トワイライトエクスプレス
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トワイライトエクスプレス
- 西日本旅客鉄道(JR西日本)が近畿地方・北陸地方~北海道道央間で運行する臨時寝台特急列車。本稿で著述する。
- パーソナルコンピュータ・プレイステーションのソフトウェア 企画・制作・輸入・販売会社トワイライトエクスプレス。株式会社トワイライトエクスプレス
トワイライトエクスプレス(Twilight Express) とは、JR西日本が大阪駅~札幌駅間で運行する臨時寝台特急列車。
東海道本線(JR京都線)・湖西線・北陸本線・信越本線・羽越本線・奥羽本線(日本海縦貫線)・津軽線・海峡線・江差線(津軽海峡線)・函館本線・室蘭本線・千歳線の12線区を経由し、鉄道会社もJR西日本・JR東日本(東日本旅客鉄道)・JR北海道(北海道旅客鉄道)を経由する、下り列車は1,495.7kmを21時間7分かけて、上り列車は1,508.5kmを22時間47分かけて運行する、日本一の長距離旅客列車である。但し当列車は臨時列車扱いのため、定期列車のみでの最長記録は「はやぶさ」の1,315kmとなる。
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[編集] 沿革
- 1989年(平成元年)7月21日 - 団体専用列車として運行を開始。当初はツアーのみで寝台券を一般販売しなかった。
- 1989年(平成元年)12月2日 - 臨時列車扱いに変更し、寝台券の一般販売も開始。
- 2004年10月23日~2004年11月28日 - 新潟県中越地震の影響により、列車運休。
- 2005年(平成17年)12月14日 - 食堂車を運営しているジェイアール西日本フードサービスネットが、コーヒー代金の一部を従業員全員が組織的に着服していた、と発表。関係者100名以上、被害総額約1400万円。
- 2005年12月25日~2006年(平成18年)1月19日 - JR羽越本線脱線事故の影響により、列車運休。
- 2006年7月13日~2006年8月8日 - 羽越本線小岩川~あつみ温泉間の土砂崩れにより、運休。
[編集] 運転概要
1989年の運行当初より、若干季節によって場所が異なるが日本語に訳すと薄明急行の名の通りの区間は、富山県~新潟県付近と渡島支庁~胆振支庁付近で車窓から薄明の風景(この他に下り線のみになるが、日本海に沈む夕日と太平洋から昇る朝日も)を眺められるダイヤ編成になっており、大阪駅12時発(正午)・札幌駅14:05発と2004年3月現行ダイヤで運行される夜行列車の中では一番早く出発する。大阪発列車の到着は札幌駅9:07着で、観光に使いやすい時刻に到着するが、札幌発列車は大阪駅12:52着と昼過ぎの到着となるので、必ずしも大阪への観光用途に使いやすいとは言えない。
停車駅も、新潟県新津駅までは大阪府(大阪駅、新大阪駅)、京都府(京都駅)、滋賀県内は無停車、福井県(敦賀駅、福井駅)、石川県(金沢駅)、富山県(高岡駅、富山駅)、新潟県(直江津駅、長岡駅、新津駅)の北陸本線・信越本線の主要な駅に停車するが、ここから北海道の洞爺駅(胆振支庁)までの山形県、秋田県、青森県と北海道渡島支庁内の各駅には、青森信号場・五稜郭駅での機関車付け替えや運転士交代等の運転停車を除き、無停車で運行される。この区間は深夜時間帯であり、長距離を利用する客を主目的とした主に観光用途の列車であるためである。
洞爺駅より先は胆振支庁(東室蘭駅、登別駅、苫小牧駅)、石狩支庁(南千歳駅、札幌駅)の室蘭本線・千歳線の主要駅に停車する。なお、上り列車は森~大沼間で枝線(砂原線)を経由する。上り方面では砂原線の方が勾配が緩いことが理由だが、この間に「スーパー北斗16号」が本線(大沼公園経由)を通って上り列車を追い抜いている。
