メガドライブ
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メガドライブ (Mega Drive) は、セガが1988年10月29日に発売した16ビットの家庭用テレビゲーム専用機。価格は21,000円。アメリカではジェネシス (Genesis) という名称で1989年発売、ヨーロッパでは1990年発売。
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[編集] 概要
68000とZ80のデュアルCPU構成を取っていた。大柄の黒色のボディに金文字で「16-BIT」と刻印された筐体デザインが特徴的。 セガ・マークIII・マスターシステムの後継機で、別売のメガアダプタにより互換性を持たせることもできた。
メガドライブのアーキテクチャは、当時の水準ではそのコストと表現力のバランスが良好であったことなどからも、単にコンシューマゲーム機のみならず業務用システム基板(システムC/C2)や幼児用知育玩具(ピコ/コペラ)にも一部の仕様を拡張ないし簡略化した上で流用された。
またメガドライブが採用したMC68000CPUは、セガによる一括・大量発注によって開発コストや生産設備投資などの償却に成功、これを受けて大幅に価格を下げ、組み込み向け用途などの普及を後押しするという影響も及ぼしている。
当初メガドライブに搭載された68000CPUはセカンドソース生産されたものであったが、これは当時まだ世界的に認知されていなかったゲーム機メーカー(それも日本の二流メーカーである)による100万個単位の大量発注を受け付けることはリスクが高すぎると判断したモトローラ側が警戒し、セカンドソースを生産していたシグネティックス社(現在はフィリップス傘下)を介して供給することで受け容れたという事情があった。
ちなみに、このシグネティックス製68000は軍事組込用途向けであったらしく、そのためかオリジナルよりもやや大きいパッケージである。後期のロットには日立製、メガドライブ2にはモトローラ製も採用されている。
このときの日立との縁から、のちに発売されたメガドライブ用スーパー32Xや後継機セガサターンにおいて、日立(当時)の開発した32ビットRISC CPU SHシリーズの採用にもつながるなど、欧米圏におけるセガの躍進と知名度の向上からドリームキャストを最後にコンシューマ市場からの撤退に至るまでのセガの動向を決定づけた契機としても、メガドライブおよびそのアーキテクチャはセガの象徴的な存在の一つと言える。
[編集] 仕様
- CPU (MPU) …メイン68000 (7.67MHz) +サブ(サウンド処理)Z80A (3.58MHz)
- メイン側からサウンド処理をすることも可能。また、オプションのメガアダプタを使用したときはサブのZ80が前に出て動作する。
- RAM…64KB(68000用)+8KB(Z80用)
- VRAM…64KB
- 画面表示…VDP(セガ カスタム仕様)320(または256)ドット x 224ライン(インターレス表示で448ラインも可能)、スクロール付き独立2画面合成表示
- 同時発色数…512色中64色
- スプライト…最大80個
- 特殊機能…ラスタごとに表示位置を指定できる(ラスタースクロール)他、横8ドット単位での縦の表示位置指定が可能(両方組み合わせると角度限定の擬似回転表示も可能)。
- 音源…FM音源 YM2612 (4MHz) ステレオ6ch + PSG 3ch + ノイズ 1ch(ヤマハYM2610+セガカスタムチップ)
- スロット…ロムカートリッジ×1、拡張用×1(メガCD/メガCD2を接続可能)
- コントロール端子…2個 3ボタンコントロールパッド1個付属
- 初期の付属パッドでは真横を押したときに斜めに入ってしまうことがあった。後に改良。
- 外部コントロール端子…1個(メガモデム等取付可能)
- AV端子…DIN8P(馬蹄形)。映像はコンポジット映像信号(ビデオ端子)またはRGB(純正ケーブルはなし)。音声はモノラル。
- ヘッドホン端子…1個(ボリュームコントロール付)
