プロ野球地域保護権
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プロ野球地域保護権（プロやきゅう ちいきほごけん）とは、1952年に日本プロフェッショナル野球協約第38条によって制定された各球団の都道府県保護権をいう。地域フランチャイズ。保護地域における全てのプロ野球関連行事の独占権が球団に与えられる。
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[編集] 概要
- 各球団は都道府県単位の保護地域を持ち、自球団の保護地域において公式戦ホームゲームの半数以上を専用球場（本拠地球場）にて優先的に主催する権利と義務を負う。現実には公式戦試合数のちょうど半数がホームゲームとして割り当てられている。そのうち数試合を専用球場以外の野球場で行うこともある（地方開催）。
- 保護地域内で自球団主催の野球イベントを排他的に行い、利益を得ることができる。
- ある球団が他球団の保護地域で公式戦を開催したり野球関連のイベントを実施する場合は、当該球団の許諾を得なくてはならない。
- 新規参入希望球団の地域保護権設定、あるいは本拠地移転や球団の統廃合に伴う保護地域の変更をする場合は、実施する前年11月30日までに実行委員会での4分の3以上の賛成票を得たうえで、オーナー会議での承諾を得ることが義務付けられている。
[編集] 2006年の保護地域・専用球場
[編集] セントラル・リーグ
| 球団名 | 保護地域 | 専用球場 |
|---|---|---|
| 読売ジャイアンツ | 東京都 | 東京ドーム |
| 東京ヤクルトスワローズ | 東京都 | 明治神宮野球場 |
| 横浜ベイスターズ | 神奈川県 | 横浜スタジアム |
| 中日ドラゴンズ | 愛知県 | ナゴヤドーム |
| 阪神タイガース | 兵庫県 大阪府 |
阪神甲子園球場 |
| 広島東洋カープ | 広島県 | 広島市民球場 |
[編集] パシフィック・リーグ
[編集] 備考
阪神タイガースおよびオリックス・バファローズは2005年から2007年までの暫定3年間、兵庫県と大阪府のダブルフランチャイズとなっている。これにより本来兵庫県を保護地域としていた阪神タイガースが、春・夏の高校野球の時期に大阪府所在の京セラドーム大阪で主催試合を行っている。オリックス・バファローズの専用球場は、2006年はスカイマークスタジアム（2005年は大阪ドーム、2007年は京セラドーム大阪）となっているが、これは便宜上のものであり、スカイマークスタジアムと京セラドーム大阪の2球場とも実質的な専用球場として主催試合を行っている。
[編集] 保護地域の変更例
[編集] 球団合併
- 1953年 大洋ホエールズ・松竹ロビンス→大洋松竹ロビンス 山口県（大洋ホエールズ）・京都府（松竹ロビンス）→大阪府
- 1957年 大映スターズ・高橋ユニオンズ→大映ユニオンズ 東京都（大映スターズ）・神奈川県（高橋ユニオンズ）→東京都
- 1958年 毎日オリオンズ・大映ユニオンズ→大毎オリオンズ 東京都（変更なし）
- 2005年 オリックス・ブルーウェーブ・大阪近鉄バファローズ→オリックス・バファローズ 兵庫県（オリックス・ブルーウェーブ）・大阪府（大阪近鉄バファローズ）→兵庫県・大阪府
[編集] 本拠地移転
- 1955年 洋松ロビンス→大洋ホエールズ 大阪府→神奈川県
- 1974年 ロッテオリオンズ 東京都→宮城県（※）
- 1978年 ロッテオリオンズ 宮城県→神奈川県
- 1979年 クラウンライターライオンズ→西武ライオンズ 福岡県→埼玉県
- 1989年 南海ホークス→福岡ダイエーホークス 大阪府→福岡県
