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国鉄32系電車 - Wikipedia

国鉄32系電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

32系電車(32けいでんしゃ)は、1930年(昭和5年)から1932年(昭和7年)にかけて、日本国有鉄道の前身である鉄道省横須賀線向けに製造した、2扉クロスシートの旧形電車を便宜的に総称したものである。

具体的には、モハ32形(001~045)、サロ45形(001~013)、サロハ46形(001~013)、クハ47形(001~010)、サハ48形(001~028)、クロ49形(001,002)の6形式111両を指す。サロハ46形、サハ48形については、1934年(昭和9年)から1937年(昭和12年)にかけて京阪神地区急行電車用に追造されているが、これらについては、国鉄42系電車および国鉄52系電車を参照されたい。

目次

[編集] 登場

横須賀線は、沿線に海軍鎮守府が置かれた軍港都市・横須賀があったことから、軍事的な重要路線とされ、早くから複線化などの整備が実施されていた。1922年(大正11年)には、東海道本線東京小田原間とともに電化工事に着手され、翌年の関東大震災により一時中断したものの、翌1914年(大正13年)4月に工事を再開し、1925年(大正14年)7月に工事が完成。同年12月から電気機関車牽引による客車列車の運転が開始された。

しかし、その後の輸送量の増加に伴う列車本数の増大により、電車の導入が有利であるとされ、横須賀線列車の電車への置換えが計画された。これにより、導入されたのが本項で述べる32系電車である。横須賀線の電車運転は、1931年(昭和6年)3月15日から開始されたが、これに充当すべき32系電車の完成が間に合わず、中央線京浜線から予備車をやり繰りして捻出した、モハ30形モハ31形、クハ15形、サロ18形など101両を使用して開業するという一幕もあった。

本系列の計画にあたっては、東京~横須賀間62.4kmという当時としては未曾有の長距離を運転する電車となることから、座席定員を極力多く確保するため、三等車も片側2扉として極力車端に寄せ、その間にボックスシートを配置した客車に近い構造となった。しかしながら、客車のような車体の両端に出入り台を有する構造ではなく、客用扉は客室内に配置され、扉と車端との間とその反対側には幅700mmの窓が配置され、その部分はロングシートとなっている。ボックスシート部は、幅600mmの窓が1ボックスに2個ずつ配置されている。

車体の外観は31系に類似し、深い丸屋根や一直線とされた妻部の雨樋を有している。また、東京鉄道局管内の電車としては、初めて車端部に貫通幌と引戸を装備し、基本的に同系車だけで統一された編成を組むなど、従来の省電とは一線を画するものとなった。電動車(モハ32形)の歯車比は、高速運転に適した2.26とされ、さらに弱め界磁率70%の界磁制御を採用している。台車は、電動車こそ釣合梁(イコライザ)式のTR22(後のDT11)であったが、付随車は新設計の軸バネ式TR23を採用した。連結器は、製造当初は自動連結器であったが、連結器遊間解消のため当初から密着連結器の採用を見越しており、1933年(昭和8年)に交換された。

本系列の最大の特徴は、付随車制御車に省電としては初めて20m級車体を採用したことである。20m級車体については、すでにスハ32形などの客車で実績があり、これの構造を踏襲して溝形鋼を用いたUF23形台枠を用いた。これも、車体を延長することにより座席定員を確保しようとする意図の表れである。

一方で、電動車については従来どおりの17m級車体が踏襲された。これは、車体の延長により重量の増した車体に、当時の標準品である100kW形電動機(MT15A)が適合するか懸念があったこと、また台枠や床下機器配置が全面的に新設計となるため設計が間に合わないことなどから、やむを得ず17mとしたといわれている。1930年度製は従来からの魚腹形台枠のUF20を用い、1931年度製から溝形台枠のUF24に移行した。

[編集] 基本形式

[編集] モハ32形

本系列の基幹となる制御電動車で、1930年度予算で32両(32001~32032)、1931年度予算で13両(32033~32045)が製造された。車両需給の関係で、32001~32013はすべて上り(奇数)向きで製造され、32014以降は番号どおりの向きとなった(32015までが全車上り向きとする文献もあり)。付随車の他形式と異なり、本形式は17m級車体で扉間のボックスシートは片側6組であるが、そのスペースを確保するため前位側の客用扉が前に寄せられて、その分運転室がクハ47形と比べて狭くなっており、車体レイアウトは前後非対称である。窓配置は、dD1121D1。

