは時間差による各個撃破を立案したが、ユリアンがその作戦を見抜いて逆手に取る事を提案した。これにより、帝国軍は二正面作戦を強いられて殲滅されかかったが、窮地に追い込まれたケンプがガイエスブルク要塞をイゼルローン要塞にぶつけて破壊する事を思いついた。しかしヤンはガイエスブルク要塞が動き出す瞬間を狙って移動用エンジンのひとつを砲撃で破壊。推進軸をずらされてスピンを始めたガイエスブルク要塞にイゼルローン要塞がトール・ハンマーで砲撃し、ガイエスブルクは爆発に至った。ケンプは要塞内で死亡。要塞内及び周辺宙域の帝国軍残存部隊のほとんどが爆発に巻き込まれる形で損害を被り、ミュラーは戦艦リューベックの艦橋で肋骨4本の骨折を含む全治3ヶ月の重傷を負った。

援軍の一隊であるアラルコンと駐留分艦隊のグエンがヤンの意思に反して追撃に向ったが、援軍として途中まで来ていたミッターマイヤーロイエンタールの両艦隊に逆撃され全滅。それを知ったヤンは撤退し、帝国側も引き上げた為、戦いは終了した。

帝国軍の損害は約9割に上ったが、ケンプは敗死しながらも上級大将に特進。ミュラーも罰は受けなかった。シャフトは敗戦の責任は問われなかったが、用済みと判断したフェザーン側の密告により汚職が判明、ケスラー率いる憲兵隊に逮捕された。

[編集] ラグナロック(神々の黄昏)作戦

宇宙暦798年/帝国暦489年8月~翌年5月。皇帝エルウィン・ヨーゼフ2世が誘拐されて、それを画策したレムシャイド伯を筆頭とする銀河帝国正統政府、及び共犯者である同盟政府への懲罰という名目でラインハルトが発令した作戦。宣戦布告は8月20日(銀河帝国正統政府の樹立宣言と同日)。軍内部への具体的な説明と作戦名の発表は9月19日。最終的な人事の発表は11月8日。最初の戦闘は11月20日(イゼルローン要塞攻略作戦)。戦闘終了は翌年5月5日(バーミリオン星域会戦)。書類上の終結は5月25日(バーラトの和約)。

フェザーン回廊に向う本隊の布陣は、

イゼルローン要塞への陽動作戦は、司令官がロイエンタール。指揮下にルッツレンネンカンプ、後詰めとしてアイゼナッハが配された。なお、ケスラーメックリンガーはそれぞれ首都防衛司令官/後方担当として残留した。

ランテマリオ会戦までは、ほぼラインハルトの思惑通りに進んだが、同会戦の終了間際からヤンが艦隊を自由に運用して対抗し始めた為、帝国軍は次第に不利になっていく。ラインハルトはヤンとの決戦を行う為、自分をおとりにしてヤンを誘い出し、包囲する作戦に出た。ラインハルトを戦場で倒す事が同盟存続の唯一の道であると考えていたヤンは、罠である事を承知の上でラインハルトとの艦隊決戦に赴き、バーミリオン星域で対戦した。戦闘自体は途中でミュラーの来援があったものの、ヤンが事実上の勝利をおさめたが、ブリュンヒルトが砲撃される直前、ヒルダの提案を受けたミッターマイヤーとロイエンタールがハイネセンの同盟政府を降伏に至らしめた為、戦闘は停止した。

戦闘停止後の混乱時に、ヤンはメルカッツに「動くシャーウッドの森」を託して逃亡させた。艦艇は60隻。同行者は副官のシュナイダーやポプラン、リンツ及び将兵11,800人。なお、この中にカーテローゼ・フォン・クロイツェルが含まれている事が後日判明する。また、戦闘終了から24時間後の5月6日23時に、ヤンとラインハルトは史上唯一の会談に臨んでいる。

この作戦の後の6月22日、オーディンに戻ったラインハルトは皇帝に即位し、ローエングラム王朝が成立した。ミッターマイヤーは宇宙艦隊司令長官に、ロイエンタールは統帥本部総長に、オーベルシュタインは軍務尚書に就任。3者とも元帥号を授与された。それ以外の主要提督もそれぞれ上級大将に昇進したが、特にバーミリオン会戦での功績が認められたミュラーは上級大将首座とされた。同盟では、ヤンが退役して念願だった年金生活に入り、フレデリカ結婚した。ビュコックアッテンボローシェーンコップも退役したがキャゼルヌは辞表を却下され後方本部長代理に任じられた。ムライ、パトリチェフ、フィッシャーは辺境勤務に任じられた。ユリアンはボリス・コーネフやルイ・マシュンゴ、途中で合流したポプランらと供に親不孝号地球に向った。

[編集] 第9次イゼルローン攻防戦

宇宙暦798年/帝国暦489年10月9日~翌年1月19日。ラグナロック作戦中の陽動として行われた戦闘。最初の戦闘では、ローゼンリッターがトリスタンに乗り込み、シェーンコップロイエンタールの一騎打ちが実現している。その後も戦闘は断続的に続き、レンネンカンプがアッテンボローの罠にかかって3割の損害を出した戦いも行われた。12月9日にロイエンタールは援軍の要請(に見せかけたフェザーン侵攻作戦の開始要請)をラインハルトに上申した。フェザーンが占領された後の1月19日に、ヤンが放棄したイゼルローン要塞にロイエンタールが進駐。本戦闘は終了した。

[編集] フェザーン侵攻作戦

宇宙暦798年/帝国暦489年12月。イゼルローン要塞への陽動攻撃に乗じて、ラグナロック作戦の本隊が行った侵攻作戦。第一陣のミッターマイヤー艦隊が出陣したのは12月9日と推定。当初はイゼルローン方面への援軍という名目で出陣し、兵士にもそう説明されていた。ミッターマイヤー艦隊の全兵士にフェザーン占領が目的であると伝えられたのは12月13日。艦隊がフェザーンの衛星軌道に到達したのは同24日。フェザーンには対抗するだけの軍事力が無いため、第1陣のミッターマイヤー艦隊のみで即日無血占領が完了した。第2陣のミュラー到着は同月28日、ラインハルトの本隊到着は同月30日16時50分。

この時、駐在武官としてフェザーンに赴任していたユリアンは、ヤンとの事前の打ち合わせでこの事態を予想しており、マシュンゴ及び弁務官のヘンスローとともに逃亡。翌年1月24日に、マリネスクの手引きにより、ベリョースカ号でフェザーンを脱出した。なお、ドミニク・サン・ピエールの手配でデグスビイ司教が同乗しており、フェザーンと地球教に繋がりがある事をユリアンに話した後、薬物中毒で死亡した。