- 初期の製品ではノイズが混入。基板リビジョンにより大きく異なる。VA5、VA6辺りのリビジョンが最もノイズが少ないとして珍重される。
[編集] その他
日本においては後発のスーパーファミコン、先発のPCエンジンと市場競争を繰り広げたが、主導権を握るには至らなかった。他方、米国市場においてはセガ・オブ・アメリカ、エレクトロニック・アーツ、アクレイム社などによる洋ゲー、スポーツゲームなどの圧倒的なラインナップによる充実ぶりや、キラータイトル「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」シリーズの爆発的ともいえる大ヒットにより、アメリカ・カナダを含む北米市場において54%のシェアを達成するなどセガのハードウェアとして最大の成功を収めた。 (日本電気ホームエレクトロニクスの海外版PCエンジンである「TurboGrafx 16」、任天堂の海外版スーパーファミコンである「Super NES」やアタリ(ATARI)など、その他のメーカーが当然残りのシェアを分け合う結果に)
ちなみに韓国ではサムスングループ企業がセガと契約しメガドライブを販売していた。韓国では企業名を「セガ」ではなく「サムスン」と表示されていた為に、サムスンが出したゲーム機と思われていた。[1]
その独自路線から熱狂的な支持者が多い。この熱狂的ファンのことを特に「メガドライバー」と呼ぶ。これはBeep!メガドライブ誌で使用されて定着した言葉。
- なお、トレジャーのエイリアンソルジャーではゲームタイトルに「FOR MEGADRIVER CUSTOM」と表記されている。このゲームのタイトルに出てくるVISUAL SHOCK! SPEED SHOCK! SOUND SHOCK!とは、メガドライブ発売当初のコピーである。
後に任天堂との提携によりWiiのバーチャルコンソール向けにメガドライブ用ソフトを供給することが発表された。
[編集] バリエーション
(→メガCDも参照のこと)
- メガドライブ2
- メガドライブの廉価版。本体が小型化され、AV端子の形状が変更されてステレオ出力になった。6ボタンパッド1個付属。メガCD/メガCD2も接続可能。1993年4月23日発売。価格12,800円。
- メガジェット
- 本体・6ボタンコントローラ一体型のメガドライブ。もともとは旅客機内の貸し出しサービス用として日本航空(現・日本航空インターナショナル)と共同開発したもの。メガドライブ2からさらに小型化し、一見携帯型ゲーム機のようにも見えるが、駆動は商用電源のみ、画面は液晶画面がついているわけではなく、通常のテレビに出力して使用する。さらには小型化のためにSuper32XやMEGA-CDとの拡張性も犠牲となってしまい、小さいことだけが長所の中途半端な位置づけのマシンとなってしまった。1994年3月10日一般発売。価格15,000円。
- NOMAD (英語版)
- 海外のみで発売。単3電池6本による電池駆動と液晶画面の搭載で、携帯ゲーム化が実現。コントローラー端子も装備され、ひとつの画面で2人プレイも可能。別途ケーブルで、テレビ画面への出力も可能。Super32XやMEGA-CDの接続は出来ない。ごく少数が輸入され、秋葉原などで販売されたが、すでに主流はセガサターンに移っていたため、日本ではごく少数のマニアが所持するにとどまっている。
- その他
- LD一体型のレーザーアクティブ、メガCD一体型のワンダーメガやGenesis CDXやマルチメガ、CDラジカセ型のものなどのバリエーションが存在していた。
[編集] 代表的作品
ほとんどがセガ発売だったが、中期にはナムコ、コナミ、タイトーなども参入していた。また後期は大手ソフト会社から独立したクリエイターをサードパーティーとして取り込む戦略により、トレジャー、ソニック、クライマックス、エインシャント、ガウ エンターテイメントなど、技術力のある開発ブランドが誕生した。なおメガCDも参照されたい。
[編集] ロールプレイングゲーム
- ファンタシースターII~IV
- ヴァーミリオン
- スーパーハイドライド
- ソーサリアン