[編集] サロ45形

2扉ボックスシートの基本編成用二等付随車で、1930年度予算で10両(45001~45010)、1931年予算で3両(45011~45013)が製造された。当初は基本編成用であったが、1935年頃付属編成に移された。三等車と異なり客用扉脇の窓は2個とされており、扉間には幅700mmの側窓が2個一組で7組並び、31系のサロ37形を20m級に引き延ばしたような車体であった。窓配置は、2D2222222D2。

[編集] サロハ46形

付属編成用に計画された二等・三等合造車で、1930年度予算で10両(46001~46010)、1931年予算で3両(46011~46013)が製造された。当初は付属編成用であったが、1935年頃基本編成に移された。サロ45形とサハ48形を真半分にして繋ぎ合わせたような形態である。窓配置は、2D222261D1。

[編集] クハ47形

付属編成用に計画された三等制御車で、1930年度予算で10両が製造された。車両需給の関係で全車が下り(偶数)向きである。20m級車体であるため、扉間のボックスシートはモハ32形より多い片側8組である。窓配置は、dD1161D1。本来、32系に属する新製クハ47形はこの10両のみであるが、1952年(昭和27年)に、火災で焼失したモハ30173の復旧名義で47023(後の2代目47011)が製作されている。この車は便所付きの切妻形溶接車体であるが、基本的なレイアウトは新製クハ47形に準じている。

[編集] サハ48形

全室三等付随車で、1930年度予算で18両(48001~48018)、1931年予算で10両(48019~48028)が製造された。窓配置は、1D1161D1。

[編集] クロ49形

皇族の御乗用として1931年度予算で2両が製造された二等制御車(貴賓車)で、それまで使用されていた木造客車ナイロフ20550の老朽化により、計画された車両である。皇族が避暑に使用する葉山御用邸への往来や、軍籍にある皇族の横須賀軍港への往復といった貴賓車の需要があったためで、皇太子御乗用には専用列車が仕立てられたが、その他の皇族の御乗用には定期列車への併結とされたため、運転台付きの制御車とされた。

内部の構成は、一般車と大きく異なり、運転室直後に便所と洗面室、その後位に区分式の貴賓室(定員11人)が置かれ、この部分の腰板には御紋章取付け用の台座が設けられた。前位側の乗降用扉はその直後に置かれ、途中駅での開閉を行なわないことからドアエンジンは設置せず手動扉とされた。そこから後位は随伴員用の控室(二等室)とされている。座席は戸袋部分がロングシートである以外はボックスシートである。窓配置は、d122D2222D2。

[編集] 戦前の改造

[編集] 便所の取付け

横須賀線は長距離を運転することから、一般客からも便所設置の要望が高まった。そこで、1935年(昭和10年)にサロハ46形とサハ48形に便所を取付ける改造を実施することとした。改造は大井工場で施行され、サロハ46形では仕切りのある車体中央部の三等室側に、サハ48形では後位端に取付けられた。同時にサハ48形は、便所対面のロングシートをボックスシートに改めている。形式称号に関しては、サハ48形は全車に施行されたため、形式称号の変更はなかったが、サロハ46形は便所のない京阪神地区用のサロハ46形と区別するため、サロハ66形(66001~66013)に改められた。しかし、京阪神地区のサロハ46形も、1936年(昭和11年)から1937年(昭和12年)にかけて、運転台取付けと便所設置によりクロハ59形、サロハ66形に改称され、この改形式はあまり意味のないものとなってしまった。

[編集] サロ45形をサロハ66形に改造

サロ45形は当初基本編成に組成されていたが、これを付属編成に移すこととなり、車両需給の関係で45001と45002を1936年に半室三等室化および便所の取付けを行なったもので、改造後はサロハ66形(66014,66015)に改められた。外観上は大きな変更はなく、便所取付け部分の側窓2個の幅が600mmとなった程度である。