[編集] ランテマリオ星域会戦

宇宙暦799年/帝国暦490年2月8日。フェザーンを占領して同盟領に侵攻した帝国軍本隊と同盟軍本隊の戦い。

帝国軍は1月30日にポレヴィト星域に集結し「双頭の蛇」の陣形に編成を変えた。第1陣=ラインハルト、第2陣=シュタインメッツ、第3陣(事実上の先陣)=ミッターマイヤー、第4陣=ミュラー、第5陣=ワーレン、予備兵力=ファーレンハイト/ビッテンフェルト。戦力は戦闘用艦艇11万2700隻、支援用艦艇4万1900隻、将兵1,660万人。

同盟軍は2月4日にバーラト星系から進発した。司令官がビュコック、総参謀長がチュン・ウー・チェン、副官がスーン・スール。参加艦隊はパエッタの第1艦隊に加え、同盟中から集めた艦艇で第14/第15艦隊を新設し、モートンとカールセンが司令官に任じられた。兵力は艦艇数3万2900隻、将兵520万6000人。この戦いに先立ってビュコックは元帥に昇進している。

2月8日13時40分、同盟軍は帝国軍ミッターマイヤー艦隊の側面5.1光秒の距離に位置し、その5分後に攻撃を開始した(アニメでは13時に5.2光秒の距離に位置し、攻撃開始のタイミングを計っていたが、味方の一部が勝手に砲撃を始めてしまった為、なしくずしに戦闘状態に突入した事になっている)。ビュコックは慎重に戦闘を進めるつもりだったが、味方の一部がヒステリー状態で無秩序に砲撃、それが効を奏してミッターマイヤー艦隊に亀裂が入り、そのまま押し込む形で進撃を始めた。しかしミッターマイヤー艦隊がすぐに体勢を立て直す事を察した為、同盟軍は一旦後退した。そこに左右から他の帝国軍艦隊が襲来した為、戦闘は消耗戦に移った。翌2月9日、戦力差が明確になり始めた頃、ラインハルトはとどめを刺す事を決め、待機していたビッテンフェルトに出撃を命じた。11時にシュワルツ・ランツェンレイターが行動を開始。帝国軍と同盟軍の間のエネルギー流を強行突破し、同盟軍の集中攻撃に耐えながら反撃して同盟軍の主力を撃砕、勝敗が決した。だがその時、帝国軍の背後からヤン艦隊が接近している事が判明し、帝国軍は一時パニックを起こした。ラインハルトは体勢を立て直す為一時撤収し、戦場から2.4光年離れたガンダルヴァ星域の第2惑星ウルヴァシーを占領して侵攻の拠点とした。ヤンはビュコックの本隊と合流し、バーラト星系に撤退した。

なお、この時、帝国軍の駆逐艦を乗っ取ったユリアン達が、最後尾のフィッシャー艦隊にコンタクトし、合流を果たしている。

[編集] ライガール・トリプラ両星域の会戦

宇宙暦799年/帝国暦490年3月1日~ヤン艦隊と、帝国軍のシュタインメッツ/レンネンカンプ艦隊との連戦。この直前にゾンバルト少将が護衛する補給艦隊がヤン艦隊によって全滅させられた為、ラインハルトはウルヴァシーの恒久基地化の邪魔になるヤン艦隊を排除するべく、シュタインメッツ艦隊に探査を命じた。そして3月1日、ライガール・トリプラ両星域の中間にあるブラックホールシュバルツシルト半径ぎりぎりにヤン艦隊が凸形陣で布陣している事を知り、本隊に連絡した。連絡を受けた本隊からはレンネンカンプ艦隊が援軍に赴いた。

同日21時にヤン艦隊とシュタインメッツ艦隊が戦闘状態に突入。当初は双方とも正面からの砲撃戦を展開していたが、翌日5時30分にヤン艦隊が中央突破・背面展開戦法を使ってシュタインメッツ艦隊をブラックホールに追い込み始めた。シュタインメッツはある程度の犠牲が出る事を覚悟して4時方向に転進/ブラックホールを利用したスイングバイで脱出に成功したが、最終的に8割の損害を出した。

シュタインメッツ艦隊との戦いの後逃走する事を考えていたヤンは、援軍がレンネンカンプ艦隊だと知り予定を変更。心理戦を利用した艦隊運用でレンネンカンプの疑心暗鬼を誘発し、タイミングを計って攻勢を仕掛けた。レンネンカンプ艦隊は後退して機会と戦意を逸し、同日13時にようやく秩序を回復したものの、その時既にヤン艦隊に逃げられてしまっていた。

この戦いに先立って、ヤンは元帥に昇進し、勤労意欲に目覚めたアイランズ国防委員長の承認により、ヤン及びヤン艦隊がほぼ自由に戦術と戦略を組み立てる事が出来る様になった。帝国駆逐艦乗っ取りという功績で中尉に昇進したユリアンと銀河帝国正統政府を事実上見限ったメルカッツが復帰し、キャゼルヌも中将に昇進してイゼルローンから引き続き同行、シェーンコップは中将に、フレデリカは少佐に昇進した。さらにアニメ版ではモートンとカールセン、及び第14/15艦隊の残存部隊が合流する様子が描かれたが、パエッタと第1艦隊の残存部隊については言及されていない(元上官の彼が加わった場合、使いにくい側面もあったと思うが、第1艦隊指揮だったためビュコックと共にハイネセンに帰還したものと思われる)。

[編集] タッシリ星域の会戦

宇宙暦799年/帝国暦490年3月ヤン艦隊とワーレン艦隊の戦い。ゾンバルト少将が護衛していた補給艦隊が全滅したため、ウルヴァシーの物資が不足し始めた。この事態を打開する為、ワーレンが自分自身の艦隊で同盟の補給基地を襲って物資を奪う案を上申し、ラインハルトの承認を得て進発した。それに気づいたヤンはタッシリ星域で護衛が不十分に見える補給艦隊を配置し、故意にワーレン艦隊に奪わせた。ワーレン艦隊の中央部分に取り込まれた補給部隊が、僅かな反撃を開始した為、ワーレンは物資を奪う事を断念して補給部隊を攻撃した。しかしその補給艦は液体ヘリウムを満載していた為大爆発が発生。そこにヤン艦隊が砲火を浴びせた為、ワーレン艦隊は大きな損害を出しつつ敗走した。