- スタークルーザー
- シャイニング&ザ・ダクネス
- シャイニング・フォースシリーズ
- ランドストーカー
- レンタヒーロー
[編集] シミュレーションゲーム
[編集] パズルゲーム
[編集] シューティングゲーム
- スペースハリアーII
- サンダーフォースII~IV(テクノソフト)
- 達人(東亜プランの同名ソフトの移植)
- アフターバーナーII
- ダライアスII(タイトー)
- フェリオス(ナムコ)
- 武者アレスタ(コンパイル/東亜プラン)
- カース(マイクロネット)
- XDR(ユニパック)
- バトルマニア(ビック東海)
[編集] レースゲーム
[編集] 対戦型格闘ゲーム
- ピットファイター
- ストリートファイターII TURBO、及び 〃 SUPER
- モータルコンバット
- 幽遊白書 魔強統一戦
[編集] アクションゲーム
[編集] トップビュー
[編集] サイドビュー
- おそ松くん
- 獣王記
- 大魔界村(カプコン)
- ゴールデンアックス
- 重装機兵レイノス
- ソニック・ザ・ヘッジホッグシリーズ
- ベアナックルシリーズ(エインシャント)
- エクスランザー(ガウ エンターテイメント)
- ガンスターヒーローズ(トレジャー)
- モンスターワールドシリーズ
- バンパイアキラー(コナミ)
- 魂斗羅ザ・ハードコア(コナミ)
- エイリアンソルジャー(トレジャー)
- ソード・オブ・ソダン…海外製ソフト。別名、帝王ソダン。BEEP!メガドライブ誌ランキング最下位の常連。
[編集] イメージキャラクター
[編集] 専門誌
- BEEP!メガドライブ(ソフトバンク)
- →SEGA SATURN MAGAZINE→Dreamcast Magazine→ドリマガ
- メガドライブFAN(徳間書店インターメディア)
- →SATURN FAN→ドリームキャストFAN(休刊)
以下の2冊はPCエンジン専門誌の増刊として隔月で刊行されていたが、短命に終わった。
[編集] 周辺機器
- セガ純正
- メガアダプタ…マスターシステムのソフトを使うためのアダプタ。
- メガモデム…モデム。セガ・ゲーム図書館などに使用。
- メガCD、メガCD2…CD-ROMドライブ。
- スーパー32X…メガドライブを32ビット機にするアダプタ。
- ファイティングパッド6B…6ボタンジョイパッド。メガドライブ2には付属。真横を押しても斜めに入ったりはしない。
- セガマウス…マウス。裏返すとトラックボールとして使用可能。
- セガタップ…ジョイパッドやジョイスティックを複数接続するアダプタ。兼コントローラーセレクタ。
- サードパーティー
- XMD-1 RGB、XMD-2 RGB/S、XMD-3 RGB/S…マイコンソフト製。メガドライブの映像をパソコンなどのRGBモニタに出力するアダプタ。1・2はメガドライブ、3はメガドライブ2以降用。2・3はS端子出力も可能。
- MEGA S-01、MEGA S-02…サンタ製。メガドライブ用S端子+コンポジットビデオ出力アダプタ。01はメガドライブ、02はメガドライブ2以降用。
[編集] 関連項目
- メガドライブの亜種など
- ジェネシス→en:Sega Genesis(1989年)
- テラドライブ(1991年、日本アイ・ビー・エムと共同開発した、パソコンとメガドライブとの複合機)
- レーザーアクティブ(1993年、パイオニアの出したゲームもできるLDプレイヤー)
- メガドライブ プレイTV
- セガ・システムC
- その他セガ製ハード
[編集] 外部リンク
家庭用ゲーム機(セガ) | |
据え置き型 : | SG-1000(ソフト) - セガ・マークIII(ソフト) - メガドライブ(ソフト) - セガサターン(ソフト) - ドリームキャスト(ソフト) |
携帯型 : | ゲームギア(ソフト) |
その他 : | キッズコンピュータ・ピコ |
周辺機器 : | メガCD - メガアダプタ - スーパー32X |
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