札幌発列車が大阪発列車より所要時間が100分長い理由としては、前述の通り砂原線を経由することや、五稜郭駅~青森信号場間を除いて1号車Aスイートの前が機関車となるため機関車からの騒音対策として深夜帯に速度を落としている(深夜帯に相当する新津駅~洞爺駅間の所要時間は下り11時間3分、上り12時間18分となっている)こと、後述するが敦賀駅で機関車交換(16分停車)が行われることなどがある。
なお、2006年3月18日ダイヤ改正より、青森駅構内の線路工事を夜間に集中的に行うため青森駅経由から青森信号場(奥羽貨物線)経由に変更され、運転士交替も青森信号場で行う。なお、青森信号場~五稜郭間は進行方向が逆向きになる。
また、奥羽本線・大久保駅付近と東海道本線(JR京都線)・山崎駅~高槻駅ではトワイライトエクスプレス同士のすれ違い(下記の運転日時で毎日運転されているもの)がある(大阪始発基準で大久保付近が翌日の0:10、山崎~高槻が出発日の12:20)。
運転日時は、基本的に札幌行は月・水・金・土曜、大阪行は火・木・土・日曜であるが、実際には、それ以外の曜日にもトワイライトエクスプレスを利用したツアーなど団体専用列車として運行されており、列車自体はほぼ毎日見かけることができる。
ゴールデンウィーク、6月中旬(近畿地方の梅雨入り頃)~8月中旬(お盆休み終了頃)、年末・年始やさっぽろ雪まつりなど繁忙期には、ツアーを休止し、毎日運行扱いとなる。
列車番号は、下りが「8001」上りが「8002」。
車掌は大阪駅~蟹田駅間をJR西日本大阪車掌区が、蟹田駅~札幌駅間をJR北海道函館運輸所が担当している。なお、大阪車掌区の本列車担当車掌は緑を基調に、ホテルをイメージした専用の黒い制服を着用する。
[編集] 停車駅
大阪駅 - 新大阪駅 - 京都駅 - 敦賀駅 -〔武生駅〕- 福井駅 - 〔加賀温泉駅〕 - 金沢駅 - 高岡駅 - 富山駅 - 直江津駅 - 長岡駅 - 新津駅 - 〔京ヶ瀬駅〕 - 〔村上駅〕 - 〔鶴岡駅〕 - 〔酒田駅〕 - 〔秋田駅〕 - 〔大久保駅〕- 〔大館駅〕 - 〔弘前駅〕- 〔大釈迦駅〕 - (青森信号場) - 〔蟹田駅〕 - 〔新中小国信号場〕 - 〔矢不来信号場〕 - (五稜郭駅) - 洞爺駅 - 東室蘭駅 - 登別駅 - 苫小牧駅 - 南千歳駅 - 札幌駅
- (駅名)の青森信号場・五稜郭は機関車付替え関係の運転停車。客扱いはしない。但し列車の大幅な乱れがある場合には函館駅など、主要駅に止まることがある。時刻表上では「通過」となっている。
- 〔駅名〕は、上記以外の運転停車。同様に客扱いはせず、時刻表上では「通過」である。駅によっては運転士の交代を行う。蟹田駅では車掌交代。
[編集] 使用車両
大阪(五稜郭)← | →札幌(青森) | ||||||||
1 A個2・1 |
2 A個2・1 |
3 食堂 |
4 喫茶自販 |
5 B個2・1 |
6 B個2・1 |
7 B個2 |
8 Bコ |
9 Bコ× |
電源 |
- A個2=スイート、A個1=ロイヤル、B個2=ツイン、B個1=シングルツイン、Bコ=Bコンパート、×=禁煙、食堂=ダイナープレヤデス、喫茶=サロンカー、自販=自動販売機および、コインシャワー
- 客車
