灰皿
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灰皿(はいざら)とは、主にタバコ(喫煙)の際に出た灰を入れるためのものである。
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[編集] 概要
灰皿は、主に灰を入れる皿や容器である。ただ、煙草の火を押し付けて消すなどの用途にも用いられるため、耐熱性が必須である。煙草の吸殻のほか、マッチが利用されていた時代には、これの燃えさしを捨てるためのものでもあった。近年ではライターが極めて安価である事から、主に紙巻煙草の吸殻を入れるための物となっている。簡易ごみ箱のように利用する人もいる。
灰皿には、卓上のものから設置式の家具様の物まで様々な形状があり、また近年ではゴミの投げ捨てが嫌われる事から、巾着袋・印籠状の携帯用灰皿も多く出回っている。卓上式のものや携帯用のものでは、簡単なものは極めて安価である事から、ノベルティや粗品として、企業や商品の宣伝にプレゼントなどで配布されるものも多く見られ、またそのような物を永く愛用する人も見られる。
[編集] 多様性
その一方で卓上に置くものでは、個人の趣味性もあって様々な製品が見られる。意匠を凝らしたものや芸術的なもの、ライターや時計を組み込んだものなどがあり、これらは消費者の好みを満たすため、数多くのメーカーから多様な製品が発売されている。
素材としては、ガラスや金属(主にプレス加工による板金)製のものが主流であるが、メノウやクリスタルガラスなどといった高級で重量感のある素材を使ったものや、素焼きの素朴なもの、石(鉱物)製や鋳物の安定感のあるものなど、多様性が見られる。耐熱樹脂を除くプラスチックや木などは、耐熱性に難があるため灰皿の材質としては適していない。なお耐熱樹脂の灰皿は製造面で加工が容易であることから多く出回っている。
その一方で清涼飲料水の空き缶を利用する者や食器を流用する者もみられ、この辺りは機能さえ十分なら、専用のものでもそうで無くても不都合が無いといえる。ただし普段食事に利用する食器は、精神衛生上の面から言っても、また美観の上でも、灰皿として利用する事は勧められない。食器にタバコの臭いが残ってしまう事もある。
[編集] 自動車の灰皿
大衆車を含む一般向けの自動車が標準的に灰皿を備え付けるようになって久しいが、マツダ・ペルソナは例外的にオプション装備とする事で話題を集めた。最近はタバコを吸わないことが多い女性が運転する軽自動車などでは灰皿を装備しないことが多い。
なお余禄だが、シガーライターという自動車用のライターがあるが、喫煙者は通常、ライターを常備するためか、最近は灰皿のみ装備する車もある。ただシガーライターは「車内用電源ソケット(12/24V)」としても利用されるため、完全に駆逐されるには至っていない。
[編集] 灰皿と分煙
灰皿の中には、近年の分煙や嫌煙権に配慮して、脱臭・脱煙機能を持つものも見られる。この中には空気清浄機を内蔵して、強制的に周囲の煙を吸い込み、室内の空気を清浄に保つ家具様の製品も出回っていて、喫煙所等に設置されている。
近年では副流煙の問題もあり、特に灰皿に一時的においた煙草の煙を嫌う人もあるため、煙を灰皿外に出さないようにする卓上向けの製品もある。
[編集] 携帯灰皿
なお近年普及した携帯用灰皿では、これを使う事を路上での喫煙の免罪符のように考える人も見られ、非喫煙者との軋轢を深める傾向もうかがえる。携帯灰皿を使うにしても、禁煙場所と人混みを避け、人の流れから外れた場所で使用した方がいいだろう。
もちろん、吸殻の投げ捨ては論外である。場所によってはゴミの投げ捨てとして処罰されるだけでなく、大規模な火災を巻き起こす事がある。
[編集] 灰皿と事故
灰皿は、中の吸殻を定期的に捨てる事で利用されるが、一部には吸殻の火が完全に消えているか確認せずにゴミ箱に捨ててしまって火事を起こす場合がある。また寝煙草などで燃焼中の煙草が灰皿から落ちてしまい、これが火災の火種となる事もある。その一方でモノグサな人が灰皿に吸殻を溜め込んでしまい、これがくすぶって火災となるケースも聞かれる。
[編集] 樹脂製灰皿の問題
特にメラミン樹脂や尿素樹脂を使った灰皿は、この吸殻が灰皿内でくすぶる事により、真っ二つに割れてしまう事がある。2004年には北九州市消防局がこの可能性に対して警告を発しており、また同様の問題はガラス製灰皿でも発生しうるとして注意を呼びかけている。
灰皿内には吸殻を溜め込んだりせず、できれば水を掛けて完全消火しておくようにしたい。
[編集] 誤飲事故
灰皿として清涼飲料水などの飲料の容器を使用、または飲み残した飲料に吸殻を捨てる事で、これの特に子供による誤飲事故もしばしば発生する。このような誤飲事故では、飲料中にニコチン等の有害成分が大量に溶け出してしまって、余計に中毒を引き起こしやすい。
このような誤飲事故では早急に吐かせて、出来るだけ早く医師の診察を受ける事が勧められる。
[編集] 灰皿と事件
灰皿でも高級なものでは、石やクリスタルガラスなどかなりの重量・硬度があるものも多い。これを怒りに任せて投げ付け、相手に怪我を負わせるといったドメスティックバイオレンスなどの事件はしばしば報じられており、またこれによる殴打・撲殺事件も聞かれる。
凶器となりうるのは何も灰皿に限った事ではないが、通常、テーブルの上にそのような重量があり持ちやすい大きさの物品は灰皿以外には無い事もあり、相対的に灰皿が凶器として使用される危険度が上がると言う事情も考えられる。
[編集] 関連項目
- 香炉ではなく、灰皿の上で香を炊く人もいる。
- 吉本興業所属の芸人。灰皿を使った持ちネタがある。