IV号戦車
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| IV号戦車（J型） | |
|---|---|
| 性能諸元 | |
| 全長 | 7.02 m |
| 車体長 | 5.89 m |
| 全幅 | 2.88 m |
| 全高 | 2.68 m |
| 重量 | 25.0 t |
| 懸架方式 | リーフスプリング方式 |
| 速度 | 38 km/h（整地） |
| 16 km/h（不整地） | |
| 行動距離 | 210 km |
| 主砲 | 48口径75mm戦車砲（KwK40） |
| 副武装 | 7.92mm MG34機関銃×2 |
| 装甲 | 前面50～80mm、側面30mm 後面20～30mm、上面12～15mm |
| エンジン | Maybach HL 120 TRM ガソリンV型12気筒 300 馬力（224kW） |
| 乗員 | 5 名 （車長、射手、装填手、操縦手、通信手） |
IV号戦車(Pz.Kpfw IV)は、第二次世界大戦中に生産および実戦投入されたドイツ軍の中戦車である。
ナチスによる再軍備宣言の翌年（1934年）に開発指示が出され、試作的なA～C型を経て、D型が1939年に量産される。その後、度々設計変更が加えられ、最終的にはJ型までが存在した。
当初、III号戦車の支援用として開発されたため、短砲身24口径75mm砲が搭載されたが、ソビエト連邦軍のT-34戦車に対抗するべく、F型の生産途中から長砲身43口径75mm砲が搭載された。 長砲身75mm砲を備えたF後期型（通称F2型）は、特に北アフリカ戦線において大きな戦果を上げた。
全生産タイプを合わせるとドイツ軍の戦車で最も生産数が多く、大戦中期以降事実上ドイツ軍の主力戦車であった。
III号戦車に比べ大きさの上で余裕のあるIV号戦車は、軍が求めるさまざまな要求に応じることが出来た。そのため軍馬と呼ばれ、多種多様な派生型を生み出すこととなった。
戦後、チェコスロヴァキアが保有していたものを購入したシリア軍のIV号戦車が、中東戦争でイスラエル軍のセンチュリオンと交戦した記録がある。
[編集] バリエーション
- A型、B型、C型
- 先行量産型。A型の生産は1937年10月に始まり、各型を合わせて211両が完成した。当時としては強力な短砲身24口径75mm砲を搭載していたが、装甲は車体前面が20mm、その他が14.5mmと不十分であった(B、C型では前面30mmに強化)。まだ設計の基礎が確立していない次期でもあり、細かい変更が重ねられた。
- D型
- 1939年10月から1941年5月にかけて229両ほど生産された。側面と後面の装甲厚が15mmから20mmに強化されているが、それでも防御力は不十分で、中期以降から増加装甲が取り付けられるようになった。熱帯用にエンジングリルを改造されたり、生き残った車輌で後に48口径砲に改修された物もある。
- E型
- 1940年9月から1941年4月に223両が生産された。D型と比較すると砲塔などの形状に細かい変更があった。また車体前面装甲が50mmに強化され、その他の部位にもD型の後期型と同様に増加装甲が取り付けられたため防御力は向上した。
- F型
- 1941年4月から1942年3月の期間に462両生産された。車体の形状を変更し、増加装甲を取り止める代わりに基本装甲が全体的に強化された(前面50mm、側面30mm)。次のF2型からは長砲身の75mm砲が装備されるようになったため、短砲身型のIV号戦車としては最後の型になる。
- F後期型（F2型）
- 1942年の3月から7月の5ヶ月間に175両だけ生産された型で、IV号戦車としてはじめて長砲身の43口径75mm砲を搭載した。その高い火力から北アフリカ戦線において大きな戦果を上げ、イギリス軍からは「マーク4スペシャル」と呼ばれた。近年はF2型は書類上で二ヶ月だけ使われた分類で、名称変更で実際はG初期型とされる説が有力。
- G型
- 1942年5月から翌年6月までの間に1687両が生産された。当初から長砲身の43口径75mm砲を搭載していたが、途中からより砲身長の長い48口径75mm砲に変更されさらなる火力の強化が図られた。他にも生産途中に何度も改良が加えられ、車体前面に20mmの増加装甲を溶接されたり、30mmの増加装甲をボルト留めしシュルツェンを装備するなど、後期型は外見的にH初期型と類似している。
- H型
