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テトリス

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テトリスのゲーム画面
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テトリスのゲーム画面

テトリス(Tetris, :Тетрис)は、1980年代末から1990年代初めにかけ、世界各国で大流行したコンピューターゲーム落ち物パズルの元祖とされる。

目次

[編集] 概要

元々は旧ソ連の科学者アレクセイ・パジトノフ(Алексей Пажитнов、en:Alexey Pajitnov)英国名 Robert Richard Rutherfurd が教育用ソフトウェアとして開発したものである。その後ライセンス供給が様々なゲーム制作会社に対してなされ、各種のプラットフォーム上で乱立する状態になった。

ゲームボーイ版は「いつでもどこでも好きに遊べる」という点で大人気となり、国内出荷本数約424万本と、ゲームボーイソフト史上売上1位を記録。湾岸戦争中には前線の米兵らの間でも空き時間の娯楽として人気があった。

ロシアをイメージした背景画像やロシア音楽(トロイカやカリンカなど。コロブチカはゲームボーイ版のBGMとして有名)をアレンジしたBGMが用いられているものが多いが、全くイメージを切り離しているものも少なくはない。

なお、テトリスのもつ数学性、動的性、ならびに知名度から、テトリスをゲームプログラミングの練習題材として用いられる例がしばしばみられた。

[編集] 由来

テトリスのゲームルールは、様々な形をしたピースを型に填めていく「箱詰めパズル」と通称されるパズル(「ペントミノ」)から着想を得たものである。「ブロックピースが上から落ちて重なっていく」というルールは、パジトノフが水族館を訪れたときに、ヒラメが舞い降り海底と同化したり、そのヒラメが砂の上を泳ぐときに他のヒラメと重ならずに泳いだりする様子を偶然見かけたことからヒントを得て考案された。

箱詰めパズルのうち、テトロミノを用いたタイプに、リアルタイム性(アクション性、時間推移による落下要素、ステージの方向性など)とゲーム性(列を揃えるとブロックが消滅して下へ詰まる)を加えたものが、テトリスである。

[編集] ルール

  • フィールドは格子状のブロックを敷き詰めることが可能な領域からなる。
  • 片面型テトロミノ状のブロックピース(以下の7種)がフィールド上方から1つずつ落下してくる。
画像:Tetris piece.png
  • プレイヤーは、ブロックピースを90度単位で回転させるか、格子単位で左右に移動させるか、ブロックピースを高速に落下させるかのいずれかの操作をすることができる。
  • ブロックピースがフィールド最下段、または他のブロックの上に着地すると、そのブロックピースはブロックとしてフィールドに固定される。そして新しいブロックピースがフィールド上方に出現する。
  • 格子の任意の一行がすべてブロックで埋め尽くされると、その行にあるブロックが消滅し得点となる。同時に多くの行を消去するほど高得点が得られる。(特に4段消しを「テトリス」と呼ぶ。)消滅した行の上にあったブロックは、消えた行数分落下する。
  • 固定されたブロックがフィールドの最上段まで積み重なるとゲームオーバーとなる。

また、現在操作中のブロックピースの直後(ないし、続く幾つか)に落ちてくるブロックピースが予告されている実装も多い。慣れたプレイヤーはこの予告を見ることで、続く操作を考えながらプレイすることができる。

パジトノフは、これらのルールから、プレイヤーが以下のような段階を経て次第に高得点を得る方法を学習すると考えた。

  • ルール・操作法を理解する段階
  • ブロックを隙間無く並べるようになる段階(回転させない)
  • ブロックピースを回転させるとどのような形状になるかを予想し、狙って回転させる段階
  • 次に落ちてくるブロックピースも見て考える段階
  • 高得点を狙い、複数段をまとめて消すことを狙うようになる段階
  • 4段消しを狙い、端の1列のみを残して積む段階

実際、多くのプレイヤーはこのように学習しているものと思われる。また、チンパンジーなど類人猿にテトリスを学習させる実験でも、同様の過程でルール学習を行っていることが確認されている。

