北斗星 (列車)
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北斗星(ほくとせい)とは、北海道旅客鉄道(JR北海道)と東日本旅客鉄道(JR東日本)が上野駅~札幌駅間を東北本線・いわて銀河鉄道線・青い森鉄道線・東北本線・津軽海峡線(津軽線・海峡線・江差線)・函館本線・室蘭本線・千歳線を経由して運転する寝台特急列車の名称である。
なお、本稿ではJR東日本が同じ区間を運転する臨時寝台特急列車「エルム」についても記載する。
目次 |
[編集] 運行概況
[編集] 運転形態
上野-札幌間を1日2往復、約16時間で運転している。また、同一経路を走る「カシオペア」を含めると同区間を1日2.5往復している計算になる。
24系25形客車で編成された12両編成で運転されている。JR北海道が車両を受け持つ1・2号とJR東日本が車両を受け持つ3・4号では寝台車の組成が異なり、1・2号は個室寝台車が主体の編成である。
3・4号は通常、12両中6両が開放B寝台車で組成される。毎年4月から6月には、一部の開放B寝台車(2~4号車)を札幌運転所から借り入れた個室寝台車(3両)と差替えて運転される。
また、食堂車の夕食サービスを時間指定制として運営した列車でもある。
そのほかに、臨時列車として以下の列車が運行された。
- 独自のダイヤを設定している列車
- 「エルム」(開放式B寝台のみで編成されている列車)
- 「北斗星81・82号」(個室寝台を連結して編成される列車。主に3・4号に準した編成が使われる)
- 「北斗星ニセコスキー号」
- 「北斗星トマムサホロ号」
- 定期列車の延長運転
- 「北斗星小樽号」
- 「北斗星1号」を札幌駅~小樽駅間を延長運転。
[編集] 停車駅
●:停車。 ↓・↑:通過(矢印方向に運行)。
駅名\号 | 1↓ | 2↑ | 3↓ | 4↑ |
---|---|---|---|---|
上野駅 | ● | ● | ● | ● |
大宮駅 | ● | ● | ● | ● |
宇都宮駅 | ● | ● | ● | ● |
郡山駅 | ● | ● | ● | ● |
福島駅 | ● | ● | ● | ● |
仙台駅 | ● | ● | ● | ● |
一ノ関駅 | ● | ↑ | ↓ | ● |
盛岡駅 | ● | ↑ | ↓ | ● |
函館駅 | ● | ● | ● | ● |
森駅 | ● | ● | ↓ | ↑ |
八雲駅 | ● | ● | ↓ | ↑ |
長万部駅 | ● | ● | ● | ● |
洞爺駅 | ● | ● | ● | ● |
伊達紋別駅 | ● | ● | ● | ● |
東室蘭駅 | ● | ● | ● | ● |
登別駅 | ● | ● | ● | ● |
苫小牧駅 | ● | ● | ● | ● |
南千歳駅 | ● | ● | ● | ● |
札幌駅 | ● | ● | ● | ● |
※1号は、函館駅~伊達紋別駅間の各停車駅から乗車する場合に限り、立席特急券で利用可能である(「寝台券#利用時間と利用時間外の特例について」も参照)。
- なお、雪などで大幅にダイヤが乱れ運転が途中で打ち切られた場合、翌日の列車が途中駅始発(例:仙台駅、函館駅など)となる場合がある。
[編集] 編成
1号車が函館方、12号車が上野および札幌方(函館~札幌間で進行方向が変わる)。
- 牽引機関車
- EF81形電気機関車:上野~青森信号場間牽引。JR東日本田端運転所所属の車両のうち、黒磯駅構内を走行中に交直車上切替を行えるように改造されたものが限定的に使用される。改造の施されたものは「北斗星」カラーと称される流星マークを付けた車両のほか、レインボーカラーの95号機、カシオペア塗装機の3両も該当する。
- ED79形電気機関車:青森信号場~函館間牽引。函館運輸所青函派出所(旧・青函運転所)所属。
