JR北海道キハ283系気動車
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キハ283系気動車（キハ283けいきどうしゃ）は、北海道旅客鉄道（JR北海道）の特急形気動車。
1997年（平成9年）3月22日に本格的に営業運転を開始した。正式名称は283系気動車。
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[編集] 概要
第三セクターの道東高速鉄道開発によって1994年から着手された石勝線・根室本線（南千歳～釧路間）の高速化事業に合わせ、キハ281系の発展形として開発された振子式気動車である。営業最高速度は130km/h、設計最高速度は145km/h。
1995年に先頭車2両、1996年に中間車1両が試作され、長期試験に供された。1996年に量産車20両（1次車）が製作され、1997年3月22日のダイヤ改正から特急「スーパーおおぞら」で営業運転を開始した。
1998年に「スーパー北斗」増発用に12両（2次車）が増備されたほか、「スーパーおおぞら」増発用に1998年下期に4両（3次車）が、1999年に4両（4次車）が製造された。2000年には「スーパーとかち」にも投入された。
2001年には20両（5次車）が増備され、札幌－釧路間の特急「おおぞら」は、すべて本系列に置き換えられた。
製造元は試作中間車キハ282-2001が北海道旅客鉄道苗穂工場、他は全車富士重工業である。
[編集] 構造
車体はキハ281系と同様の軽量ステンレス製で、前頭部のみが鋼製である。霧深い根室本線を走るために増設された前照灯は高圧放電灯（HID）を採用した。また、空調装置が屋根上から床上に移されるなど、車体は徹底的な低重心化が行われ、乗り心地を大幅に改善している。外部塗色は前頭部と客用扉周囲はコバルトブルー、ステンレス地の無塗装部分との境界は萌黄色（ライトグリーン）、客用扉の窓周囲は赤としている。側窓周囲はキハ281系と異なり無塗装のままである。 前頭部側面には形式名と振子機能をイメージした「FURICO 283」のロゴマークを付す。
急曲線に対応するため、振り子角度をキハ281系の5度から6度と大きくし、台車にリンク式の自己操舵（セルフステアリング）機構が組み込まれている。これらの改良により、半径600ｍ以上の曲線を本則+40km/hで通過する事も可能となった。振子動作を制御・指令するコンピュータは、車輪径の減少によって生じる車輪回転数の誤差を自動補正し、振り子動作のずれを解消する機能も有している。
走行用機関はキハ281系と同様コマツ製のN-DMF11HZA (SA6D125-H、排気量11.04l、定格出力355PS/2100RPM)を各車とも2台搭載しているが、変速機は変速1段直結4段・パワーオン制御を採用したN-DW18を装備している。これにより、中速域からの加速性能と登坂性能の向上、変速ショックの軽減が図られている。
ブレーキ装置は排気ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキで、高速からの安定したブレーキ性能を有するマルチモードブレーキ制御システムを搭載している。基礎ブレーキ装置は踏面ブレーキ方式で、制輪子は苗穂工場製の特殊鋳鉄制輪子を使用している。
空調装置は、床置き式でヒーター内蔵のN-AU183Bとなり、腰掛下の吊下げ式電気ヒーターと合わせて暖房の強化が図られている。暖房に機関排熱を利用しないことから、温水艤装も軽減された。電源は、走行用機関に取り付けられている油圧駆動式発電機（AC440V60Hz、25kVA）により供給される。
座席はフリーストップ式のリクライニングシートで、片持支持方式となったため足元が広くなった。シートモケットの色調は、標準では釧路方面を象徴する「タンチョウ」柄入りのグレー地、背ずりのつかみ手は赤である。「スーパー北斗」に投入された1998年製（2次車）の普通車は、シートモケットの色がキハ281系同様の紫に、背ずりのつかみ手がグレーに変更された。
トイレはキハ281系と同様の真空式が採用された。2001年製の5次車は、客用扉にドアチャイムが装備され、普通車の座席のテーブルや腕掛けなどが大型化されている。
自動放送チャイムはキハ281系と同じ仕様である。2006年3月18日には自動放送の更新に伴い、「アルプスの牧場」「ハイケンスのセレナーデ」「鉄道唱歌」が流されるようになった。側面の行先表示装置と先頭車前面の愛称表示装置は従来の電照式方向幕からLED化されている。
[編集] 形式別概説
本系列の形式番号は、製作当初は運転台の有無にかかわらずトイレ付きを283形式、トイレなしを282形式として、同形の車両であっても編成内の連結位置によって番台区分していた。これは、登場当初のキハ283系が1編成単位での運用を前提としていたことによる。
しかし、「スーパーおおぞら」の人気によって列車の増結が常態化したことや、「スーパー北斗」「スーパーとかち」等への車両運用の拡大によって1編成単位での運用が次第に困難となった。このため、2001年に運転台付き車を283形式に、運転台無し車を282形式に改め、異番台の同仕様車は通番に改番した。
2001年製の5次車は、当初から新形式番台で落成している。 2006年3月18日から、喫煙コーナーの灰皿が撤去され、携帯電話使用スペース扱いになっている。
[編集] キハ283形
編成の先頭または中間に組成される、運転台付の普通車である。客用扉は片側2箇所。
- 900番台(901,902)
- 先行試作車。試運転時はそれぞれ釧路向き、札幌向きに分かれていたが、「スーパーおおぞら」運転開始後は、2両とも札幌向きになっている。座席数は48席。量産車とは客用扉周囲の塗装パターンが異なり、トイレのドアの色が黄緑色、客室の床の模様が違うなどの点がある。洋式トイレと男子用のトイレを備えている。
- 0番台(1~21)
