アニラジ
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アニラジとは、声優ファン、アニメファン、ゲームファン、漫画ファン、(いわゆる)ライトノベルファンなどを聴取者として想定したラジオ番組の俗称のこと。多くは深夜番組として放送されている。
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[編集] 概要
1970年代より、深夜放送を中心に声優がパーソナリティをするラジオ番組はあったが、いずれもアニメを題材とする物ではなかった。その後1979年10月のラジオ大阪の『アニメトピア』を皮切りに、文化放送の『アニメNOW』、ニッポン放送の『ラジオアニメック』など、80年代前半の第1次アニメブーム時に東名阪をメインにアニメを題材とする番組が放送されていたがほとんど短命に終わった。80年代後半から地方局を中心にローカルでアニメ関係の内容や、声優がパーソナリティーを努める番組が登場しはじめた。首都圏でこの種のラジオ番組が急増した1990年代にファンの間で自然発生的に用いられるようになった名称が「アニラジ」だと考えられるが、これらの番組を指す一般的な呼称は当初存在しなかった。
第三次声優ブーム時(1994年頃)には様々なタイプのアニラジが乱立し、地方によっては帯番組一週間分がすべてアニラジになることも珍しくなかった。
繁栄の理由は幾つか挙げられるが、最も大きい理由は固定ファンとスポンサーの存在である。ゲームやライトノベルの作品がテーマの番組であれば、そのファンがリスナー、出版社、発売元、グッズ製作会社がスポンサーとなり、確実な人気とバックアップが見込めるのだ。現在では放送局製作の番組よりも、スポンサーサイドが独自製作した番組を放送局が購入するケースも増えており、自社製作に較べ更に放送局のリスクは軽減され、週末深夜などの通常人気のない放送枠でも安心して任せる事が出来るのである。
また、1995年に声優総合雑誌『声優グランプリ』の姉妹誌として『アニラジグランプリ』が創刊されたことによって、アニラジの呼称は一般に定着したと考えられる(現在『アニラジグランプリ』は、『声優グランプリ』月刊化のため、休刊扱いで吸収されて無くなっている)。
[編集] 放送形態
形態は多様であり、黎明期にはアニメ雑誌やレコード会社による総合情報番組が多かったが、現在ではアニメやゲームなどとのメディアミックスを目的とした番組をはじめ、アニメやゲーム、漫画、小説(おもにライトノベル)などを原作にしたラジオドラマ番組、人気声優がパーソナリティを務める番組、アニメソングやゲームミュージックを専門に、もしくはメインに受け付けるリクエスト番組、アニメに関する話題をリスナーから募集して討論する番組など多岐にわたるようになっている。
また、過去にはTBSラジオで放送されていた野沢那智と白石冬美の『パックインミュージック』や、『オールナイトニッポン』に神谷明などが、KBS京都で放送されていた『はいぱぁナイト』に冨永みーなや日高のり子に山寺宏一が起用された例や、現在bay-fmで放送されている各種生番組など、アニラジの枠に留まらない内容の番組に声優がパーソナリティーとして起用される例もある。
1978年、NHKラジオ『ラジオSFコーナー』の特番として声優特集が組まれている。月~金のある1週間だけ、22:15~23:00に日替わり5人の声優が一人語りしたもので、この特番はNHK総合テレビで『未来少年コナン』が放映開始されたことによる宣伝の意味があったが、半年後に別な5人で再度企画が組まれている。
[編集] 放送局
現在では主に、文化放送、大阪放送(ラジオ大阪)、ラジオ関西、東海ラジオ放送、などが挙げられる。他にも首都圏ではTOKYO-FMやNACK5、FM富士など、関西圏では朝日放送(ABCラジオ)でも放送されている。逆に全く放送しない局としては中部日本放送などがあげられる。
AM放送局が中心となっているのはAM放送は電波特性上、夜間に放送エリア外のかなり広範囲で受信が可能であり、地方局にネットを持たない番組でも実質的に全国で聴取できる事が理由の一つである。従って仮に関西の局単独で放送されていても同じ局の昼間の番組のように関西のリスナーに密着した内容で構成するよりは全国各地のリスナーも意識した内容となることが多い。
主要局の中には、アニラジが数時間にわたって放送される枠に、独自の枠名称を付けている場合もある(文化放送の『A&Gゾーン』、ラジオ大阪の『1314 V-STATION』、ラジオ関西の『アニたまどっとコム』など)。
また、近年ではインターネットラジオとして配信されている番組も存在する。インターネットラジオにはパソコン及びネット環境が必要であり、地上波ラジオ番組に比べて、聴取の気軽さや一般リスナー向けの宣伝効果では劣るものの、制作側にとっては、放送枠買取のための多額の資金を提供できるスポンサーの獲得、聴取に有利な放送時間枠の獲得にとらわれず、番組制作費とサーバー管理費だけの低コストで全世界に向けた番組配信が出来ること、有料放送を行い、聴取者からの課金による番組制作費の捻出が出来ること、地上波ラジオ番組が、決められた放送の『尺』にきっちり収録しなければならないのに比べて、インターネットラジオは『尺』にとらわれない収録が出来ること、厳密な数の聴取者数が分かる他、使用OSやIPアドレス、接続時間帯等から推定できる情報により聴取層を把握し、それを番組制作に生かせること、聴取者にとっては、決められた放送時間にとらわれず、自分の生活リズムで番組が聴取出来ること、居住地に関係なく、雑音のないクリアな音質で楽しめること、音声データの編集や携帯音楽プレイヤーへの取り込みなどが、地上波ラジオ番組を録音した場合に比べて容易であることなどのメリットがあることから、インターネットラジオ番組は急激に増えている。また最近は地上波で放送された番組をインターネット上で数日遅れで配信される例も多い。
大抵の場合はインターネットラジオ専用の番組が多いが、番組によっては地上波ラジオ局で放送した番組の再放送を行ったり、同じ媒体宣伝で、パーソナリティを変えて、地上波ラジオ局向けの番組とインターネットラジオ番組を別に制作する場合もある(THE IDOLM@STERの宣伝番組など)。
ただし、あくまでも地上波ラジオ局で放送される番組がアニラジの花形であり、インターネットラジオ番組は、新人パーソナリティを起用して養成の場として活用したり、過去の地上波ラジオ番組で熱心な聴取者を獲得したパーソナリティによる、より濃い番組制作が行われることが多い。
[編集] 主なアニラジ
終了した番組も含む。
[編集] 首都圏キー局複数局ネット
- 犬山犬子のポケモンアワー
- 岩男潤子と荘口彰久のスーパーアニメガヒットTOP10
- 緒方恵美の銀河に吠えろ!
