磐越西線
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磐越西線(ばんえつさいせん)は福島県郡山市の郡山駅から会津若松駅を経由して新潟県新潟市の新津駅までを結ぶ東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線(幹線)である。 会津若松~新津間には森と水とロマンの鉄道という愛称が付けられている。また、新潟支社管内のラインカラーは茶色である。
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[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別):東日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者)・日本貨物鉄道(第二種鉄道事業者)
- 区間(営業キロ):郡山~新津 175.6km
- 駅数:44(起終点駅を含む。うち臨時駅1、信号場2)
- 軌間:1067mm
- 電化区間:郡山~喜多方 81.2km(交流20,000V・50Hz)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 最高速度:95km/h
[編集] 運行形態
基本的に、会津若松駅を境に運転系統が分かれる。
[編集] 郡山~会津若松・喜多方間
俗称「磐越中線」とも呼ばれる電化区間であり、仙台車両センター所属の455系・457系電車により運行されている。列車の大半は、郡山~会津若松間の運転であるが、一部は喜多方まで直通する。会津若松駅構内が郡山・新津両方面から只見線に向かって線路が続く配線となっているため、会津若松駅でスイッチバックが行われ進行方向が変わる。
2003年から会津鉄道キハ8500系気動車を使用した快速「AIZUマウントエクスプレス」が会津若松~喜多方間に乗り入れを開始した。
この区間には、特急「あいづ」が1993年まで上野~会津若松間で運転されていた。同年以降は東北新幹線接続列車として特急「ビバあいづ」(~2002年)、特急「あいづ」(2002年~2003年)、快速「あいづライナー」(2003年~2004年)を名乗り郡山~会津若松・喜多方間で運転されていた。「あいづ」は廃止後も、2001年に上野~会津若松間で、2005年に行われた会津デスティネーションキャンペーン開催時にも新宿~喜多方間で運行されるなど、しばしば復活運転が行われている(これまでの復活運転はあいづを参照)。
また、上野からの急行列車として1984年まで運転されていた「ばんだい」は、その後2004年まで郡山~会津若松・喜多方間運転の快速列車の愛称として使われた。この快速列車は、愛称は無くなったが引き続き同区間で運行中である。
また観光シーズン等に臨時列車として以下の列車が運転された。
なお、快速列車の停車駅は以下の通りである。
- 郡山駅-(喜久田駅)-磐梯熱海駅-(川桁駅)-猪苗代駅-(翁島駅)-磐梯町駅-(東長原駅)-(広田駅)-会津若松駅<-塩川駅-喜多方駅>
- ※太字は全列車停車、( )内は一部の列車が停車。
- ※< >内は喜多方駅まで直通する列車の停車駅。
[編集] 会津若松~新津間
喜多方~新津間が非電化であるため、郡山から運行される喜多方止まりの定期列車を除き、気動車によって運行されている。またこの区間は、新潟支社の阿賀野川ライン営業所(五泉駅に併設)が山都駅から西側の管理を担当している。
普通列車は、新津運輸区所属のキハ110系気動車、キハ47系気動車などを使用しており、会津若松~新津間を通しで運転する列車の他、会津若松~野沢間、津川・馬下・五泉~新津間の区間列車も設定されている。一部列車は信越本線に乗入れ、新潟駅まで運転される。また、会津若松~野沢間の早朝220D夜間239Dは、郡山総合車両センター会津若松常駐(只見線用)車両で運用されている。
