アフリカ連合
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アフリカ連合(-れんごう、英:African Union、仏:Union africaine)は、国連憲章と世界人権宣言に沿ってアフリカ諸国の統一、連帯の促進、国家の主権、領土を守り、新植民地主義と闘うことを目的として1963年5月に発足したアフリカ統一機構(OAU)が、2002年7月9日に発展解消してできた後継組織。
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[編集] 名称
旧称アフリカ統一機構は
- 英語ではOrganization of African Unity (OAU)
- フランス語ではOrganisation de l'unité africaine (OUA)
[編集] 目的
安全保障や経済面の協力を通じアフリカの統合を推進、グローバリゼーション時代における地位向上、域内紛争や独裁政治の根絶を目指す。将来的にはヨーロッパ連合をモデルとした裁判所や議会、中央銀行を設置し、単一通貨の導入も視野に入れている。
[編集] 機構
エチオピアのアディスアベバに本部をおく。2005年9月現在の委員長は前マリ大統領のアルファ・ウマール・コナレ。
- 首脳会議
- 最高決定機関。少なくとも年1回開催。一般政策を決定する。議長(任期1年)を選出。委員会委員(任期4年間)を選出。
- 閣僚執行理事会
- 各国外相など閣僚により構成。少なくとも年2回開催。政策の調整、首脳会議での議題準備などを行う。
- 常駐代表者会
- 各国の常駐代表(大使級に相当)で構成。随時開催。閣僚執行理事会の委員会への諮問機関。閣僚執行理事会への議題準備等を行う。
- 専門技術委員会
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- 農村経済及び農業事項に関する委員会
- 通貨及び金融に関する委員会
- 貿易・関税・移住に関する委員会
- 輸送・通信・観光に関する委員会
- 産業・科学技術・エネルギー・天然資源・環境に関する委員会
- 保健・労働・社会事項に関する委員会
- 教育・文化・人的事項に関する委員会
- 担当大臣または政府高官が出席。プロジェクトを作成し、閣僚執行理事会に提出。
- 委員会
- 委員長、副委員長(1人)を含む7人の委員。委員長を除く各委員がそれぞれ一つの「大臣職」を勤める。「大臣職」としては、一例として、経済開発、協力・統合、社会問題・ジェンダー、科学・技術、総務・財務、情報・通信・資源活用、政務が挙げられている。
- AUを対外的に代表し、政策・法案を提案し、決定事項を執行するなどOAU事務局の機能を大幅に補強・増大することを想定。AUにおける決定事項の執行機関。AUの内閣に相当。
- 経済・社会・文化評議会 - 諮問機関
- 全アフリカ議会
- 裁判所
- 金融機関
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- アフリカ中央銀行
- アフリカ通貨基金
- アフリカ投資銀行
- 平和・安全保障委員会
- 15ヶ国で構成し、再選可で任期3年(5ヶ国)と再選不可で任期2年(10ヶ国)の2種類。アフリカを東西南北および中央に分け、各地域から1国ずつが3年任期の委員国となる。
- 域内での虐殺行為や戦争犯罪の抑止を目指す。前身のOAUが各国主権を尊重するあまり紛争解決に力を発揮できなかった反省から、AU創設規約は加盟国への介入を可能にし、常設平和維持軍の設置も計画中。
- アフリカ人権裁判所
- 2006年7月3日、アフリカ人権裁判所を発足させた。同裁判所はアフリカ統一機構(OAU)時代の1988年に設置が決まっていたもので、タンザニアのアルーシャに本部を置き、政府が行った人権侵害などの不法行為について国際条約、国際法に基づいて判断を下す。同裁判所には国家、AU機関だけでなく、個人、非政府組織(NGO)も提訴が出来る。2日までにガンビアの首都バンジュールで開催されていたAU首脳会議で判事に就任するアフリカ法律専門家11人が、「アフリカ人権憲章」への宣誓を行った。
[編集] 加盟国
アフリカに属する国のうち、モロッコを除く52ヶ国と1機構。1機構とは西サハラの独立派武装組織ポリサリオ戦線が樹立した亡命政府サハラ・アラブ民主共和国(SADR)で、モロッコは西サハラ加入に反対し1985年にOAU脱退。ソマリアから一方的に独立したソマリランドも非加盟。