[編集] 追加ルール

ブロックの速度アップ

ルールが高度に学習されれば、プレイヤーは半永久的にゲームを続けることができると思われる。(数学的にはテトリスはNP完全問題であるようである。有限時間内に終了するのではないかと考える研究者もいるが、未解決。)
実際の業務用ゲームとしては永久にゲームが続いては困るので、ゲームが長時間続くと、ブロックピースの落下速度は次第に速くなってゆくという、ルールを用意している。
これにより、ゆっくりと思索を練りながら操作していては落下に追いつかなくなるため、瞬間的な判断が必要となってくる。ある程度の速度になれば、判断の誤りや操作ミスが増え、ブロックピースが積み重なってしまい、必然的にゲームオーバーに繋がる。しかし、再びゲームを開始したときには、最初のゆっくりとした落下速度である。このことは、プレイヤーに再び挑戦する気を起こさせる効果があると思われる。

ブロックの速度単位

一般的に、1フレームで○ブロック分落ちる速度を○Gと表記される。たとえば、1秒に1ブロック落ちれば1/60G、0.5秒で1ブロック落ちるなら1/30Gである。
初代セガテトリスの最高速は1Gである。しかし、テトリス ザ・グランドマスターシリーズの空中移動出来る段階の最高速が5Gなのだが、そこからいきなり20G(高さ20ブロック分であるフィールドの最下段に1フレームで落ちるためこう表記される)に飛んでしまうため、この表記法には若干の疑問符がある。

ブロックの固定時間

さらに一部の実装では、ゲーム性を高めるために、ブロックピースが着地してから固定されるまでに、若干の時間「遊び」が与えられている。
この追加ルールによって、ブロックピースが着地してからでも、移動や回転といった操作を行うことができるようになる。これは、ゲームが長時間続きブロックピースの落下速度が非常に早くなった段階で大きな意味を持つようになる。「遊び」の時間内で的確に操作を行えば、意図した位置にブロックピースを配置でき、ゲームを続行できるのである。
大抵の実装では、ブロックピースの落下速度が早くなっても、プレイヤーの操作によって左右に移動させる速度は早くならないため、落下速度が極端に上がれば、もはや左右の端に移動させきるまえに着地してしまうようになる。特に、ブロックが高く積みあがっている状態ではより早い段階でそうなってしまう。こうなると、意図通りに積む事はもはや不可能であってゲームは成り立たなくなってしまうように思えるが、ここでも「遊び」が意味を持つ。
ブロックを中央付近に山のように積むことによって、まずブロックを「山」の「頂上」に一度着地させてから、「中腹」を下るように移動させつつ回転させ、目的の位置までブロックピースを導くことができる。このような高度なプレイ手法は、まるでブロックピースが斜面を転がっているように見えることから転がしという呼び名が与えられている。
ゲーム開発会社アリカは、この転がしのゲーム性に着目し、ブロックピース落下速度を実質的に無限大(空中待機時間が0)となるまで加速させるという実装をテトリス ザ・グランドマスターで行った。(最初に「遊び」を取り入れたのはセガのアーケード版テトリスであるが、それは落下速度にはあくまで上限が存在し、後のテトリス系ゲームもそれに追従した実装を行っていた。)落下速度が無限大となる状態においては、ブロックピースは出現した瞬間に既に着地後の位置にあり、ブロックが空中を落ちてくるという過程は存在しない。空中の移動が一切出来ないため、プレイヤーは着地後の「遊び」の時間のみを用いてブロックピースの移動・回転を行う事となる。可能な操作が制約されることから、プレイヤーは通常の状態とはまた違った、よりテクニカルなブロックピースの積み方を要求される。(なお、テトリス ザ・グランドマスターシリーズ内ではこの状態を「20G」と呼んでいる。)
テトリス ジ・アブソリュート以降の作品では、更に難易度を上げるため「転がせる時間を短くする。ブロックが固定されてから、次ブロック出現までの時間を早くする。ラインを消した時の消去アニメーションを早くする(=次ブロックの出現が早まる)」などの工夫が見られる。

ゲームクリアの概念を導入する

初代セガテトリスは完全なエンドレスゲームであった。しかしこれだとゲームセンター側の収益が無くなってしまい、問題になる。そこで、これ以降の作品にはエンドレスモードが導入されなくなった物が多い。
たとえばテトリス ザ・グランドマスターである。このゲームはレベル999で強制的に終了になってしまう。しかし、ブロック消去や強制落下時に入る得点では無く、「レベル999への到達時間を競う」とするゲームシステムが新たに誕生する事となり「動作を単純化し、スピードを上げる」という、プレーヤーに更なる意欲を与える事となった。
このように、テトリスはパジトノフの考えた段階に追加ルールによるさらなる段階も加えることで「慣れれば慣れるほど新たな思考の段階に進み、より長く続けることができるようになる」という非常に優れたルール構築がなされている。

