タンチョウ
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タンチョウ | ||||||||||||||||||||||||
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![]() タンチョウ |
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Grus japonensis (Statius Müller, 1776) |
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和名 | ||||||||||||||||||||||||
タンチョウ | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Red-crowned Crane Japanese Crane |
タンチョウ(丹頂)は、ツル目ツル科の鳥類。丹頂鶴(たんちょうづる)ともよばれる。学名はGrus japonensis。体長約140cmの日本最大の鳥類である。2004年以前に使われていた千円札にもタンチョウが描かれている。
アイヌではタンチョウをサルルンカムイ(湿原の神)と呼ぶ。
目次 |
[編集] 形態と生態
白と黒の体をしており、頭頂部は皮膚が露出し、赤くなっている。
日本では主に北海道東部の釧路湿原などでみられる。近年では、北海道北部のサロベツ原野や北海道中央部の旭川市・美瑛町でも目撃されるようになった。
冬季は人里近くに群れをつくって過ごす。春先には優美な求愛ダンスがしばしば見られ、つがいが形成される。3月になるとつがいは湿原に移り、枯れアシなどを用いて地面に巣をつくる。各つがいは数平方キロメートルにもわたる領域を「なわばり」とし、仲間を寄せ付けない。
メスは2つの卵を産卵し、30日強で孵化する。ヒナは生まれて半日ほどで親鳥について歩くようになり、100日程度で親鳥と同じくらいの大きさまで成長し、飛べるようになる。生まれて1年間は茶色の羽毛をしているが、やがて幼毛も抜け落ち、親鳥と同じ姿になる。
湿原に棲む昆虫、魚、カエルなどを食べる。冬季は釧路市や鶴居村の給餌場でデントコーンなどが与えられている。
肉の味は固くて不味いという。
日本以外ではユーラシア東部に生息し、夏場は東シベリアや中国黒竜江省に分布し、冬になると中国東部や韓国の江原道鉄原郡などに飛来する。日本産のタンチョウが留鳥なのに対し、ユーラシア東部の群は渡りを行う。
[編集] 保護
日本国内のタンチョウは明治時代には乱獲により、一時は絶滅したものと考えられたが、1924年、釧路湿原のキラコタン岬で僅か十数羽ながら生存しているところを再発見された。1950年に上阿寒で農業を営んでいた山崎定次郎が給餌に成功して以来、各地で給餌が行われるようになり、徐々に個体数は増加した。その後の手厚い保護が功を奏し、2001年度の生息状況調査では国内約800羽、2006年度の生息状況調査では国内約1000羽まで生息数が回復した。
[編集] Status
- ENDANGERED (IUCN Red List)
[編集] その他
- 日本では、ツルといえば頭が赤いもののように思われているが、タンチョウの絵が広く行き渡っているためであろう。松にツルという絵柄が古くからあり、花札、掛軸等に広く見られるが、ツルが木に止まるということは足の構造上不可能であり、遠くから見た姿がタンチョウと類似しているコウノトリと混同したものと思われる(ともに白地で羽の一部が黒い)。
- 金魚に「丹頂」という品種がいるが、これは白一色の胴体に頭部だけ赤くなった姿がタンチョウを連想させるため、名づけられたものである。
- 化粧品メーカーマンダムは旧名を「丹頂」と称した。当初の主力商品「丹頂チック」にちなむ。
- 雛を飼育する際、人間に慣れて野生にかえりにくくならないよう、飼育員はタンチョウの着ぐるみを着用する。
- ツルの仲間(ツル科ツル目に属する種)の名前の中で、タンチョウのみ「ツル」が付かない。これは、「鶴」という言葉には本来「渡り鳥」の意味が含まれているのに対し、日本で見られるタンチョウは、前述したように渡りを行なわない留鳥のためだという。
フランクフルト動物園2005年 |
鶴居村鶴見台の給餌場 |