[編集] バーミリオン星域会戦

バーミリオン星域会戦
戦争: ラグナロック作戦
年月日: 宇宙歴799年/帝国歴490年4月24日〜5月5日
場所: バーミリオン星域
結果: 諸説あり
交戦勢力
銀河帝国 自由惑星同盟
指揮官
ラインハルト・フォン・ローエングラム ヤン・ウェンリー
戦力
ラインハルト艦隊
ミュラー艦隊
ヤン艦隊
第14艦隊
第15艦隊
損害
艦艇14,820隻
戦死/行方不明159万4400名
艦艇7,140隻
戦死/行方不明89万8200名

宇宙暦799年/帝国暦490年4月24日~5月5日ヤン艦隊とラインハルトが直接指揮する艦隊の戦い。当初から参加した兵力は、帝国軍が艦艇18,800隻/将兵229万5400人。同盟軍が艦艇16,420隻/将兵190万7600人。ただし帝国軍は途中からミュラー艦隊約8,000隻が参戦した。

ヤン艦隊をおびき出す為、ラインハルトは全艦隊を同盟領各地の占領の為に分散させ、自らもバーラト星系に向った。罠である事を承知の上でヤンはラインハルトの艦隊との戦いに向った。砲撃戦が開始されたのは4月24日14時20分。双方とも相手の奇襲に対応しようと考えていた為、結果として平凡な正面攻撃の応酬で始まったが、トゥルナイゼンが功をあせって帝国軍の艦列を乱し、ヤン艦隊の集中砲火を浴びる事となった。一方の帝国軍も反撃し、双方とも犠牲を出した。

帝国軍の援軍が到着する事を予想したヤン艦隊は、27日に再編成を行い速攻に転じた。これに対してラインハルトは、時間稼ぎを目的としてペティコートのように24段に及ぶ防御陣を敷いて対応した。当初はヤンにも帝国軍の戦法が理解出来なかったが、ユリアンが見抜いてその見解を披露した。ヤンはそれに基づき、4月30日に一旦後退して小惑星帯に入り、マリノ率いる2000隻の分艦隊と小惑星で構成したおとりの擬似艦隊を右翼方面から進発させた。

おとりだと知らないラインハルトは迷った末に防御陣を解いて各分艦隊に攻撃を命令したが、各分艦隊がブリュンヒルトから離れた瞬間、ヤンの本隊が小惑星帯から進発してブリュンヒルトに向った。帝国軍の各分艦隊が気づいて急ぎ引き返したが、それを予期していたヤン艦隊本隊とおとり艦隊によって包囲攻撃を受け始めた。同時にヤン艦隊の一部艦隊が、わずかな護衛に伴われるのみのブリュンヒルトに接近した。だが攻撃が開始される寸前の5月2日、抵抗運動が起きずに、占領の手間がかからなかったため、いちはやく反転したミュラー艦隊の内、高速艦艇8000隻がバーミリオン星域に到着/参戦した。戦いは再び膠着し、モートンが戦死した。

この直後、ヤンはカルナップが包囲網を突破しようとしている事に気がついてその部分の包囲網を解き、ミュラーが逆に味方を救出する為包囲網に入る様に仕向けた。ミュラーとカルナップが逆方向から殺到して混乱状態になった瞬間、ヤン艦隊は集中砲火を仕掛けてカルナップを戦死させ、さらにミュラーのリューベックを大破させた。ミュラーは乗艦を4度変えて対抗したが、ヤン艦隊の進撃を食い止める事は出来なかった。5月5日22時40分、ヤン艦隊はブリュンヒルトを射程内にとらえようとしていたが、ハイネセンから無条件停戦命令が下され、戦闘は終結した。最終的な参加数は、帝国軍が26,940隻/326万3100人。損傷率は87.2%、死傷率は72%。同盟軍が16,420隻/190万7600人。損傷率は81.6%、死傷率は73.7%。

なお、この戦闘に先立つ4月11日、ヤン艦隊は小惑星ルドミラの補給基地で半日休暇を取ったが、その際ヤンはフレデリカにプロポーズし受諾されている。また、フレデリカに密かな恋心を抱いていたユリアンは、それを忘れる為という一面もあって、戦闘後に生き残ったら地球教の調査に向う事をキャゼルヌに伝えている。

[編集] ハイネセン制圧作戦

宇宙暦799年/帝国暦490年5月5日ミッターマイヤーロイエンタールによる同盟首都星ハイネセンの侵攻作戦。ラインハルトの危機を感じたヒルダが、5月2日に独断でエリューセラ星域にいたミッターマイヤーと面談し、ハイネセンの占領を促した。当初は懐疑的だったミッターマイヤーも説得を受けて同意し、隣のリオヴェルデ星域にいるロイエンタールに連絡して同行を要請した。ロイエンタールは様々な想いを抱きながらも同意し、ミッターマイヤーとともにバーラト星域に急行した。両艦隊とも5月4日にバーラト星系に到着。翌5日にはハイネセンの衛星軌道に達し、同盟政府に無条件降伏を勧告、国防委員長のアイランズは最後まで抵抗することを主張したが、それまで職務放棄していたトリューニヒトが反対を押し切って地球教徒により抵抗を排除、降伏勧告を受諾、ヤン艦隊に即時停戦することを命令した。(アルテミスの首飾りがヤンによって全て破壊されていなければという声もこの時起きた。)

この作戦によって帝国軍はハイネセンを無血開城する事が出来、ラグナロック作戦は成功に終わった。また、この作戦を考案したヒルダの戦略/政略センスが非凡なものである事が知られる事となった。ただしバーミリオン星域の戦闘で負けたまま勝利を譲られた形になったラインハルトのプライドは大きく傷つき、しばらくの間はヒルダに対して複雑な感情を抱かずにいられなかったと思われる。

[編集] キュンメル事件~エフライム街の戦闘

[編集] ヤン・ウェンリーを巡る惑星ハイネセンの戦い

シャーウッドの森艦隊が廃棄予定だった戦艦の強奪に成功した下りから

[編集] 地球教討伐作戦

宇宙暦799年/新帝国暦1年7月27日ワーレン艦隊による地球教本部(地球・ヒマラヤ山脈カンチェンジュンガ山)への討伐作戦。発端となったキュンメル事件の発生は7月6日。出征を決定した御前会議は10日。ワーレン艦隊が太陽系外縁部に到達したのは24日。同日艦隊旗艦サラマンドルの艦橋で討伐を阻止するためにワーレンを狙ったテロが発生。27日に昏睡から脱したワーレンはコンラート・リンザー少佐及び2個大隊に地球教本部の偵察と進路設定を命令。30日までに作戦が終了。8月1日にはワーレン艦隊第1波はオーディンへの帰路に着いた。