[編集] テトリス・ハイ

テトリスに慣れ、瞬間的な判断・操作を数多くこなすようになると、次第に思考が自動化されてくる。ゲームが進みブロックピースはもはや目にも留まらぬ速度で落下してくるのであるが、何十分でも何時間でもゲームが続けられるようになるのである。人間のはこのような状態に置かれると、一種の催眠状態となり快感が引き起こされる。この快感はテトリス・ハイと呼ばれ、ときに中毒的となる。この中毒性がテトリスの大流行の主な原因であったことは間違いないだろう。

ちなみに、日本大学教授森昭雄は、テトリスなどのテレビゲームを行なっているプレイヤーの脳波の特徴が、認知症患者のそれに似ているとして、「ゲーム脳」仮説を提唱した。しかし、これは科学的根拠に乏しく、専門家の多くはこの仮説を支持していない。森は各地の講演で、「テトリスはソ連の軍隊で人を殺すための教育の一つとして開発されたもの」と発言しているが、これは事実ではない。

[編集] ライセンス

発表当時のテトリスの版権は旧ソ連の外国貿易協会(ELORG)が持っており、イギリスのミラーソフトがハンガリーのアンドロメダ・ソフトウェアを経由してそのライセンスを取得。更にアタリゲームズがミラーソフトよりライセンスを取得して業務用・家庭用テトリスを製造・販売していた。

これに対して、1989年任天堂がELORGと直接ライセンス契約を結び家庭用ゲームにおける独占販売権を得る。アタリゲームズ及び子会社のテンゲンは、著作権侵害でNOA(ニンテンドー・オブ・アメリカ)を訴えたが、ミラーソフトのライセンスはPCゲーム用のものでアタリゲームズ及びテンゲンにはそもそも製造・販売権はないとされ、敗訴。テンゲンのライセンスを受けていたセガは、これによりすでに生産を終えていたメガドライブ用ソフトの販売を断念した。テトリスのルールを完全に踏襲した事実上の二作目、三作目にあたるセガのアーケードゲーム「フラッシュポイント」「ブロクシード」はテトリスの名前を使っておらず、許諾も得ていない。また、「ブロックアウト」(California Dreams)という、テトリスを3次元化したソフトも存在した。

その後、ザ・テトリス・カンパニーが版権管理を行うようになり、複数の会社からゲームが発売されたことから、従来のような「独占販売権を得る」という形態は無くなった。日本では1996年、プレイステーション向けにBPSより『テトリスX』が、ジャレコより『テトリスプラス』が発売された。さらに1998年11月にはNINTENDO64向けにセタの『テトリス64』とカプコンの『マジカルテトリスチャレンジ featuring ミッキー』が同時期に発売された。この間は、各社から様々なアレンジを加えたテトリスが登場している。

しかし1999年、ザ・テトリス・カンパニーは「テトリスの商品化は1プラットフォームに1社」という方針を唐突に決定する。これにより、アリカより発売が予定されていたプレイステーション版「テトリス ザ・グランドマスター」が、ほぼ完成していたにもかかわらず急遽発売中止に追い込まれてしまう (参考外部リンク: [1])。しかし、その後も1プラットフォームで複数のタイトルが発売される状況は変わっておらず、この方針が何を目的に設けられたものなのかは不明である。

[編集] ミニテトリス(ピコリン55)

1996年に、液晶画面と操作ボタンを備え、テトリスが内蔵された小型の携帯ゲーム機「テトリン」がゲームテックから発売され、ゲームボーイ版テトリス発売以来の大ブームとなった。ところがこのゲーム機の製造元・販売元はライセンスを取得しておらず、ゲーム性の著作権、および「テトリス」という名称に酷似しているとして商標権をめぐり裁判となった。その結果は、「『テトリス』という名称には商標権が存在するが、ゲームのルールは著作物ではなく『アイディア』であり、著作権としては保護されない」というもので、結局、販売元がゲーム機の名称を「テトリン」から「ピコリン55」に改称して製造・販売を続けるという、非常に興味深い形で幕を下ろした。その後、ブームが去るまで同様の類似品が大量に出回る結果となった。