[編集] 通風機の増設

32系の屋根上の通風器は、ガーランド形が1列に配置されていたが、室内の通風改善のため、3列に増設する改造が行なわれた。約50両に対して改造が行なわれたが、1938年(昭和13年)、戦時体制に突入したため改造は中止された。その後も、室内天井に通風口を明ける工事は続行されたため、形態的には通風器3列・室内通風口3列、通風器1列・室内通風口3列、通風器1列・室内通風口1列の3種に分かれることとなった。

[編集] オリンピック試験塗装

1940年(昭和15年)に皇紀2600年を記念して開催される予定だった東京オリンピックに先立ち、省電の塗装変更が計画され、1938年、32系にも試験塗装が行なわれた。塗色はB案と呼ばれた腰板部が海老茶色、窓回りがクリーム色のもので、対象は32024+48009+66009+32025の4両であった。

[編集] 戦時改造

戦時体制となった後も、横須賀に軍港があった関係で存置されていた横須賀線の二等車も、1944年(昭和19年)4月1日に廃止されることとなり、それにともなって横須賀線電車の扉増設とロングシート化が計画された。モハ32形は歯数比はそのままで車体中央部に客用扉を1か所増設して3扉化、サロ45形、クハ47形、サハ48形、サロハ66形は扉を2か所に増設して4扉化することとされた。しかし、太平洋戦争の戦局悪化により、全車が改造されたのはサロハ66形のみで、サロ45形、クハ47形は一部のみ施行、モハ32形、サハ48形は1両の改造もないまま、計画は中止された。

未改造のまま残存した車両も、通勤輸送の効率化のためクロスシートの撤去やロングシート化が施行され、酷使により荒廃が進むこととなる。

[編集] サロハ66形の通勤形化

サロハ66形は、二等車廃止によって三等車代用となったが、1944年度中に全車が通勤形に改造され、サハ78形新製車に続く78009~78023となった。この際、種車に設備されていた便所は撤去されている。旧サロ45形の66014,66015については、この改造により後述のサロ45形から直接改造されたグループと同じ形態となった。

[編集] サロ45形の通勤形化

本形式も、2等車廃止によって三等車代用となったが、1944年度中に全車を通勤形に改造することとし、新形式番号はサハ78形(78024~78034←45003~45013)が予定された。そのうちの45005のみは貴賓車予備として、当面二等車のまま残存させることとした。

その後の8月16日に、横須賀に軍港を控える特殊性から、海軍の要請により二等車の連結が復活することになり、未改造の45004,45005,45007,45008,45012の5両が二等車として残されることとなり、サロ45形の通勤形化改造は、6両(45003,45004,45006,45009,45011,45013 → 78024,78025,78027,78030,78032,78034)への施行に終わった。

二等車として残存した5両には、空襲が激しくなってきた時期でもあり、防弾のため周囲を鋼板で覆った「特別室」が設置された。

[編集] クハ47形の通勤形化

前記のサロ45形存置への計画変更にともない、改造の対象は三等車へ移った。まず、クハ47形の扉増設が行なわれることになり、クハ47形は全車がクハ85形(85027~85036)に改造する計画とされた。しかし、空襲の激化により、終戦までに落成したのは2両(47004,47010 → 85030,85036)にとどまった。

本グループは、1949年(昭和24年)4月22日付けで、新製される80系電車に「85形」を明け渡すため、クハ79形に編入され、79060,79066に改番されている。

[編集] 戦後の状況

[編集] 戦災廃車

32系は、通勤形改造を施行されたものを含めて、11両が戦災により廃車となった。その内訳は次のとおりである。括弧書きは旧車号。

  • モハ32形 - 32026 - 1両
  • サハ78形(旧サロ45形) - 78022(45001),78031(45010),78032(45011),78034(45013) - 4両
  • サハ78形(旧サロハ46形) - 78013(46005),78014(46006),78019(46011) - 3両
  • サハ48形 - 48011,48023,48026 - 3両

また、戦中・戦後のうちにモハ32形4両(32008,32011,32012,32022)、サハ48形4両(48003,48004,48013,48025)が事故により廃車となった。

これらのうち、32008は駿豆鉄道(現在の伊豆箱根鉄道駿豆線)に払下げられて3扉化のうえクハ61に、32026は東武鉄道に払下げられてクハ457として復旧、さらに車体更新によりクハ3453となっている。48004は東京急行電鉄に払下げられ、クハ3677として復旧されているが、名義上のものであろう。48013は駿豆鉄道のクハ71、48025は相模鉄道のモハ3025となった。48011は、復旧のうえオハフ71 112として復籍している。