速達列車として会津若松~新潟間に快速「あがの」が1往復設定されている。 上記のほか、観光列車として蒸気機関車C57形180号機牽引の快速「SLばんえつ物語」が、会津若松~新潟間において4月~11月の土曜・休日を中心に運転されている。運転日数は少ないが、郡山~会津若松間にも蒸気機関車牽引列車が定期的に運転されている。
[編集] 新潟県中越地震による影響
2004年10月23日に起きた新潟県中越地震で上越線が不通になったため、郡山経由での迂回ルートとして、客貨ともに臨時列車が運行された。以下は、同年11月中旬時点の状況を記す。
旅客の臨時列車は、新潟~会津若松の直通快速が1往復と、所定では野沢止まりの各駅停車を津川まで延長運転し津川発着の列車に接続をとる形で行われたが、平日の乗車率はそれほど良くないようで、11月中旬には直通快速は運休の日が多くなっていた。また、これらの列車を運行するために、JR東日本秋田支社、盛岡支社からの応援車両(いずれもキハ40系気動車)が来ていたため、他線区の塗装と本来の新潟支社の塗装の混結編成を見る事ができた。 貨物の臨時列車は、11月12日より運転が開始された。新潟~東京間の紙輸送を迂回している物で、1日1往復をDD51型機関車(会津若松以西)がワム80000型380000番台貨車14~6両を牽引する形で行われていた。 この列車が運転されているダイヤは本来セメント輸送列車のためのものであったが、そのセメント列車運転日には、セメント列車をSL列車「ばんえつ物語」のダイヤで運転する措置がとられた。
[編集] 歴史
日本鉄道の開通にともない、郡山と新潟を会津経由で結ぶ鉄道の建設運動が起こった。1892年に公布された鉄道敷設法に「新潟県下新津ヨリ福島県下若松ヲ経テ白河、本宮近傍ニ至ル鉄道」として規定されたが、1896年1月20日、郡山~若松~新津を結ぶ鉄道を建設するため、岩越鉄道(がんえつてつどう)が設立された。1898年に郡山~中山宿間が開業し、翌年には若松に、1904年には喜多方まで開業した。
1906年には、鉄道国有法により岩越鉄道は買収、国有化され、官設鉄道の岩越線(がんえつせん)となった。喜多方以遠は官設線として延長され、新津側からも信越線(信越本線)の支線として順次延長された。1914年には、野沢~津川間が開業して全通。郡山~新津間が岩越線となったが、1917年に平郡線が全通して磐越東線と改称されたのと同時に磐越西線と改称された。
なお同線が全通した1914年から、清水トンネルの開通で上越線が全通した1931年までは、それまで東京から新潟へ向かう唯一のルートであった高崎線・信越本線に加えて、同区間の第2ルートとされたこともあった。東北本線・磐越西線経由のルートには碓氷峠のような難所がなかったこともあり、1930年10月のダイヤ改正時には、上野駅から信越本線経由で新潟駅へ向かう最速の下り夜行急行列車が全線に11時間6分、夜行普通列車だと13時間56分を要していたのに対し、同区間を磐越西線経由で結ぶ夜行普通列車は11時間58分で走破していた。
[編集] 岩越鉄道→岩越線
- 1898年7月26日 【開業】岩越鉄道 郡山~中山宿(仮)(21.5km) 【駅新設】堀ノ内、安子ヶ島、熱海、中山宿(仮)
- 1899年3月10日 【延伸開業】中山宿(仮)~山潟(6.5km) 【駅新設】中山宿、山潟 【駅廃止】中山宿(仮)
- 1899年7月15日 【延伸開業】山潟~若松(37.3km) 【駅新設】関都、猪苗代、翁島、大寺、広田、若松
- 1899年8月4日 【駅新設】(貨)川桁
- 1900年11月3日 【貨物駅→一般駅】川桁
- 1904年1月20日 【延伸開業】若松~喜多方(16.6km) 【駅新設】塩川、喜多方
- 1906年11月1日 【買収・国有化】郡山~喜多方(49.5M≒81.9km)