例えば、マリオなどのキャラクターが存在するゲームであれば著作権によって保護が可能であっても、テトリスのような数学的性質のみによって作られているゲームは保護されないかもしれないというこの事実は、ゲーム業界に大きな衝撃を与えた。

もっともそれ以降、「ピコリン55」と同様に「テトリス」の名を使わずテトリスを製造・販売されることは(少なくとも大規模には)起こっておらず、ちゃんとライセンス問題を解消した上で堂々とテトリスを売ろうというのが業界内での常識となっているようだ。

[編集] ガイドライン

テトリスは、それが世に出た当初から、様々な開発者により、様々なプラットフォーム向けに多くのバージョンが開発されているが、従来は、テトリスのごく基本的なルール以外の部分 (たとえば細かい操作感覚、ブロックピースが回転するときのパターン等) の細かいチューニングは、すべて各々の開発者の創意工夫に委ねられていた。そのため、ソフトによっては全く操作感覚などが異なることがあった。

そこで、2002年に、BPSの社長であり、ザ・テトリス・カンパニーの社長でもあるヘンク・ブラウアー・ロジャースによって、これらの細かい部分を統一するためのガイドラインが制定された。この内容の多くの部分は、ヘンク自身がゲームデザインし、2002年(米国では2001年)に各プラットフォームで発売された「テトリスワールド」のルールがベースとなっている。このガイドラインの正式名称は公式に公開されていないが、「TETRIS 2002 ガイドライン」「世界基準」「ワールドルール」などと呼ばれている。

このガイドラインの内容は直接一般ユーザーに明らかにされているものではないが、このガイドラインが制定された後に世に出たテトリスでは、以下のような共通した仕様を持っている。

スーパーローテーション (Super Rotation) 
ブロックピースの回転方向に他のブロックや壁等があった場合、それに重ならないように状況に応じて回転軸が変化する。従来のテトリスでも似たような機能(一般的に「壁蹴り」と呼ばれている)を搭載しているものは多く存在したが、スーパーローテーションでは変化する条件がより複雑に決められており、場合によってはブロックピースを上によじ登らせるなどの強引な回転も可能である。これは何回か改定が行われており、ガイドラインが制定された初期のゲームと最近のゲームでは若干の差異がある(例: 初期のものは回転軸の変化が左右対称でなかったが、後の改定で左右対称に直された)。
インフィニティ (Infinity) 
ブロックピースが接地した後の「遊び」の間、そのピースを回転し続けたり、横に移動したりしている限り永遠に固定されない。いくら回転しても見た目の形が変わらない四角形のブロックピースにも適用される。ただし、プレイヤー同士の対戦形式のものや、アーケードゲームではゲームの進行上不都合であるため、この場合はひとつのブロックピースあたりに使用できる回数に制限が設けられる。
ホールド (Hold) 
不要なブロックピースを1つだけキープしておくことができ、必要になったときにいつでも入れ替えて使うことができる。ただし使用した後は次のブロックピースが出てくるまでもう一度使用することができなくなる。
最低3つのNEXTブロック表示 
従来は1つだけ表示されていたNEXTブロック(次に落ちてくるブロックピース)を最低でも3つ先まで表示する。ソフトによっては4つ先、6つ先まで表示されているものもある。
ゴーストブロック (Ghost Block) 
ブロックピースを操作中、そのまま下に落とした場合の着地位置を影のように表示する (影の表示の仕方や見た目はソフトによって異なる)。
ハードドロップ (Hard Drop) 
方向キーの上を押すことで、ブロックピースが一瞬で下まで落ちてすぐに固定される。
T-Spin
ブロックピースをそのまま落としただけでは入らないような隙間に、ブロックを落としてから回転させてうまくねじ込む通称「回転入れ」と呼ばれるテクニックを、T字形のブロックで行うことを指す。回転入れ自体は初期のテトリスから存在するテクニックだが、ガイドライン上ではT-Spinのみが特別な扱いになっている。T-Spinをすると、T-Spinが成功した旨のエフェクトが表示がされ、ボーナス得点が入るなどの特典がある(ただし、T-Spinの判定方法はゲームによって異なり、得られる特典もゲームによって異なる。またT-Spinが採用されていないゲームもある)。さらに、T-Spinと同時にラインを揃えると、「T-Spin Single (1列)」「T-Spin Double (2列)」となり通常よりも高い得点が得られる。スーパーローテーションの強引な回転法則を使い、3列同時にラインを揃える「T-Spin Triple」も存在する。
T-Spin Doubleの概略図
T-Spin Doubleの概略図
T-Spin Tripleの概略図
T-Spin Tripleの概略図
Back to Back 
テトリス(ラインを一度に4列揃える)やT-Spinによるライン揃えを連続して行うとBack to Backとなり、通常よりも高い得点が得られる。
ブロックピースの色と回転法則の統一 
ブロックピースの各々の形に対応した色と、細かな回転法則が規定されている。
多くの日本製テトリスで使われたセガテトリス色
多くの日本製テトリスで使われたセガテトリス色
ガイドラインで制定された色
ガイドラインで制定された色
下ボタンではブロックピースが固定しない 
ブロックピースが接地した後の「遊び」中、方向キーの下を押してもピースがすぐに固定されない。従来のテトリスは下キーですぐに固定されるものがほとんどだった。
ブロックピース固定後の空き時間がない 
ブロックピースが固定された瞬間に次のピースが落ちてくる。従来のテトリスは、固定後0.5秒程度のインターバルがあるものがほとんどだった。
各レベルの速度の基準を統一 
落下の最低~最高の速度を、15(20)段階に分割し、それをレベル1~15(20)の速度とする。レベルアップに必要な消去ライン数もレベルごとに定義されているが、ゲームによっては採用されていない。
ブロックピースの種類の偏りを補正 
出現するブロックピースが特定の種類に偏らずに均等になるよう、補正がかけられている。

