ヨーガ
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ヒンドゥー教 |
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基本教義 |
三神一体、輪廻、解脱 |
カースト |
神々 |
ブラフマー、シヴァ |
ヴィシュヌ |
インドラ、アグニ |
聖典 |
ヴェーダ |
マハーバーラタ |
ウパニシャッド |
ラーマーヤナ |
地域 |
インド、ネパール |
バリ島 |
ヨーガ(Yoga)とは、インド発祥の修行法。個体魂の、神への結合及び結合を実現する方法を指す。仏教ではサンスクリット語を漢字で音訳して瑜伽(ゆが)、意訳して相応ともいう。詳細は該当記事参照。様々なアーサナ(asana 姿勢)、bandhas(気の錠 呼吸法の意味)などを用いて精神統一し、解脱に至るといわれている。「ヨガ」と発音する人がいるが、サンスクリットで「O」(オー)の字は、常に長母音なので、「ヨーガ」が正しい。修行者はヨーギ(Yogi)(ヨギ、ヨギー、ヨーギー)、女性のヨーギはヨーギニ(Yogini)と呼ばれる。
なお、スポーツのストレッチなどはハタ・ヨーガのアーサナに由来している。洞窟潜水にヨーガを取り入れているダイバーは多い。
目次 |
[編集] 日本の状況
日本では昭和時代に紹介され単なる健康法と認識され盛んになった。宗教としてのヨーガの新興宗教である麻原彰晃こと松本智津夫によるヨーガ道場「オウム神仙の会」が成長したオウム真理教による一連の事件のため、健康法としてのヨーガも一時下火になったが、2004年頃から再びブームとなり、ダイエット方法の一つとしてテレビで紹介されたり、CMで使用されることが増えた。これはインドから直接流入したものではなく、アメリカ(とくにニューヨークやハリウッド)での流行が影響したものと考えられ、近年では、これがインドへ逆輸入されている。フィットネスクラブなどでは、エアロビクスと同じようなスタジオプログラムの一つとして行なわれている。 なお、伝統的ヨーガ系のグループでは現在もイニシエーションを行なうなど宗教団体的側面をもつ。
[編集] 歴史
ヨーガという用語で一番古いのは『タイッティリーヤ・ウパニシャッド』である。 また、『カタ・ウパニシャッド』にはじめてヨーガが説明されている。バラモン教、仏教、ジャイナ教の修行法であった。他に経典『シヴァ・サンヒター』がある。インド哲学の六派哲学にヨーガ学派がある。『ヨーガ・スートラ』という教典もある。
主とする座法はパドマ・アーサナ(蓮華座)という結跏趺坐である。
人体内に大きな6または7つのチャクラ(Chakra、輪、車輪)と小さなチャクラがありそれを回せば、またはクンダリニーを体内の脊椎にそって上昇させると悟りがひらけると一部の人たちは言うが、実際は、タイティリーヤ・ウパニシャッドで説明される、生気レベルの覚醒にすぎず、悟りへの入り口に立ったにすぎない。
[編集] 種類
[編集] 伝統的ヨーガ
- アシュタンガ・ヨーガ(Ashtanga yoga)
- 現在のパワーヨーガの源流ともなっているヨーガ。呼吸と共にアーサナを行う。しかし実際はラージャ・ヨーガの修行体系をいい、このことはヨーガ・スートラ第2章29節に記述されている。
- ハタ・ヨーガ(Hatha yoga)
- 「ハ」は太陽、「タ」は月をそれぞれ意味する。アーサナ(姿勢)、プラーナーヤーマ(呼吸法)、ムドラー(印・手印や象徴的な体位のこと)、クリヤー(浄化法)、バンダー(制御・締め付け)などの肉体的操作により、深い瞑想の条件となる強健で清浄な心身を作り出すヨーガ。起源は紀元後10世紀~13世紀頃。ゴーラクシャ・ナータが開祖。『ハタ・ヨーガ』と『ゴーラクシャ・シャタカ』という教典を書き残したと言われているが現存していない。インドに於いて社会が荒廃していた時期に密教化した集団がハタ・ヨーガの起源と言われ、肉体的操作ばかりに重きをおかれることから、低俗なものとみられる。しかしながら、悟りに至るための補助的技法として霊性修行に取り入れるならば、非常に有効であるといえる。
- ラージャ・ヨーガ(Raja yoga)
- 「ラージャ」は「王の」という意味であり、神を悟るための本格的なヨーガといえる。「マハー(偉大な)・ヨーガ」とも呼ばれる。根本教典はパタンジャリの『ヨーガ・スートラ』(紀元後2~4世紀)。第2章にはラージャ・ヨーガの段階について記述されており(1.ヤマ(禁戒)2.ニヤマ(勧戒)3.アーサナ(座法)4.プラーナーヤーマ(調気)5.プラティヤーハーラ(制感)6.ダーラナー(凝念)7.ディヤーナ(静慮)8.サマーディ(三昧))これら8つの段階からなることから、ラージャ・ヨーガをアシュタンガ(アシュ:8つ アンガ:枝、部門)・ヨーガとも言う。