御前会議においてビッテンフェルトは主戦論を展開し、自分をその任に就けてほしいと願い出たが、ラインハルトはその願いを却下し、ワーレンに討伐を命じた。これはラグナ・ロック作戦ヤンに敗北した3提督の内、ワーレンだけが名誉挽回の機会を得ていなかった事による。命令を受けたワーレンがオーディンを出立した日は明記されていないが、日を置かず高速艦艇だけ(5440隻)で出立し、航行途中で艦隊編成をしている点から、御前会議の翌日もしくは翌々日ではないかと推測される。太陽系外縁部に到達した24日、艦隊旗艦サラマンドルの艦橋で行われた作戦会議の後、ワーレンは兵士に扮した地球教徒に毒を塗ったナイフで襲われた。一命を取り留めたが、毒に侵された左腕を失ったワーレンは、その事から右腕の無いリンザーを思い出し、先行を命じた。

これに先立つ7月10日、ユリアン一行が地球に到着し、14日に地球教本部に潜入している。先行の命令を受けたコンラート・リンザーは本部内でフェザーの商人達であると名乗ったユリアン一行の協力を得て各所を制圧し、地球教本部の内部構造を突き止めた。ワーレンはその情報をもとに一箇所を除く各所出入り口をミサイル攻撃でふさぎ、サラマンドルを強行着陸させて装甲擲弾兵を送り込んだ。戦いは最初から帝国軍が圧倒したが、命を投げ出して反撃してくる教徒の異様な振る舞いに神経が耐えられない兵士が続出した。やがて地球教徒自身による本部の爆破が発生し、戦いは終了した。総大主教が脱出せず生き埋めになった事は、脱出したド・ヴィリエ大主教が後日ユリアンに射殺される寸前に語って判明した。

これと平行して、ユリアン達は地球教本部の資料室を発見し、コンピュータに記録されていたデータを一枚の光ディスクにコピーしている。戦闘後に、リンザーから「協力してくれたフェザーンの商人」としてワーレンに紹介されたユリアンはオーディンへの同行を願い出ており、8月1日の艦隊第1波帰還の時に親不孝号で同行している。

余談だが、アニメ版でワーレンが太陽系外縁部に到達した時、作品の発表当時はまだ惑星として認められていた冥王星が、外縁部に達した事を示す意味で背景に描かれている。

[編集] 第2次ラグナロック作戦(大親征)

宇宙暦799年/新帝国暦1年11月~ヤンの逮捕に始まるハイネセンの混乱の報告を受けたラインハルトが、バーラトの和約を破棄して同盟を併呑する為に決定した作戦。

「「動くシャーウッドの森」が艦艇を強奪したのは7月16日。ヤンが逮捕されたのは22日。ハイネセンから脱出したのは24日。その報告が帝国にもたらされたのは30日。大本営のフェザーンへの移動発表は8月8日。エル・ファシルの独立宣言は13日。ミッターマイヤーの移動は30日から。ラインハルト自身の移動は9月17日から。作戦の決定は11月1日。第1陣のビッテンフェルト艦隊がフェザーンから進発したのは10日。同日、決定がラインハルトの口から同盟領及び帝国全土に知らされた。出征計画と陣容の発表は翌11日。最初の戦闘は12月2日(ミッターマイヤー艦隊と惑星ルジアーナの造兵廠との交戦)。ヤン一行がエル・ファシル星系に到着したのは9日。ユリアン一行がエル・ファシルに到着したのは11日。マル・アデッタ星域の会戦を経てラインハルトがハイネセンに到着したのは2月9日。作戦終了は20日(冬バラ園の勅令)。ただし回廊の戦いを本作戦の一部とする説もある。

11月11日の会議で発表された艦隊陣容は以下の通り(隊列順)。

また、イゼルローン要塞のルッツ艦隊にも出動命令が下される事になった。オーベルシュタインはフェザーンに残留し留守を預かった。

一方、同盟は一旦退役していたビュコックが復帰し、艦隊司令官に就いた。チュン・ウー・チェンが艦隊編成を行い、同時にムライ/パトリチェフ/フィッシャーを辺境任務から呼び戻し、5,560隻の艦艇と供にヤンの元に送り出した。同盟軍の進発の日は不明だが、アニメ版ではイゼルローン再奪取の実行部隊がエル・ファシルから進発した日と同日とされているので、12月の後半であろうと思われる。

帝国軍はマル・アデッタ星域の会戦で最後の同盟軍艦隊を撃破したが、その直後、イゼルローン要塞が再奪取された事を知った。状況の変化に帝国軍は愕然としたが、作戦に変更は無く。そのままハイネセンに向って再発進した。ラインハルトは急行する事を考えていたが、ヒルダの助言によってゆっくりと進行し、同盟の動揺を誘った。意図は的中し、2月2日に同盟元首のジョアン・レベロが統帥本部長のロックウェル大将とその部下たちに射殺され、自由惑星同盟は降伏を宣言した。帝国軍はハイネセンを無血開城し、冬バラ園の勅令で同盟の消滅を宣言した。

[編集] イゼルローン再奪取作戦(第10次イゼルローン攻防戦)

宇宙暦800年/新帝国暦2年1月2日~14日。エル・ファシル革命予備軍となったヤン一党によるイゼルローン要塞の攻略、及びイゼルローンに駐留しているルッツ艦隊との交戦。行動部隊の陣容は、艦隊指揮がメルカッツ、突入部隊がシェーンコップとローゼンリッター、ユリアンポプラン、マシュンゴ、及び参加希望者。情報操作担当がバグダッシュ。ヤンが直接指揮を執る事に対して独立政府が難色を示した為、ヤン及びアッテンボローがエル・ファシルに残留した。また、カリンが自分の娘だと知ったシェーンコップが、カリンの参加希望を却下した。その理由は明確には示されていない。

情報操作の為の最初の通信がバグダッシュから発せられたのは1月2日。ラインハルトの名前で、艦隊が第2次ラグナロック作戦に参加する事を命じていた。だが翌3日に、前日とは逆に出撃禁止及び内通者捜索の命令が届き、捜索の結果、幾人かの逮捕者が出た。この事で、ルッツは後者の通信の方を信用し、これ以降に届いた出撃を促す通信を無視する様になった。

1月7日、5本目に届いた出撃命令(これがラインハルトからの本当の命令)が届いてもルッツが動かない事を知ったバグダッシュは、脅迫めいた通信を送ってルッツの幕僚を戦慄させた。さまざまな思慮の末、これがヤンの罠だと結論づけたルッツは、逆に罠にかけるべく出撃、要塞を留守にすると見せかけて反転し、要塞と挟み撃ちにする作戦を立案した。ルッツ艦隊の出撃は12日、翌13日にはその報がヤン一党に届き、イゼルローン要塞に向けて出動した。