これ以外にも、操作性 (方向キーの横や下を押しっぱなしにしたときのブロックピースの移動速度、左右回転ボタンの配置など) や画面構成、独自の追加要素などあらゆる部分にザ・テトリス・カンパニーによる細かな監修が入る。基本的に、これらのガイドラインや監修の指示に従わないとライセンスの許可が下りないため、テトリスとして世に出すには、事実上必ずこれらに準拠・対応することになる。

これらのガイドラインにより、一部の要素 (例えばホールドやブロックピースの偏り補正) がテトリスのゲーム性や戦略性を深めるためにうまく機能している反面、今までにテトリスを制作してきた開発者の創意工夫の積み重ねを台無しにしかねないような仕様や要素も多く含まれている。なかでもゲームとして理にかなっていない仕様や、従来のテトリスに慣れ親しんでいた者にとっては違和感のある部分 (たとえば、操作性が鈍く素早い操作ができない、ブロックピースの色や回転法則が全く異なっている、回転ボタンの配置が左右逆であるなど) が多く、何よりもベースとなっている「テトリスワールド」自体の完成度が非常に低く各所で不評であったために、ガイドラインの存在そのものを疑問視する声も決して少なくない。

特に、上記ガイドライン仕様のうちの「インフィニティ」は、それが原因でゲームバランスを大きく破綻させてしまっている (難易度が極端に下がるためにある程度テトリスに慣れたプレイヤーだといつまでもゲームオーバーにならない。それどころか、回転ボタンをただ押し続けているだけでゲームが進行しなくなる)。そのため、国内外の多くのプレイヤーから不評を浴びている。

さらに、従来のテトリスのシリーズ続編として発売されたものに、これらの仕様が「押しつけ」に近い形で搭載されてしまい、最悪の場合、本来の洗練された要素やバランスが失われてしまうケースもある。アリカよりアーケードゲームとして発売されたテトリス ザ・グランドマスターシリーズがまさにそれで、唯一のコンシューマ版である「テトリス ザ・グランドマスターエース」(Xbox360)では、シリーズ従来のレベル基準やブロックの色、操作性の一部分が失われてガイドライン準拠になってしまったうえに、インフィニティ(ただし1ブロックあたり128回までの制限あり)などガイドラインに準拠した余計なシステムが搭載されてしまったために、シリーズの固定ファンの多くから不評を買ってしまうこととなった。