- 今日アシュタンガ・ヨーガ=アーサナと受け取られているが、誤りである。
- カルマ・ヨーガ(Karma yoga)
- 日常生活を修行の場ととらえ、善行に励みカルマの浄化を図るヨーガ。見返りを要求しない無私の奉仕精神をもって行う。カルマ・ヨーガの教典は「バガヴァッド・ギーター」。
- バクティ・ヨーガ(Bhakti yoga)
- 神への純粋な信愛を培い、全てを神の愛と見て生きるヨーガ。古代に実在し、その後神として崇められたクリシュナが開祖。バガヴァッド・ギーターは、バクティ・ヨーガやカルマ・ヨーガの本質を歌っている。また、近代の大覚者ラーマクリシュナ・パラマハンサは、現代においてはこのバクティ・ヨーガこそ最も必要であると説いた。このヨーガを行う団体において、弟子・信者はグルの命令通りに動き絶対帰依することになるが、今なお存命中の大覚者であるサティア・サイババやシュリ・チンモイは、弟子の病気などのカルマを引き受けることも行っているという。新興宗教の中でも程度の違いこそあれこのヨーガを取り入れている団体は多いが、間違ったグルを師と仰ぐと一生を棒に振ることにもなりかねないため、事前に十分調査をすることが重要である。このヨーガの行者をバクタ(bhakta)という。
- ギヤーナ(ジュニャーナ)・ヨーガ(Jnana yoga)
- 高度な論理的熟考分析により、真我を悟るヨーガ。クリシュナムルティが有名。20世紀を代表する聖者の一人であるシュリ・ラマナ・マハリシは、このヨーガで大悟したとされているが、一般的に難易度の高いヨーガと云わざるを得ない。だが、巧く実践可能であるならば最も高度なヨーガとなりうるとの意見もある。このヨーガの行者はジュニャーニ(jnani)。
- マントラ・ヨーガ(Mantra yoga)
- ジャパ・ヨーガ(Japa yoga)
- マントラを繰り返し唱えるヨーガ。
- クンダリニー・ヨーガ(Kundalini yoga)
- ムーラダーラに眠るというクンダリニーを覚醒させ、身体中の気道やチャクラを活性化させ、悟りを目指すヨーガ。密教の軍荼利明王は、そのクンダリニーを象徴化したものである。別名ラヤ・ヨーガ。クンダリニーの上昇を感じたからヨーガが成就したというのは早計で、その時点ではまだ初期の段階に過ぎない。格闘家に愛好者が多い「火の呼吸」はクンダリニー・ヨーガの側面もあるがイコールではない。チベット仏教のトゥモ・ヨーガ、完成のヨーガや、中国の内丹術などとも内容的に非常に近い。
- このヨーガを実践するにあたっては重大な注意点がある。
- クンダリニーが一旦上昇を始めると、本人の力だけではそれをコントロールできなくなることがある。
- 具体的には、クンダリニーが上昇して頭部に留まってしまい、それを再び下腹部に下げることも、頭部から抜けさせることもできなくなり、発熱や頭痛、またそれが長期に渡ると、脊髄を痛めたり、最悪の場合精神に異常を来すことさえある。
- 従ってこのヨーガは、自己流又は単独実践は避け、然るべき師に就いて実践すべきとされている。
- 「然るべき師」とは、単に知識豊富で多少の呼吸法ができる師のことではなく、自身がクンダリニーの上昇経験を持ち、且つそれを制御できる師のことである。
- そうでなければ上昇を始めた他人(弟子)のクンダリニーの制御は不可能に近い。更に師に就く場合、その師がどの師からの指導を受け、またその先先代の師はどの師なのか、少なくとも2、3代先の師まで辿れる師に就くことが望ましい。しかしながらそうした人物に出会うのは難しい。また、自らクンダリニーを制御できることを標榜する人物は、その時点で、クンダリニーに対する執着を棄てきれず、神に対して敬虔なヨーガの精神に反する生き方をしていると世間にアピールするようなものであり、そうした人物を師と仰ぐのは危険とする意見がある。しかしながら、クンダリニー云々を標榜できる人物でなければ制御は難しいとする意見もある。
- このヨーガは段階が進むほど師を必要とするという意見があり、特にクンダリニーの体内自覚を感じてから先は、必ず師の指導の元にヨーガを実践すべきとされる。一方で、ある程度の段階に達すると師をそれほど必要としなくなるという意見もある。
- このヨーガの効果は、ハタ・ヨーガの効果のように身体が柔らかくなったり、以前に比べて健康になったという、割合穏やかな効果に比べ、クンダリニーの上昇に伴うチャクラの開眼という劇的なものがあり、自分が超能力者や超人になったかのような錯覚を覚えてしまうことが往々にしてある。その故に、一度効果(クンダリニーの体内自覚)が出始めると、他のヨーガに比べて非常にのめり込みやすいという特徴がある。
- クンダリニーの自覚が修行の完成と錯覚するのは危険である。クンダリニーの自覚と修行者の人格的向上とは無縁といえる。クンダリニーの自覚に修行の目的が置かれてしまっては主客逆転、本末転倒である。手段が目的にならぬよう修行者は努めねばならず、本来の修行の目的を達するならば、そうしたクンダリニーを始めチャクラなど肉体次元、生気次元へのこだわりを無くす事に努めることが先決とされる。