[編集] 連合軍専用車

横須賀線では、終戦時にも二等車が運転されていたが、5両のみであったため、1945年(昭和20年)12月に、サハ48形3両(48005~48007)が代用二等車となった。1946年9月には、代用も含めた二等車全部が連合軍に接収され、11月にサロ45形が「ALLIED FORCES SECTION」として白帯車となり、特別室を撤去して車端部に簡易仕切りを設け、赤十字輸送に充てた。二等車代用のサハ48形も、1か月後にサロ45形に準じて改装され、11月には48008が全室連合軍専用車として加わっている。

1947年2月には、仕切りを撤去して「ALLIED FORCES CAR」となり、同年末には、サハ48形10両(48001,48002,48007,48009,48012,48016,48022,48024,28027,48028)がAFCとなり、横須賀線用の連合軍専用車としては、他系列車を含めて26両に及んだ。1949年7月29日には二等車が復活し、1952年(昭和27年)3月15日、サンフランシスコ講和条約の発効を前に連合軍専用車が廃止されたが、その時点で横須賀線には20両(うちサハ48形14両)の代用車が残っていた。

これらは、ボックスシートを撤去して全長にわたってロングシートとされ、車内は薄い緑色と緑がかったクリーム色に塗りつぶされた。日本人より体格の大きい連合軍軍人にとっては、サハ48形のボックスシートは狭すぎたのである。これらは、ボックスシートに復旧されることなく、ロングシートのまま変遷を重ねることとなる。

[編集] 更新修繕Iと塗色変更

戦後の混乱も一段落した1949年から翌年にかけて、荒廃した車両設備を戦前並のレベルに戻すための修繕(更新修繕I)が実施された。横須賀線に残った車両は、その修繕施行と同時に窓回りをクリーム色、幕板・腰板を青としたいわゆる「横須賀色(スカ色)」に塗り替えられた。サロ45形については二等車として温存されていたこともあり、比較的状態が良かったことから、更新修繕Iは実施せず、塗色の変更のみを実施している。

また、更新修繕Iの実施に先立ち、32028に対して試験塗装が行なわれたが、前面と右側は窓回りクリーム色に幕板・腰板を藤色、左側は窓回り橙色、幕板・腰板を薄緑とされ、「お化け塗装」と呼ばれた。

[編集] 地方への転出

横須賀線へは、1950年(昭和25年)に京阪神地区から42系が転入し、さらに70系が新製投入されたことにより余剰となったモハ32形やクハ47形、サハ48形は、静岡鉄道管理局管内の電化戦時買収線区である身延線飯田線に転用されることとなった。その際、同局の方針により、制御電動車は下り(偶数)向き、制御付随車は上り(奇数)向きに統一され、方向転換及びサハ48形への運転台取付け改造が行われた。さらに、貴賓車クロ49形も戦後は使用回数が激減したことから、伊東線で一般用に転用されることとなり、所要の改造が行われた。その状況は次のとおりである。

[編集] サハ48形への運転台取付け

本系列の飯田線への転用にあたり不足する先頭車を補うため、1951年度にサハ48形3両を方向転換のうえ、豊川分工場で運転台を取付けたものである。新旧番号の対照は次のとおり。同時に元関西急電用サロハ66形に運転台を取付けた2両と、モハ30形焼失車を復旧した1両が、製作されている。いずれも奇数向きである。

サハ48005~48007 → クハ47011~47013

このうち47011は、種車の窓を活かし、貫通路の寸法そのままに前面中央部の窓を設けたために、前部の窓幅が600mm - 800mm - 600mmと変則的になった。さらに同車は、クハ48005として1951年10月に落成し、その番号のまま3か月あまり使用された。

これらは、1959年12月にサハ48形からの改造車を47051~に整理することとなったため、その後に改造されたものとともに、47051,47053,47055に改番されている。変則的であった47011の前面窓は、後述の更新修繕II施行の際に、普通の等幅の窓が並ぶ形態に改修された。