[編集] 日本で登場したテトリス系ゲーム

[編集] 1980年代

  • 1988年12月22日 『テトリス』 ファミコン:BPS
    販売本数約181万本。ステージモードのみ。持久モードはない。以後のテトリス系ゲームとは操作法やルールがだいぶ異なる。25ライン消すとステージクリアとなり、フィールドが消去され次のステージが始まる。得点はステージクリアするか、ブロックが上まで積みあがると清算される。ブロックが上まで積みあがってしまうとライフを1つ失い、ライフが全て無くなるとゲームオーバー。この「25ライン消すとステージクリア」となるシステムは、以後のテトリス系ゲームの一部に1つのモードとして搭載されている(ゲームボーイ版、テトリス2+ボンブリス、スーパーテトリス3、テトリスDSなど)。ただ、ライフの存在の有無、得点の清算タイミング、計算方法にはバラつきがある。操作は「下を押すと回転、Aボタンで一瞬で落下&固定」というもので、評判が悪かった。これは国外で発売されたパソコン版のテトリスの操作をそのまま取り入れてしまったためと思われる。またブロックピースの出現時の向きがランダムである。
  • 1988年 『テトリス』 アーケード:セガ
    持久モードのみ。2人同時プレイが可能だが、対戦ではなく持久モードを各プレイヤーが独立してプレイする。現在のテトリス系ゲームの操作法とルールがここで確立した。
  • 1989年 『テトリス』 ゲームボーイ:任天堂
    販売本数約424万本で、ゲームボーイソフト史上売上とパズルゲームとしての売り上げ第1位。通信ケーブルで接続により対戦が可能。対戦モードの搭載はテトリス史上初で、ラインを消すことで相手のブロックをせり上げる対戦のルールはここで確立した。細部はファミコン版より米ニンテンドー版に近い。1人用モードは持久モードとステージモードを搭載。

[編集] 1990年代

  • 1991年12月13日 『テトリス2+ボンブリス』 ファミコン:BPS
    1人用モードは持久モードとステージモードの他に、時々下から灰色のブロックがせり上がってくるモードがある。開発はチュンソフト、音楽はすぎやまこういちが担当した。「ボンブリス」のオリジナル問題が作成出来るコンストラクションモード付き。
  • 1992年12月18日 『スーパーテトリス2+ボンブリス』 スーパーファミコン:BPS
  • 1993年9月21日テトリスフラッシュ』 ファミコン:任天堂
    テトリスの名は冠しているが、ルールが大幅に異なるため、実質的に別ゲームである。
  • 1993年12月24日テトリス武闘外伝』 スーパーファミコン:BPS
    対戦に特化した作品。ブロックの取り合いや必殺技がある。必殺技の有無、連鎖モードの有無が選べる。
  • 1994年1月21日 『スーパーテトリス2+ボンブリス 限定版』 スーパーファミコン:BPS
  • 1994年7月8日 『テトリスフラッシュ』 スーパーファミコン:BPS
  • 1994年12月16日スーパーテトリス3』 スーパーファミコン:BPS
    ステージモードと持久モード。「マジカリス」、「スパークリス」もプレイできる。新しさを取り入れつつも原点回帰的で、イメージとしてもファミコン版テトリスを意識したらしく、BGMの流用・アレンジが多い。
  • 1995年8月25日 『Vテトリス』バーチャルボーイ:BPS
  • 1995年 『テトリスプラス』 アーケード:ジャレコ
    エンドレス型のほかに、勝手に動くキャラクターをラインを消すことを繰り返して一番下まで下ろすとステージクリアとなるパズルモードを搭載。
  • 1996年3月29日 『テトリスX』 プレイステーション::BPS
  • 1996年8月30日 『テトリスプラス』 セガサターン:ジャレコ
  • 1996年9月6日 『テトリスプラス』 プレイステーション:ジャレコ
  • 1996年12月27日 『テトリスプラス』 ゲームボーイ:ジャレコ
  • 1996年12月27日 『テトリスS』 セガサターン:BPS
  • 1997年 『テトリスプラス2』 アーケード:ジャレコ
  • 1998年10月21日 『テトリスDX』ゲームボーイ/ゲームボーイカラー:任天堂
    ゲームボーイカラー本体と同時発売。
  • 1998年11月13日 『テトリス64』 NINTENDO64:アムテックス/セタ
    突然、巨大なピースが落ちてくるギガテトリス、周辺機器である心拍計を用いたバイオテトリスというオリジナルモードを収録。
  • 1998年11月『マジカルテトリスチャレンジ featuring ミッキー』アーケード:カプコン
    ディズニーミッキーマウスを起用したキャラクター物。対戦に特化した作品。ブロックピースが立った状態で出現するのが大きな特徴。
  • 1998年11月20日 『マジカルテトリスチャレンジ featuring ミッキー』NINTENDO64:カプコン
    アーケード版と同時開発された。
  • 1998年12月23日 『テトリス4D』 ドリームキャスト:BPS
    4人同時対戦プレイ可能。
  • 1998年 『テトリス ザ・グランドマスター』 アーケード:アリカ/カプコン
    高難度がウリのテトリス。最高速時にブロックが出現した瞬間に一番下まで落下する「20G」の概念を取り入れる。以降のシリーズ作品では更に高難度化が進んだ。
  • 1999年1月7日 『ザ ネクスト テトリス』 プレイステーション:BPS
    連鎖消しの要素を加えられている。
  • 1999年3月18日 『マジカルテトリスチャレンジ featuring ミッキー』 プレイステーション:カプコン
  • 1999年11月12日 『テトリスアドベンチャー すすめミッキーとなかまたち』ゲームボーイカラー:カプコン
    マジカルテトリスチャレンジと同様にミッキーマウスを起用しているが、内容はキャラクター達が出す問題を解く"詰めテトリス"。
  • 1999年12月16日 『ザ ネクスト テトリス デラックス』 プレイステーション:BPS
    『ザ ネクスト テトリス』と通常の『テトリス』が同時収録されたセット版。

