京急1000形電車 (2代)
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1000形電車(1000がたでんしゃ)は、京浜急行電鉄の通勤形電車。2002年(平成14年)4月15日に営業運転を開始した。
旧1000形もまだ使用されている中で新製増備が続いていることから、この車両は新1000形やN1000形と呼ばれることが多い(後述)。
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[編集] 概要
老朽化した旧1000形と700形の置き換えを目的に製造された。全長18m、片側3扉で扉間のシートはロングシートを、車端部にはクロスシートを採用している。
コンセプトは「人に優しい新1000形」であると京急の駅や車内に広告が掲示されている。
[編集] 外観
- 塗装は同じ3扉車の3代目600形に類似する。
- 先頭車正面には、2100形と同様にワイパーカバーに形式名が打ち抜かれている。なお、非常口には車両番号の下3桁が表示されている。これは2100形と同じく下2桁とすると同じ表示(例:1001号車と1401号車がどちらも「01」となる)の車両が複数存在して判別ができなくなるためと思われる。この点も国内航空会社の旅客機の前脚蓋の機体番号表示と同様といえる。
- 2003年度製の2次車からは側面窓が黒い大型窓となり、種別・行先表示器に英字を併記の上、行先表示器の字幕下地の色を白とした。この白地表示は2100形や1500形など他形式にも普及している。
- 2005年度製の3次車からは、種別表示器がフルカラーLED、行先表示器が白色LED、運行番号表示器がオレンジ色LEDとなった。側面表示器は英字を表記するが、前面は英字表記を省略した。東日本旅客鉄道(JR東日本)のE231系や東京急行電鉄の新3000系、新5000系列などとは違い、走行中に地点を検知してLED表示を消す制御はできない。
[編集] 内装
- 扉間がロングシート、車端部が補助いす付きのクロスシートである。
- ロングシートには、家庭のソファーの座り心地を目指したバケットシートを使用した。
- クロスシートと補助いすの構造は、3次車までは2100形と同じである。但し2100形とは違い、ボックスシートの座席を上げることはできない。
- 3次車以降では補助いすが完全に収納されるタイプとなり、肘掛けの形状も変わった。
- 両先頭車に車いすスペースを備える。
- 京急の新製車両としては初めてドアチャイムを設置した。(山側・海側と異なる)
- 京急の車両では初めて床のモーター点検蓋を廃止した。
- 号車間を仕切る扉は、2次車までは1500形と同様、奇数号車の浦賀寄りにしか設置していなかったが、3次車以降は各号車の浦賀寄りに設置した。
[編集] 性能
- 最高速度は130km/h(営業運転では120km/h)。
- 起動加速度は3.5km/h/s(0.97m/s2)、減速度は常用最大で4.0km/h/s(1.11m/s2)、非常減速度が4.5km/h/s(1.25m/s2)となっている。
- MT比は2次車までが電動車(M):付随車(T)=1:1(8両編成は4M4T、4両編成は2M2T)、3次車以降はM:T=3:1(8両編成は6M2T、4両編成は3M1T)である。
- 主電動機の1時間連続定格出力は190kW。3次車でM車比率が高められ、主電動機の定格出力は125kWに変更。
[編集] 制御装置
- 2100形と同じくドイツ・シーメンス社製のVVVFインバータ制御装置を採用した。
- 当初、使用する素子はGTOのみであったが、1401号車に試験的にIGBTを搭載し各種試験が行われた。2004年(平成16年)度製以降の車両から本格的に採用している。
- GTO素子を搭載する車両は2100形と同様にシーメンス独特の「ファソラシ・・・」という変調音を主電動機およびインバータ装置から発する。
- 鉄道に関する洒落も参照。
- 先頭車にセラジェットを搭載し、非常ブレーキ、回生ブレーキ失効時にセラミックスの粒子を噴射して制動能力低下を防止する。ただし、8両編成の第1編成は砂撒き装置を搭載した。
[編集] 編成
8両編成と4両編成の2種類があり、2両または4両が1ユニットを構成する。4両編成の第1・2編成が2両1ユニットである以外は、4両1ユニットである。
8両編成の車種は、1~2次車は浦賀方からMuc-Tpu-Tu-Mu-Ms-Ts-Tps-Msc、3次車ではMuc-Tpu-Mu-Mu-Ms-Ms-Tps-Mscである。4両編成では、第1・2編成がMuc1-Tpu1-Tps1-Msc1、第3・4編成がMuc1-T-Tp-Msc1、第5編成以降がMuc1-M-Tp-Msc1である。表記中のpはパンタグラフ搭載、uは浦賀方、sは品川方、cは運転台を意味する。
