東京都交通局5300形電車
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5300形電車(5300がたでんしゃ)は、東京都交通局(都営地下鉄)浅草線用の通勤形電車。
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[編集] 概要
サービス向上と5000形の置き換えを目的に1991年(平成3年)3月31日から運用開始した。
MT比4M(電動車)4T(付随車)構成の8両編成27本計216両が在籍する。
[編集] 運用
2006年10月現在は、京成電鉄押上線・本線押上~成田空港間と北総鉄道北総線全線、また京浜急行電鉄本線・久里浜線泉岳寺~三崎口間および空港線・逗子線全線に乗り入れる幅広い運用がある。
なお、「エアポート快特」の運転開始時には、間合い運用で京成本線京成上野駅に乗り入れたこともあった。
[編集] 外見・性能
- 前面は傾斜した流線型で、プラグドアの非常扉を採用、左右非対称である。
- 車体は、白(浅草ホワイト)を基調に、赤(浅草レッド)と茶(浅草ブラウン)の帯が巻かれている。
- アルミニウム合金製車体。
- 主電動機の1時間定格出力は165kW(5327Fは180kW)で、電動車1両に4基を装備している。
- GTO素子によるVVVFインバータ制御を採用している。
- 近畿車輛製の空気バネ台車(電動台車:T-1B(KD302)/付随台車:T-1C(KD302A)を装着している。
- 設計最高速度は110km/h(5327Fは120km/h)。起動加速度は3.3km/h/s、減速度は(常用最大)4.0km/h/s。
- マスコンはワンハンドル式、力行4段・ブレーキ5段+非常ブレーキ。浅草線乗り入れの他形式は力行5段。
- 車内放送装置には自動放送装置が搭載されているが、英語放送はなく、使用も浅草線内に限定している。またとてもぎこちなく、間隔の開きすぎた放送となってしまっている。放送ソフトウェア変更前は千葉ニュータウン鉄道が所有し北総鉄道が管理する9100形の自動放送と同一の声であった。
[編集] 編成
MT比4M4Tの8両編成で、車種は西馬込方から M1c-T1+M1-T2+T3-M2+T4-M2c(+の所で分割可能)で、制御装置は各電動車に、補助電源用の静止形インバータ(SIV)は付随車のT1とT4に、空気圧縮機はT2とT3に、集電装置(菱形パンタグラフ)はM1とM2に各2基を搭載する。
車両番号は、4桁の数字の後にハイフンを置き1桁の数字を配しており、4桁のうちの上2桁は形式を、下2桁は編成番号を、ハイフン以下の1桁は編成内の順位を表す。順位を表す数字は、西馬込方から1~8の順に付されており、現車の標記は小書きされている。例えば5307-3であれば、第7編成の3号車を表す。
[編集] 次車分類
- 1次車・01~02編成(1990年度)/日立製作所製
- 2次車・03~06編成(1991年度)/川崎重工業製
- 3次車・07~10編成(1992年度)/日本車輌製造製
- 4次車・11~14編成(1993年度)/日立製作所製
- 5次車・15~21編成(1994年度)/日本車輌製造・近畿車輛製
- 6次車・22~26編成(1995年度)/日立製作所製
- 7次車・27編成(1996年度)/近畿車輛製
[編集] 変更点
- 1・2次車では4・5号車にあった車いすスペースは3次車からは1・8号車に設置する。
- 4次車からは東京都のシンボルマークである「いちょう」の位置を前面・側面共に変更された。3次車以前の編成もほぼ同時期に変更されている。
- 5次車からは前面下部のスカート(排障器)形状を変更し、大型になった。
- 7次車の5327Fは京急線内快特での運用も計画していたため、登場当時から120km/h対応となっている。しかし、5300形は起動加速度こそ他の車両に合わせたが全体的に他事業者の車両より高速域での性能は低く、また騒音も耳障りなため、一部の乗客からは不評である。日立製の編成とそれ以外の編成では、起動時のインバータ装置及びモータからの音が多少異なる。
[編集] 最近の動向
- 地図式とLED式の車内案内表示器がそれぞれドア上部に千鳥配置されていたが、1998年(平成10年)の京急空港線羽田空港駅開業に伴う「エアポート快特」の運転開始に伴い、地図式のものを撤去した。その後、京成新3000形のように紙製の路線図が設置されている。
- 2000年(平成12年)頃からC修繕工事により、座席モケットの交換(優先席のみ交換した車両や一般席のみ交換した車両も存在)やカーテンの交換、一部吊り手の高さを低くしたり、床敷物を水色1色+ラメ入りに交換するといった内装改善や、1・2次車を中心にLED式種別・行先表示器を新品に交換するなどの工事を行った2種類の更新車も登場している。またC修繕実施時に再塗装を行っているが、塗料はフッ素樹脂系を使用している。
- 2003年(平成15年)頃からドアチャイムの使用を開始した。ドアチャイム自体は新造時より装備し、運用開始当時は浅草線内でのみ約1年間使用していた。また、4次車以降の更新車では120km/h対応の5327Fと同じ仕様にしている編成がある。さらに2005年11月からの更新車からは車内LED案内表示器の案内文が浅草線内駅停車中の駅ナンバリング表記のみ変更されている。LED案内表示器の内容は浅草線は必要最低限に近い標準表示で、それ以外は京成車のものに準じた表示であるが、それでも若干の差異がある。尚、北総線と京急線では次駅案内表示は行わない。
[編集] 関連商品
イエロートレインより限定品でレジン製鉄道模型キットが商品化されていた。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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