- DD51形ディーゼル機関車:函館本線:七飯~森間で大沼公園経由の勾配の大きい路線を走行するため、定期列車としては唯一の常時重連運転で函館~札幌間牽引。函館運輸所に配置されている青を基調とし、流星マークを付けた「JR北海道色」または、「北斗星色」と称される塗装の車両が使用される。
- 北海道編成(1・2号)
- JR北海道所属編成のみ個室寝台車の車体にエンブレムがついているが、これは1988年10月に来日し、欧州で人気のあるオリエント急行に使用されているワゴン・リ客車の「向かい獅子」のマークを参考にデザイン化したものと考えられている。
- 1号車:オハネフ25-0:区切り可能な開放型B寝台(Bコンパートメント)
- 2~4号車:オハネ25-560:B寝台2人用個室(デュエット)
- 「オハネ25-560」という番台はJR西日本所有の車輌にもあるが、西日本のオハネ25-560はトワイライトエクスプレス用のBコンパートメント車輌で、北斗星用のデュエット車輌とは車号が重複する(オハネ25-561から563が重複)。
- 5号車:オハネ25-550:B寝台1人用個室(ソロ)
- 6号車:スハネ25-500:B寝台1人用個室(ソロ)+半室ロビー
- 7号車:スシ24-500:食堂車「グランシャリオ」(車体にエンブレムが付く)
- 8号車:オロネ25-500:A寝台2人用個室(ツインDX)
- このオロネ25-500は2段ベットタイプで、その以外に平行ベッドタイプのオロネ25-550(オロネ25-551の1両のみ在籍)があり、そのオロネ25-550が優先的に連結される。
- 9号車:オロハネ25-555:A寝台1人用個室(ロイヤル)+B寝台1人用個室(ソロ)
- 10号車:オロハネ25-551:A寝台1人用個室(ロイヤル)+B寝台2人用個室(デュエット)
- 11号車:オハネフ25-0:区切り可能な開放型B寝台(Bコンパートメント)
- 12号車:カニ24-500:荷物・電源車
- 東日本編成(3・4号)
- 1号車:オハネフ25:開放型B寝台
- 2~4号車:オハネ25:開放型B寝台
- 2~4号車は個室車(オロネやオロハネなど)を連結することもある。
- また、オフシーズンには3、4号車を連結しないこともある。
- 5号車:オハネフ25:開放型B寝台
- 6号車:オハ25-500:ロビーカー
- 7号車:スシ24-500:食堂車「グランシャリオ」
- 8号車:オロネ25-500:A寝台2人用個室(ツインDX)
- 9号車:オロハネ25-500:A寝台1人用個室(ロイヤル)+B寝台1人用個室(ソロ)
- 10号車:オロハネ24-550:A寝台1人用個室(ロイヤル)+B寝台2人用個室(デュエット)
- 11号車:オハネフ25:開放型B寝台
- 12号車:カニ24-500:荷物・電源車
[編集] 担当車掌区
[編集] 食堂車グランシャリオ
食堂車「グランシャリオ」では、フランス料理・和食などを楽しむことが出来る。なお当列車は食堂車を連結している日本の列車の中で、唯一の定期列車である。また、臨時列車の「エルム」には、食堂車は連結されていない。
- ディナータイム
- ディナータイムは、各列車1回または2回(下記参照)行われており、フランス料理コースか懐石御膳のいずれかを選択できる。いずれの場合も、乗車日3日前までにみどりの窓口で予約が必要。なお、A寝台利用客に限り、1回目のディナータイムで懐石御膳のルームサービスを頼むことができる。
号数 | 1回目 | 2回目 |
---|---|---|
1号 | 17:30~18:50 | 19:10~20:30 |
81号 | 18:00~19:20 | - |
3号 | 19:45~21:05 | - |
2号 | 18:00~19:20 | 19:40~21:00 |
82号 | 19:00~20:20 | - |
4号 | 19:45~21:05 | - |
※-は設定なし。なお、北斗星81号と82号は臨時列車。
- パブタイム