- 1~5,12,15,17,19が釧路向き、6~11,13,14,16,18,20,21が札幌向きの先頭車である。基本的には試作車と同じで、洋式トイレと男子用のトイレを備えている。座席数は48席。
- 6~14は旧形式キハ283-101~109から改番された。
- 4,5,9,10は1998年製の2次車で、紫色の座席モケットで落成したが、丹頂柄のモケットに変更された車両もある。
[編集] キハ282形
編成の中間に組成される、運転台のない普通車である。客用扉は片側1箇所。一部は簡易運転台を設け、番号で区分される。
- 100番台(101~111)
- トイレ・洗面所はない。札幌側に荷物置き場を備えている。座席数は64席。喫煙所あり（使用停止）。
- 103~105は旧形式キハ282-1~3、106・107は旧形式キハ282-1001・1002から改番された。
- 0番台(1~8)
- 車椅子対応の車両で、札幌側に車椅子対応の座席とトイレがある。ほかに、男子用トイレ・多目的室・カード式公衆電話がある。座席数は51席。
- 1~5は旧形式キハ283-201~205から改番された。
- 4は1998年製の2次車で、紫色の座席モケットで落成したが、現在は丹頂柄のモケットになっている。
- 2000番台(2001~2009)
- 簡易運転台を備え、座席数は60席である。他の設備は100番台と同一である。喫煙所あり（使用停止）。
- 2001は本系列唯一の苗穂工場製。2003,2004は1998年製の2次車で、紫色の座席モケットで落成したが、現在は丹頂柄のモケットになっている。
- 3000番台(3001~3004)
- 2000番台と同一の車体構造であるが、簡易運転台は準備工事のみで、運転台窓部分に塞ぎ板が填められている。座席数は60席。他の設備は100番台・2000番台と同一である。喫煙所あり（使用停止）。
- 全車とも1998年製の2次車で、紫色の座席モケットで落成した。2006年11月現在、座席モケットは3003を除き丹頂柄になっている。
[編集] キロ282形
- 中間に組成される、運転台のないグリーン車。1～8の8両在籍。座席数は26席で、配置は横1+2列、中央で配置が逆転する。各座席には電動リクライニング、電動レッグレスト、電動カーテン（現在は使用停止）、ヘッドホンオーディオ、パソコン用電源などの充実した装備を搭載。カード式の公衆電話、車内販売準備室、車掌室、男子用トイレと洋式トイレがある。喫煙所あり（使用停止）。
- 1~5は旧形式キロ283-1~5から改番された。2001年製の5次車(6~8)は荷物棚に蓋を設け、当初から電動カーテンが廃止された。
[編集] 運用
- 2006年現在以下の列車で使用されている。
- 「スーパーおおぞら」（札幌駅－釧路駅間）
- 「スーパーとかち」（札幌駅－帯広駅間）の1，6，7，12号。
- 「スーパー北斗」（札幌駅－函館駅間）の2，16，7，21号。
- 「ホームライナー」（手稲駅－札幌駅・回31D，回4003D，回4010D）
本系列の登場当初、列車1編成の最大連結可能両数は9両であったが、乗車率が高く増結が常態化したため、後に振子を指令・制御するコンピュータを改良し、現在では最大11両編成まで組成が可能である。
本系列はキハ281系と混結可能であるが、この場合、編成全体の各機能はキハ281系の仕様に合わせて制御され、振子作用時の車体最大傾斜角はキハ281系に合わせた5°となる。
 基本編成と付属編成の連結部分 根室本線釧路駅 |
 行先表示と喫煙コーナー 根室本線釧路駅 |
 車掌室とグリーン車入り口 スーパー北斗号車内 |
[編集] 現況と動向
酷寒地での高速運転により、車体に付着した氷塊が走行中に落下し、跳ね上げたバラストが側窓を破損する事例が多発した。これを防止するため、2001年から全車に側窓保護改造を行った。側窓の外側にサッシを設け、ポリカーボネート製の保護ガラスを填め込んでいる。この改造により側面の外観は大きく変化している。
2006年3月、キハ283系の振子装置とキハ261系の車体傾斜システムを組み合わせたハイブリッド車体傾斜システムの開発を川崎重工業・JR総研などと共同で行った。キハ283系の振子装置による6度＋キハ261系の車体傾斜装置による2度の傾斜で車体を8度まで傾斜でき、制限速度90km/hのカーブを140km/hで通過可能である。
試験用の台車N-DT283HX形はキハ282-2007に実装され、一般の台車を履いたキハ283系に挟まれた3両編成として札幌－函館間で試運転が行われた。この装置を使っての試験は函館本線の八雲駅付近で実施された（それ以外の区間は振 子を固定して走行していた）。この試験に使用された先頭車は試運転終了後すぐに定期運用に復帰、ハイブリッド台車を履いたキハ282-2007は苗穂工場で元に戻されたのち定期運用に復帰している。
本系列の増備は、2001年以降行われていない。車両価格およびメンテナンスコストの高さや、製造メーカーである富士重工業が鉄道車両部門から撤退（新潟トランシスに事業譲渡）したことなどが理由とされる。そのため、今後のキハ183系置換えはより低コストなキハ261系に引継がれる見込みである。
2006年12月17日から、普通車指定席の座席を順次改装し、座席幅の拡大・背もたれ枕の設置・快速「エアポート」の「uシート」と同様なチケットホルダーなどの設備を導入した座席にグレードアップする予定である。 参考：ＪＲ北海道Webサイト プレスリリース
[編集] 関連商品
Nゲージ鉄道模型として、マイクロエースが側窓改造前の仕様、KATOが実物同様の振子機構付で側窓改造後の現行仕様を発売している。
[編集] 参考文献
- JR北海道の在来線車両 （■国鉄引継車を含む全一覧 / ■カテゴリ） ■Template ■ノート
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