- 1943年4月から1944年7月までの間に、シリーズ中最多の3774両が生産された。新型の変速機を搭載し、車体前面の装甲厚を80mmに増厚。操縦手用視察口の変更や足回りの手直しなどの細かい改良も加えられた。「シュルツェン」と呼ばれる対戦車銃から側面装甲やハッチを防御する外装式の補助装甲板も標準装備となった。これは後に成形炸薬弾に対し有効であることも判明した。さらに、遠方のシュルツェン装備の本車を敵がティーガーIと誤認するという出来事が度々あった。米軍が「タイガー撃破」と喜んだのは大抵これである。
- J型
- 1944年6月から敗戦までの間に1758両が生産された。H型からの変更点は生産の簡略化が主で、装甲や火力の強化は行われていない。砲塔旋回モーターの発電用補助エンジンを廃止して燃料タンクを増設、上部転輪を片側三個に減らしゴム資源の不足から鋼製転輪を採用する等、戦況に合わせた改設計・構造の簡略化を図った。最後期には車長キューポラのハッチが横旋回で開くタイプに変り、車体のシュルツェンが対HEAT弾防御専用の金網製となる。
[編集] 派生型
- IV号 潜水戦車
- Tauchpanzer IV
- IV号潜水戦車はイギリス本土上陸作戦・ゼーレーヴェ用に、D型をベースに1940年に42両（48両とする資料もあり）が改造されて製作された。各ハッチ、銃器、主砲などのマウント部分、砲塔のターレットリング部などに防水シールを施し、エンジンの吸気・排気は逆流防止弁のついたチューブを水面のフロートまで伸ばして行い、水面下15mの海底を5km/hで進んだ。ゼーレーヴェ作戦が中止となり、後にバルバロッサ作戦でのブーク川渡河で実戦投入された。
- IV号突撃戦車 ブルムベア
- Sturmpanzer IV, Brummbär
- IV号戦車の車体に大型の戦闘室を設け150mm榴弾砲を備え、歩兵部隊への直接火力支援を目的として作られた。
- IV号突撃砲
- III号突撃砲の生産工場が空爆によって破壊されたことから、代用としてIV号戦車の車体にIII号突撃砲の戦闘室を据え付けたもの。
- IV号駆逐戦車
- 48口径の75mm砲を装備した駆逐戦車
- IV号戦車/70(V)
- IV号駆逐戦車に70口径の75mm砲を装備したもの
- IV号戦車/70(A)
- IV号戦車J型の車台にIV号戦車/70(V)の戦闘室を載せたもの
- ホルニッセ / ナースホルン
- Hornisse / Nashorn
- III/IV号戦車車台（III号戦車とIV号戦車の部品を組み合わせたもの）に88mm砲を据え付けた対戦車自走砲。
- フンメル
- Hummel
- III/IV号戦車車台に150mm砲を据え付けた自走榴弾砲。
- メーベルワーゲン
- Möbelwagen
- IV号戦車をベースとした対空戦車。後継の開発が遅れたため終戦まで主力対空戦車の地位にあった。
- ヴィルベルヴィント
- Wirbelwind
- 専用の砲塔に20mm対空砲を装備した対空戦車。砲塔以外はIV号戦車と共通である。
- オストヴィント
- Ostwind
- ヴィルベルヴィントに似た設計だが、より火力の大きい37mm対空砲を搭載。
- クーゲルブリッツ
- Kugelblitz
- 特殊構造の砲塔に強力な機関砲を搭載した対空戦車だが少数生産に終わった。
[編集] 関連項目
| 第二次世界大戦のドイツの装甲戦闘車両 | |||
|---|---|---|---|
| 戦車 | |||
| I号戦車 | II号戦車 | III号戦車 | IV号戦車 | パンター | VI号戦車 （ティーガーI, ティーガーII） | 35(t)戦車 | 38(t)戦車 | |||
| 突撃砲 | |||
| III号突撃砲 | IV号突撃砲 | ブルムベア | シュトルムティーガー | |||
| 駆逐戦車 | |||
| I号対戦車自走砲 | マルダーI , II , III | ヘッツアー | IV号駆逐戦車 | ナースホルン | ヤークトパンター | ヤークトティーガー | エレファント | |||
| 自走砲 | |||
| I号自走重歩兵砲 | II号自走重歩兵砲 | ヴェスペ | フンメル | グリーレ | パンツァーヴェルファー | カール自走臼砲 | |||
| 対空戦車 | |||
| メーベルワーゲン | ヴィルベルヴィント | オストヴィント | クーゲルブリッツ | |||
| 装甲ハーフトラック | 装甲車 | ||
| Sd Kfz 4 | 250 | 251 | 252 | 253 | Sd Kfz 221/22/23 | Sd kfz 231/32/34/63 | ||
| 試作戦車 | |||
| NbFz | マウス | E-10 | E-25 | E-50 | E-75 | E-100 | ラーテ | |||
| 特殊車輌番号 | |||