宮原総合運転所所属の24系客車の専用編成3編成が使用される。全車が既製車両の改造車であるが、従来の「寝台列車=ブルートレイン=青」というイメージを覆し、深緑に黄色の帯を1本締めるという、独自の塗色となった。2002年秋までに全編成のリニューアルが完了し、内装は「木のぬくもり」をテーマにした木目調の壁などに変更され、7号車にあるミニサロンには本革のソファーが設置されるなど、豪華列車としてのグレードが以前よりも向上した。合わせて、外装も、金色(黄色)の帯の上下に銀色の縁取りが追加され、車体側面にあるエンブレムも、細かい部分のデザインが変更されるなどしている。 繁忙期の毎日運転期間中は全3編成がフル稼働となるが、それ以外の時期でも旅行会社などが主催するツアーのための団体貸切専用列車として運転される日もあるため、かなりの比率で全3編成が稼動することが多い。客車は宮原総合運転所→1日目12:00大阪駅→2日目9:07札幌駅→5時間弱札幌運転所で待機(客車内清掃等を含む)→2日目14:05札幌駅→3日目12:52大阪駅→1日~3日後の12時まで宮原総合運転所で鉄道車両の検査等のサイクルで使用されている。以前は東京(品川駅臨時ホーム)・福岡(博多駅)で一般公開が行われていた。
上が大阪駅方、下が札幌方である。青森信号場~五稜郭間では編成方向が逆転する(上が五稜郭方、下が青森方)。
- 1号車:スロネフ25形500番台:A個室寝台「スイート」1室・「ロイヤル」4室
- 2号車:スロネ25形500番台:A個室寝台「スイート」1室・「ロイヤル」4室
- 3号車:スシ24形:食堂車「ダイナープレヤデス」
- 4号車:オハ25形550番台:サロンカー「サロン・デュ・ノール」
- 5号車:オハネ25形520番台:B個室寝台車1人用「シングルツイン」・2人用「ツイン」
- 6号車:オハネ25形520番台:B寝台|B個室寝台車1人用「シングルツイン」・2人用「ツイン」
- 7号車:オハネ25形510番台:B個室寝台2人用「ツイン」・ミニサロン設置
- 一部のツイン個室は、部屋と部屋の間の仕切りをはずし、4人用個室として利用できる。
- 8号車:オハネ25形560番台:B寝台コンパート
- 「オハネ25形560番台」はJR北海道所有の車輌にもあり、北海道の車両は「北斗星」用のデュエット(2人用個室B寝台)で、車号が重複する(オハネ25 561~563が重複)。
- 9号車:オハネフ25形500番台:B寝台コンパート
- 10号車:カニ24形:電源荷物車
- 牽引機関車
- 大阪駅~敦賀~青森信号場間
- EF81形電気機関車
- 福井地域鉄道部敦賀運転派出所属。EF81の6両(43・44・103・104・113・114)が専用客車と同じ塗色に変更された専用機となっている。この専用機の一部は日本海の牽引に当たることもある。
- なお、上り列車は敦賀駅で別の機関車と交代するが、運用の関係で一般色のEF81形が牽引する場合もある。
- 青森信号場~五稜郭駅間
- 五稜郭駅~札幌駅間
- DD51形ディーゼル機関車
- 函館運輸所所属。「カシオペア」や「北斗星」と同じく、重連牽引。
[編集] 関連項目
- カシオペア
- 北斗星
- 日本海
- 十津川警部シリーズ(月曜ドラマスペシャル第7作で「豪華特急トワイライト殺人事件」が放送された)
- 西村京太郎トラベルミステリー(土曜ワイド劇場第45作で「超豪華寝台特急トワイライトエクスプレス殺人事件」が放送された)
[編集] 外部リンク
- 豪華列車トワイライトエクスプレス~JR西日本の夜行寝台特急で北海道へ~ 列車案内/旅行記/車内写真/オリジナルグッズ
- 寝台列車 トワイライトエクスプレス 24系(おでかけネット)
- ジェイアール西日本フードサービスネット・トワイライトエクスプレス
- ほどちゃんの島-寝台特急トワイライトエクスプレス
- 株式会社ChannelJ
- トップ→文化→旅行・観光→日本の旅→夢の寝台特急トワイライトエクスプレスの旅(15分8秒の動画あり)