だがルッツの思惑に反して、イゼルローン要塞は、ヤン一党がトール・ハンマーの射程距離に入った時点で、バグダッシュが発した「健康と美容のために、食後に一杯の紅茶」という通信を受領し、要塞の制御システムをつかさどるコンピュータが機能を停止していた。これは「イゼルローン要塞攻略作戦」でヤンが要塞を放棄した時に仕掛けた罠であり、これによってゲートの開閉も防御システムの稼動も不可能となった。

ヤン一党の突入部隊は要塞の軍港に強行着陸し、白兵戦の末、23時20分にAS28ブロックの第4予備制御室を占拠した。ユリアンが制御卓から「ロシアン・ティーを一杯。ジャムではなくママレードでもなく蜂蜜で」と回路に入力して制御システムを奪い、23時25分、帰還途上のルッツ艦隊にトール・ハンマーを発射。これに気づいたルッツは急遽散開行動を命じたものの、多くの艦艇が間に合わず破壊された。

14日0時45分、帝国軍のヴェーラー中将が部下の安全な退去と引き換えに要塞の放棄に応じる事を打診。意思決定を委ねられたユリアンは7分後に条件を受諾する返答を送り、戦闘は終了した。要塞内の帝国軍、及び損害を被ったルッツ艦隊は撤退した。なお、0時59分に、ピストル自殺を遂げたヴェーラー中将の遺体が執務室で発見された。

[編集] マル・アデッタ星域会戦

宇宙暦800年/新帝国暦2年1月16日。バーラト星系に侵攻を続ける帝国艦隊と、それに対抗しようとする同盟艦隊の交戦。1月8日、ミッターマイヤー艦隊の前方に1,000隻以上の艦艇が出現。同10日、同盟軍が20,000隻以上の戦力を有している事が判明。同13日、帝国軍の前方、恒星マル・アデッタ付近に同盟軍が布陣。同16日に戦闘開始。なお、マル・アデッタは不安定な状態の恒星であり、周囲に無数の小惑星を従えている。

同盟の艦隊司令官はビュコック。参謀長はチュン。分艦隊司令官はカールセン。参加幕僚はザーニアル少将/マリネッティ少将など。戦力は推定で艦艇20,000~22,000隻/将兵230万~250万人。なお、副官のスールは別の命令を受けて(実際には若いスールを死なせたくないというビュコックの配慮から)ムライ達に同行してヤンの元に向った。

戦闘態勢に入った帝国軍の陣容は、中央部がラインハルトの直属艦隊。左翼がミッターマイヤー艦隊、右翼がアイゼナッハ艦隊、後衛がミュラー艦隊、予備兵力がファーレンハイト艦隊、前衛はクナップシュタイン/グリルパルツァーの両艦隊。なお、先行したビッテンフェルト艦隊は連絡が取れず、戦闘開始時には参戦出来なかった。

16日10時30分、正面からの砲撃戦開始。第1撃の後、同盟軍が小惑星帯に撤退。グリルパルツァー艦隊が追撃したが逆撃され、3割の損害を出して撤退。ラインハルトはファーレンハイト艦隊を同盟軍の背後に差し向け、同時にクナップシュタイン艦隊に陽動を命じた。13時にクナップシュタイン艦隊が攻撃を開始したが、逆に多くの損害を出して苦戦に陥る。15時40分にファーレンハイト艦隊が同盟軍背後にまわり込む事に成功したが、16時20分、左側背からカールセンの分艦隊が攻撃を開始。ファーレンハイト艦隊は後退を余儀なくされた。20時30分、カールセン艦隊は迂回して帝国軍本隊の背後に回り込み、ミュラー艦隊と戦闘を開始。その背後にはファーレンハイト艦隊が、さらにその背後にはクナップシュタイン艦隊を機雷で足止めしたビュコックの同盟本隊が続いた。その後、2つの同盟艦隊は連携を以って帝国軍本隊攻撃を試みたが、ミュラー艦隊とファーレンハイト艦隊、21時18分に右翼から迂回して戦いに加わったアイゼナッハ艦隊の抵抗に遭い、進軍を止められていた。22時、恒星風の影響で帝国軍の艦列が乱れたのを機に、同盟軍は一気に進撃を試みたが、側面からミッターマイヤー艦隊が突入した為またも進撃を止められた。そして22時50分、先行していたビッテンフェルト艦隊が戦域に到着し、攻勢が限界に来ていた同盟軍に攻撃を加えた。23時10分、カールセンが乗艦ディオメデスと供に戦死。同盟軍は敗走を開始したが、艦隊旗艦のリオ・グランデと、その意を汲んだ100隻程度の艦艇が、味方の退路を確保する為戦闘を継続した。

23時30分、(ヒルダに説得された)ラインハルトの意を受けたミッターマイヤーが降伏を勧告したが、ビュコックは君主制(帝国主義)には降伏出来ないという自説を返答して勧告を拒否。ラインハルトは砲撃を命じ、リオ・グランデは破壊され、ビュコックとチュン、艦長のエマーソンは乾杯しながら消滅した。戦場を離脱した同盟軍の残存艦艇はヤンの元に去り、「帝国軍対同盟軍」という戦いの図式はこれを以って終了した。

[編集] 回廊の戦い

宇宙暦800年/新帝国暦2年4月20日~5月18日。ヤン一党(エル・ファシル革命予備軍)と帝国軍の戦い。ヤン・ウェンリー最期の戦いでもある。

4月20日の時点で、ヤン一党の兵力は艦艇28,800隻/将兵254万7400人。ヤンの乗艦はユリシーズに変わり、ヒューベリオンはメルカッツが乗艦とした。アッテンボローはマサソイト、フィッシャーはシヴァを乗艦にしている。ヤン艦隊3万隻近くといっても、実際の戦闘には2万隻を少し超えたていどしか動員できなかったと思われる。原作では28,800隻のうち3割近くが修理や整備を必要とする傷物とされている。2万隻少々を裏付ける間接情報としては、メックリンガー艦隊での「敵は2万を超えます」後の解説「じつはほぼ全軍であった」(アニメ)や、ビッテンフェルトの「敵は2万隻、こちらはファーレンハイト艦隊を合わせて3万隻、敵軍ことごとく葬って、なお1万隻残るではないか」発言(原作とアニメ)が挙げられる。メックリンガーの場合、ほぼ全軍であればその表現は「3万隻近く」とされるのが妥当だろう。ビッテンフェルト・ファーレンハイト両艦隊戦では、ヤンのスタイルで5000隻以上もの予備兵力を要塞に残すことは考えにくいし、予備兵力温存説を採れば前哨戦は9000隻以上の打撃を被っての辛勝となってしまい、劇中の表現と矛盾する。