- 1992年 ロッテオリオンズ→千葉ロッテマリーンズ 神奈川県→千葉県
- 2004年 日本ハムファイターズ→北海道日本ハムファイターズ 東京都→北海道
- ※1973年から実質的には仙台宮城球場を専用球場として使用していたが、1973年は保護地域が東京都のままだったので公式には「準フランチャイズ」とされた（東京都を本拠地にすることを前提に試合日程が作成されたが、都内で本拠地として使用できる球場が見つからなかった）。同年のシーズン終了後、正式に保護地域を宮城県に移す。ただし東京近郊に新しい専用球場ができるまでの繋ぎという意味合いから球団事務所は従来どおり東京都に置いていた。1974年の日本シリーズ（中日ドラゴンズ戦）の主管3試合は宮城県ではなく東京都で実施された。
[編集] エピソード
- 1956年10月に開かれた西鉄ライオンズ vs 阪急ブレーブス戦（西鉄ライオンズのリーグ優勝のかかった試合）は、日本シリーズの日程も迫っていた関係からそれの第1戦（読売ジャイアンツ主催）が開催される後楽園球場で開かれた。
- 1973年10月に開催された日拓ホームフライヤーズ vs 太平洋クラブライオンズの後楽園球場でのダブルヘッダーは第1試合は本来の日拓ホームフライヤーズの主催だったが、第2試合は日程編成の都合上、太平洋クラブライオンズの主催扱いで実施された。
- 1999年6月に開かれた福岡ドームでのオリックス・ブルーウェーブ vs 福岡ダイエーホークス戦（3連戦）はオリックス・ブルーウェーブの主催扱いで開催された。これはオリックス・ブルーウェーブの本拠地・グリーンスタジアム神戸が梅雨時に試合が中止になりやすく、消化試合を増やしてしまう恐れを考慮して福岡ダイエーホークスの承諾を得てオリックス・ブルーウェーブの主催で3連戦を開催した。
- 2003年8月に、阪神甲子園球場での阪神タイガース vs 読売ジャイアンツ戦（阪神タイガース主催）を埼玉スタジアム2002で上映する「パブリックビューイング」を企画したが、埼玉県を保護地域とする西武ライオンズから、他球団の保護地域でイベントを開催する場合の当該球団の承諾が無いとして、苦情を受けたことがあった。
- またこれは公式戦ではないが、1995年の阪神・淡路大震災の影響を受けて、当初阪神甲子園球場などの兵庫県内で開催される予定だったオープン戦は日本生命球場と藤井寺球場に振り替えて行われた。
[編集] 1948年導入のフランチャイズ制度
1リーグ時代の1948年に、アメリカメジャーリーグベースボールに倣って初めてフランチャイズ制度が試験導入されている。導入当初のフランチャイズは以下の通り。
- 読売ジャイアンツ 後楽園球場
- 金星スターズ 後楽園球場
- 急映フライヤーズ 横浜市（後楽園球場）
- 中日ドラゴンズ 名古屋市（後楽園球場）
- 大陽ロビンス 京都市（西宮球場）
- 南海ホークス 大阪市（甲子園球場）
- 大阪タイガース 甲子園球場
- 阪急ブレーブス 西宮球場
専用球場の設定、およびそれが所在する都市での営業権の独占が試みられた。現在との違いは「保護地域」「地域保護権」の表現がまだ存在しない点、その単位が都道府県ではなく都市という点、地域ではなく専用球場が中心要素となっている点である。専用球場の定まらなかった急映フライヤーズ（横浜市）・中日ドラゴンズ（名古屋市）・大陽ロビンス（京都市）・南海ホークス（大阪市）には名目上の地域が振り分けられたが、当面の本拠地として使用されたのはカッコ書きの球場である。球場数の少なさから後楽園球場、甲子園球場、西宮球場の3球場全てで球団が重複し、専用球場・営業権の設定ともに有名無実化していた。
[編集] 関連項目
- ホームタウン（ほぼ同義だが、フランチャイズでいう興業権利はここに含まれていない）