制御装置は電動車に各1台、パンタグラフはシングルアーム式のものがTp車に2基(4両編成の第1・2編成は各1基)搭載する。補助電源装置(静止型インバータ)はTp車に、空気圧縮機は両端の電動車(Muc・Msc)に搭載する。
番号は車種に関わらず、8両編成が浦賀寄りから1001-1002-1003-1004-1005-1006-1007-1008とされ、第2編成は1009~1016、第3編成は1017~1024というように編成を通した連番で付番されている。4両編成については百の位を4として、1401~1404、1405~1408、1409~1412のように8両編成と同様の連番で付番されている。
4両編成の車両の排障器(スカート)裏の連結器の下部にはスピーカーを設置しており、他の車両と連結している時にそのスピーカーから転落防止のための注意放送が流れる。
[編集] 1次車
- 8両編成:1001~1008 1009~1016 1017~1024
- 4両編成:1401~1404 1405~1408
2002年2~6月に落成。グリーンガラスを採用している。1次車は、8両編成1本と4両編成1本を6両編成2本に組み替えることが可能である。
1401号車は、試験的に前面・側面の行先・種別表示器をフルカラーLEDとしていた。以前は前面・側面共に英字も表示していたが、2005年3月下旬頃に前面については日本語表示のみとした。その後2006年2月頃に従来の幕式に戻され、同年4月に白地幕に変更した。前述したが、このフルカラーLEDは2005年度製の車両から本格採用した。
また、2006年7月28日からはくりぃむしちゅーが出演するCMに1401号車が使われ、中吊り広告やポスターにも使用されている。
[編集] 2次車
- 8両編成:1025~1032 1033~1040
- 4両編成:1409~1412 1413~1416
2003年5~7月に落成。種別・行先表示器が白地に黒文字のタイプとなり、ローマ字表記が加わった。
客室側窓のセンターピラーを廃止し、大型の黒い1枚ガラスになった。また6両編成への組成変更を考慮しない構造になり、4両編成のパンタグラフの取付位置を変更した。
[編集] 3次車
- 8両編成:1041~1048 1049~1056
- 4両編成:1417~1420 1421~1424
2005年1~3月に落成。MT比を変更したほか、IGBT素子によるVVVFインバータ制御装置を本格的に導入した。種別・行先表示器の書体は太文字となった。
[編集] 4次車
- 8両編成:1057~1064
- 4両編成:1425~1428 1429~1432 1433~1436 1437~1440
2005年7~8月に落成。前述したが種別表示器・行先表示器・運行番号表示器をLED式に変更した。東京都交通局(都営地下鉄)5300形で採用した既存の3色LEDではなく、種別表示器については東急5050系に続いてフルカラーLEDを採用した。
[編集] 5次車
- 8両編成:1065~1072
- 4両編成:1441~1444 1445~1448
2006年11月に落成。4次車との大きな変更点は無い。
[編集] 在籍数
2006年11月現在、8両編成9本(72両)と4両編成12本(48両)の計120両が在籍する。2006年度は8両編成1本と4両編成2本が既に落成。残り8両が製造される予定である。
[編集] 運用
- 8両編成は主に優等列車に使用され、都営浅草線、京成線、北総線への乗り入れ運用が中心となっている。
- 4両編成は優等列車の付属編成や普通列車に使用されている。また、4両編成同士を複数連結させた8両編成は優等列車としても使用される。
- 2100形、600形、1500形、2000形とも連結可能。
[編集] 塗色の変更など
塗色の大幅な変更ではないが、キャンペーンなどで塗色の一時的な変更を行ったものを記載する。
- 羽田空港第2旅客ターミナル開業に際し、8連2本に青をベースとしたキャンペーンラッピングを実施した。運行は2005年3月31日までの予定であったが、車両のやりくりの都合上4月上旬まで運行した。車内広告は長井秀和を起用した『羽田へは京急だ。間違いない!』と表記した羽田空港アクセス関連のものだけを掲出した。
- 京急では2100形と600形の一部編成に「KEIKYU BLUE SKY TRAIN」という青をベースとしたラッピング電車を運行するが、当形式にはフルラッピングは施されていない(2006年11月現在)。
[編集] 形式名について
当形式の名称は、国土交通省などの関係機関に提出する書類上では「新1000形」となっている。都営浅草線乗り入れ車両について形式の千の位の番号は協定で定められており、京急が付与できるのは“1”および“2”であるが、初代1000形の存在・役割を継承する車両として、再び「1000形」を付与することとなった。