[編集] 前哨戦

初戦で対決したのは、先発したビッテンフェルト艦隊15,900隻とファーレンハイト艦隊15,200隻、加えて帝国領からイゼルローンに接近したメックリンガー艦隊15,900隻。

戦いに先立って、ビッテンフェルトはヤンに挑発的な降伏勧告を送り、ヤンはそれを利用してメルカッツの裏切りという虚偽の通信を送り返した。ビッテンフェルトとファーレンハイトは信用しなかったが、相手の出方を待つ必要に迫られ、結果として受動的な立場に追い込まれた。この策謀で2艦隊の足を止めたヤンは、20,000隻以上を率いてメックリンガー艦隊に向かった。自分の艦隊より大きな兵力の接近により、メックリンガーは慎重に後退し、それを確認したヤンは反転してビッテンフェルト/ファーレンハイト艦隊に向かい、4月27日、アッテンボロー擬態回廊に引きずりこまれたビッテンフェルトと交戦状態に突入、平行してファーレンハイトも攻撃を開始した。

戦いは消耗戦となったが、狭い回廊の為に身動きがとれず、さらにフィッシャーの巧みな運用によってヤン艦隊に包囲される形となり、帝国軍がより多くの損害を出していた。ビッテンフェルトは正面突破に活路を得ようとしたが、ヤンの包囲は崩れず、一旦後退した。代って前線に突出したファーレンハイト艦隊は、おとり役を演じたアッテンボローの艦隊に砲火を集中し、一旦はヤンの本隊に肉薄したが、突出した為反撃を受ける事となった。この時再編成を済ませたビッテンフェルト艦隊が合流したが、一箇所に集まったため逆に集中砲火を浴びる結果となり、ファーレンハイト艦隊は右翼のメルカッツ艦隊に追い込まれた(この時右翼艦隊に所属していたカリンが初めてスパルタニアンで実戦に出陣し、一機を撃墜して無事に生還している)。

4月30日23時15分、回廊から脱出する僚艦の援護射撃をしていたアースグリムの艦橋が被弾した。ファーレンハイトは瀕死の重症を負い、幕僚も死亡した。ファーレンハイトは従卒の幼年学校生に遺言を伝えて死亡。アースグリムは同25分に撃沈した。2艦隊は回廊から撤退し、ラインハルトの本隊に合流に向った。ビッテンフェルト艦隊の損害は15,900隻の内6,220隻/190万8000人の内69万5700人、ファーレンハイト艦隊の損害は15200隻の内8,490隻/185万7600人の内109万5400人。戦死したファーレンハイトは元帥に昇進し、メルカッツは3日間の喪に服した。

[編集] 本戦

帝国軍本隊はビッテンフェルト/ファーレンハイト艦隊の残存部隊と合流し、5月3日に回廊に侵攻した。この時点での帝国軍本隊の兵力は艦艇14万6600隻/将兵1620万人。対するヤン一党の兵力は2万隻を切っていた。

アッテンボローが回廊の入り口に500万個の連鎖式爆発機雷を敷設しており、帝国軍はこれを排除しなければ回廊に突入出来なかった。帝国軍はこれに対して統帥本部総長ロイエンタールの案を採用し、まずブラウヒッチ大将の艦隊が半日をかけて機雷源にトンネル状の通路を穿ち、ヤン艦隊に攻撃を開始、ブラウヒッチがヤン艦隊の耳目を集めている間に指向性ゼッフル粒子を使って同時に5箇所のトンネルを開け、そこから各艦隊を侵攻させる、ヤン艦隊が分散する隙に最初にブラウヒッチが開けたトンネルから本隊が突入した。この作戦によって帝国軍は回廊内に橋頭堡を築くに至った。

5月4日12時0分、総旗艦ブリュンヒルトが回廊に突入。分艦隊を指揮するアッテンボローは集中砲火によって対抗し、そこから砲撃戦が展開される。だが狭い回廊内では混乱も多く、ミッターマイヤーの立てた半包囲作戦も味方が作戦通りに動いてくれず失敗した。これを問題としたミッターマイヤーは、後方では戦場の様子が把握しにくいとして20時15分にベイオウルフに移乗して陣頭指揮を執り始めた。疾風ウォルフの戦線参加で帝国軍は勢いづいたが、戦闘自体は膠着したままだった。バイエルラインを突出させてヤン艦隊の一角を突き崩そうとした作戦が失敗に終わった後、ミッターマイヤーは戦力を細分化してヤン艦隊の戦力を削り取る作戦を使ったが、これも遊兵を作り出す結果となった。

5月6日、ヤン艦隊はメルカッツの作戦で帝国軍の左翼を集中砲火し、帝国軍本隊が左翼に移動した瞬間を狙ってマリノの分艦隊がブリュンヒルトに向った。シュタインメッツがこれに気づいて防御陣を敷いたが、その為ヤン本隊に向う事が出来ず、ヤンとメルカッツの艦隊の集中砲火を浴びた。11時50分、艦隊旗艦フォンケルが被弾し艦橋が大破、シュタインメッツは破壊された船体の下敷きになり、親しくしていた女性の名前を呼んだ後に絶命した。報告を受けたラインハルトは、シュタインメッツに代ってヒルダを大本営幕僚総監に任じたが、帝国軍の混乱は収まらなかった。

戦線崩壊の危機を感じたロイエンタールは、バルトハウザー艦隊に側面攻撃をさせてヤン艦隊の足を止め、その間に本隊を後退させて体勢を整える作戦を献じたが、各艦隊がロイエンタールの思い通りに動かず、逆にヤン艦隊につけ入る隙を与えた。あと一歩でブリュンヒルトを討ち取るという時、ラインハルトが瞬時にヤン艦隊の艦列の攻撃ポイントを見抜き、自ら砲撃を指揮した。効果的に損害を与えられたヤン艦隊は撤退し、ロイエンタールは改めてラインハルトの天才ぶりを認識したが、この時ラインハルトの身体に異変が起こっていた。