- クリヤー・ヨーガ(Kriya yoga)
- ヨーガ・スートラで説かれるラージャ・ヨーガの第二段階「ニヤマ」のうち、苦行、読誦、自在神への祈念の三つをクリヤー・ヨーガという。ここでのクリヤは浄化の意味ではなく、準備段階という意味。
[編集] 近年の種類
伝統的なハタ・ヨーガにフィットネス等の要素を取り入れ改良を加えたものが、現代人に人気である。
- パワー・ヨーガ(Power yoga)
- アーサナを通して肉体に負荷をかけることにより脂肪を燃焼させ、美しい肉体を作ることを目的として主にアメリカで開発された。しかし過度な負荷は乳酸増加させるだけでなく、腰痛、関節痛などを引き起こすことが指摘されていることから実習には注意が必要。肉体的に健康な若者に人気がある。伝統的ハタ・ヨーガが、一つのポーズをとったまま一定時間静止した上で次のポーズに移行するのに比べ、各種ポーズをストレッチのように一連の流れの中で行うのが特徴。また、ハリウッドスターを中心に一大ブームとなり先進諸国に広がったことから「ハリウッド・ヨーガ」(Hollywood yoga)ともいう。
- マタニティ・ヨーガ(Maternity yoga)
- 妊産婦向けのヨーガ。ヨーガの体操や呼吸法を通して一体感を味わえることが、命の尊さを再認識し、出産後の子育てが意欲的に取り組めるようになる。呼吸と共に行うヨーガの体操は妊婦の心の状態を安定させる効果や、分娩時の痛みのコントロールにもつながる。
- ホット・ヨーガ(Hot yoga)
- 高温多湿な空間でアイソメトリックな運動を中心に行うヨーガ。発汗を促すことが期待でき人気を集めているが、自律神経失調状態を呈する、脱水症状を引き起こすなど継続することは体調を著しく悪化させるという問題も数多く指摘されている。
[編集] チャクラ
- ムーラーダーラ (mūlādhāra)
- スワーディシュターナ (swādhişţhāna)
- マニプーラ (maņipūra)
- アナーハタ (anāhata)
- ヴィシュッダ (viśuddha)
- アージニャー (ājñā)
- サハスラーラ (sahasrāra)
詳しくはチャクラの項目を参照のこと。
[編集] ヨーギ(ヨーガ修行者)
[編集] グル(ヨーガ指導者)
- シュリ・サティア・サイババ(1926年 - )
- シュリ・チンモイ(1931年 - )
- シュリ・オーロビンド・ゴーシュ(1872年 - 1950年)
- シュリ・ラーマクリシュナ・パラマハンサ(1836年 - 1886年)
- スワミ・ヴィヴェーカーナンダ(1863年 - 1902年)
- シュリ・ラマナ・マハリシ (1879年 - 1950年)
- クリシュナマチャリア(1888年 - 1989年)
- 佐保田鶴治(1899年 - 1986年)
- パラマハンサ・ヨガナンダ(1893年 - 1952年)
- ゴーピ・クリシュナ(1903年 - 1984年)
- マハリシ・マヘーシュ・ヨーギー(1911年 - )
- 沖正弘(1921年 - 1985年)
- シュリ・シュリ・ラビ・シャンカール(1956年 - )
- シュリ・マハヨギ・パイロットババ(1938年 - )
- 成瀬雅春(19??年 - ):成瀬ヨーガグループ主宰
[編集] 俳優
[編集] 女優
- 安東夏子
- 梅宮アンナ
- 奥菜恵
- 篠原ともえ
- 高樹沙耶
- 中島史恵
- アンジェリーナ・ジョリー
- グウィネス・パルトロー
- クリスティー・ターリントン
- ジェーン・フォンダ
- ジェニファー・ロペス
- シャーリー・マクレーン
- ジュリア・ロバーツ
- ジョディ・フォスター
- シンディ・クロフォード
- デミ・ムーア
- チェ・ジウ
- ドリュー・バリモア
- ニコール・キッドマン
- ブリトニー・スピアーズ
- マドンナ
- メグ・ライアン
- レニー・ゼルウィガー
[編集] 格闘家
- ヒクソン・グレイシー
- 船木誠勝(五代目タイガーマスク・俳優)
- 数見肇(日本空手道数見道場館長)
- 加来禎治(武術空手修気道代表)
- 岩崎達也(総合空手術心意拳学舎主宰)
- 上東里沙(総合空手術心意拳学舎)
- 近藤有己(パンクラスライトヘビー級王者)
- 西村修(無我ワールド・プロレスリング)
- ダルシム(ストリートファイター)※架空の人物
[編集] アスリート
- 北澤晃男(洞窟潜水探検家)
- 平山ユージ(フリークライマー)
- 丹憲一(全日本エアロビクスコンテスト公認インストラクター)
- 上田浩之(Sport Aerobic Academy TAFU主宰・全日本エアロビクスコンテスト・ディレクター)