- パブタイムのメニューには、ビーフシチューやハンバーグなどのアラカルト、おつまみ・デザートなどがある。またアルコール類も豊富に取り揃えられている。ディナータイムとは異なり、乗客であれば誰でも予約なしで利用できる。パブタイム利用時間は、ディナータイム終了後から23:00までである(ただし、ディナータイムの進行状況によっては、前倒しになったり遅れたりする)。ラストオーダーは22:30。なお、パブタイムの食材の積み込みは、下り上野駅のみで行われるため、上り列車では売り切れてしまうことがある。
- モーニングタイム
- モーニングタイムでは、朝食をとることができる。和食と洋食の2種類から選べるが、和食は数量限定で売り切れてしまうことが多い。モーニングタイムの開始時刻は通常6:30であるが、和食の食材を仙台駅で積み込むため、4号のみ7:00となっている。
- その他
- グランシャリオでは、ロビーカー等に設置されているシャワー室の利用カードや、シャワーセット、関連商品などを販売している。
[編集] 沿革
- 1988年(昭和63年)3月13日 青函トンネル開通と共に、それまで上野駅~青森駅間を東北本線・常磐線経由で走っていた寝台特急「ゆうづる」2往復を札幌駅まで延長する形で運転を開始した。
- 当時の各列車の受け持ちは以下の通り。
- 1・2号・・・定期列車(列車番号 1・2列車):北海道旅客鉄道
- 3・4号・・・臨時列車(列車番号 6003・6004列車):東日本旅客鉄道
- 5・6号・・・定期列車(列車番号 5・6列車):東日本旅客鉄道
- 当時の各列車の受け持ちは以下の通り。
- この実績をふまえ、1989年のダイヤ改正より臨時列車であった「3・4号」へ個室寝台車を連結のうえJR北海道・東日本共同運行の定期列車へ格上げした。なお、当初「3・4・5・6」号については、青森駅を通過せず、青森信号場経由で運行していたが、これを改め全列車青森駅に入線することとなった。
- 1990年 「北斗星」の函館駅以北の「ヒルネ」客の利用が多いことから、「1号」以外の利用を廃止し、現行の体制を敷く。
- 1995年 「3・4号」を毎日運転の季節列車6003・6004列車に格下げを行う。この体制を1999年に「カシオペア」号を運転開始するまで続けていた。「カシオペア」の運転開始後は現在の体制である2往復で運転されている。
- 2000年 有珠山噴火災害に伴う室蘭本線不通の為、長万部駅~札幌駅間を函館本線(倶知安駅・小樽駅)経由での迂回運転や函館駅~札幌駅間を区間運休(同区間は臨時特急を運転)して対応した。
- 2001年 「1・2号」については現行の個室寝台を中心とした編成に組成。
- 2002年12月1日 東北本線の盛岡~八戸間がIGRいわて銀河鉄道、青い森鉄道に経営移管されたことにより、この区間を乗車する乗客(つまり北斗星に乗車するほとんどの乗客)への運賃・料金が一部変更になった(カシオペアも同様)。
- 2004年 個室寝台の需要に鑑み、「3・4号」編成の3両を、開放型B寝台車から個室寝台車へ差替え。これは閑散期の4~6月限定の措置である。
- 2006年3月18日 青森駅構内の線路工事を夜間に集中的に行うため、青森駅経由から青森信号場(奥羽貨物線)経由に変更。青森駅での客扱いがなくなる。(運転士・車掌交替は蟹田駅で行う)
[編集] 列車愛称の由来
- 北斗星
- 北斗七星・北極星が由来であるが、決定は一般公募による。しかし、一般公募1位が「北海」であり、イメージがあわない等の理由から、決定当時は「公募では該当なし」とする所であったとされる。実際には一般公募で150位に「北斗星」の名称があった。
- エルム
- 北海道に生える樹木の一つであるニレ科の樹の総称である「エルム」から。
- 夢空間北斗星
- 夢空間編成を連結した「北斗星」であることから。
- 北斗星ニセコスキー
- ニセコスキー場とタイアップした「北斗星」であることから。
- 北斗星トマムスキー・北斗星トマムサホロ
- トマムスキー場などトマム・サホロ地区に発着する列車であることから。
- 北斗星小樽号
- 小樽駅まで延長運転されることを強調したもの。北斗星1号が延長運転されたものである。