- 金月真美のムーン・シャイン
- 田村ゆかりのいたずら黒うさぎ
- 超機動放送アニゲマスター
- テニスの王子様 オン・ザ・レイディオ
- 電撃大賞
- 野川さくらのマシュマロ♪たいむ ※放送開始当初はラジオ関西単独放送であったが、現在は文化放送がキー局に。
- ノン子とのび太のアニメスクランブル
- 林原めぐみのTokyo Boogie Night
- 堀江由衣の天使のたまご
- ムギュッと!双恋♥
- A&G 超RADIO SHOW~アニスパ!~
- A&Gメディアステーション こむちゃっとカウントダウン
- RADIOアニメロミックス
- SOMETHING DREAMS マルチメディアカウントダウン
- VOICE CREW
[編集] 関西圏キー局複数局ネット
- ゴクラク!もえもえステーション
- ちよれんちゃんねる
- でじこのへや
- 林原めぐみのHeartful Station※当初はラジオ日本での放送であったが、後にラジオ関西をキー局に変更。
- ぴたぴたエンジェル♪
- アニメトピア
- 集まれ昌鹿野編集部 ※当初はラジオ関西単独放送であったが、2006年5月より南日本放送にもネット。
[編集] 中京圏キー局複数局ネット
[編集] 関東ローカル
- 東京キャラクターショーRADIO→有楽町アニメタウン
- 純子と涼のアシタヘストライク!
- 仁美と有佳のどらごんデンタルクリニック
- PONY CANYON STYLE まるなび!?
- ゆめりあ夢気分R-side
- ラジオアニメどんぶり
- .hack//Radio 綾子・真澄のすみすみナイト
- RadioB
[編集] 東海ローカル
- アニメキングダム→アニキンFREEDOM
- 大アニメ博覧会
[編集] 関西ローカル
- AZUのラジオ
- 石田彰・岸祐二の五番街で逢いましょう
- 涼宮ハルヒの憂鬱 SOS団ラジオ支部
- 青春ラジメニア
- 〖参考〗アニメ玉手箱
- はいぱぁナイト※アーティスト系パーソナリティーの曜日との混在編成であった為、厳密にはアニラジではない。
- 根谷美智子・愛のフューチャーランド
- 菅原祥子のももんがTIME
[編集] アニメ・総合枠
これは、アニメラジオ番組一本一本を羅列するのでなく、1括りにしたもの。
関東に1つ、関西に2つ存在。
ラジオたんぱ(現・ラジオNIKKEI)では、2000年12月頃からBSデジタル放送「BSラジオNIKKEI」放送開始に伴い、「デジタルボイスステーション」(DVS)という名称を使用していた時期があったが、2006年3月にBSラジオNIKKEIが放送終了したためこの名称は廃止された。
[編集] その他の地方局
- アキバチック天国(栃木放送)
- アニメでGo!Go!(南日本放送)
- アニメ特撮グランプリ(bayfm)
- アニメマインド(大分放送)
- ウキウキ放送局(エフエム山口)
- watchimo!!(FM AQUA)
- チャラのOH!マイ・アニメ(栃木放送)
- 痛快アニメジオ(和歌山放送)
- TOKYO→NIIGATA MUSIC CONVOY(FM PORT)
- 水谷優子のアニメ探偵団II(キー局なしの綜合放送への製作委託)
[編集] 過去のBSデジタルラジオ(一部インターネット配信もあり)
※BSデジタルラジオ放送自体が2006年3月末で全廃となった為、現在では全て放送されていない。
- 浅野真澄のスパラジ!
- 井上喜久子のキャラメルタウン
- 山本麻里安のはにわマイハウス!
インターネットラジオも参照のこと。
[編集] 関連項目
- アニメ
- アニメソング
- ラジオ番組
- ラジオドラマ
- 声優
- 文化放送 アニメ&ゲームゾーン
- 1314 V-STATION
- アニたまどっとコム
- 王様ラジオキッズ - アニラジではないが、アニメ・特撮番組の主題歌やゲーム情報を中心に放送しているワイド番組。