国鉄ED25形電気機関車 (初代)
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ED25形は、かつて日本国有鉄道に在籍した直流用電気機関車である。
太平洋戦争中の鉄道省による私鉄路線戦時買収後、旧私鉄保有機関車の改番により出現した形式である。本項で記述する0番台(初代)が消滅した後の1961年(昭和36年)に、10番台(2代目ED25形)が出現したが、相互の出自や構造にまったく共通性はなく、完全に別の形式であった。
[編集] 概要
ED25 1は1937年(昭和12年)、宇部電気鉄道デキ11として日本鉄道自動車工業(のちの東洋工機)で製造された凸型の小型電気機関車である。
日本鉄道自動車は、1930年代~1940年代にかけて、中小私鉄向けに電車部品を利用した小型電気機関車を多数製造しており、宇部電気鉄道デキ11もその典型的なタイプである。華奢な造りの凸型車体からもうかがえるように、あくまで中小私鉄の小規模な運用向けの車両であった。
1941年に宇部電気鉄道は宇部鉄道と合併し、1943年(昭和18年)に同社の国有化とともに国鉄籍となったが、当座の形式名はそのままで、1952年(昭和27年)の改番によりED25 1となった。
1950年頃、宇部線の昇圧(600V→1500V)とともに同系機(富岩鉄道ロコ2→ED26 1)の在籍する富山港線に転属したが、ここでも昇圧により働き場所を失い、ED26 1とともに1961年(昭和31年)に除籍された。
同年、上田丸子電鉄丸子線に入線し、貨物列車牽引機の主力として運用されたが、同線廃線後は別所線に転属した。1986年の同線の昇圧により廃車。その後、長野県丸子町(現・上田市)内に移設され、2006年現在も同地で屋外に静態保存されている。
[編集] 諸元
- 電気方式 : 直流600V(架空電車線方式)
- 主要寸法(最大長×最大高×最大幅) : 8790×4100×2665
- 軸配置 : B-B
- 重量 : 25.00t
- 1時間定格出力 : 298.4kW(600V定格)
- 1時間最大引張力 : 3100kg
- 主電動機形式(個数) : WH558-06(4個)
- 動力伝達装置 : 1段歯車減速、釣り掛け式
- 歯数比 : 16:73=1:4.56
- 制御方式 : 非重連、2段組合せ制御
- 制御装置 : 電磁空気単位スイッチ式
- 台車形式 : ブリル27MCB-2(1951年変更)
- ブレーキ方式 : 空気ブレーキ、手ブレーキ
[編集] 関連項目
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