ループ線
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ループ線(るーぷせん)とは、鉄道や道路において、山間部に隧道(トンネル)や橋梁を建設して螺旋状に線路もしくは道路を敷設する事により、急勾配を緩和してルートを形成する手法または場所の事である。
また、環状(ラケット状など)に線路(軌道・架線)を敷設して、片端だけにしか運転台を持たない車両や片側にしかドアを持たない車両の折り返しや方向転換のために使うものもある。路面電車やトロリーバス、新交通システムの起終点駅などに見られる。
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[編集] 概要
明治から戦後しばらくまでは土木技術が未熟で、山間部に鉄道を敷設する場合、高所構造物(特に橋梁)や長大トンネルの建設が難しく、なるべく自然の地形を利用したルートが選定された。ループ線はスイッチバックと並んで、勾配緩和として有効な方法ではあったが、必然的に曲線が多く駅間距離が長くなる。列車を速達させるためには不利であり、線路保守の手間もかかる。時代が下るにつれて、鉄道経営上のネックとなることが多くなった。
戦後の急速な土木技術の発達により、山間部における橋梁、高架橋、長大トンネルの建設が当たり前になり、ループ線を採用しなくてもルートが形成できるようになった。例えば複線化の際に線増した上越線では、新線側はループ線を採用していない。ただ、北陸本線のように貨物列車などの都合で(貨物列車は旅客列車より勾配制限が厳しい)、新線側へループ線を採用した事例も存在する。
また、環状になっておらず「Ω」や「S」の字状になっている物もあるが、これを広義のループ線に含めることもある。
[編集] 日本国内の鉄道における採用路線・区間
[編集] 完全な環状になっている所
[編集] 勾配緩和を目的としたもの
[編集] 勾配緩和を目的としないもの
[編集] 起終点における折り返しを目的としたもの
かつては、小牧駅・桃花台東駅(桃花台新交通桃花台線)、大森停車場駅(京浜電気鉄道大森支線)、大師駅(現 川崎大師駅・京急大師線)、京都駅前電停(京都市電)などにも存在していた。
[編集] それ以外の形状
[編集] 勾配緩和を目的としたもの
[編集] 日本国内の道路における主な採用区間
- 国道140号 埼玉県秩父市(雷電廿六木橋)
- 国道9号 兵庫県養父市(関宮ループ)
- 国道169号 奈良県川上村(伯母谷ループ)
- 国道221号 熊本県人吉市(人吉ループ)、宮崎県えびの市(えびのループ)
- 国道314号 島根県奥出雲町(奥出雲おろちループ)
- 国道325号 熊本県上益城郡山都町、宮崎県西臼杵郡高千穂町(寧静ループ)
- 国道414号 静岡県河津町(河津七滝ループ橋)
- 国道442号 福岡県筑後市(筑後ループ橋)
- 名阪国道 奈良県奈良市、天理市(福住IC~天理東IC間、Ωカーブ(完全なループではない))
[編集] 関連項目
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