- 1907年5月19日 【仮停車場新設】木流(若松~塩川間)
- 1909年10月12日 【国有鉄道線路名称設定】岩越線
- 1910年12月15日 【延伸開業】喜多方~山都(9.9km) 【駅新設】山都
- 1912年12月26日 【仮停車場廃止】木流
- 1913年8月1日 【延伸開業】山都~野沢(15.1km) 【駅新設】荻野、野沢
[編集] 信越本線(支線)
- 1910年10月25日 【開業】信越線(支線) 新津~馬下(17.2km) 【駅新設】五泉、馬下
- 1913年6月1日 【延伸開業】馬下~津川(21.4km) 【駅新設】五十島、白崎、津川
- 1914年6月1日 【線名改称】信越本線(村上線分離による)
[編集] 全通後
- 1914年11月1日 【延伸開業】野沢~津川(30.8km) 【路線統合】岩越線 郡山~新津(信越本線新津~津川間を岩越線に編入) 【駅新設】上野尻、徳沢、豊実、日出谷、鹿瀬
- 1915年4月10日 【駅名改称】堀ノ内→喜久田
- 1915年6月1日 【駅名改称】山潟→上戸
- 1917年5月21日 【駅名改称】若松→会津若松
- 1917年10月10日 【線名改称】磐越西線
- 1925年3月20日 【駅名改称】熱海→岩代熱海
- 1934年11月1日 【駅新設】堂島、笈川、姥堂、会津豊川
- 1940年12月20日 【駅新設】東長原
- 1951年4月1日? 【仮乗降場新設】熊渡
- 1952年2月20日 【駅新設】北五泉、東新津
- 1953年1月10日 【仮乗降場→駅・改称】熊渡→東下条
- 1954年4月15日 【駅新設】新関
- 1955年8月15日 【駅新設】猿和田
- 1955年10月1日 【駅新設】尾登
- 1961年11月1日 【駅新設】咲花
- 1962年6月4日 【信号場新設】沼上
- 1962年7月20日 【仮乗降場新設】志田浜(上戸~関都間)
- 1962年12月20日 【信号場新設】更科
- 1965年6月1日 【駅名改称】岩代熱海→磐梯熱海、大寺→磐梯町
- 1967年6月15日 【電化】郡山~喜多方(交流50Hz・20kV)
- 1967年8月21日 【仮乗降場廃止】志田浜
- 1985年3月14日 【駅名改称】白崎→三川
- 1986年7月20日 【臨時駅新設】猪苗代湖畔
- 1987年4月1日 【承継】東日本旅客鉄道(第1種)・日本貨物鉄道(第2種)
- 1997年3月22日 【改キロ】磐梯熱海~中山宿~上戸(-0.7km)(中山宿駅スイッチバック廃止に伴う)
[編集] 駅一覧
- *の駅では列車交換不可。
郡山駅 - 郡山北駅(仮称・開業時期未定) - 喜久田駅 - 安子ヶ島駅 - 磐梯熱海駅 - *中山宿駅 - (沼上信号場) - *上戸駅 - (臨)*猪苗代湖畔駅 - 関都駅 - 川桁駅 - 猪苗代駅 - 翁島駅 - (更科信号場) - 磐梯町駅 - 東長原駅 - 広田駅 - 会津若松駅 - *堂島駅 - *笈川駅 - 塩川駅 - *姥堂駅 - *会津豊川駅 - 喜多方駅 - 山都駅 - *荻野駅 - *尾登駅 - 野沢駅 - *上野尻駅 - 徳沢駅 - *豊実駅 - *日出谷駅 - *鹿瀬駅 - 津川駅 - *三川駅 - 五十島駅 - *東下条駅 - *咲花駅 - 馬下駅 - *猿和田駅 - 五泉駅 - *北五泉駅 - 新関駅 - *東新津駅 - 新津駅
[編集] 接続路線
- 郡山駅:東北本線(水郡線 - 安積永盛駅で分岐。全列車が郡山まで乗入れ)・東北新幹線・磐越東線
- 会津若松駅:只見線・(会津鉄道会津線 - 只見線会津若松~西若松間に、一部列車を除くほぼ全列車が乗入れ。一部列車は会津若松~喜多方間に乗入れ)
- 新津駅:信越本線・羽越本線
[編集] 過去の接続路線
[編集] その他
2006年、兄弟デュオである狩人の新曲として「磐越西線」が発表された。作曲・市川昭介、作詞・木下龍太郎。(参考)