5月7日23時、一旦要塞に撤収して態勢を整えたヤン艦隊は再び戦闘を開始した。ミュラー艦隊が前線に出て交戦を開始、さらに帝国軍の各艦隊もヤン艦隊に攻撃を加えたが、数が多いゆえに回廊の地形を有効に利用出来ず、戦線は混乱を極めた。8日になっても状況は変化しなかったが、そんな中、ベイオウルフが被弾し、一時はミッターマイヤー戦死の報が帝国を駆け巡った。本人みずから虚報である事を報告したが、この事がきっかけとなり、ラインハルトは戦法の変更を決意。9日の御前会議で作戦の変更が告げられ、10日に戦闘が再開された。縦列攻撃しつつ反転し、次の艦隊が続けて同じ事を繰り返すという単純だが最も効果的な戦法に直面したヤンは、慎重に艦隊を運用して対抗し、15日19時20分のシュワルツ・ランツェンレイター(ビッテンフェルト艦隊に旧ファーレンハイト艦隊を含む)の後退まで持ちこたえた。だがこの時フィッシャーが戦死し、ヤン艦隊は艦隊運用の要を失った。意気消沈しつつ機雷を敷設しなおし、イゼルローンに戻る事を決めたが、その途中である18日、ラインハルトから停戦と講和を呼びかける通信文が届き、戦闘は終了した。帝国艦隊と異なり連戦を強いられたヤン艦隊のメンバーは、出番のなかったローゼンリッターのメンバーを除き、過度の睡眠不足となっており、これ以上戦闘を継続するのは不可能といえる状態まで追い込まれていた。

[編集] ヤン・ウェンリー暗殺事件

[編集] ウルヴァシー事件

[編集] 第2次ランテマリオ会戦

宇宙暦800年/新帝国暦2年11月24日~。叛乱を起こしたロイエンタールと、討伐を命じられたミッターマイヤーの戦い。

きっかけとなったウルヴァシー事件が発生したのは10月7日、叛乱発生の日時は明確な宣戦布告が無いため不明だが、行方不明だったブリュンヒルトが発見された10月29日には、既に叛乱が既成事実となっていた。ラインハルトがミッターマイヤーに(拒否権付きで)討伐を命じたのは11月1日、ミッターマイヤー艦隊及び配下に加わったビッテンフェルト/ワーレン艦隊が影の城付近に集結したのは同4日(進発も同日と思われる)、ラインハルトがロイエンタールの新領土総督と元帥号を剥奪したのは同16日、同日ロイエンタールはミッターマイヤーと最期の交信を行ったが、交渉は決裂している。

ロイエンタール側の兵力は艦艇35,800隻/522万6400人(ただしこれは新領土総督に任じられた時の兵力。その後の損害や脱落は不明だが、開戦時に約520万と記述されているので、この数値に近いと思われる)。配下のグリルパルツァーは、派遣されていたウルヴァシーの捜査から戻ってきた時点で裏切りを企んでいたが、表面上は叛乱に同調し、クナップシュタインもグリルパルツァーに説得されてロイエンタールに協力を約束した。

ミッターマイヤー側の兵力はビッテンフェルト/ワーレン艦隊を合わせて艦艇42,770隻/将兵460万8900人。これに加えてメックリンガー艦隊11,900隻がイゼルローン方面から侵攻している。ただし開戦時はミッターマイヤー艦隊(将兵259万人)のみであり、ビッテンフェルト、ワーレンは遅れて戦場に到達する。

11月24日9時50分。対峙した両艦隊は正面から砲撃戦を開始した。当初は戦力差からミッターマイヤーが不利だったが、機動能力を最大限活用して戦況を拮抗させていた。25日8時30分、ビッテンフェルト艦隊の内脱落を免れた約1万隻が戦場に到着し、ロイエンタール軍の左翼に攻撃を開始した。同日19時、ワーレン艦隊が到着し、戦力比はほぼ対等となった。だがその直後、バイエルラインの分艦隊がロイエンタールの策略で包囲網に引きずり込まれて損害を出し、副司令官のレマー中将は戦死した。

ミッターマイヤーはロイエンタール軍の弱点が、配下になって間もないクナップシュタインやグリルパルツァーにあると考え、攻撃を集中した。29日6時9分、クナップシュタインが乗艦もろとも戦死。その為クナップシュタイン艦隊は指揮系統を失い戦力を低下させたが、ロイエンタールは巧緻を極めて不利な戦況を転換し、ビッテンフェルト艦隊に打撃を与えた。守勢に弱いビッテンフェルト艦隊の各艦艇は後退の気配を見せたが、「退く奴は砲撃する」というビッテンフェルトの暴言をオイゲンが通信で流した為、かろうじて踏みとどまり、シュワルツ・ランツェンレイターと旧ファーレンハイト艦隊との反目も逆に好作用して反撃に転じた。30日16時、そのビッテンフェルト艦隊が後退してロイエンタール軍が一時優勢となり、火力と機動力を駆使して左側面から反包囲しようと試みたが、ワーレン艦隊の奮闘で阻止された。乗艦のサラマンドルが被弾してワーレンの義手が吹き飛ばされながらも指揮を取りつづけたエピソードは、この時のものである。

戦闘はその後も続いたが、12月3日、メックリンガー艦隊がイゼルローン回廊を通過してハイネセンに向っているという報告を受けたロイエンタールは、戦闘継続を断念して後退に転じた。ミッターマイヤーはなおも追撃したが、12月7日、反転迎撃を始めようとしたロイエンタール軍に、その一艦隊であるグリルパルツァー艦隊が攻撃を加え始めた。裏切りに気がついたロイエンタールは反撃に転じたが、乗艦のトリスタンが被弾し、吹き飛ばされた艦の建材の一部がロイエンタールの左胸部を貫いた(奇しくもウルヴァシー事件の際に、ルッツが最後に撃たれた部分と同じ場所であった。また、グリルパルツァー艦隊の裏切り行為に対して、最も反撃を試みたのは戦闘中裏切るつもりであったことを知らなかったクナップシュタインの残存艦隊であったのは皮肉といえる)。グリルパルツァーは逃走し、ロイエンタール艦隊主力はデュッタースドルフ分艦隊が殿軍として残り、戦場を脱出してハイネセンに撤収、戦闘は終了した。

[編集] 帝国軍対イゼルローン革命軍による回廊の戦い(第11次イゼルローン攻防戦)

宇宙暦801年/新帝国暦3年2月12日~14日。イゼルローン(共和政府)革命軍と帝国軍艦隊との交戦。ユリアンが初めて作戦を立案し、艦隊指揮を執った作戦でもある。この年の初頭からハイネセンで頻発したテロや暴動に関連して、イゼルローン共和政府の立場を明確にしなければならないという政略的配慮が必要になり、ユリアンが戦う事を決断した。

イゼルローン軍が進発したのは2月7日。回廊の帝国本土方面の警備を担当していたヴァーゲンザイル艦隊に向かい、それを知ったワーレン艦隊は後背を突く為2月8日に進発した。この時点で、ヴァーゲンザイル艦隊は8,500隻、旧同盟領に駐留するワーレン艦隊は15,600隻。対するイゼルローン軍はユリアン率いる本隊が6,600隻、これに加えてメルカッツが率いる別働隊(艦艇数は推定で数千隻程度)が存在する。