[編集] 2000年代

[編集] 日本国外で登場したテトリス系ゲーム

テトリネット
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テトリネット
  • 1988年『TETЯIS』 アーケード : アタリ - ラウンドクリア制で、一定ラインを消すごとにその時点のフィールドの低さに応じたボーナス得点が入り、フィールドがすべて消去された状態で次のラウンドが始まる。日本国内では販売されなかったが、米国内ではセガ版よりもメジャーである。また、どの種類のピースがどれだけ落下したのか、棒グラフで表されるようになっており、特定のピースのみに偏っているのではないかとプレイヤーに疑念を抱かせないような配慮も初めてなされた。
  • 1989年『TETЯIS』 Nintendo Entertainment System : Tengen - NoA(米国任天堂)の許諾を得ずに製造し強行販売した。内容はアタリのアーケード版を元にしている。
  • 1989年『TETRIS』 Nintendo Entertainment System : Nintendo - 日本で発売されたファミコン版とは異なる。テンゲンテトリスの販売差し止め後に発売されたが、ユーザーの評価はあまり良くはなかった。
  • 1994年Tetris & Dr. MarioSuper NES : Nintendo - NESのテトリスと Dr.マリオを移植し、1本のソフトに収録した。対戦では双方のゲームを順番にプレイするMixed Matchが用意されている。
  • 1996年Tetris Attack』 Super NES/Game Boy : Nintendo - テトリスカンパニーの許諾の元、テトリスの名義を借りて発売したパネルでポンの日本国外版で、テトリスとは全く異なる別ゲーム。登場キャラクターもスーパーマリオシリーズのヨッシーを初めとするキャラクター群に差し替えられており、ヨッシーの○○シリーズ的な位置づけとされているようにもとれる。

[編集] その他の移植

細かな操作性の再現などを除けば、プログラミング難度的にはスペースインベーダー以下であり(テトリスでは常に一つのキャラクターしか動かないため)、無許可に勝手に移植されたものは誰も把握できないほどに無数にある。リアルタイムで表示できるディスプレイと、必要十分な解像度、ユーザが入力できる数種類のボタン類さえあれば、任意にプログラミング可能なコンピュータ類の全てでテトリスを再現可能と言って良い。

[編集] ドクター・スピンの『テトリス』

  • テトリスのBGMとロシア民謡のコロブチカのメロディをサンプリングしたドクター・スピン(Dr.Spin)の『テトリス』(Tetris)が1992年10月に全英チャートで6位のヒットになった。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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