[編集] モハ30改造クハ47023

1950年8月24日、身延線内船~寄畑間の島尻トンネル内で全焼したモハ30173を、1952年に豊川分工場で復旧したものである。名義上は復旧であるが、事実上は新製である。現車は台枠、車体を新製して20mm級の全溶接製の切妻車体とされており、屋根高は100mm低い。座席は当時新製されていた80系に準じており、便所も設置されたが寸法が小さく、便器は対角線の向きに設置された。台車も豊川鉄道引継ぎのサハ1形から流用した釣合梁式のTR11である。そのため更新修繕は受けておらず、1959年3月に屋根上の通風器をガーランド形からグローブ形に交換したのみである。台車は1966年に飯田線に転入したクハ16011と交換してTR23となっている。

本車は、サロハ66形改造車の続番の47023とされたが、前述の1959年12月の番号整理により、新製車に続く47011(2代目)に改番された。

[編集] クハ47形への便所取付け

1951年、4扉化改造を逃れた8両が身延線への転属の際に豊川分工場で便所の取付けを行なった。サハ48形改造車とは、便所の取付け位置が反対側となり、対面するロングシートのクロスシート化も行なわれなかった点が異なる。

[編集] クロ49形の一般用格下げ

戦後使用頻度の激減した貴賓車クロ49形を、伊東線で一般用に格下げ使用することになり、1953年(昭和28年)4月、大宮工場で格下げ改造を行なった。その際、前位の貴賓室に続く前部扉脇のロングシートまでを二等室としたため、仕切りの位置が変更され、旧貴賓室への扉は撤去された。旧控室は三等室とされ、吊革が設けられた。従来ドアエンジンが設置されていなかった前部扉には、ドアエンジンが設置されている。

この改造により、クロ49形はクロハ49形に改称され、2両とも偶数向きであることから49001は49000に改番された。後述した1953年6月の形式称号規程改正を先取りした形である。

[編集] 1953年車両形式称号規程改正に伴う変更

1953年6月1日に実施された車両形式称号規程改正により、車体長17m級の電車は形式10~29の間に形式が定められたが、本系列ではモハ32形がモハ62形とあわせてモハ14形に変更された程度で、他の車体長20m級の制御車、付随車については、他系列から本系列への形式統合はあったものの、本系列に属する車両の形式番号の変更はなかった。

モハ32形については、この時点までに廃車となった5両を除く40両がモハ14形に改められた。その際には、形式のみがモハ14形に改められ、番号はモハ32形時代のままとされたため、欠番が生じている。

[編集] 更新修繕IIと1959年改番まで

[編集] 更新修繕IIとモハ14形の低屋根化

戦中戦後の酷使により荒廃した設備を1949年から更新修繕を行った本系列であったが、1951年(昭和26年)に発生した桜木町事故の教訓を踏まえた2度目の更新修繕(更新修繕II)が、1954年(昭和29年)から開始された。更新修繕の内容は、施行年度によって少しずつ異なるが、共通の内容は次のとおりである。

  • ベンチレーターの取り替え(ガーランド型ベンチレーター→グローブ型ベンチレーター)
  • 旅客用ドアを鋼板プレスドアに取り替え
  • 内装の木部の取り替え
  • 前面運行番号表示窓(3桁)の取り付け(1954年施行車を除く)
  • パンタグラフのPS13への交換(モハ14形)

モハ14形の更新修繕IIは、1954年は飯田線用、1955年及び1956年は身延線用、1957年及び1958年は再び飯田線用に施行された。1954年施行車については、正面の雨樋が原形の直線のままとされ、運行表示灯は設けられなかった。身延線用の更新車は、同線に存在する狭小限界トンネル通過の際の絶縁距離確保のため、車体全長にわたって300mm切り下げた低屋根構造とされ、切妻構造となって印象が大きく変わった。1957年、1958年の飯田線向け更新車については、前面の雨樋が曲線に変更されて助士席側幕板部に運行番号表示窓が設置されるとともに、前面窓がすべてHゴム支持となった。この改造によって、モハ14形は飯田線用の普通屋根車と、身延線用の低屋根車の2種に形態が分かれることとなったが、番号等による区分は、この時点では行われなかった。