戦闘開始は2月12日4時35分、帝国本土方面の出口に近い宙域で、イゼルローン軍本隊とヴァーゲンザイル艦隊が交戦を始めた。砲撃戦に加えて単座式戦闘艇どうしの空中戦が展開され、ポプラン率いるスパルタニアンのチームが戦史に残る戦果をあげたが、イゼルローン要塞に近づけてトール・ハンマーを使うというのがイゼルローン軍の作戦であったため、全体としては帝国軍が進み、イゼルローン軍は後退した。ヴァーゲンザイルはこの作戦に気がついていたが、平行追撃によってトール・ハンマーを無力化出来ると考え、前進を続けた。

2日間の退却戦の後、イゼルローン軍はヴァーゲンザイル艦隊をトール・ハンマーの射程に引きずり込んだ。それに気がついたヴァーゲンザイルは退却を始めたが、トール・ハンマーの一撃を受けて混乱状態に陥った。一方のユリアンは逆方向から進撃するワーレン艦隊に向った。この時点でヴァーゲンザイル艦隊はメルカッツの別働隊を認識出来る位置にあったが、自分達が逃げるのに精一杯でワーレン艦隊にその報告をしなかった。一方ワーレン艦隊はヴァーゲンザイル艦隊の援護の為に危険宙域に留まり、トール・ハンマーのエネルギー充填までの時間を見計らってイゼルローン本隊と交戦に移った。数の上では勝算があったか、それまでワーレン艦隊の死角に潜んでいたメルカッツの別働隊が左側面から攻撃を開始し、結果としてワーレン艦隊は挟撃される形となった。艦隊運用の目論みが外れたワーレンは態勢を整えつつ撤退を始めようとしたが、20時15分、エネルギー充填を完了したトール・ハンマーの砲撃を受け、数千隻単位の艦艇が破壊もしくは戦闘不能となり、さらに200秒後に第2撃を受けた。ワーレンは、ヴァーゲンザイル艦隊の撤退を確認した上で、20時45分に撤退命令を出した。イゼルローン軍が完全撤退を確認したのは21時40分。

[編集] オーベルシュタインの草刈りラグプール事件

[編集] 柊館(シュテッヒパルム・シュロス)炎上事件

[編集] シヴァ星域会戦

宇宙暦801年/新帝国暦3年5月29日~6月1日。イゼルローン革命軍と帝国軍本隊との戦闘。物語上の帝国側対共和主義者という図式の戦いはこれが最期となる。この戦いの後、イゼルローン共和政府とローエングラム王朝との間で和平交渉が行われ、イゼルローン要塞の明け渡しやバーラト星系の自治などが合意に至った。

[編集] シヴァ星域会戦の前哨戦

5月末、亡命者900名を乗せた民間宇宙船ニュー・センチュリー号がイゼルローン回廊に入る直前、動力部に異常が発生して救援信号を発した。信号は両軍を呼び寄せ、結果として戦闘が開始された。当初はイゼルローン軍約2,000隻と、それより少ない帝国軍の警備部隊との小競り合いで始まったが、ドロイゼン艦隊数千隻が援軍に駆けつけ、一方のイゼルローン軍も要塞に援軍を求めた。戦闘開始2時間後にドロイゼンは戦略的価値を見出せない事を悟って艦隊を撤退させたが、イゼルローン軍が反転撤退出来ない様に追撃の姿勢を解かなかったため、イゼルローン軍はその場に留まらざるをえなかった。一方、ハイネセンに駐留していた帝国本隊にこの戦いが報告され、ラインハルトは自ら進発する事を宣言した。

[編集] シヴァ星域会戦の本戦

戦闘開始は5月29日8時50分。帝国軍の兵力は艦艇5万1700隻/将兵584万2400人、イゼルローン軍は9,800隻/56万7200人。戦闘開始15分後にイゼルローン軍は撤退を開始した。それがトール・ハンマーの射程に引きずり込む罠だと帝国軍は承知しており、一進一退を繰り返す形となった。この時点でラインハルトが体調不良に陥っており、帝国軍の動きが鈍重になっていた為、イゼルローン軍はかろうじて戦線を保っていた、この状態に限界を感じていたビッテンフェルトは、30日23時30分に猛進を開始し、イゼルローン軍左翼のアッテンボロー分艦隊に損害を与えた。これにより、イゼルローン軍は一旦撤退する様子を見せ、ビッテンフェルトは31日2時40分にラインハルトに追撃を具申した。仮眠中だったラインハルトはベッドから起きて着替えを済ませ、艦橋に入ったところで昏倒した。

大本営幕僚総監のメックリンガーは事の重大性を踏まえて事態の秘匿を謀ったが、艦隊司令長官のミッターマイヤーが乗りこんでいるベイオウルフだけには報告を入れた。ミッターマイヤーは仰天しつつも、折り返し通信の封鎖を大本営に要請したが、その前にポプランがスパルタニアンの通信回路に入ってきた「皇帝、不予」の通信を聞き、ユリアンに報告した。ユリアンもまた愕然としつつ、知らせて来たポプランとシェーン・コップメルカッツ、アッテンボローを集めて会議を開き、強襲揚陸艦でブリュンヒルトに乗り込むというシェーンコップの提案を採択した。そして自らも乗り込んでラインハルトに直接談判する事を決め、ポプランとマシュンゴが同行した。

6月1日1時、イゼルローン軍はメルカッツとアッテンボローによる艦隊運用と無人艦の自爆で帝国軍前衛部隊の態勢を崩し、そこから強襲揚陸艦イストリアを突入させ、1時55分、ブリュンヒルトにユリアン達とローゼンリッターを送り込んだ。白兵戦は一進一退となり、ローゼンリッターが居残って追撃を防ぎ、ユリアンとポプラン、マシュンゴはラインハルトの元に向う事になった。途中でマシュンゴがユリアンを庇って銃撃を受け戦死し、ポプランは親衛隊長キスリングと一騎打ちをしながらユリアンに前進を促した。その直後、ユリアンはラインハルトの部屋に進み入り、ミッターマイヤーとミュラーが見守る中、ラインハルトに交渉の用意がある事を告げつつ失神した。ラインハルトはミッターマイヤーに戦闘停止を告げさせ、戦闘は終結した。なお、これに先立ってシェーンコップとメルカッツが戦死しており、それらを含めてイゼルローン軍は参加者52万人の内20万人余の戦死者を出した。帝国軍は主要提督の戦死は無かったが、ラインハルトが不治の病に侵されている事が知らされた。

[編集] ルビンスキーの火祭り

[編集] 仮皇宮の戦闘

[編集] 関連項目

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