モハ14形の更新修繕IIの施行状況は次のとおりである。

  • 1954年度(10両) - 14001,14006,14009,14010,14020,14023,14032,14035,14039,14044 - 飯田線向け
  • 1955年度(11両) - 14002~14004,14021,14027,14030,14034,14038,14040,14041,14043 - 身延線向け
  • 1956年度(13両) - 14007,14013~14017,14019,14024,14025,14028,14036,14037,14042 - 身延線向け
  • 1957年度(3両) - 14018,14029,14031 - 飯田線向け
  • 1958年度(2両) - 14005,14045 - 飯田線向け

クハ47形(47023を除く)の更新修繕IIは、1957年度および1958年度に豊川分工場で実施され、その際、前面の雨樋は曲線に変更された。

サロ45形は、1953年12月から翌年3月にかけて大宮工場で更新修繕を施行され、屋根上の通風器がガーランド形からグローブ形に変更された。さらに1956年11月から翌年3月にかけて、後位側に便所と洗面所が設ける改造が実施され、両側の側窓1個が埋め込まれた。

[編集] サハ48形改造クハ47形の増備

1953年度、サハ48形6両(48001,48002,48009,48016,48022,48026)が運転台取付けのうえ、クハ47形に改められた。この時種車となったのは、横須賀線時代に代用二等車であったもので、車内の座席はすべてロングシートであった。全車が奇数(上り)向きで、47057,47059,47061,47063,47065,47067と付番された。これらの前面雨樋は、改造の際に曲線形に改められたが、47063,47065の2両は直線形のまま廃車まで存置され、異端車として注目を集めた。空番となっている47051,47053,47055は、先に改造されていた47011~47013が充てられるべきものであったが、この時には改番されていない。

その後、1956年に3両(48015,48010,48017 → 47069,47071,47073)、1959年に2両(48014,48012 → 47072,47073)、1960年に1両(48012 → 47073)、1961年に2両(48019,48020 → 47074,47076)が追加改造され、都合16両がクハ47形に改造された。1956年、1959年、1960年改造の6両は横須賀線の制御車増備用、1961年改造の2両は高崎鉄道管理局向けで、新前橋電車区に配置され、80系の制御車として高崎線で使用されたが、最終的に全車が質岡鉄道管理局管内に集まった。

1959年の改造車は前面窓がHゴム支持とされており、1961年改造車も同様。47072~47074は運転台のみHゴム支持で、助士席側の1枚は開閉可能な2段窓であった。

[編集] クロハ49形の付随車化

伊東線に転用されたクロ49形は、半室三等室化のうえクロハ49形として使用されていたが、二等車が編成中間に連結されるようになったため、1956年の更新修繕IIの施行に際して、運転室を撤去して付随車化することとなった。旧三等室を二等室とし、旧二等室側は運転台と便所・洗面所を撤去して窓配置を変更し、貫通扉を設置して三等室とした。ただし、客用扉の位置はそのままとされたので、特異なスタイルはそのままとなった。

形式はサロハ49形に改められ、運転台が撤去されて向きが関係なくなったことから、49002は49001に改番された。

[編集] サハ48形を車両性能試験車に改造

48008は、連合軍専用車時代の1951年6月26日に久里浜駅構内で架線事故により焼損し、そのまま長期休車となっていたが、従来からの木製試験車クヤ16001(クヤ9010)の老朽化が著しくなってきたことから、本車を代替車として改造することになった。1955年4月、48008は大井工場で車両性能試験車クヤ9020に改造され、同時に濃緑色に塗装され異彩を放った。形式番号も切抜き文字で表示されており、国鉄旧形電車としては唯一の存在である。後述の1959年の改番によってクヤ99形(99000)となり、冷房装置も搭載されたが、1966年に後継のマヤ11形が落成したこともあり、1976年に老朽廃車となった。

[編集] 1959年6月車両形式称号規程改正に伴う変更

1959年6月1日付けで、新性能電車を別体系に移行させたことにともなう車両形式称号規程の改正が行なわれた。この改正では運転台付きの制御電動車と、運転台を持たない中間電動車が分離され、制御電動車には新たに記号「クモ」が制定されるとともに、従来番号のみで表記されていた形式は、従来の記号と合わせて形式とするよう変更された。また、従来雑形の形式番号体系に組み込まれていた事業用車も、制式車の形式番号体系に編入されている。

これにより、モハ14形はクモハ14形に、事業用車のクヤ9020形はクヤ99形に変更された。

[編集] 1959年12月形式番号整理による変更

更新修繕IIによって、クモハ14形は普通屋根車と身延線用の低屋根車に分かれたが、両者の番号による区分は行なわれていなかった。身延線を受け持つ富士電車区では、東海道線ローカル列車用の車両も受け持っていたため両者が混在し、運用に不便を感じていた。そこで、1959年12月22日付け工車第1528号達によって、低屋根車を800番台に区分し、それにともなって普通屋根車も番号を整理する改番が実施された。実際の改番は、運用の合間に1か月ほどをかけて順次行なわれたため、いわゆる二車現存状態も発生した。同時に、クモハユニ44形、付随車改造クハ47形の改番も実施されている。本系列に属するクモハ14形、クハ47形の番号の新旧対照は次のとおり。

クモハ14001,14005,14006,14009,14010,14018,14020,14023,14029,14031,14032,14035,14039,14044,14045 → クモハ14000~14014
クモハ14002~14004,14007,14013~14017,14019,14021,14024,14025,14027,14028,14030,14034,14036,~14038,14040~14043 → クモハ14800~14823
クハ47011,47012,47013,47023 → クハ47051,47053,47055,47011(2代)

[編集] 1960年以降の動向

[編集] サロハ49形の格下げ改造

付随車に改造されたサロハ49形は、引き続き伊東線で使用されていたが、一等室の利用が増加したため、1962年10月にサロ15形に置き換えられ、車内設備はそのままで二等車代用として使用された。翌1963年3月から4月にかけて大宮工場でに全室二等車に改造のうえ、サハ48形に編入され、48040,48041に改番された。

その際、車体中央部にあった客用扉は車端部に移設され、窓配置は2D1222222D2となり、クロ49形の特徴は失われた。両車は、1964年に岡山鉄道管理局へ転出し、宇野線で使用された。

[編集] サロ45形の格下げ

サロ45形は、32系としては最も遅くまで発祥の地である横須賀線で使用されたが、老朽一等車の格下げが決定されたことにより、1964年8月および1965年3月に全車が二等車に格下げされ、サハ45形に改称(番号は不変)された。格下げにあたっては、車内設備の変更は行なわれず、一等車時代のままであった。サハ45形は、格下げと同時に静岡鉄道管理局に転出し、身延線と飯田線で使用されることとなったが、飯田線からは間もなく転出し、後に一部は大糸線に移り、旧形国電の最末期まで使用された。

[編集] 廃車

32系は、岡山で使用されたサハ48形の一部(48018,48027,48040,48041)と大糸線で使用されたサハ45形の一部(45004,45005,45007)を除いて、静岡鉄道管理局管内に集結した。本格的な老朽置換えは、1970年に、車体長が17m級で収容力の小さいクモハ14形から、関西地区から転入したクモハ51形やクモハ60形等によって開始された。車体長20m級の制御車や付随車は、引き続き使用されたが、1980年代前半までに新性能電車への置換えにより廃車となった。

置換え時期は、宇野線が1976年、大糸線および身延線が1981年、飯田線が1978年および1983年である。

[編集] 譲渡

32系は比較的長命を保ったため、太平洋戦争終戦直後の戦災車、事故車の払下げを除くと、1969年に富士急行へクモハ14形2両(14007,14009)が払下げられたに過ぎない。この2両は、窓枠のアルミサッシ化などの更新を受けたうえで、モハ7031,モハ7032に改番され、同時に払下げられた元クハ16形と編成を組んで使用されたが、小田急2200形(富士急行5700系)の転入にともない、1982年に廃車された。

日本国有鉄道鉄道院・鉄道省)の旧形電車
車体長17m級の鋼製標準形電車
30系31系32系(電動車)・33系50系62系
車体長20m級の鋼製標準形電車
32系(制御車・付随車)・40系・42系51系52系63系70系72系80系
私鉄買収車
広浜信濃富士身延宇部富山地鉄(富岩)鶴見臨港
豊川・鳳来寺三信伊那南武青梅南海(阪和)・宮城
事業用車試験車
クモヤ93形・493系
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